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菊池雄星投手が勝てる投手になるため必要なこと

先日、菊池雄星投手が「早く150kmを出してスッキリしたい」というコメントを残していた。確かに菊池投手は速球派で、高校時代には最速155kmをマークしている。そのような実績もあり、スピードを意識したくなる気持ちはよく分かる。しかし菊池投手自身よく分かっていることだとは思うが、決してスピードにこだわってはいけない。野球というスポーツにおける投手は、球速にこだわる必要などまったくないのだ。

制球 > 変化 > 球速
これが投手にとっての三大要素の優先順位だ。投手にとって何よりも重要なのは制球力だ。これは疑いようもない事実である。ヒットを打つことを生業としているプロの野球選手であれば、ど真ん中に入った160kmのボールをヒットにすることは決して難しいことではない。それこそ朝飯前だと言えるだろう。つまり菊池投手の言うところの150kmという球速も、この速度のボールをしっかり制御することができなければ、まったく意味を成さないのだ。だがもし菊池投手が150kmのストレートを、右打者の外角低めいっぱいのところに投げ切ることができれば、菊池投手は間違いなく来季10勝以上を挙げることができるだろう。

投手にとって最も重要な要素が制球であれば、2番目に大事なのは変化だ。変化とは球速差による緩急であったり、変化球の曲がり具合を変化させる能力のこと。この変化を操ることができれば、毎年二桁勝利を挙げることのできる投手に進化することができる。例えば投手は、一年中絶好調を維持することはできない。日によって150kmを軽く計測できる試合もあれば、145kmでとどまる試合も出てくる。普段150kmを投げる投手のストレートが145kmであれば、打者からすればまさに打ち頃。しかしここで、変化球の速度もストレートに合わせて5km遅く投げる能力があれば、145kmのストレートであっても、いつも通りの150kmのような体感スピードを打者に与えることができるのだ。

菊池投手がマウンドに立ち、バックスクリーンに150kmというガン表示が出れば、西武ドームはきっと盛り上がるだろう。しかし菊池投手が今後20年間マウンドに立ち続けるためには、それではいけない。ライオンズ投手陣のチーム防御率が良かった頃を率いた東尾修監督は、投手がバックスクリーンに表示されるガン表示を見ることを固く禁じた。その理由は数字にこだわるのではなく、自らの肌でボールの良し悪しを覚えさせるためだ。つまり同じ150kmという球速であっても、そのボールに切れがなければ意味はないというわけだ。投手がいつもガン表示ばかりに頼ってしまと、切れがないストレートを投げていても150kmと表示されることで不要に安心してしまうのだ。

そもそもガン表示は球場によって誤差がある。今は改善されたと聞くが、神宮球場はかなり速めに球速表示されることで有名だった。果たしてその神宮球場で150kmだの、155kmだのを計測することに、どれだけの意味があるだろうか。応援しているファンにとっては1つのエンタテインメントとなりうるが、しかし投手自身からすれば、160kmのストレートを投げても勝てなければクビになってしまう。

帆足和幸投手が抜けた来季、左腕・菊池投手にかかる期待は大きい。その期待に応えるためには150kmを投げることではなく、1つでも多く勝つことだけに集中してもらいたいと筆者は願っている。肩痛も癒えて一年が経った。菊池投手ならば150kmなど意識せずとも、今後はいつでも投げられるようになるはずだ。だからこそスピードガンなどに興味など持たず、ただチームの勝利にだけ集中してもらいたい。

今オフ木村文紀投手と共に2ヵ月間オーストラリアに派遣された菊池投手は、現地でカーブを覚えてきたと言う。どのようなカーブなのかは筆者にはまだ分からないが、カーブという球種は現在絶滅の危機にあると言える球種だ。本物のカーブを投げられる投手はプロ球界でも数は少ない。それを考えれば左腕からのカーブは大きな武器となるはずだ。何とか開幕までに習熟度を高め、試合でも使えるレベルまで持っていって欲しい。このカーブが本物となれば、145kmのボールを155kmに見せることも可能となるだろう。それこそが150kmを投げること以上に、菊池投手が勝つために必要なことだと筆者は確信している。菊池投手も来季はいよいよ3年目だ。2012年はぜひ飛躍の年となってもらいたい。

2011年12月28日 14:43

#23 マイケル中村

#23 マイケル中村 - Micheal Nakamura

リリーバー、右投右打
2004年ドラフト4巡目(日本ハム)
ウェズリー・カレッジ高~サウスアラバマ大~ミネソタ~トロント~日本ハム~読売~埼玉西武ライオンズ
奈良県出身、1976年9月6日生、178cm / 82kg
埼玉西武ライオンズが、読売ジャイアンツを戦力外になったマイケル中村投手を獲得した。筆者はこの補強は、素晴らしい補強だと考えている。過去97年に肘を手術をし、日本ハム時代には腰痛を患ったマイケル中村投手だが、西武球団が獲得をしたということは、メディカルチェックには問題はなかったのだろう。プレーができる体の状態であるならば、この補強は間違いなく吉と出るはずだ。

マイケル中村投手は、多くのライオンズ投手陣が持ち合わせていないものを持っている。それは燃えるような闘争心だ。以前はライオンズにも石井貴投手やデニー投手、豊田清投手や松坂大輔投手という、闘争心むき出しで投げる投手たちが多く在籍していた。しかし今やそれをスタンドまで届かせ実感させてくれる投手は数少ない。そんな中にマイケル中村投手のようなリリーバーが加われば、これまでライオンズに足りないとされていたエッセンスが加えられることとなり、ブルペンには層や数字以上のプラスがもたらされるはずだ。

肘の手術を経験していることが影響しているようだが、マイケル中村投手は変則サイドハンドスローだ。日本ハム時代には筆者も西武戦でよく見た投手だが、あの投げ方は正直なところ打ちにくいと思う。それに加え150km前後のスピードボールに、切れのあるスライダーやスラーブを織り交ぜてくる(ムーヴィングボールを使っていた印象も筆者には少し残っている)。日本ハム時代の計4年のうち、3度イニング以上の奪三振数を記録していることにも十分頷ける。

