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ファイナルステージで求められる西武の戦い方

3日後、11月3日からいよいよクライマックスシリーズ・ファイナルステージが開幕する。ファイナルステージは6試合制の4先勝で日本シリーズに駒を進めることができる。だがリーグ優勝のホークスには1勝のアドバンテージが与えられるため、初戦はホークスの1勝という状況でスタートする。そのためライオンズは何が何でも初戦を落とすわけには行かない。もし初戦を落とすようなことがあれば、その時点でホークスの2勝という状況になってしまう。

ファイナルステージ、予想されるライオンズの先発は初戦帆足和幸投手、2戦目岸孝之投手、3戦目涌井秀章投手、4戦目が西口文也投手だ。これに対しホークスも和田・杉内・攝津3投手を中心にし、万全の先発陣をぶつけてくるのだろう。ファイターズ・ダルビッシュ投手との戦い同等に、タフな試合が予想される。

しかもホークスにはライオンズのすべてを知り尽くした細川亨捕手が在籍している。細川捕手の存在がライオンズ打線を苦しめることは、シーズン同様に予想されるところだ。新聞などのコメントを見る限りでは、ライオンズ打線の内角をどんどん突いてくる、というようなことを話しているようだ。しかし細川捕手は捕手だ。このコメントを鵜呑みにすることはできない。このようなコメントを残し、ライオンズ打線に必要以上に内角を意識させ、逆に外角で勝負してくる、なんていうことも考えられるからだ。とにかく敵の捕手が言う言葉は決して信じてはならない。

ダルビッシュ投手のように、強烈なツーシームを内角に投げ込んでくる投手がいれば別だが、ホークスのエース格である和田投手と杉内投手は共にサウスポーだ。クロスファイアーということを考えても、150km近いスピードで食い込んでくるダルビッシュ投手のツーシームよりは対処しやすいはずだ。とはいえ和田投手や杉内投手のボールの切れは並ではない。まさに球界を代表するサウスポー2人だ。例え2人の調子が悪かったとしても、一筋縄では行かない相手だ。

ライオンズ打線がこの2人のサウスポーを攻略するためには、ライオンズの代名詞である長打を捨てる勇気も必要だ。サウスポーのクロスファイアー気味のボールを右打者が引っ張っても、バットの先っぽで引っ掛けてしまうだけだ。短期決戦ではとにかくそれだけは避けたい。広い福岡ドームということを考えれば、やはり右打者はサウスポーの食い込んでくるボールは、ライト方向に逆らわずに返していくという意識がレギュラーシーズン以上に大事になってくるだろう。

右打者が反対方向に打っても、ライオンズの場合中島裕之選手中村剛也選手フェルナンデス選手はいずれもセンターからライト方面に長打を打てる能力を持っている。例えば単純に考えて栗山巧選手が出塁し、原拓也選手で送ることができれば、クリーンナップトリオのどこかで1点は取れる可能性が上がる。極端な話、ホームランは必要ないのだ。走者二塁で右中間に転がすことができれば、それで1点を奪うことができる。

ファーストステージの終盤に関して言えば大量点差となったが、それまでは2試合とも1点を争う厳しい試合展開が続いた。それを考えると、やはりファイナルステージもそうなる可能性が高いだろう。1点を取れるか取れないか。1点を取られるか防げるか。もちろん走者をためてホームランが出れば最高だが、しかし確率を考えればホームランが出るよりも、ヒットが出る確率の方がずっと高い。打たれたピッチャーからしても、ホームランならば一度リセットすることができるが、ヒットを繋がれると走者が還ってもまだピンチが続くため、精神的疲労が強まる。そしてその精神的疲労は、短期決戦であればなおさら大きくなる。

先発だけではなく、ブルペン陣の精神的疲労も引き出しておければ、2戦目以降が楽になるだろう。そういう意味でも初戦の戦い方が非常に重要になってくる。もしライオンズが初戦、ホークス投手陣の精神的疲労を誘って勝利することができれば、一気に2連勝できる勝算も出てくる。ファーストステージは2先勝だったため、とにかく勝つことが求められた。しかしファイナルステージは4先勝であるため、最大6試合を戦うことになる。つまり目の前の試合をただ勝てばいいということではなくなり、次の試合に繋がる勝ち方をしなければならない。

例えば延長12回まで戦って勝ったとしても、これでは勝った方にも大きな疲労が残ってしまう。それではホークスのホームアドバンテージを上回ることは出来ない。ライオンズがファイナルステージを勝ち抜くためには、初戦でホークスのブルペン陣をフル稼働させ、逆にライオンズは先発を含めて投手は多くても3人程度で済むような勝ち方が求められる。初戦、このような内容で勝利することができれば、ファイナルステージでもライオンズは一気に日本シリーズへの進出を決めることができるだろう。

2011年10月31日 21:51

2011/10/30 北海道日本ハムvs埼玉西武CS1st. 2回戦

3:15
ライオンズ 13
ファイターズ
北海道日本ハムファイターズvs埼玉西武ライオンズ
クライマックスシリーズ・ファーストステージ2回戦
14:00開始 札幌ドーム(観衆:)
埼玉西武ライオンズ 2勝0敗 ファイナルステージ進出決定!

継投:○西口文也~H石井一久牧田和久
勝利投手:西口文也 1勝 1.29

ホームラン:中村剛也(1号3ラン)
【ゲームレビュー】
勝てばクライマックスシリーズ・ファイナルステージへの進出が決まる今日の一戦、先発マウンドに登ったのは今季ライオンズの勝ち頭、西口文也投手だった。結果から言えば7回を投げ抜きソロホームランの1失点のみという、期待以上の本当に素晴しいピッチング内容だった。初回に関しては2シーズン振りという札幌ドームのマウンドの感触を確かめるような投球だったが、2回以降は完全に自らのペースで投げていた。ストレートとスライダーを軸にし、左打者にはチェンジアップ、右打者にはフォークボールを投げ分けるレギュラーシーズン通りのピッチング内容だった。特別な試合であっても特別なことはせず、いつも通りに投げる。これが大ベテランの真骨頂だろうか。

しかし最後のイニングとなった8回、ついに西口投手はファイターズ打線に捕まってしまう。先頭の田中選手に二塁打を打たれると、続く陽選手には送りバントを内野安打にされてしまった。この送りバントの処理が、渡辺久信監督に投手交代を決断させた。陽選手のバントは三塁線に転がるなかなか良いバントだった。このバントに対し星捕手が西口投手に送った指示は三塁への送球。しかし西口投手は三塁への送球を試みようとするも断念し、その後で一塁に送るも俊足陽選手は一塁を駆け抜けてセーフとなってしまった。

これがもし、西口投手にまだスタミナが十分残っている段階であれば、打球に対しもっと激しいチャージをかけ、迷わず三塁に送っていただろう。しかしそれができず、一塁への送球もベストな動きで投げることができなかった。この姿を見て渡辺監督も、西口投手のスタミナ切れと精神的な疲れを確信したのだろう。

だが39歳西口投手のあとを継いだ38歳石井一久投手が素晴しいリリーフを魅せてくれた!1-2と1点リードした状況での無死三塁一塁という絶体絶命のピンチ。まず巧打者3番糸井選手を三振に切り取り、4番小谷野選手をサードゴロ。そしてヤクルト時代の同僚5番稲葉選手をレフトフライに仕留めた。このパーフェクトリリーフにしびれなかった西武ファンは果たして何人いただろうか?まさに言葉の通り、パーフェクトなリリーフ、パーフェクトな火消しとなった!

