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中島裕之選手のヤンキース入りが破談した理由



ポスティングによりメジャー移籍を目指した中島裕之選手だったが、結局ヤンキースとの交渉は不調に終わり、今季もライオンズに残留することとなった。だが今季、ライオンズが日本一になるためには中島選手はこれ以上ない戦力ではないだろうか。とにかく中島選手にはここで一度気持ちをリフレッシュしてもらい、今季はライオンズの日本一だけに集中し、そしてオフ、晴れて海外FAを行使しメジャーを目指して欲しいと筆者は願っている。

今回交渉が不調に終わった要因は、一年前に岩隈投手とアスレティックスが破談となった際の理由とは異なる。この時はアスレティックス側が、ポスティングでの入札金を年俸の一部と考えていたことが、岩隈投手に不信感を与え、最終的には破談となった。この時アスレティックスが悪者と見られる傾向もあったが、実際にはポスティングに関するルールを破っているわけではないので、これはポスティングシステムの不備が招いた交渉の決裂だったと見るべきだろう。

今回の中島選手に関しては、どうやら保有年数に関して双方の意見が合致しなかったようだ。中島選手は1年契約を希望したが、ヤンキース側はそれを受け入れず、FA獲得まで6年間の保有権の獲得を譲らなかった。つまり中島選手が今回ヤンキース入りを蹴った理由は100万ドル(約7700万円)という昨季の4分の1の年俸を嫌ったわけではなく、6年契約を拒んだものだった。中島選手自身は低年俸でも、控え扱いであっても、そこから評価を上げてレギュラーを目指す気持ちであったようだ。だがヤンキースのキャッシュマンGMがあくまでも中島選手の長期保有権と、控え以上の評価を与えようとしない強行姿勢が、今回の破談の一因となった。

中島選手には今季はライオンズで日本一を達成し、タイトルを獲得し一年後、「控え」という評価を大きく覆し、胸を張ってメジャー移籍の夢を叶えてもらいたい。それがチームメイト、そしてファンの総意ではないだろうか。中村剛也選手も言うように、筆者自身ヤンキースタジアムの打席に立つ中島選手を見てみたかった。だがライオンズにとってはこれ以上の吉報はない。中島選手が抜けていれば今季は3番を打っていたであろう新主将栗山巧選手片岡易之選手が戻るまでは再び1番に据えることができるのだ。3番を打てるだけの能力がある打者が1番として多く出塁してくれれば、それだけチームの得点力はアップする。統一球の影響が薄れるであろう今季を考えれば、投手陣にとってこれは大きな勇気となるだろう。

純粋にショートストッパーとして中島選手を見ると、筆者は原拓也選手浅村栄斗選手の方が上だと思っている。しかしそれは当然だ。アマチュア時代は投手と外野をやっていた中島選手だが、原・浅村両選手はアマチュア時代もずっとショートを守っていたのだ。だが原・浅村両選手にしても、中島選手の守備から学べるものは少なくはない。例えばカットプレーへの入り方だが、中島選手は外野手の肩の状態、強弱を考え、強肩ではない選手が守備に就いている際は大胆に外野エリアまでカットに向かうことがある。このような状況判断、勇気に関しては原・浅村両選手は今季のうちにしっかりと学ぶべきだろう。

そして新主将である栗山選手も、昨季途中から主将を務めた中島選手にどんどんアドバイスを求めていいと思う。また栗山選手から副キャプテンを任命された中村選手もやはり、中島選手の出る幕がないような積極性を発揮していいと思う。「栗山と中村がいてくれれば、ライオンズは大丈夫だ」。中島選手がそう思い、一年後、安心してメジャーに旅立てる状況を栗山・中村の同級生コンビで作り上げて欲しい。そして中島選手には今季は主将経験を活かし、栗山・中村コンビを力強くサポートしてあげて欲しい。それこそが中島選手にとり、タイトル獲得以上のライオンズへの置き土産となるのではないかと、筆者は密かに考えているのだった。

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2012年01月07日 12:30