だがマイケル中村投手の場合、1つ大きな課題がある。それは捕手だ。日本ハム時代には中嶋聡捕手が専属捕手を務めていたが、中嶋捕手以外の捕手とバッテリーを組むと、極端に成績が下降した。ライオンズは日本ハムと同じパ・リーグであるため、この傾向は当然把握していると思う。それを把握しての補強なのだから、やはり打開策もある程度は持っているのだろう。

マイケル中村投手にとり、果たして炭谷銀仁朗捕手がいいのか、はたまた星孝典捕手がいいのか、筆者にはまだ皆目見当が付かない。しかし春季キャンプやオープン戦で試行錯誤を繰り返していけば、開幕までにはある程度の答えは整っているはずだ。

巨人時代には3年間で1年しか大きな活躍ができなかったマイケル中村投手だが、この投手の再生は十分に可能だ。そもそもマイケル中村投手は投げて投げて調子を上げていく投手だと筆者は考えている。年齢的に来季は36歳となるため、日本ハム時代のようなフル回転を期待するのは難しいだろう。しかしミンチェ投手の穴を埋めるには十分過ぎる投手だと思う。そしてセットアッパーとしてだけではなく、活躍次第ではクローサーに名乗り出ていいだけの実績を持った投手だ。ライオンズでは、巨人時代以上の活躍の場が与えられるはずだ。そのチャンスをマイケル中村投手がしっかりと掴み取ることができれば、これは本当に大きな補強だったと一年後に振り返ることができるはずだ。

さらにはマイケル中村投手自身が口にしているように、彼の役割はマウンド上だけにあらず。来季ライオンズには4人の新外国人選手が加入するわけだが、彼らへのアドバイザー役も、マイケル中村投手に課せられた重要な使命だ。「地位は人を育てる」とはよく言われることだが、このようにライオンズがマイケル中村投手の実績を尊重し、責任を与えてあげることで、マイケル中村投手は必ず再起するはずだ。そしてその期待を意気に感じてくれるのが、日本人の父を持ち、日本・豪州の両国籍を持つマイケル中村投手の魅力の1つなのだと、筆者は信じている。

2011年12月24日 12:18

#2 クリス・カーター

#2 クリス・カーター - William Christopher Carter

外野手、一塁手、左投左打
2004年ドラフト17巡目
スタンフォード大~BOS~NYM~ATL~埼玉西武ライオンズ
カリフォルニア出身、1982年9月16日生、183cm / 98kg
2012年12月21日、ライオンズ4人目の新外国人助っ人として、クリス・カーター選手の来日が決まった。2008~2009年にはレッドソックスに在籍していたため、松坂大輔投手と共にプレーしていたことになる。ライオンズには内野手として加入したようだが、実際に得意なのは外野であるようだ。メジャーでの出場試合数は決して多くはないものの、外野手としては一度も失策を記録していない。盗塁を狙えるような走力があるかは分からないが、しかしレフトやライトであれば無難にこなしてくれそうな感じはする。外野にレギュラーが栗山選手しかいないことを考えれば、一塁手やDHとして以外にも、外野手としての活躍も期待されるところだ。

カーター選手は典型的なプルヒッターだ。レフトへ飛んでいる打球を見ても、スウィング方向は明らかにライトを向いているように見える。つまり2008年のブラゼル選手と似たタイプだと言えるだろう。スタンフォード大時代から、タイミングが合った時のカーター選手の打球は痛烈だった。まさに弾丸ライナーで右中間に飛び込んでいく。アメリカではメジャー、マイナーともに目立った活躍、本塁打数を記録しているわけではないが、日本人投手が相手であれば確実に本塁打数を増やすことができるだろう。

カーター選手の魅力は何と言ってもパワーだ。アメリカでは並だったとしても、日本に来ればその体の大きさは際立つ。パワーピッチャーの多いアメリカと比べ、日本はボールの切れで勝負する投手がほとんどだ。切れで勝負するタイプの投手のボールは回転数が多いため、当たればかなりの飛距離が出る。それこそ統一球などほとんど苦にはしないだろう。

中村剛也選手が絶対的4番打者として君臨するライオンズにおいて、カーター選手とヘルマン選手に求められるのは4番の役割ではない。5~6番としての存在感だ。5~6番で2人の外国人選手がしっかりと機能してくれれば、相手投手は中村選手を簡単に四球で歩かせるわけにはいかなくなる。そうなれば中村選手のヒッティングチャンスは増え、それこそ王貞治選手がかつて記録した55本塁打を目指すこともできるだろう。2011年今季にしても、もし5番打者がもっと機能していれば、中村選手が50本打っていた可能性は高かった。そういう面から考えても、来季はとにかくカーター選手、ヘルマン選手の活躍に大きな期待を寄せたい。

ちなみにカーター選手は左投手を苦手としている。今季3Aで右投手は.380と打ち込んでいるのに対し、左投手からは.222しか打てていない。つまりこれは、カーター選手とヘルマン選手、どちらか1人が機能すれば良いという考え方ができない、ということになる。例えばカーター選手しか1軍で活躍できない状況が続けば、勝負どころでは間違いなく左のワンポイントリリーフをぶつけられてしまう。しかしカーター選手の後ろでヘルマン選手も機能していれば、相手チームもそう簡単にワンポイントは使えなくなる。理想的な打順を考えれば、3番栗山L、4番中村R、5番カーターL、6番ヘルマンRというジグザグ打線となるだろう。さらに1番L、2番片岡Rというオーダーならば、確実に相手チームの継投を悩ませることができる。

外国人打者に関しては、とにかく日本人投手への順応が鍵を握る。アメリカはほとんどがパワーボールで、そのボールを左右に小さく動かしながらバットのバレル(バットの一番太いところ)を外そうとしてくる。しかし日本はそうではなく、140kmの並みのストレートを、遅い変化球を使っていかに速く見せるかという配球を組んでくる。岸孝之投手のボールを見ても、ストレートとカーブの球速差は30kmある。この緩急にどれだけ対応できるかが、カーター選手の1年目の成績を左右させるだろう。