さて、このシリーズで元気なのがフェルナンデス選手浅村栄斗選手だ。2人は今日もヒットを放っている。シーズン終了間際の好調をそのまま維持し、さらに上げてきているようにも見える。浅村選手に関しては今日2つの盗塁も決めているわけだが、走力もある良い選手だ。だが今季の盗塁数はわずかに7個。6~7番を打つことを考えれば、もう少し多くても良いのかなとも思われるが、しかし浅村選手の盗塁を見ていると、明らかな弱点があることが分かる。

ライオンズの盗塁王と言えば今や片岡易之選手であるわけだが、片岡選手の場合まずスタートからトップスピードに入るまでの時間が非常に短い。走り出したらすぐにトップスピードに入るような感じだ。そして浅村選手に関しても、トップに入るまでのスピードは決して遅くはない。まだ片岡選手ほどではないものの、トップに入るまでのスピードは早い選手だ。

だが片岡選手と浅村選手にはこの後の動きに大きな違いがある。片岡選手の場合、トップスピードのまま二塁へのスライディングに入ることができるのだが、浅村選手の場合はスライディングに入る直前、明らかにランスピードが落ちてしまうのだ。これにより盗塁失敗の確率が高まり、ベンチとしても浅村選手に対し簡単に盗塁のサインを出すことができない。それが137試合で盗塁企画数がわずか9(成功7、失敗2)で終わってしまった要因だろう。一方の片岡選手は今季故障によりわずか86試合の出場に終わったわけだが、盗塁企画数は32回(成功22、失敗10)と非常に多かった。

浅村選手の打撃に関しては、来季以降も間違いなく大きく成長していくだろう。将来上位打線を打つ日もそう遠くはないはずだ。それに加え盗塁する際のスライディング直前の失速を、片岡選手の技術を盗むことにより克服することができれば、浅村選手は盗塁王争いにも加われるだけの可能性も秘めている。二遊間の守備(専門はショート)には安定感があるため、これで打撃の向上、走力の向上を図れれば、まさに三拍子揃った素晴しい選手になるはずだ。浅村選手はとにかく来季以降も非常に楽しみな若獅子だ!

話を今シリーズに戻すと、今日は昨日ノーヒットだった栗山巧選手が3安打猛打賞、中村剛也選手が3ランホームランを含む2安打とこの2人にヒットが出たのも非常に良かった。これでライオンズはこの2試合、上位から下位まで満遍なくヒットが出たことになる。これもファイナルステージに向けての好材料となるだろう。あとはまだ勝負どころでのバントに硬さが感じられるバントの名手、原拓也選手がいつもの姿に戻れれば、挑戦者として挑むホークスとのファイナルステージに向け、まさに準備万端の状態となるだろう。

今季、7月から2ヶ月以上最下位に沈んだ埼玉西武ライオンズ。それを予想した人がいなければ、まさか最下位からCSファイナルステージに進むと確信していた人も決して多くはないはずだ。だが選手たちは決して諦めることなく、勝利への執念を最後まで見せ続けてくれた。リーグ優勝からは遠ざかってしまったものの、本当に素晴しい戦い振りだったのではないだろうか。だが本当の戦いはまだまだ先にある。最下位からの、史上最大の下克上を成し遂げるためには、11月3日から始まるファイナルステージでホークスを倒さなければならない。今季は5勝15敗4分と苦しんだ相手ではあるが、レギュラーシーズンで苦しんだ分、ファイナルステージではその借りを返し、雪辱を果たして欲しい!i believe lions!!

西口文也投手

2011年10月30日 17:30

2011/10/29 北海道日本ハムvs埼玉西武CS1st. 1回戦

10 11
ライオンズ
ファイターズ
北海道日本ハムファイターズvs埼玉西武ライオンズ
クライマックスシリーズ・ファーストステージ1回戦
14:01開始 札幌ドーム(観衆:42,063人)
埼玉西武ライオンズ 1勝

継投:涌井秀章グラマン岡本篤志ミンチェ牧田和久
勝利投手:牧田和久 1勝 0.00
【ゲームレビュー】
クライマックスシリーズ1回戦、この負けられない一戦の先発マウンドに登ったのはエース涌井秀章投手だった。涌井投手自身の状態は良かったと思う。だが初回、バッターを完全に詰まらせながらもよもやの3連打を浴びてしまい、いきなりの2失点を喫してしまった。だが2回以降は完全に立ち直りを見せる。筆者が涌井投手を見る時どこを見るかと言うと、まずはスライダーを見る。スライダーが縦に曲がっている時は、涌井投手は状態が良い場合が多い。しかしそのスライダーが横に滑っている時は肘が下がっていることが多く、ストレートに力感がなくなるのだ。

2回以降の涌井投手はそのスライダーが縦に曲がっていた。これは筆者の中では、涌井投手の状態が良いと見る1つのバロメーターとなる。そして状態の良さは本物で、2~4回まではわずか1安打に抑える好投を見せてくれた。だが5回になるとそのスライダーが少しずつ横に滑るようになり、肘も少し下がるようになって来た。やはりCSという大舞台、疲労度は並大抵ではないのだろう。6回に入るとさらにボールに力が感じられなくなる。先頭の糸井選手にクリーンヒットを打たれると、続く小谷野選手には外角低めのボールをフェンスへ直撃されてしまった。涌井投手はここでマウンドをグラマン投手に譲ることになってしまう。

確かに初回に2点を失ってしまったのは涌井投手の責任ではあるが、しかしダルビッシュ投手に対し手も足も出ない5回までの攻撃、もうこれ以上の失点は許されない状況でのピッチングは、1球ごとに大量のスタミナを奪っていったはずだ。エースとしては何とか堪え、少なくともダルビッシュ投手よりも長くマウンドに立っていて欲しかったが、しかし渡辺久信監督の決断は早かった。6回に2連打を浴びると、迷うことなくピッチャー交代を告げた。

さて、決断が早いと言えば5回表の代打策にも驚かされた。ダルビッシュ投手から2本のヒットを放ち、二死三塁一塁というチャンスを作った。ここで打席に迎えるのは銀仁朗捕手のはずだったが、渡辺監督は坂田遼選手を代打に送った。結果的にはど真ん中のカーブを見逃しての三振となってしまったが、しかしこの代打策、そして継投策はライオンズに流れを引き寄せるには十分な効果があった。

7回表の先頭、キャプテン中島裕之選手が右中間を破る二塁打で出塁する。4番中村剛也選手はファールフライに倒れるも、続くフェルナンデス選手が外角一辺倒になりつつあったダルビッシュ投手の外角球を上手く捕らえ、ライトへとタイムリーヒットを放つ!これで点差は1点に縮まる。まさに渡辺監督の勝利への執念がナインにも乗り移ったような反撃だった。

そして2-1と1点ビハインドで迎えた9回表も、中島選手が執念で四球を勝ち取り、フェルナンデス選手が執念で3本目のヒットを放ち、そして浅村栄斗選手が執念でライトへタイムリーヒットを放った!9回土壇場での同点劇、いよいよライオンズナインの勝利への執念が際立って見られるようになって来た。ここまでくればもはや技術論など必要はない。技術のある選手たちのみがこの場に立っているのだ。あとはまさに、どちらのチームがより強い勝利への執念を持っているかどうかだ。

そしてその答えを教えてくれたのがフェルナンデス選手だった。11回表、阿部真宏選手が四球で歩き、中島選手がライト線へのヒットで無死二塁三塁。ここでファイターズは中村選手を敬遠で歩かせ、満塁でフェルナンデス選手との勝負を選んだ。だが目の前の敬遠にフェルナンデス選手が燃えないはずがない!まさに執念で放った勝ち越し2点タイムリーヒット!ファイターズの送球エラーの間に二塁にまで達したのだが、二塁に到達するや否や、フェルナンデス選手はライオンズベンチに向かって派手なガッツポーズを見せた。ムードは俄然お祭り騒ぎだ!

