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2011/09/30 埼玉西武vs福岡ソフトバンク21回戦

2:39
ホークス
ライオンズ
埼玉西武ライオンズvs福岡ソフトバンクホークス21回戦
18:01開始 西武ドーム(観衆:17,154人)
埼玉西武ライオンズ 5勝13敗3分

継投:●西口文也岡本篤志ミンチェ
敗戦投手:西口文也 9勝7敗 2.67

ホームラン:中村剛也(44号2ラン)
【中村剛也選手44号ホームラン】


【秋山翔吾選手ファインプレー】


【ゲームレビュー】
今夜の西口文也投手は正直なところ、あまり良くはなかった。投球フォームそのものには躍動感があるように見え、力強さも感じられた。だがボールにはそれほどの力感はなかった。スライダーにしてもタイトカーブのような緩い軌道になっていたし、ボールも全体的に高かった。それでも前半戦を抑えられたというのは、恐らくホークス打線が西口投手のフォームに幻惑されたためだろう。フォームはダイナミックにも関わらず、ボールが思ったほど来ない。そのためにタイミングが合わずにフライアウトを量産していた。だがそれも少しずつ調整してくると、フライアウトになっていた打球がヒットになるようになり、7回にはついに3連打を浴びてノックアウトとなってしまった。

前半と後半の違いと言えば、右打者の内角への制球力も挙げることができるだろう。前半戦は内角ギリギリを上手くかすめてくれたボールが、後半戦は少しずつ中に入り始めてしまった。連打を浴びたのには、これも一因していたと思う。7回の失点はもう仕方なかった。これは継投ミスだと筆者は考えている。6回までの西口投手の状態を見れば、ホークス打線に捕まるのは時間の問題だった。だが取られた点と、打たれたヒットの本数を見ると、降板させる理由がなかったのも事実だ。しかしここは西口投手の10勝という記録以上に、チームの勝利を優先すべく継投が必要だったと思う。勝利を最優先に考えれば、7回のイニング頭から岡本篤志投手を投入すべきだった。西口投手が絶好調であるなら話は別だが、しかし今夜のような状態であるならば、やはり6回が1つの目処だったと筆者は考えている。とは言えこれも、今このようにして書けば結果論でしかない。首脳陣も西口投手に期待したという面も大きかったのだろう。

さて、7回の失点は仕方なかったが、5回6回の失点は防いで欲しかった。まず5回、伏兵とも呼べる福田選手に打たれたホームランだが、打たれたのは5球目、左打者への内寄り真ん中のスライダーだった。しかし福田選手のこの打席のカーブとチェンジアップの空振りを見るならば、ここはこの2球種のどちらかで勝負すべきだったと思う。いくら伏兵が相手とは言え、バッテリー共々もう少し大事に行っても良かった場面だと思う。

そして6回に打たれた細川亨捕手に打たれたヒット。配球としては決して間違いだったとは思わないが、しかしボールが少しずつ高かったことは事実だ。特にスライダーが高めに行く傾向が今夜は強く、細川捕手へのこの打席の2球目も、かなり甘いところに入っていた。点差は3-1とリードしていたし、筆者個人としては西口投手を5回までとしていても良かったと思っている。打たれてから降板するよりは、調子が悪くても抑えている状態で降板した方が、次回の登板に気持ちよく繋いでいけるからだ。これは昔、東尾修監督がよく実践されていた継投だ。

もう残り試合は本当にわずかしか残っていない。ここまで来れば、リリーバーも全試合投げる覚悟はできていると思う。ブルペンの状態が上がってきた今こそ、ブルペンを総動員させるべきだろう。今夜の敗戦により、3位バファローズとの差は再び4に開いてしまった。ライオンズはもはや後がない。火曜日からはそのバファローズとの直接対決を迎えるわけだが、できれば2ゲーム差にしてこの3連戦を迎えたいところだ。そのためにもライオンズは勝つしかない。明日は岸投手に最高のピッチングを期待しよう!