ちなみに日本では試合前、110~120km程度の遅いストレートを打つことで、体のタメを作る練習をする。しかしアメリカはそうではない。とにかく速いボールを打つ練習をする。このような日米差にどれだけ対応できるのか、まずはそこにかかっていると言えるだろう。インハイは苦手そうに見えるカーター選手だが、しかしアウトローに関してはかなり対応しそうに見える。日本人投手は恐らくアウトローを中心に伏線を引いてくるはずなので、インハイを無視することさえできれば、カーター選手は必ず活躍してくれるはずだ。2012年はヘルマン選手と共に、カーター選手にも大きな期待を寄せたい。

2011年12月22日 15:01

片岡易之選手の故障を防げば、西武は勝てていた

現在のライオンズナインの顔ぶれを改めて見直すと、やはりこのチームには元気な片岡易之選手の存在が欠かせない。片岡選手が元気か否かで、チームに与えられる勢いには雲泥の差が出てくる。単純に考えるだけでも1回の攻撃、片岡選手が先頭で出塁すれば盗塁で無死二塁となり、2番打者が送れば一死三塁となる。この状況を作れればヒットが出なかったとしても内野ゴロ、外野フライ、暴投、捕逸、失策など、様々なシチュエーションで加点することができる。

片岡選手は先日、打倒ホークスと盗塁王の奪回を誓った。杉内投手、和田投手、ホールトン投手、川崎選手が抜けたとはいえ、その穴を埋めないままにはしないであろうホークスは、来季も難敵であることに違いはない。ホークスは昨年の細川亨捕手に続き、今オフは帆足和幸投手をFAで獲得をした。うがった見方をすれば、ホークスは2年連続でライオンズから主力を奪っていったと見ることもできるが、しかしそれは違うと筆者は自分に言い聞かせたい。FA宣言をしたということは、細川捕手にしても帆足投手にしても、その時点でもうライオンズの選手ではなくなるということになる。それがフリーエージェントであり、自由契約の意味だ。
※ちなみに任意引退となると、球界に於ける保有権は引退した球団に残り続ける。

しかし『マネーボール』のストーリーよろしく、資金力のないライオンズで育った選手たちが、金満球団であるホークスに連れ去られたことは事実だ。だがこれはホークスがハゲタカであるのではなく、FA交渉でライオンズが敗れたというだけの話なのだ。資金力でチーム強化を図るのがホークスであるならば、ライオンズは育成力でそれに立ち向かえば良い。ただし、『マネーボール』のオークランドのようになってはいけない。優勝できなかった、という事実には必ず理由が存在する。ライオンズにとってその理由は明白で、優勝するためにはその理由を1つ1つ、確実に埋めていかなければならない。

その最たるピースが片岡易之選手だと筆者は考える。今季の片岡選手は春季キャンプから故障に苦しまされた。そして今現在は左肩のリハビリを続けている。脱臼修繕のために左肩にメスを入れたわけだが、2012年の1月中に痛みがなくなれば「成功」という手術だったようだ。これを聞いただけでも、どれだけ大きな怪我だったかがよく分かる。

ホークスのように資金力に任せて、ヤンキースのようなチーム作りをする、これも一つの球団戦略だ。しかしそれが適わないライオンズは、現在抱えている選手を最大限に活かす戦略を整えなければならない。このことに関しては実はこのブログでもずっと書き続けてきたわけだが、ここで改めて書いておきたい。ライオンズが勝つために今一番必要なのは選手補強ではない。トレーナーの拡充だ

ここ数年、ライオンズはとにかく主力選手の故障が頻発している。これは資金力よりも最優先にすべき改善要項だ。いくら素晴しい選手たちが育ったとしても、彼らが次々と怪我をしているようではまったく意味がない。ネズミと呼ばれる遊離軟骨のように、なかなか防ぎ切れない故障もあるわけだが、しかし岸孝之投手のわき腹痛や、片岡選手のふくらはぎ痛、さらにさかのぼればグラマン投手の左肩関節胞断裂など、トレーナーがしっかりと選手の体を把握していれば、防げていた可能性も高かったはずだ。だが実際にはそれぞれ長期戦線離脱を余儀なくされている。

トレーナーの重要性に関しては「理学療法士が西武の躍進を支えるかもしれない」にも書いたため、その理由を再び書くことはしないが、とにかくライオンズは怪我人を最小限に抑えるための球団戦略が必要だ。先日、ベイスターズの監督候補に挙がっていた工藤公康氏も話していたが、とにかく怪我人が多いようでは勝てる試合にも勝てなくなる。そのためにもトレーナーの拡充が必要なのだ。無事是名馬とはまさにその通りで、一流選手として時代に名を残すためには、怪我に強くなくてはならない。ライオンズ時代の清原和博選手、秋山幸二選手、東尾修投手、工藤公康投手、渡辺久信投手らの活躍が今なお語り継がれているのは、彼らが怪我なく長年チームを支え続けてくれたからだ。

ライオンズには今なおスタープレイヤーが大勢在籍している。彼がしっかりと機能し、チームが優勝へと邁進するためにも、とにかく「予期せぬ」故障者の数を減らさなければならない。ある日突然主力に故障者が出てしまえば、チームはそれだけで失速してしまう。そして一度失った勢いはなかなか取り戻すことは出来ない。2011年のシーズン、ライオンズも首位争いをしていた時期があった。しかしそこから最下位まで落ちて来てしまったのは、ひとえに故障者が続出したことが最たる原因だ。

ファンとしても大好きな選手が怪我で2軍にいるとなれば、球場への足も重くなってしまうだろう。様々なイベントを企画し、ファンを喜ばせることもとても大切なことだと思う。しかしそれ以上に大切なのは、ファンが応援している選手がいつでも元気に1軍でプレーをし、どのチームよりも多く勝つということだ。もし来季も故障者が続出するような事態になれば、これは本当に大きな問題だ。「勝つ気がない」と罵倒されたとしても、仕方のないことだろう。