最終回、11回裏のマウンドに登ったのは2イニング目となる守護神牧田和久投手だった。1年前までは都市対抗野球などで一発勝負のマウンドを豊富に経験してきた熟練ルーキー。まさに小気味良いピッチングで打者をどんどん攻めていく。27歳になるとは言え、とてもルーキーとは思えないマウンド捌きだ。本当に安心して最終回のマウンドを任せることが出来る。名実共に今季のプロ野球を代表する守護神と呼んでも過言ではないだろう。

さぁ、この勢いをそのまま明日の試合にも繋げていきたい!そして明日は西口文也投手の好投で、一気にセカンドステージへの進出を決めてもらう!!

2011年10月29日 17:57

#21 十亀剣

#21 十亀剣 - Ken Togame

投手、右投右打
2011年ドラフト1位
愛工大名電~日本大学~JR東日本~埼玉西武ライオンズ
愛知県豊田市出身、1987年11月7日生、183cm / 80kg

十亀剣投手の高いストライク率が意味しているもの
(2012年03月12日) 十亀剣投手、巨人の強力打線を無安打に抑える(2012年03月05日)
十亀剣投手は2011年10月27日のプロ野球ドラフト会議にて、埼玉西武ライオンズから単独1位指名を受けた。正式なライオンズ入団は今後の交渉次第ということにはなるが、事実上ライオンズへの入団が決まった。

十亀投手は2005年、愛工大名電高校が春の選抜甲子園で優勝した時の二番手投手で、初戦敗退した夏の甲子園と合わせると二度甲子園の土を踏んでいる。ちなみにサイドハンドスローに転向したのは、名電野球部への入部後だったとのことだ。高校卒業後は日本大学へと進学したが、それほど目立った活躍はできなかった。

日本大学を卒業するとJR東日本に入社し、入部1年目から公式戦で登板するようになる。サイドスローから140kmを越える切れのあるストレートを投げるものの、課題は制球力だと言われ続けている。確かに筆者が何度か見た限りでは、低目への制球が課題なのかな、という印象を受けた。だがこれは高めに行ってしまっていたのか、それとも意識して高めに投げていたのかまでは分からない。それでもサイドから投げられるストレートで空振りが取れるというのは大きな魅力だろう。

ライオンズはブルペン陣が手薄なわけだが、十亀投手は間違いなく1年目から1軍のブルペンに待機するようになるだろう。その理由はクリックの上手さにある。走者がいる場面で登板することの多いリリーバーにとって、クリックの良し悪しは生命線ともなるうる。今季ルーキーの牧田和久投手が成功した要因の1つにも、クイックの上手さが挙げられる。クイックが上手ければ簡単に盗塁を許すことがなくなるため、ピンチを最小限にとどめることができる。これはリリーバーとしては大きな武器となるだろう。

牧田投手は恐らく来季は先発に戻るものと思われる。そうすればライオンズのブルペン陣はさらに手薄になってしまう。そこにクイックが上手く、ストレートにも力のある変則投法の投手が加われば、間違いなく大きな戦力になるだろう。

十亀投手は先述した通りサイドハンドスローであるわけだが、ストレートはバックスピンに近い回転をしているように見える。細かく撮影し確認したわけではないので正確なことは言えないのだが、少なくとも筆者はそのような印象を十亀投手のストレートには感じた。もし本当にバックスピンがかかっているのならば、十亀投手のストレートが高めに伸びていくことにも十分合点がいく。

持ち球はスライダー、カーブ、シンカーだと言われているが、いわゆる緩急を上手く付けられるピッチャーではまだないようだ。プロの1軍で継続的に活躍するためには、遅いボールの習得は避けては通れない。ただ肩肘には柔らかさを感じるため、教えられるコーチがいればすぐに習得できそうな予感はする。そして個人的な希望としてはやはり、いつか誰かには潮崎哲也投手のシンカーを受け継いでもらいたいと願っている。それが十亀投手になるとすれば、まさにドラフト1位に値するだけのリリーバーへと進化していくことができるだろう。

ちなみに十亀投手の趣味は一人旅と水行とのことだ。筆者は詳しくはないのだが、水行とは滝に打たれることなのだろうか?もしそうならば、リリーバーとしてのタフな精神力もすでに持ち合わせているのかもしれない。ライオンズは今年もまた素晴しいドラフト指名を行なったと筆者は実感している。そして早く1軍のマウンドで十亀投手のピッチングを見てみたい!

