前の記事 #50 エンリケ・ゴンザレス
次の記事 坂元弥太郎投手が今季主戦リリーバーになるために
炭谷捕手・星捕手、投手が投げやすいのはどちらか
今季のライオンズはショートストッパーがどうなるかも気になるところではあるが、しかし筆者がそれ以上に気になっているのは正捕手争いだ。つまり炭谷銀仁朗捕手と星孝典捕手とで、渡辺久信監督が勝つためにどちらの捕手を選ぶのかだ。昨季の起用法だけを見れば、今のところ炭谷捕手が一歩リードと言ったところだろう。高卒1年目から活躍してきた生え抜きの炭谷捕手だけあり、球団全体からの期待度は当然だが高い。しかし昨季トレードで加入し、その炭谷捕手の存在を脅かしたのが星捕手だった。リードだけではなく、時には勝負強い打撃でチームに勝利を呼び込んだ試合も印象深かった。
伊東勤という大捕手を基本線とすれば、炭谷捕手・星捕手ともに、まだ発展途上の捕手だと言えるだろう。銀仁朗捕手に関してはまだまだ若いし、星捕手に関してもこれまでの出場試合数の絶対数が少ない。それを踏まえれば、この2人が今季大きく飛躍してくれるという期待度はさらに高まる。そしてここに、今季からは横浜から武山真吾捕手が加入することになった。横浜では盗塁を刺す姿が印象深かった捕手だ。武山捕手が3番手であろうと1軍に食い込んでくるような活躍を見せてくれれば、炭谷捕手・星捕手の緊張感もさらに高まる。野村克也監督は常々、強いチームに名捕手ありと仰っていたが、筆者もまさにそうだと考える。
捕手には大きく分けて2種類のタイプがある。1つは伊東勤捕手のように、姉さん女房よろしく投手の尻を叩きながら、投手の持ち味をさらに高めるタイプ。こちらはいわゆる典型的な捕手タイプだと言えるだろう。そしてもう1つは古田敦也捕手のような、時には投手の想像を絶するリードをし、打者の弱点を徹底的に突く攻撃的捕手タイプ。どちらが良いという問題ではないが、星捕手がより伊東捕手寄りだとすれば、炭谷捕手は古田捕手寄りだと分けられるのではないだろうか。ただ、炭谷捕手に関してはまだ時に配球に迷いが見られるため、筆者は早く迷いを払拭した炭谷捕手のリードを見てみたいと思っている。
さて、どのような捕手がマスクをかぶっていたとしても、とにかく一番重要なのは投手が活躍できるかどうかだ。投手が投げやすいと感じ、捕手から出されるリードも、投手との意思疎通が成ったと感じられるものである必要がある。もちろん時には意外性も必要かもしれないが、その意外性にしても、基本的な投手との意思疎通があってこそ意外性としての存在感を際立たせる。
投手が投げやすさを感じられる捕手は、的が大きく見えるかどうかに尽きる。この点に関しては、筆者は炭谷捕手よりも星捕手の方が少し上を行っていると考えている。投手から見て、キャッチャーミットという的が大きく感じられるかどうかは、まさに死活問題だ。的が大きく感じられれば投げやすいし、逆に小さく感じてしまえば窮屈なピッチングとなってしまう。豊田清投手や北別府学投手のように、誰もがボールの縫い目1個分の出し入れをできるわけではないからだ。
的の大きさに関し、最も小さく見えるのはライオンズの1軍捕手では上本達之捕手だ。上本捕手は捕手陣の中では最も体が大きいにも関わらず、キャッチャーミットという的が小さく感じられる捕手だ。その理由は、上本捕手は時に大きな体をかがめて構えてしまうからだ。大きな体を持っている選手が体をかがめてしまうと、その動作だけで投手に与える印象が変わる。つまり体が小さな捕手が体をかがめることよりも、体が大きな捕手が体をかがめる方が、投手は「的が小さくなった」と強く感じてしまうのだ。これを踏まえると、上本捕手は体の大きさを活かし、もっと堂々とゆったりと構えれば、もっと投手が投げやすさを感じられる捕手になるのではないだろうか。
さて、話を炭谷捕手と星捕手に戻すが、銀仁朗捕手も体をかがめてしまう癖がある。実はこの構え方は投手の投げやすさ同様に、球審からの見えやすさという点にも大きな影響を与える。捕手というポジションは、投手と球審の2人にとってやりやすさを与えられる存在でなくてはならないのだ。これは名捕手と呼ばれるためには、絶対的に必要な要素であると筆者は考える。
捕手が体をかがめて低めのボールをキャッチすると、コースにとってはキャッチングポイントが捕手の体に隠れてしまい、球審から見えにくくなる場合があるのだ。球審から見えにくくなるということは、それだけストライクとコールしてもらえる可能性が低くなるということになる。そうなってしまうと、投手が低めギリギリの最高のボールを投げたとしても、見逃しストライクを取れなくなくなってしまう。昨季のライオンズ戦でも、何度かこのような流れのある判定を目にした。そしてこれが繰り返されてしまうと、投手の捕手に対する信頼度も上がっては行かない。
低めギリギリのコースを、体を起こし気味にした状態でキャッチングすることは本当に難しい。古田敦也捕手などはこれが上手かったが、並みのレベルの捕手ではなかなかできないことだ。だが炭谷捕手は今季から伊東勤捕手が背負った27番を背負うことが決まっており、その対抗として星捕手も期待されている。つまり2人とも名捕手のレベルを目指すということになるため、今季は伊東勤ら名捕手のレベルを基準とし、炭谷捕手と星捕手の活躍を大いに期待していきたいと筆者は思っている。
【お知らせ】
最近、日刊埼玉西武ライオンズの記事をブログやmixi日記などで再利用されている方がいるようです。日刊埼玉西武ライオンズの記事は、筆者が許可していない限り、酷似した文章、コピーした文章を他ブログ、他サイトに掲載することは禁止いたしております。もし何かお気付きの点などございましたら、ぜひメールでお知らせくださいませ。ご協力よろしくお願いいたします。
前の記事 #50 エンリケ・ゴンザレス
次の記事 坂元弥太郎投手が今季主戦リリーバーになるために
【関連記事】
2012年01月16日 12:34 Tweet