球団は体調管理やコンディショニングを選手に丸投げしてしまうのではなく、球団側からも積極的にアプローチをすることで、二重のコンディショニング管理態勢を整えるべきだろう。そもそも「どこか痛いのか?」と聞かれ、「痛いです」と答えるような選手はプロにはほとんどいない。痛みを我慢してでも試合に出たいと思うのがプロ野球選手だ。そのことを見落としてしまっては、チームの建て直しはますます難しくなるだろう。だからこそ筆者は、西武球団にはとにかく故障者を最小限に抑える努力を最優先に考えて欲しいと、来季に向け大きな期待を寄せているのだ。

2011年12月20日 16:07

この2年、西武がソフトバンクに敵わなかった理由

2012年度の選手会長兼キャプテンに就任した栗山巧選手が、来季の3番奪取を誓った。これで来季の打順構想がかなり見えてきたのではないだろうか。片岡易之選手が開幕に間に合ったと仮定すれば、1番片岡(二)、2番(三)、3番栗山(左)、4番中村(一)、5番ヘルマン(DH)、6番浅村(遊)、7番秋山(中)、8番炭谷(捕)、9番熊代(右)といったところだろうか。

もちろん他にも期待したい選手は多々いるが、全選手が平均値以上の状態を維持したならば、可能性としてはこのような形に収まるのではないだろうか。まず内野陣を見ていくと、中村剛也選手がファーストに専念することができれば、鉄壁と言っても過言ではないだろう。中村選手の特徴は何と言ってもハンドリングの柔らかさだ。これは天性とも呼べるものであるため、練習して習得できるようなものではない。だが肘痛(ネズミ)を経験しているだけあり、サードでは送球に安定感を欠くことが多かった。だがそれもファーストであれば懸念材料を減らすことができる。

ただ中村選手のファーストは、身長があまり高くはないという大きな弱点がある。しかしそれでも上記布陣であれば送球はかなり安定すると考えられるため、その弱点もさほど気になることではないだろう。

一方の外野陣を見ていくと、栗山・秋山・熊代という布陣はかなりの堅守だ。栗山選手に関しても今オフの手術により肘痛が治れば、来季はもっと強いボールを投げられるようになるだろう。あとはどれだけ強いボールを投げられるかどうかだ。筆者個人としてはやはり栗山選手にはセンターの守備に就いてもらいたい。その理由は、チーム一の強肩である秋山選手にライトに就いてもらうためだ。ライオンズはここ数年、被三塁打の数が非常に多い。二塁打に抑えられる打球を三塁打にしてしまうことで、投手の防御率も悪化させてしまう。それを防ぐためにも秋山選手をライトに置き、走者が三塁へ走ろうとする意欲をあらかじめ削いでおくのが理想だと筆者は考えている。

ちなみに話を少し内野に戻すと、二遊間の守備力の目安として、併殺打の完成率、併殺アウトの取得数などがよく挙げられる。しかしこれはあくまでも目安であり、リーグ全体で参考にできる数字ではないというのが筆者の考えだ。その理由は、今季のホークスのように投手陣が不要な走者を出さないチームであれば、それだけ併殺機会は減り、二遊間の併殺数も増えることはない。だが投手陣がの四球が多かったり、内野陣の失策が多いチームはそれだけ併殺機会が増えるため、併殺数も増えていく。つまり二遊間の守備の巧さを併殺数で図るのならば、そのための数字調整、投手力、守備力の検証も必要ということだ。

渡辺久信監督は来季、ディフェンス面の強化を最大テーマとして挙げている。そのためにも打順はさておき、守備に関する布陣は上記がベストと言えるのではないだろうか。あとは捕手陣だ。背番号を27に変更した炭谷銀仁朗捕手、25に変更した星孝典捕手が熾烈な正捕手争いを繰り広げれば、捕手力もかなりの向上が望めるだろう。

とにかく来季のライオンズは中島裕之選手フェルナンデス選手が抜けたことにより、大幅に得点力が低下する。それを得点圏打率の高い栗山選手、そしてヘルマン選手がどれだけカバーできるかが大きなポイントではあるが、やはりそれ以前に無駄な失点を1つでも減らすことが重要だ。ちなみに今季のライオンズの失策数は85で、これはパ・リーグ最多となる。5位のオリックスよりも7個多い。だがこれも、来季は奈良原コーチの加入によりかなり改善されるのではないだろうか。

何はともあれ、野球はまずは守備からだ。少年野球チームに入部しても、まずは守備練習をやらされる。野球にとって守備は基本中の基本だ。守備力あってこその野球だと考えれば、とにかく来季は失策数を減らさなければならない。投手は1試合27個のアウトをすべて三振で取ることはできない(三振も捕手の刺殺あってこその三振)。だからこそ投手力があったとしても、そこに守備力が伴わなければ勝利には結びつかない。
筆者は考える。攻撃力以上に、投手力と守備力の合算の差こそが、この2年でライオンズがホークスに敵わなかった理由ではないだろうか、と。

2011年12月16日 15:13

ミンチェ投手に続き、帆足和幸投手もFA移籍を決断

ライオンズはミンチェ投手に続き、今季の選手会長帆足和幸投手もFA移籍で失うこととなってしまった。ファンとしては寂しい限りではあるが、しかしFAは選手が苦労して得た権利だ。その権利を行使するのだから、どこのチームに移籍したとしても、ファンとしては温かく送り出してあげたい。

ただし投手の流出は、昨年の細川亨捕手の流出ほどダメージは大きくはないだろう。その理由は、ライオンズの主軸打者たちの長短所を熟知した細川捕手は、ホークスの制球力高い投手陣をリードし、苦手なコースを攻めれば良いだけだった。しかし投手となれば話は異なる。いくら細川捕手が弱点を徹底的に突くリードをしたとしても、ライオンズ野手陣と良好な関係を持つ帆足投手は、恐らく内角の厳しいところに常に投げ込むことはできないだろう。