2011年10月27日 17:17

埼玉西武ライオンズ2012年度・契約更改情報

全選手契約更改完了
2012年1月10日現在 国内FA保有、海外FA保有
 投手 Pitcher
選手名 2010年推定年俸 2011年推定年俸 2012年推定年俸
11 岸孝之 1億2,000万円 1億2,000万円 1億1,000万円
12 岩尾利弘 1,200万円 1,200万円 1,000万円
13 西口文也 1億2,000万円 6,000万円 1億円
14 江草仁貴 阪神 4,000万円 3,000万円
15 大石達也 早稲田大 1,500万円 1,500万円
16 石井一久 1億9,000万円 1億9,000万円 1億7,000万円
17 菊池雄星 1,500万円 1,500万円 2,000万円
18 涌井秀章 2億2,000万円 2億5,300万円 2億1,000万円
19 平野将光 1,300万円 1,600万円 1,400万円
20 野上亮磨 1,500万円 1,600万円 1,300万円
22 岡本篤志 650万円 1,500万円 59→22 / 2,900万円
23 ミンチェ 2,000万円 2,200万円 FA宣言→オリックス
24 松永浩典 1,200万円 24→38 / 1,000万円 1,200万円
25 岩崎哲也 2,000万円 1,500万円 戦力外
26 星野智樹 5,450万円 5,000万円 4,000万円
28 藤原良平 1,000万円 900万円 950万円
29 山崎敏 1,200万円 900万円 戦力外
30 岡本洋介 1,000万円 1,000万円 900万円
34 長田秀一郎 1,200万円 2,800万円 2,400万円
35 牧田和久 日本通運 1,300万円 3,400万円
35 松下建太 1,000万円 35→57/1,000万円 750万円
37 坂元弥太郎 横浜 2,400万円 2,300万円
40 山本淳 800万円 900万円 700万円
41 木村文紀 800万円 700万円 900万円
45 藤田太陽 1,500万円 2,900万円 2,600万円
46 中崎雄太 800万円 800万円 21→46 / 700万円
47 帆足和幸 8,600万円 1億1,000万円+出来高 FA宣言→ソフトバンク
48 武隈祥太 600万円 700万円 700万円
50 シコースキー 6,400万円 9,000万円 自由契約
54 グラマン 1億5,000万円 5,000万円 自由契約
62 朱大衛 600万円 600万円 戦力外
66 田中靖洋 550万円 600万円 550万円
68 宮田和希 500万円 500万円 500万円
69 前川恭兵 阪南大高 600万円 600万円
 野手 Fielder
選手名 2010年推定年俸 2011年推定年俸
0 大崎雄太朗 1,400万円 1,200万円 1,500万円
00 林崎遼 東洋大 1,000万円 1,000万円
1 栗山巧 7,100万円 1億3,500万円 2億円
2 銀仁朗 2,500万円 2,000万円 3,200万円
3 中島裕之 2億5,000万円 2億8,000万円 2億8,000万円
4 美沢将 1,200万円 1,200万円 1,000万円
5 原拓也 1,400万円 2,000万円 43→5 / 3,000万円
5 石井義人 5,500万円 5,500万円 戦力外→巨人
6 後藤武敏 2,550万円 2,000万円 横浜へトレード
7 片岡易之 1億1,000万円 1億7,000万円 1億3,000万円
8 平尾博嗣 3,400万円 4,000万円 3,800万円
9 阿部真宏 3,300万円 3,700万円 3,300万円
10 佐藤友亮 3,500万円 3,700万円 3,300万円
22 野田浩輔 1,000万円 1,000万円 編成部アマ担当
24 Rマルハーン 1,500万円 自由契約
25 星孝典 巨人 820万円 61→25 / 1,400万円
31 坂田遼 1,000万円 1,400万円 1,600万円
32 浅村栄斗 600万円 750万円 2,400万円
33 星秀和 560万円 650万円 600万円
36 米野智人 ヤクルト1,700万円 1,600万円 1,300万円
39 岳野竜也 800万円 700万円 650万円
42 ブラウン 4,600万円 6,000万円 自由契約
44 高山久 800万円 2,600万円 2,200万円
46 G.G.佐藤 1億円500万円 6,300万円 戦力外
49 上本達之 1,200万円 2,000万円 1,800万円
51 大島裕行 1,000万円 1,400万円 1,250万円
52 フェルナンデス 3,000万円 6,000万円 楽天
53 石川貢 600万円 600万円 600万円
55 秋山翔吾 八戸大 1,200万円 1,800万円
56 鬼崎裕司 東京ヤクルト 1,400万円 1,400万円
58 熊代聖人 王子製紙 800万円 1,100万円
60 中村剛也 1億5,000万円 1億2,500万円 2億5,000万円
63 荒川雄太 ソフトバンク 600万円 600万円
64 中田祥多 600万円 600万円 戦力外→育成600万円
65 斉藤彰吾 600万円 650万円 750万円
67 梅田尚通 600万円 600万円 600万円
 新加入 New Face
選手名 2011年所属 2012年推定年俸
21 十亀剣(投) JR東日本/D1
29 小石博孝(投) NTT東日本/D2
62 駒月仁人(外) 塔南高/D3
59 永江恭平(内) 海星高/D4
61 田代将太郎(外) 八戸大/D5
122 藤沢亨明(捕) 松本大/育成D
52 武山真吾(捕) 横浜2,000万円 1,900万円
43 桟原将司(投) 阪神600万円 700万円
54 ウィリアムス(投) ボストン 7,000万円
50 ゴンザレス(投) デトロイト
6 ヘルマン(内) テキサス 7,800万円
2 カーター(外) アトランタ 8,000万円
23 マイケル中村 読売 4,000万円

2011年10月27日 16:46

ドラフト前夜、昨年1位大石達也投手の2011年

今年のプロ野球ドラフト会議を翌日に控え、昨年ドラフト1位としてライオンズに入団してきた大石達也投手の1年目を振り返ってみたいと思う。まずちょうど一年前、ドラフト会議で6球団から1位指名を受け、渡辺久信監督が交渉権引き当てた。すると渡辺監督はその場で大石投手を先発投手として期待しているというコメントを発した。多くのファンがこの言葉に疑問をいただいたようだが、大石投手の先発転向には筆者は最初から賛成意見を持っていた。

詳細の程は計りかねるが、一連の渡辺監督や大石投手のコメント、その他関連の新聞インタビュー記事などを読んでいると、恐らくドラフト指名以前から「先発投手として獲得」する旨を、西武球団は大石投手に伝えていたのだろう。そして当の大石投手自身も、大学時代から先発転向への希望を持っていた。

大学時代はクローサーとして起用され続けた大石投手ではあるが、本人としては先発に挑戦したい思いも強かったようだ。だが現ファイターズの斉藤投手、カープの福井投手が同期に在籍していたため、なかなか先発としての枠に食い込むことは出来なかった。さらには早大・応武監督も、大石投手のことは遊撃手として育成したがっていた。そういう経緯もあり、大学時代は先発に挑戦することは出来なかった。

その大石投手はライオンズ入団後、すぐに先発転向に取り組むことになる。だがこのコンバートは思いの外苦労したようで、まずスタミナ不足を露呈し、徐々に投球フォームをも見失って行った。さらには肩痛にも見舞われ、シーズン序盤はピッチングすらできない状況になってしまった。だがこの回り道は、決してマイナスではなかったと筆者は確信している。

大石投手の投げ方は、大学時代から疲労が出ると上体の力に頼って投げるものだった。上体の力に頼るということは、スタミナの消耗をさらに激しくさせる。先発をしても50球も投げれば球威は落ちて来てしまう。するとその球威を補おうと力むようになり、球威が増すどころか棒球になり、さらには制球も定まらなくなる。大石投手の場合は体に疲れが残っている時に、上体に頼り過ぎて投げていたため大学時代から肩に不安を抱えていたが、ライオンズに入り本格的に先発に転向したことで、その不安が一気に吹き出てしまったのだ。

しかしごまかしながらプロ1年目を乗り切るよりは、最初に不安をすべて出し切り、1~2年かけてその問題を克服していった方が、プロ選手としての息は間違いなく長くなるはずだ。つまり大石投手の場合、先発投手として必要不可欠な、下半身を使って投げるという投球モーションを習得するためにも、肩痛による遠回りは決してマイナス要因ではなかったと言える。

肩痛が残っていた時期は、当然下半身強化のメニューが中心になる。ランメニューはもちろんのこと、ウェイトトレーニングも然りだ。すると若い大石投手は、まさに日に日に下半身を強化していくことができた。肩痛が癒えた直後は5回も持たずに球威が落ちていた大石投手だが、9月28日の今季ファーム最終登板では、マックス142km前後ながらもほとんど球威を落とすことなく9回を投げ切るスタミナを得ていた。

この1年でプロレベルでの基礎体力はずいぶん補強されたのだろう。長距離を走るのが決して得意ではない大石投手が、とにかく投手は走るライオンズというチームに入団してきたのも、良き縁ではなかっただろうか。

投球フォームを大学時代と今季終盤で見比べると、ダイナミックさという意味では確かに大人しくはなっている。しかし投球フォームの安定感はかなり増していると言えるだろう。もちろんそれは下半身強化の好影響によるものだ。下半身を強化したことで、下半身を使ってボールを投げられるようになってきて、制球だけではなく球威も安定するようになって来た。今季序盤は130km台だったストレートも、終盤には全力投球することも力むこともなくコンスタントに140km台を計測できるようになっている。大学時代の150kmという数字を知るファンにとっては物足りない数字かもしれないが、しかしプロレベルの投手としては着実にステップアップしていると断言していいだろう。

渡辺監督は当初、大石投手の下半身の使い方そのものは高く評価していた。だがスタミナ面に不安があることも同時に指摘していた。1年目はとにかくその不安面を克服するための1年間だった。プロとしての基礎体力が向上し、恐らく今オフから春季キャンプにかけてはさらに追い込んで来るはずだ。筆者個人としては、2012年の中盤あたりから先発に食い込んで来れればと思っていたが、順調に行けば来季開幕ローテーション争いに食い込んでくる可能性もある。

大石投手の最大の魅力は何と言ってもストレートだ。大学時代から調子が良い時は本当に素晴しいバックスピンストレートを投げる。ストレートの切れは球速では決して測れない。例え140km台であっても、切れのあるストレートを安定して投げることができれば、何も急いで150kmを投げる必要はないのだ。今大石投手に求められているのは、最終戦では142kmだったストレートのアベレージを、今後数年かけて少しずつ上げていくことだ。それはつまり、初回でも9イニング目でも涌井秀章投手のように、いつでもその日のマックスを投げられるだけのスタミナを体得する必要があるということだ。

何も焦る必要はない。例え来季中にローテーションに加わることができたとしても、1軍で9回を投げ切ることは容易ではない。なぜならプロの1軍は、大学時代の4番打者が8番を打ったり控えに回っているような高いレベルなのだ。クローサーからスターターにコンバートしてまだ1年目。2年目の来季は先発として、6回までなら安心して任せられるレベルにステップアップできれば十分だろう。そしてそれができれば7イニング、8イニングと少しずつ伸ばしていけばいい。そして2~3年後には完投勝利を前提としてマウンドに送られる、そんなスケールの大きな先発投手へと成長していて欲しい!

【2011年・大石達也投手ファーム成績】
15試合6勝4敗、60回、防御率2.25

2011年10月26日 17:20

中村剛也選手が統一球でも本塁打を量産できた理由

中村剛也選手が統一球でもホームランを量産できた理由

ポイントは心技体の3つ
1.打ち取られることを恐れない心
2.ホームランを打つための高い技術
3.おかわりすることで手に入れた強い体

【1.打ち取られることを恐れない心】
バッターというのは、空振りをしたり詰まったりするのをとても嫌がる。しかし中村剛也選手にはそれが感じられない。並のバッターであればタイミングを外された際、空振りしそうになるとバットをボールに合わせに行ってしまう。そうすると引っ掛けた内野ゴロやポップフライにしかならない。これが2ストライクと追い込まれた状況なら仕方ない。なぜなら2ストライクで空振りをすれば、その時点でアウトになってしまうからだ。しかし追い込まれるまではこのような合わせ方はしない方がいい。

ノーストライクや1ストライクという状況であれば、あと1回空振りをしてもまだ2ストライクで、チャンスはまだ残っている。だからここでムリに合わせて打ちに行くのではなく、追い込まれるまでは勇気を持って空振りをすることも必要だ。中村選手はそれができる選手なのだ。

ピッチャーは、思ったところに投げられるボールはせいぜい10球中3~4球で、絶好調の時でもせいぜい5~6球。ということは、ノーストライクや1ストライクから良いボールが来た場合、次のボールも最高のボールである可能性はその時点で下がる。ノーストライクや1ストライクから振りに行ったもののタイミングを外されてしまった時は、そこで勇気を持って空振りをすることで、次のボールにチャンスが生まれるということになるのだ。
これは巧打者が2ストライクと追い込まれてからファールで粘り、甘いボールを待つのと同じ理屈となる。

空振りと同じくらいバッターが嫌なのは、どん詰まること。バットの芯を外して詰まってしまえば、打球は飛ばないし、手は痛いし、バットも折れるし、良いことは1つもない。それが分かっているからバッターは、バットを振りに行って「詰まる」と分かると、そこで心が折れてしまうことがあるのだ。つまりヒットを打つことを諦めてしまう。しかし中村選手はそこで諦めることなく、詰まりそうになってもバットをしっかりと振り抜いていく。これをされるとピッチャーは非常に嫌な思いになる。

詰まりそうになった時の対処としては、右打者の場合は左肘を抜いて、レフト側にファールを打つこと。巧打者はこの対処をする技術を持っていることが多いのだが、中村選手の場合はそれだけではなく、「詰まるのなんのその!」という強い気持ちでバットを振り抜いていくのだ。

中村選手は、調子が良い時は詰まった時にファールになることが少ない。逆に調子が落ちている時はこのレフト側へのファールが増えてくる。調子が良い時は詰まることをまったく恐れていないため、厳しい内角球が来ても、それをしっかりとバレル(バットの一番太い部分)で捕らえることができ、その打球をヒットゾーンに落とすことができる。内角の速いボールをレフト線にヒットを打てる時は、中村選手の調子は良いと判断することができるだろう。

野球というスポーツで勝つためには、とにかく相手の嫌がることをしなければいけない。つまりバッターからすれば、ピッチャーが嫌がることをしなければいけない。

そのためにはまず空振りや詰まることを恐れない、迷いのないスウィングをすることだ。これをされるとピッチャーは、どこに投げても打たれるような気になってしまう。ピッチャーはそういう気持ちになってしまうと、厳しいコースを狙っていても、なぜか甘いコースにボールを投げてしまう。中村選手は、その甘いボールを呼び込む技術と、それを一発で仕留められる集中力を持っている。


【2.投球にタイミングを合わせる高い技術】
バッターの仕事はピッチャーが投げたボールにタイミングを合わせることであり、ピッチャーの仕事はバッターのタイミングをずらすこと。中村選手は、このタイミングを合わせるのがとても上手い。

ヒットを打てるバッターというのは、自分のタイミングではなく、ピッチャーのタイミングで打席に立つことができる。ピッチャーのタイミングで打席に立つことができれば、その分ピッチャーにタイミングを外される可能性も低くなる。

ピッチャーのタイミングで打席に立つということは、言い方を変えれば、バッターのタイミングでピッチャーはボールを投げるということになり、これはピッチャーにとっては最悪の状況。「打ってください」と言いながら投げるようなものなのだ。中村選手はこの技術を持っている、球界でも数少ないバッターだと言える。

統一球は飛ばないと言われているが、それでも中日の落合監督が三冠王を獲った85~86年のボールと比べると、まだまだ飛ぶボールであると言える。

落合博満選手
85年 .367 52本 146打点
86年 .360 50本 116打点

今季はホームランも3割バッターも減ったと言われるが、実はそうではない。減ったのは、飛ぶボールの恩恵を受けたホームランやヒットだけ。中村選手のように、昨年までもしっかりとスウィートスポットで打っていたバッターのホームランは決して減ってはいない。

昨季までは、あえて打球を詰まらせて、そこから押し込んでいくという打法が流行っていた。ライオンズの中島裕之選手G.G.佐藤選手、ドラゴンズの和田一浩選手の打ち方がそれに当たる。しかしこれは昨季までの高反発球だったからこそ可能だった打ち方だ。つまり2011年の春季キャンプから打球をわざと詰まらせて力で運んでいく練習を繰り返していたG.G.佐藤選手が、今季まったく成績を残せなかったということは、ある程度は予測できていたことだったのだ。

昨季までのボールの場合、バットのスウィートスポットはボール3つ分あったと言われている。スポットの真ん中と、その左右にボール1個分ずつ。しかし今季から導入された低反発球の場合、これがスポットの真ん中と、その左右にボール半個分ずつしかない。つまり体感としてスウィートスポットが、ボール1個分狭くなっているのだ。