筆者も学生時代はずっと投手をしていたため分かるのだが、打撃練習中、いくらチームメイトが「死球を気にせず内角に投げてくれ」と言ってくれても、仲の良いチームメイトに死球を気にせず投げることなど絶対にできない。筆者は試合で死球を出すことの多いタイプではあったが、しかし当てる相手はいつもトーナメントで対戦する、ほとんど顔も知らない選手ばかりだ。そのため死球を当てても、帽子をとって謝りはするが、それで内角攻めができなくなることはなかった。

ミンチェ投手に関しても同じことが言えるのではないだろう。ミンチェ投手が低迷していた時期は、鋭いシュートボールを投げられるにも関わらず、死球を恐れ右打者の内角に投げ切れなかったからだ。ミンチェ投手がいくら台湾出身選手であったとしても、ライオンズには10年在籍している。その元チームメイト達に、果たして内角をえぐるシュートボールを投げられるかどうか。帆足投手にしても右打者の内角に食い込んでいくナチュラルスライダー(スライダー回転のストレート)を投げ切れるのか、そこが勝負の分かれ目となるはずだ。

球界の通説として、「投手は敵チームの野手とは絶対に話してはならない」というものがある。これは、会話を通じて投手と敵チームの野手が仲良くなってしまうことで、対戦した際、投手がその野手の内角を突けなくなってしまうためだ。球界の死球王である東尾修投手ですらそれを気にしていたのだから、いくら気持ちが強いとは言え、帆足投手がライオンズ打線を相手に、しかも可愛がってきた後輩たちを相手に、死球も厭わぬ内角球を常時投げ切れるとは筆者には考えられない。それを考えると、帆足投手とミンチェ投手の流出は、細川捕手の流出よりは小さなダメージで済むと予測できる。

逆にライオンズ打線からすれば、中村剛也選手原拓也選手浅村栄斗選手ら内野陣は、一年間ずっと帆足投手、ミンチェ投手の真後ろから彼らの投球を見続けた。つまり持ち球は当然のこと、マウンド上での性格、配球の傾向などを熟知している。このメリットは決して無視することは出来ないだろう。野球界の恩返しは、先輩を倒してこそ恩返しだと言える。つまりライオンズの若き内野陣は、自分を可愛がってくれた帆足先輩を打ち崩すことこそが、帆足投手への最大の恩返しとなる。筆者は来季、この恩返しに大いに期待したいと思っている。

さて、帆足投手にしてもミンチェ投手にしても、西武球団はFAによる流出の可能性は当然把握していたはずだ。フロントでも、FAで移籍していく確率をしっかり計算していたと思うし、今回の両投手の移籍に、ファンほど大きな驚きは抱いていないはず。ということは、当然FA移籍した選手のバックアップ案はすでにあるものと思われる。西武球団の場合、あまり表立ってその情報が出てくることはないが、今まさに水面下において調査は進んでいるはずだ。当たり前のことではあるが、このまま穴を埋める作業をしない、ということはまずありえないだろう。

まず帆足投手が抜ける先発の穴は、それほど心配する必要はないだろう。エース涌井秀章投手を中心に岸孝之投手西口文也投手石井一久投手牧田和久投手らが主軸としてローテーションを守り、そこに若きエース候補である大石達也投手菊池雄星投手が加わり、さらには武隈祥太投手十亀剣投手ら期待の若手もいる。彼らすべて来季先発で回れるかと言えばそうではない。先発ローテーションに加われなかった投手は、リリーフやロングリリーフで経験を積ませることとなり、ローテーションの谷間で結果を出せば、そこからローテーション枠を奪い取ることもあるだろう。

帆足投手とミンチェ投手の穴は確かに大きい。しかしこの穴は決して埋められないものではない。それよりも重要なのは、中島裕之選手の穴をどうやって埋めるかだ。この穴を埋められなければ、いくら投手陣を整備したとしても優勝からは遠ざかる結果となってしまうだろう。外国人打者に関しては数人の名前がすでに挙がってきてはいるが、その外国人打者だけに頼ることはできない。多少の出血は覚悟してでも、トレードによる打者の獲得は急ピッチで進めていく必要があるだろう。とにかく今は鈴木葉留彦球団本部長の手腕に期待し、筆者は朗報を待ち続けたいと思う。

2011年12月13日 15:42

2012年ライオンズの主将は、栗山巧選手に決定

12月11日、ザ・プリンス・パークタワー東京にて栗山巧選手の結婚披露宴が行われ、渡辺久信監督が乾杯のスピーチを行なったのだが、そのスピーチ上で渡辺監督は、来季のキャプテンは「栗山しかいない」と、栗山巧選手へのキャプテン任命をサプライズで行なった。中島裕之選手のメジャー移籍が濃厚となっている来季、キャプテン制をどう扱っていくのか注目されていたライオンズだったが、渡辺久信監督は中島キャプテンの後任として、栗山巧選手を指名した。

まだ中島選手がキャプテンに任命される以前、筆者は栗山選手はキャプテンとして相応しいが、外野手であることが難点であると書いてきた。キャプテンという存在は、できるならばいつでも投手の元へ駆けつけ、一声かけてあげられるポジションにいて欲しい。だが主にレフトやセンターを守る栗山選手ではそれが難しい。赤田将吾選手がキャプテンだった時も筆者は同じ心配をしていたのだが、しかしその頃の赤田選手は2軍生活が長かった。その点栗山選手は2年連続でフルイニング出場を果たしている。

オリックス・バファローズの坂口選手は先日、投手がピンチなら外野から全力疾走でマウンドに駆け寄り、投手に声をかけてあげたいとコメントしていた。その坂口選手の憧れでもある栗山選手も、もしかしたら来季は俊足を飛ばして外野からマウンドに駆け寄る場面が見られるかもしれない。プロアマ問わず、外野手が試合中にマウンドに駆け寄るという場面はほとんど見られないが、しかし1試合に頻繁に行なうことではない。外野の守備に就くキャプテンが、全力疾走でマウンドに駆け寄る場面が見られるのならば、ファンも大喜びしてくれるはずだ。