そのため、昨季まで打球を詰まらせて押し込むような打ち方をしていた選手は、今季は軒並み苦しんでいる。中島選手も前半戦は苦しんだし、G.G.佐藤選手は一度も1軍には上がって来れず、昨季は.339、37本打った和田選手は今季を、打率.232、 12本塁打で終えている。

これは低反発球になったことで、ボール1個分スウィートスポットが狭くなり、今までは力で押し込めていた打球が、今季は押し込めなくなったためだ。つまり昨季までは、ホームランになるべきではない打球がホームランになってしまっていた、と言うことができる。

分かりやすく言えば、アマチュア時代に金属バットで打っていた選手が、プロに入って木製バットに持ち替えたことで、まったく打てなくなってしまったのと同じ状態だ。恐らく今季のような極端な投高打低の状況は、長くても2~3年で終わるだろう。打者もアマチュア時代は誰もがトップレベルの選手だった。当然統一球にもすぐに対応してくるはずだ。

中村選手が低反発球でもホームランを量産できているのは、昨季までも高反発球に慣れ親しむことなく、基本に忠実に、バレルでしっかりとボールを捕らえることを続けていたためだ。それをしていたバッターは、栗山巧選手、糸井選手、内川選手、長野選手のように、低反発球でも例年の実力通り3割という打率を残せている。

逆に昨年ホームラン王を獲得したT-岡田選手が打てなくなったのは、昨季まで高反発球に頼った打ち方をしていたためだ。T-岡田選手もパワーがあるため、バレル“付近”で打てれば、あとは力でスタンドまで持っていくことができた。しかし今季から導入された低反発球ではそれができない。芯を外しても力で持っていけていた打球が、ことごとくグシャっと詰まってしまうのだ。

中村選手は、低反発球対策は何もしていないはずだ。基本に忠実に打っているだけで、何も特別なことはしていない。

さて、通説では木製バットよりも金属バットの方がボールは飛ぶと言われているが、実はこれは誤った認識だ。木製バットの性質を理解し、その性質を活かして打てば、金属バットよりも木製バットの方が飛距離は伸びる。つまりそれは、バットの“しなり”を使うということだ。中村選手は、このしなりを上手く使える数少ない選手でもある。バットをしならせるためには、本当に上手くバットを使わなければならない。<言い方を換えれば中村選手のバットの使い方は、さながら「高反発バット」とも言える使い方なのだ。

まずバットをしならせるためには、バットを正しく使う必要がある。木目が最も狭い部位で打たなければならない。木目の平面で打っても、バットはしならない。ピッチャーが投げるボールに対しタイミングがずれるほど、木目が狭い面を打点にできる確率が下がる。先述した通り、中村選手はタイミングを合わせるのが非常に上手いため、木目が狭い面を打点として使える確率が高いのだ。

そしてフルスウィングをしてしまってもバットのしなりは利用できない。フルスウィングをしてしまうと、それだけでバットの軌道にブレが生じてしまう。外国人選手のように日本人にはない桁外れのパワーがあれば別だが、日本人選手でフルスウィングをしてもヒットやホームランを量産できる選手はほとんどいない。

フルスウィングをしてしまうと例えバットがしなっても、そのしなりが戻る前にバットが前に出てしまうため(スウィングが進んでしまうため)、しなりの利点を活かすことができない。しかし中村選手のように、8割前後の力でバットを振れば、バットがしなった反発力を活かせる“時間”が生まれるのだ。

2008年に打った46本と、2009年に打った48本はこの点が違っていた。 2008年はデーブ大久保コーチのアドバイスで、ポイントを前に持っていくことでホームランを打っていた。しかし2009年は、前に出したポイントをほんの少しだけ後ろに戻した。それにより、バットがしなる時間を上手く作り出したのだ。もし2009年も、2008年のように6番を打っていれば、50本は軽く越えていたと筆者は確信している。

ここまでの話をまとめると、中村選手はボールの種類に頼った打ち方をしてこなかった。ボールが飛ぼうが飛ぶまいが、基本に忠実に、タイミングを合わせてスウィートスポットで打つということを続けて来たため、低反発球になっても打撃内容が変わることがまったくなかったというわけなのだ。

【3.おかわりすることで手に入れた強い体】
心技体の最後は体。中村選手は座右の銘が「おかわり」だけあって、ご飯をたくさん食べる選手だ。やはりご飯をたくさん食べる選手は強くなれる。

近年はサプリメントをしっかり摂れば良いという考え方をする選手もいるが、それは大きな間違いだ。プロ野球選手(アスリート)は、普通の仕事をしている人と比べるとはるかに体を酷使する。その分ご飯もしっかり食べなければならず、それでも足りない分をサプリメントで補うというのが正しい考え方だ。その点中村選手は、しっかりとご飯を食べる。これは本当に素晴しいことだと思う。

ファイターズのダルビッシュ投手も「一番辛いトレーニングは食べること」というくらい、たくさん食べることは意外と難しい。それができるというのは、まさに中村選手の天性であり、毎日おいしいご飯を作ってくれる愛妻の支えあってこそのことだろう。そして愛妻へのその感謝の気持ちが強いからこそ、結婚してから毎年9月10日の夫人の誕生日にホームランを打っている。今年で4年連続。これは4年連続でホームラン王を獲得することよりも難しいことではないだろうか。

もしこの記事をお読みいただいている方に野球をしている息子さん、娘さんがいるなら、ご飯をたくさん食べられる選手にしてあげてください。おかずではなく、ご飯です。ご飯をたくさん食べられる選手は、練習すればするほど体が強くなっていきます。中村選手がホームランを量産できるのも、怪我に強い体があるからこそ。どんなに技術があっても、怪我をしてはたくさんのホームランを打つことなどできないのです。

以上を、週刊FLASH「中村剛也選手特集」でのインタビュー内容のまとめとさせていただきます。なお一部デーブ大久保コーチのインタビューコメントと内容が重複していますが、筆者も同じことを話させていただいたということで、あえて本記事にアップさせていただきました。

中村剛也選手27号本塁打
中村剛也選手、2011年27号本塁打を放った瞬間(筆者撮影)

2011年10月25日 17:51

中島裕之選手が最終戦で3割を打ち切れなかった1つの要因

中島裕之
原拓也

まずは上記2枚の写真を見比べてみて欲しい。これは2011年10月18日、ライオンズがCS出場を決めた試合のショート中島裕之選手(上)とセカンド原拓也選手(下)の写真だ。シャッターを切ったタイミングは2枚ともまったく同じで、先発した西口文也投手がまさにボールをリリースしようとしている瞬間だ。この写真を見比べれば、いかに2選手の待球姿勢が異なるかがよく分かる。

プロ野球で名手と評されるショートストッパーは、口々に中島裕之選手の守備の拙さを指摘する。この2枚の写真は、まさにその数々の指摘を裏付けるものではないだろうか。

中島選手がショートストップに転向したのはプロに入ってからだった。つまり11年前ということになるのだろうか。それを考えると、最も難しいショートストップというポジションを僅か11年でこれだけこなせるようになったのは、本当に素晴しいと思う。それは十分評価に値するだろう。ショートストップというポジションは、守備力があるだけでは決して務まらないポジションだ。野手全体のポジショニングはショートを中心にして組まれる。ショートが前に出れば全員が前に出るし、ショートが後ろに下がれば全員が後ろに下がる。それだけ責任の重いポジションなのだ。

中島選手も日々の努力により、プロの1軍レベルのショートストッパーへと成長を果たした。だが1軍レベルでの一流どころと比べると、まだまだショートストッパーとしての課題は多い。例えば4-6-3のダブルプレー時、最近は改善されつつあるものの、中島選手には一塁に転送する際外野側に体が流れる癖がある。これによりボールがぶつかる心配がなくなり、一塁走者は臆することなく二塁にスライディングしてくるため、中島選手はさらにそれを避けながら送球する必要が生じる。つまりダブルプレーの完成度が低くなるということだ。

さらに打球に対する一歩目の反応が良い時と悪い時で大きく差がある。これもショートストップとしては致命的で、正面に入れる打球であっても逆シングルで捕るしかなくなり、ダイビングスローをせざるを得なくなる。これは一見派手で格好良いプレーではあるが、堅実さが求められるショートストッパーにはほとんど不必要なプレーだ。もちろんメジャーリーガーばりのリストの強さがあれば話は別であるが。

他にも中島選手の守備の弱点は多々あるわけだが、そのすべての元凶が上記の写真にあると言っても過言ではないだろう。この試合に関して言えば、筆者は三塁側から観ていても中島選手の守備への意欲がまったく感じられなかった。時々低い姿勢でしっかり構えるものの、70%以上は写真のような姿勢だった。これでは当然打球に対する一歩目は遅れる。

この試合、中島選手は6年連続で3割を打てるかどうかがかかっていた。だがこの試合は結局4打数ノーヒットで最終打率は.296。うがった見方をするならば、中島選手は守備時にもそのことを考えていたのではないだろうか?確かに3割を打ちたい気持ちは良く分かるし、できることならば声援で後押しして3割を打たせてあげたかった。しかし守備でこのような姿勢を見せられてしまうと、少し寂しさも覚えてしまうことも事実だ。なぜなら中島選手は、ライオンズのキャプテンなのだから。さらには打撃のリズムは守備から生まれるとはよく言われることだ。もし中島選手がこの試合、守備にも100%集中していたなら、もしかしたらそこから良いリズムが生まれ、3割を打てていたかもしれない。

では、ここで原選手の写真を参考にし、守備姿勢の解説をしてみたいと思う。筆者が見る限り、原選手はライオンズの内野手の中では最も守備の上手い選手だ。写真を見ての通り、原選手の基本姿勢(ファンダメンタル・ポジション)は非常に低い。これには多くのメリットが隠されている。

まず地面との距離が近い分、やむを得ずダイビングキャッチをしなければならない時でも、体を強打することがないため怪我のリスクを避けることができる。そして低い姿勢で捕球をすれば、そのままサイドから低い弾道で送球をすることができるため、一塁手の頭を越える悪送球や、最も取りにくいハーフバウンドを避けることができる。

ジャンプをしなければならない時も、低い姿勢で構えていればそのポジションからそのままジャンプすることができる。しかしもし上記写真の中島選手のような高い姿勢の場合、一度しゃがんでからジャンプしなければならないため、打球への動きが一瞬遅れることになる。そして左右への動きに対しても、原選手のような姿勢であれば、陸上のスプリンターのようなスタートを切ることも可能だ。

また、基本中の基本と言えばボールをグラブに収められなかった時、原選手のような姿勢を取っていれば、ボールと体との距離が近い分、ボールを胸に当てて前にこぼすことができる。だが写真の中島選手のような姿勢では、ボールと体の距離が遠い分、ボールの逃げ道が広くなってしまい、トンネルをしたり、予測不能な方向にボールをこぼしてしまうことになる。

中島選手は来季、メジャーリーグ入りを希望していると言われている。だがメジャーリーグの球場はほとんどが天然芝で、西武ドームのような打球の転がり方が安定する人工芝のグラウンドと比べると守備の難易度は格段と高くなる。あの松井稼頭央選手や西岡剛選手であっても、メジャーのショートストップには苦労しているのだ。それを考えれば、中島選手はさらに苦労することになるだろう。

さて、今回は今季レギュラーシーズンの最終戦だけに焦点を当てて中島選手の守備を見ていったわけだが、中島選手も常にこのような姿勢というわけではない。原選手ほど低い姿勢で構える姿は見られないが、ボールへの集中力が感じられる時も多々ある。だがそれだけでは足りない。ショートストッパーは、チームの中で一番守備が上手くなければならないポジションだ。すなわちショートストップを任された選手は、他の選手の手本となるだけのレベルが求められる。打撃もさることながら、今後筆者は中島選手に対し、守備でもさらなるレベルアップを期待したい。そして日本人で初めて、内野手として通用するメジャーリーガーへと飛躍してもらいたい!

2011年10月24日 18:23

#58 熊代聖人

熊代聖人

#58 熊代聖人 - Masato Kumashiro

外野手、右投右打)
2010年ドラフト6位
今治西高~日産自動車~王子製紙~西武ライオンズ
愛媛県上浮穴郡久万高原町出身、1989年4月18日生、175cm / 72kg
熊代選手は小学2年生の時に亡くした祖父との約束を果たし、2010年10月、晴れてプロ野球選手となった。祖父を亡くした時はそのショックで野球への意欲が湧かず、父親の勧めで柔道を習っていたこともあった。しかしそれでも熊代選手は悲しみを乗り越え、再びボールを握った。

熊代選手の出身校は愛媛の野球名門校・今治西高だ。高校時代の熊代選手は主に投手として外野を兼任し、2006年夏、2007年春・夏と三度甲子園の土を踏んでいる。最後の夏はエースで4番という重責を担い、チームをベスト8に導く活躍を見せた。

高校を卒業すると日産自動車に入社し、投手から内野手の道を歩みはじめる。日産自動車では2008年の1年間だけ野上亮磨投手(2009年西武入り)と同僚だった。しかし2009年を限りに日産自動車の野球部が休部となり、熊代選手は王子製紙へと移籍することになる。日産自動車時代にも都市対抗への出場に大きく貢献した熊代選手だが、王子製紙でもやはり都市対抗への出場に貢献している。高校時代は投手として甲子園、日産自動車では内野手として都市対抗、そして王子製紙では外野手として都市対抗に出場するという、ユニークな経歴な持ち主が熊代聖人選手なのだ。

見事なまでに刈り上げた坊主頭のせいで、ライオンズでは「タコヤキ」と呼ばれているらしい。一見するとまだ高校球児かと見紛えるほどの風貌ではあるが、しかしさすがは甲子園、都市対抗と負けられない試合を戦い抜いてきただけのことはある。プロ野球選手としては小兵ではあるが、大柄な選手に引けを取らない勝負強さを持っている。

ルーキーイヤーである2011年の開幕は2軍で迎えるものの、6月になると早々に1軍に昇格し、初スタメンとなった6月11日の阪神戦で2安打1盗塁を記録している。もちろんいずれもプロ初ヒットと初盗塁だ。体は175cmと決して大きくはないが、50mを5.9秒で走り、遠投は110mを投げる。そしてただ脚が速いだけではなく、守備力も高い。1歳上の秋山翔吾選手と比較しても、肩の強さではまだ若干は劣るものの、遜色のない守備を見せてくれる。

ただ、課題はやはり打撃だろう。今季の最終打率は.250とルーキーとしてはまずますの数字を残した訳だが、77打席で喫した三振は20個だ。4打席1回以上の確率で三振をされてしまうと、いくら俊足とはいえ首脳陣も使い勝手は良くはない。三振が多いということはつまり、ヒット&ランなどの攻撃を仕掛けにくいということになるためだ。