「引っ張る力があるし、言葉で伝えることもできる」とは、渡辺監督の栗山選手に対する言葉だ。これはまさにキャプテンに必要なことだと思う。中島選手は言葉というよりは、行動でチームを牽引するタイプのキャプテンだった。シーズンの後半のみではあったが、中島選手はキャプテンとして大きな働きを見せてくれた。しかしキャプテンとしては、やはり言葉を上手く遣える選手が望ましい。なぜなら、行動で示すだけでは、その行動をチームメイトがいつも見ていなければならないからだ。だが言葉でも伝える力があれば、自らチームメイトに対し直接発信を行うことができる。

例えばリリーバーと野手陣は、試合中はなかなか接することができない。野手はダッグアウトにいることがほとんどだし、リリーバーはほとんどの時間をブルペンで過ごす。このような場合、やはりリリーバーがマウンドに登った際、思いを上手く言葉で伝えられた方が、リリーバーもより試合に入って行きやすくなる。もちろん中島選手がマウンドで投手に声をかける姿は多々見られたが、しかし中島選手自信、言葉でチームメイトを牽引することは得意ではないと自認している。

だが栗山選手の場合は違う。渡辺監督のコメント通り、プレーだけではなく、言葉でもしっかりと思いを伝えることができる。こどもの日にヒーローインタビューに立った時も、選手がスタンドに投げ入れるボールは子どもたちに譲り、スタンドに飛び込むファールボールは子どもに当たらないように、大人が捕ってあげて欲しいとコメントし、ファンの感動を呼んだ。

それぞれスタイルが異なるため、一概に中島選手と栗山選手を比べることは出来ない。しかし「キャプテンらしさ」という点では、栗山選手の方がそれを多く持っていることは確かだと思う。ただ、筆者個人としては片岡易之選手にキャプテン役を期待していた。だが今季は怪我に泣き、来季の開幕に間に合うかどうかも未だ定かではない。そのような状況であるならば、やはり栗山選手以外に中島選手の後を継ぐ存在は見当たらない。

来季は栗山巧選手の胸に「C」マークが付けられる。筆者も早くその姿を見てみたい。そして来季こそは栗山キャプテンを中心にし、ライオンズには日本一を奪回してもらいたい!
「地位は人を育てる」とはよく言われることではあるが、このキャプテン就任が栗山選手にとり、大きなプラスとなってくれることを筆者は願っている。

2011年12月12日 17:37

西武黄金時代を支えた左腕、工藤公康投手引退

思えばもう2年前の出来事だ。工藤公康投手が16年振りにライオンズに復帰することが決まり、筆者はいてもたってもいられなかった。あのニュースは多くのライオンズファンにとって、4位に終わった2009年のオフに咲いた最も明るいニュースとなった。全盛期のようなピッチングを期待したわけではない。とにかく工藤投手が元気な姿で、1軍のマウンドでライオンズの勝利に貢献してくれる、それだけのことで我々ファンは感動を覚えることができた。2010年、筆者も数度西武ドームで久しぶりの工藤投手を応援したが、西武ドームの工藤投手への声援は、どの選手への声援よりも一際大きかった。

しかし2010年、ライオンズのユニフォームをまとって10試合に登板した工藤投手だったが、体は決して万全ではなかった。チーム事情により急遽1軍登録され、7月20日にマウンドに登ったわけだが、左肘には痛みが残るままだった。痛み止めの注射を打ってマウンドに登る日々だったと言う。しかし工藤投手はそんな言い訳を一切口にすることなく、マウンドに登り続けた。だが限界は近づいていたのかもしれない。2010年は最後までこの肘痛が癒えることなく、同年、工藤投手は復帰わずか1年でライオンズを自由契約となった。

筆者は工藤投手よりも15歳下で、小学校に上がった頃にはすでに工藤投手のフォームを真似てボールを投げていた。当時は何気なく、ただ真似ていただけの投球フォームも、大人になれば実に理に適っていたということがよく分かった。筆者の子どもの頃はまさにライオンズの黄金時代で、とにかく工藤投手と渡辺久信投手に憧れた。右投げだったため最終的には渡辺投手のような投げ方を目指した筆者だったが、もし左投げのままだったなら、工藤投手を目指していただろう。筆者は今でこそ右投げだが、初めて野球をやる時にプレゼントされたご近所さんからのお下がりのグラブが右利き用だったため、左投げから右投げに変えた経緯があった。

工藤投手が全盛だった頃のライオンズには、今のライオンズにはないものが確かにあった。それは野球を最大限楽しむ心であり、そしてそれを可能にするためのどのチームよりも厳しい野球に対する取組み姿勢。そしてハングリー精神。当時のライオンズにはとにかく「勝つ」という紛いない雰囲気があり、そして「勝てるんだ」という強い信念が感じられた。これは今のライオンズからはあまり感じられないことだ。今のライオンズから感じられるのは、「勝ちたい」という強い気持ちまでだ。だが来季またチームが成長すれば、この「勝ちたい」という希望が、いずれ「勝てるんだ」という自信に変わっていくはずだ。

先日までは横浜DeNAベイスターズの監督就任が決定的と報道されていた工藤投手だったが、それは一転、高田GMと信頼関係を築くことができず破談となってしまう。筆者としては現役投手のプレイングマネージャーが見られると期待したのだが、しかしそれは叶わなかった。だがこれは、「指導者になるならライオンズで」、と野球の神様が計らってくれたのかもしれない。

2012年は文化放送の解説者となる工藤公康投手だが、2013年にはぜひライオンズの指導者となってもらいたい。まずは渡辺久信監督を支える2軍担当コーチ、もしくは2軍監督として指導経験を積み、数年後、渡辺監督のあとを継ぐ形で1軍監督になってもらいたい。

工藤投手は横浜の監督就任に当たり、ヘッドコーチと投手コーチの人事に関し希望を出し、トレーナーの増員を要望したとし、これに対し高田GMが不快感を示し、交渉を打ち切ったと報道されている。確かにGMの役割を考えれば、現場の要望すべてを受け入れることはできない。だが工藤投手に監督要請を出すのであれば、工藤監督が考える野球を実現しやすい環境を整える、それもGMの大事な役割のはずだ。だが高田GMはそれを完全に拒む結論を選択した。