ライオンズは大砲は揃っているし、大砲候補もいる。大技がしっかりと形になりつつライオンズにあって、今唯一存在していないのがスイッチヒッターだ。熊代選手はスイッチヒッターに挑戦してみてはどうかと筆者は常々考えていた。年齢的にも22歳とまだ若く、スイッチヒッターとして人の2倍の練習量にも十分耐え得るだろう。

今オフ、もし中島裕之選手のメジャー入りが実現すれば、来季のライオンズの打線は大幅な再考を余儀なくされる。そして脚に不安が見られ始めている片岡易之選手も、今後何年も盗塁王を目指していけるかは不透明だ。そしてその判断がされれば、かつての石毛宏典選手のように片岡選手も1番から6番などへの打順変更が検討されるだろう。そうなった時に俊足・巧打のスイッチヒッターがいれば、打線には大きなバラエティが与えられることになる。

将来的に栗山巧選手が3番を任されるようになれば、原拓也選手との1・2番コンビというのも十分魅力的だと思う。そのためにも、いつそうなってもいいような準備が必要だ。今季はルーキーだったため、がむしゃらに頑張っていれば良い部分もあった。しかし来季以降はそれは許されない。熊代選手も1軍の主戦外野手として、意識して勝利に貢献するという活躍が必要だ。そして熊代選手のようなガッツ溢れる選手であれば、2年目以降も必ずファンの期待以上の活躍をしてくれるはずだと筆者は信じてやまない。

※熊代選手は2011年6月から、土井コーチと共にスイッチ転向に取り組んでいるそうです。情報をお寄せいただいたみなさん、ありがとうございました。m(__)m

2011年10月22日 17:24

鈴木葉留彦

鈴木葉留彦 - Haruhiko Suzuki

球団本部長兼編成部長(一塁手、左投左打)
1973年ドラフト3位
埼玉県立大宮高校~早稲田大学~太平洋クラブライオンズ~クラウンライターライオンズ~西武ライオンズ
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身、1951年7月25日生、179cm / 80kg
選手としての鈴木葉留彦氏は、決してスタープレイヤーではなかった。早稲田大学時代には一塁手としてベストナインに選ばれるなど、華々しい成績を残してきたが、プロ入り後は主に代打要員として11年の選手生活を送った。1984年を限りにユニフォームを脱ぐと、その後はテレビ解説を経て88年、コーチとして再びユニフォームを着ることになる。

88~89年、2000年はライオンズ1軍打撃コーチ。87年、90~92年は2軍打撃コーチ、98~99年、01~03年は2軍監督を歴任してきた。このコーチ経歴を見て良く分かるのは、東尾修監督からの信頼が厚かったということだ。東尾監督が就任したのは95年。就任時のコーチ人事に関しては、東尾監督自身の判断により、球団主導で行なわれ、東尾監督の希望が反映され始めるのは翌年以降からだ。鈴木葉留彦氏が東尾監督の下でコーチに就任したのは1998年からとなり、97年に東尾監督が始めてリーグ制覇と遂げた翌年からだった。

1998年・・・2軍監督
1999年・・・2軍監督
2000年・・・1軍打撃コーチ
2001年・・・2軍監督
これが東尾監督時代の鈴木葉留彦コーチの役職だ。

引退後の現場経験がバッティングピッチャーだけだった取締役球団本部長前任者・前田康介氏との最大の違いは、鈴木葉留彦氏は引退後の現場経験が豊富ということだろう。特に活人力のあった東尾監督の下で2軍監督を3年間務めているという経験は、球団本部長としては大きなプラスに働くはずだ。なぜなら2軍監督の最大の職務は、1軍から求められる戦力を2軍で整えることだからだ。

さらにはスカウト部長としての経験も大きいだろう。2007年には西武球団の裏金問題の責任者として責を問われた鈴木氏だったが、この失敗も今となっては決してマイナスだけではなかったと筆者は考える。日本の企業は一度の大きな失敗を見て、今後のすべてを問うことが大きい。しかし欧米諸国は違う。一度大きな失敗をしたエグゼクティブを積極的に登用し、成功を収めるケースが多いのだ。つまり「それだけ大きな失敗をしているのだから、次はしっかりとやってくれるはず」と判断されるのだ。そういう意味でも、鈴木葉留彦氏には大きな期待を寄せることができるのではないだろうか。

東尾監督は選手やコーチ陣とのコミュニケーションを大切にした監督だ。その監督の下で積んだ経験は、スカウト部長としての交渉力に影響している。例えば平野将光投手だ。平野投手はJR東北の選手であったことから、楽天入りが濃厚だった。しかし西武球団は1位指名のクジを2度外すと、3度目の1位に平野投手を指名する。西武球団は平野投手に対し一度も挨拶などを行なっていなかったため、指名後の交渉は難航した。だがこの交渉を上手くまとめ上げたのが鈴木葉留彦氏だった。

交渉ごとに関し豊富な経験を持つ鈴木葉留彦氏であれば、昨年までのように契約交渉の席で選手との間に軋轢を生むことはないだろう。新任者に課せられた最大の課題はやはり、西武球団に所属する選手が、今後も西武でプレーをしたいと思えるような交渉をすることだ。それはもちろん無闇に年俸を上げるという意味ではなく、減俸を余儀なくされた場合、いかに上手く選手を納得させられるかということだ。前任者・前田康介氏のように、選手の感情を逆撫でするような交渉は決して許されない。

今在籍する選手を大切にすることと同時に、来季は編成に関してももっと力を注ぐ必要があるだろう。西武球団はすでに、来季は渡辺久信監督への全面的バックアップを約束している。これには筆者も一ファンとして大きな期待を寄せている。そして中日球団を退団することになった辻発彦氏、森繁和氏や、石毛宏典氏の招聘も視野に入れているという報道もある。ここ数年外国人選手の補強が上手くいっていないことを考えれば、中日で外国人選手の補強を任されていた森繁和氏の手腕は大きな武器となるだろう。そしてディフェンス面の強化やスモールボールの習熟ということを考えれば、辻氏の力にも期待ができる。そしてもちろん監督経験のある石毛氏が入閣することになっても、リーダーの育成という面で大きな力となってくれるだろう。

プロ野球チームは、名監督を連れてくるだけでは決して勝つことは出来ない。現場の責任者である監督と、チーム編成の責任者であるGM(西武球団では球団本部長)との考えが一致し、同じ方向を向いて戦う必要がある。もし現場とフロントの意見が食い違っていれば、戸惑うのは常に選手だ。今季はまさに選手たちの戸惑う姿をファンは見せられてしまったのではないだろうか。

鈴木葉留彦球団本部長にかけられた責任と期待度は非常に大きい。優勝という唯一の目標に向かって進んでいくためにも、来季は間違いなく万全の態勢で開幕を迎えられるようにチームを整えてもらいたい。間違っても、またもや守護神不在で戦わなければならないようなことにしてはならない。球団本部長(GM)という職の難しさは、知識の上では筆者もよく理解しているつもりだ。だがその難しさを乗り越え、鈴木葉留彦氏にはライオンズを再び常勝球団に育てるべくチーム編成に尽力していただきたいと、筆者は大きな期待を寄せ、記事を締めくくりたいと思う。

2011年10月21日 16:43

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