工藤投手は捕手出身で、監督経験もある人物をヘッドコーチに希望したようだが、監督・ヘッドコーチが共にバッテリー出身ということに対し、高田GMは懸念を抱いていたようだ。それを考えると、中畑監督・山下ヘッドコーチという組閣であれば共に野手出身となる。この点に関して高田GMがどのように考えているのか、筆者個人としては非常に気になる点ではある。

来季は解説者として、外から野球を見る立場となった工藤投手だが、西武球団は決してのんびり構えていてはいけない。できるならば2012年から1・2軍巡回コーチとして契約をすべきだ。フルタイムである必要などない。とにかく2013年から、工藤投手がスムーズに三度ライオンズに復帰できる下拵えを、今の内から整えておく必要がある。それこそ巡回コーチであっても、臨時コーチであっても構わない。西武球団はこれまで、本当に多くの有能コーチを他球団に流出し続けてきた。その失敗を決して繰り返してはならない。

恐らく日刊埼玉西武ライオンズで工藤投手の呼称に「投手」を付けるのは、この記事が最後となるだろう。筆者は工藤投手がホークスに移っても、ジャイアンツに移っても、ベイスターズに移っても応援し続けてきた。そして30年間の現役生活にピリオドを打ったこれからも、もちろん応援し続けたい。

肘痛が癒えず昨年ライオンズを自由契約になった工藤投手だが、今年はずっと左肩に痛みを抱えていた。これは恐らく昨季、左肘痛を押して投げ続けた影響なのだろう。左肘をかばったことで、左肩に大きなストレスを与えてしまったのかもしれない。投手にとって肩痛・肘痛は本当にストレスとなる。肩が痛いだけで練習や試合へのモチベーションは大きく下がってしまう。しかしそれでも最後の最後まで決して諦めず、現役を貫いた工藤公康投手には、最大限の賞賛を贈りたい。そしてファンとしてライオンズの多くの優勝に貢献してくれて、「ありがとう」と声を大にして伝えたい。

工藤投手、30年間本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました!!

工藤公康投手、引退コメント(ブログより)

2011年12月09日 16:25

ポスティングは球界の将来に利益はもたらさない

北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有投手が今日、ポスティングによるメジャー移籍を表明した。入札があることは間違いない状況ではあるが、交渉内容によってはファイターズへの残留の可能性も残されているという。しかしダルビッシュ投手がメジャー移籍するとなれば、日本球界はますます寂しいものとなってしまうだろう。

ポスティングやFAによって一流日本人選手がどんどんメジャーへ移籍してしまう現状を、果たしてNPBはどう考えているのだろう。もちろん公には危惧しているというコメントを発信してはいるが、しかし具体的に何かをしているかと言えば、我々ファンにそれがハッキリと見えている現状はない。筆者は加藤良三コミッショナーには、MLBのパド・セリグ氏のような行動力を期待したのだが、しかし今のところはまだまだ物足りないというのが筆者個人の正直な意見だ。

筆者は日本球界に対し、いくつかの懸念を抱いている。例えば外国人枠の撤廃や、共同オーナー制についてだ。確かにデメリットはある。外国人枠を撤廃すれば、日本人選手の出場機会が減ることが予想される。しかしそれは、日本人選手が外国人選手に負けたということなのだから、勝負の世界においては仕方のないことだ。見方を変えれば、選手がもっと努力をすればいいだけの話だ。

そして共同オーナー制に関して言えば、八百長という問題が浮上してくる。しかしこれに関しても第三者による調査機関を創設すれば解決できる問題だ。先日プロ野球の実行委員会などで話し合われたレンタル移籍や、故障者リストに関しても「継続審議」という曖昧な結論が出されたわけだが、しかしこれに関してもこのタイミングで、もっと深い話し合いをするべきだったのではないだろうか。日本にもジャーナリストなど、プロスポーツに精通した見識者が大勢いる。何も12球団という内輪だけで結論を出す必要はないのだ。もっと幅広く意見を求め、さらに多くのメリット・デメリットを考えていけば良いと筆者は考える。

ポスティングによる一流選手のメジャー移籍は、選手を失う代わりに、球団に一時的には大きな金銭的利益をもたらす。例えば松坂大輔投手がボストンに移籍した際は、西武球団には60億円という金額が支払われた(税金を引けば、実利は40億前後だろうか)。しかし将来的に考えれば、「球団の魅力」を切り売りしていることになり、ファン離れを招く明確な原因となっている。

一方では外国人選手枠を設け、日本人選手の出場機会を保とうとしている。しかし一方では金銭メリットにより球団は自ら選手を流出させてしまっている。ポスティングは選手から直訴があってからの検討材料ではあるが、しかしポスティングの権利そのものは球団側にある。筆者個人としてはポスティングというシステムに肯定的ではない。選手が望んでメジャー移籍を目指すのであれば、フリーエージェントとして目指すべきだと考えている。

世界最高峰の野球リーグだと呼ばれるMLBにとっては、日本はドミニカやカナダと何ら変わりはないのだ。しかし日本からだけは選手を獲得するために非常識な金銭を要する。今回のダルビッシュ投手のポスティングに関しても、落札には1億ドルを要するとも言われている。確かに日本の球団にとってこの金額は魅力的だ。野球そのものに愛情を持たず、球団を親会社の広告塔としか考えていないオーナーにとっては、願ってもない収入だと映るだろう(大社啓二オーナーがそうである、という意味ではない。大社オーナーは、球団や選手に愛情を注ぐオーナーだと思う)。

日本球界は創設時より、球団は親会社の広告塔としてしか見られてはいなかった。チームが活躍すれば、そのニュースを読むために新聞を買ってもらえる。そのために球団を持つ新聞社が多かった。テレビ局にしても鉄道会社にしても同様だ。ここが日本の球団と、MLBの球団との最大の差ではないだろうか。

例えばソフトバンクホークスのオーナーである孫正義氏は、球団に対し大きな愛情を注いでいる。オーナーがこれだけチームを愛し、育てようという強い気持ちを持っていれば、ホークスが再び弱体化することは考えにくい。毎年優勝することはできなくても、毎年Aクラスを確保できる常勝球団として今後も強化されていくだろう。

だがかつての近鉄のように、優勝争いをして2位に終わるのが良いと考えているような球団は、当然近鉄の終焉のような憂き道を辿ることとなる。これはまさに、近鉄という鉄道会社が広告塔としてしかバファローズを考えていなかった証だ。

日本球界は、アジア野球の盟主としてもっと旗振り役を率先していくべきだ。例えば現状では、ベストメンバーの日本の球団に、アジア諸国のチャンピオンチームは勝つことができずにいる。今年に関してはホークスはアジアシリーズで敗れてしまったが、ホークスはベストメンバーではなかった。日本の球団とアジア諸国のレベルの差を考えれば、日本はMLBのアメリカのような立場を積極的に目指していくべきなのだ。

現在は12球団だけで運営されている日本プロ野球ではあるが、今後は日本国内だけではなく韓国、台湾、中国、オーストラリアなどのアジア・オセアニア諸国を取り組んだリーグの拡張検討、これが必要なのではないだろうか。MLBが世界最高峰となった所以には、アメリカは外国人選手のアメリカ国内でのプレーを制限していないからだ。

もちろんあらゆる改革にはあらゆるリスクが伴う。しかしそのリスクばかりを恐れて議論を先延ばしにしているようでは、日本球界のさらなる発展は決して望むことは出来ないだろう。筆者は一介の西武ファン、パ・リーグファンでしか過ぎないわけだが、日本球界の発展を心底願っている1人だと自認する。何も来年から何かを変えろと言っているわけではない。しかし今日から議論を始める決意ができないようでは、5年後10年後になっても何も今と変わってはいないだろう。変わっていないどころか、再び球界縮小案が出されている可能性さえ否定することは出来ない。

いま日本球界に必要なのは、社外(球団外)から有識者を招き入れ、球団運営の質を向上させることだ。今までと同じ考えで球団を持ち続けても、球団運営のエキスパートが日本で育成されることは決してないだろう。球団運営のエキスパートが出てこなければ、選手の能力が上がったとしても、球団・球界は衰退の一途を辿るばかりとなるはずだ。近年のポスティングに対する考え方は、まさにそれを助長していると筆者は感じ、日本球界の将来に大きな不安を抱く要因となっている。しかしそれは筆者を始め、決してファンが望んでいることではないということだけは、間違いなく言えることではないだろうか。

2011年12月08日 18:54

#6 エステバン・ヘルマン

#6 エステバン・ヘルマン - Esteban German

二塁手、三塁手、左翼手、右投右打
1978年1月26日生、175cm / 88kg
埼玉西武ライオンズは現在、エステバン・ハーマン選手(Esteban German)の獲得を目指しているようだ。テキサス・レンジャーズから11月4日にFAとなった野手で、メジャー40人枠には入っていない。ウィンターミーティングの結果次第ではライオンズへの加入が期待される選手だ。日刊埼玉西武ライオンズでは、いち早くハーマン選手のリサーチを進めてみたいと思う。

まず年齢は1978年1月26日ドミニカ生まれの現在33歳で、セカンドを本職とする右投右打の野手だ(サードも可)。体型だけを見ると下半身がどっしりしていて、いかにもホームランを打ちそうな選手なのだが、実際にはホームランバッターではない。左肘を上手く畳んでスウィングができる、内角をそれほど苦にはしないアベレージヒッタータイプだ。プレースタイルだけをみると、もしかしたら3割20本を打ち、中島裕之選手の穴を埋めてくれる助っ人になりうるかもしれない。

今季に関して言えば、メジャー出場はわずかに11試合11打席のみだった。しかし打率は.455という驚異的な高さで、終盤のみの出場だがレンジャーズのプレーオフ進出に貢献した。近年はほとんどをマイナーリーグであるラウンドロック・エクスプレスでプレーをしているハーマン選手だが、今季のマイナーでの成績は123試合の出場で打率.301、153安打、29二塁打、3三塁打、7本塁打、56打点、72四球、44盗塁という好成績を残している。

上記の数字だけを見ると、十分3番の資質があるようにも見える。しかし3番の役割は、4番・5番の前にチャンスを拡大するというところにあるわけだが、ハーマン選手の走者なしの状況での打率は.188だ。だが一方塁上に走者がいれば打率は.448まで跳ね上がり、得点圏打率も.308まで上がる。この傾向を見ると、ライオンズにおいては5番打者タイプなのかな、という印象を強く受ける。

ちなみにハーマン選手は現在、オフシーズンリーグ(ウィンターリーグ)でトロス・デル・エステの一員としてプレーをしている。現在までに18試合に出場し、.311という打率を残している。12月6日まで6試合連続ヒットを記録しており、最近10試合では8試合でヒット(12安打、9四球)を放っている。四球の数を見ても、アベレージヒッターだけあって選球眼は良さそうだ。これは外国人選手が日本で活躍するためには、重要な要素となる。

ライオンズには中村剛也選手という絶対的なホームランバッターがいるため、無理にホームランを打てる助っ人を探す必要がないことは、編成にとっては1つの利点となるかもしれない。ハーマン選手、そして秋季練習に参加したティフィー選手ともにホームランバッターではない。だが外国人選手特有のパワーを持ってすれば、日本では20本以上を打つだけの能力はあるのだろう。仮にハーマン選手、ティフィー選手がともにライオンズに加入し、中村剛也選手の後続として機能してくれれば、ライオンズ打線の破壊力はそれこそノーリミットとなるのではないだろうか。

外国人選手の補強が急務となっているライオンズではあるが、どうやら今年はそれほどの心配はいらなそうだ。あとは2012年1月1日付けで駐米渉外担当となるケビン・ホッジス氏が、遅くともトレード期限である7月31日までに有能な助っ人投手を連れてきてくれれば、日本一奪回へのピースはある程度は揃うこととなるだろう。

2011年12月08日 01:21

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