2011年09月30日 21:59

2011/09/29 東北楽天vs埼玉西武23回戦

2:51
ライオンズ
イーグルス
東北楽天ゴールデンイーグルスvs埼玉西武ライオンズ23回戦
18:00開始 Kスタ宮城(観衆:11,016人)
埼玉西武ライオンズ 13勝9敗1分

継投:○帆足和幸~S牧田和久
勝利投手:帆足和幸 9勝5敗 2.61
セーブ:牧田和久 4勝7敗19S 2.77

ホームラン:中村剛也(43号ソロ)
【ゲームレビュー】
連勝が止まると連敗が始まる。それが昨年から続くライオンズの弱点の1つだった。しかし10連勝という大きな連勝を終えても、今のライオンズは連敗をしない。今夜も0-1という僅差ではあったが、ビジターゲームを物にすることができた。今夜のようなタフな試合を物にする姿を見ていると、いよいよ渡辺監督の野球がチームに本格的に浸透し始めてきたのかな、とも思えてくる。

さて、今夜はまず牧田和久投手の話から書き始めていきたい。夏場は疲れがピークとなり、リリーフに失敗する試合も多々あった牧田投手だが、9月に入ってからはまだ一度もリリーフに失敗していない。そして筆者は今夜ほど、牧田投手を先発として起用して欲しいと感じた試合もまたなかった。

今季、もしずっと先発として投げ続けていれば、牧田投手は間違いなく10勝を挙げられていただろう。しかしシコースキー投手の離脱で、早々にクローサーを失ったチーム事情により、牧田投手は先発から抑えへの配置転換を余儀なくされた。19Sを挙げているのだから、牧田投手のクローサー転向は大成功だったと思う。だが牧田投手にクローサーを任せるのは、基本的には今季に限定した話であるはずだ。来季は恐らくまた先発に戻されると思う。

筆者が牧田投手に先発であって欲しかったと感じた理由は、9月の好投が理由ではない。その理由は、牧田投手の投手としての本能を見たからだ。現代野球において、本能で野球ができる投手は本当に少ない。それは恐らく90年代以前の選手と比べ、2000年代の選手は情報量と知識量が豊富であるためだろう。本能に頼らなくても腕を磨ける時代になったのだ。だが投手としての本能を失ってしまえば、所詮はそのレベルで止まってしまうことも事実だ。だが牧田投手は違う。投手としての本能を確かに持っているのだ。

今夜の登板で、牧田投手は何球か一塁側にファールを打たれた。ファースト方面へのゴロが転がった場合、投手は一塁のベースカバーに走らなければならない。この時普通の投手は、打球が一塁側に転がったのを確認してから一塁ベースカバーに走る。だが今夜の牧田投手は違っていた。打者がボールを打つか打たないかのタイミングで、すでに一塁側に体を向かわせているのだ。「そのボールを、そうやって打てば一塁側に飛ぶ」ということを本能が知り尽くしているのだろう。これは反射神経以前の話だ。反射神経は、対象物の動きにどれだけ俊敏に反応できるかという能力のこと。しかし今夜の牧田投手は、打球が飛ぶ前に動き出しているのだ。まさにこれは投手としての本能のみがなしえる業だ。

「体が勝手に反応した」。ヒーローインタビューなどでよく聞かれる言葉だ。これはまさに本能が働いた証だと言える。牧田投手のように本能で野球をできる投手であれば、近い将来ブレーブスの山田久志投手のようなアンダースローエースになることも十分可能だろう。牧田投手には来年以降、ぜひもっとスケールの大きな投手へと進化して行って欲しいと筆者は願っている。

さて、最後は松井稼頭央選手の話を少しだけ。今夜の7回表のダブルプレーは本当に見事だった。センターに抜けるかと言う片岡易之選手の打球を好捕すると、バックハンドで二塁手内村選手にトス。そして内村選手もそのトスに見事な反応を見せ、無駄のない動きで一塁に転送。敵チームとは言え、まさに天晴れな美技だった。

守備に関して評価すれば、中島裕之選手は松井稼頭央選手には到底及ばないだろう。では中島選手になく、松井選手にあるものとは何か?それはボディバランスだ。野球選手にとってのボディバランスとは、どんなに激しい動きをしている最中でも、常に自分がどこにいて、どっちを向いているかが分かる能力のことだ。守備で言えばダイビングキャッチや逆シングルキャッチ、ターンスローなどの正確性を高めるのに必要な能力となる。

ボディバランスは、二塁を守ることで鍛えることができる。二塁手は多くの場合で、背中側にある一塁への送球が求められる。近距離とは言え、この送球を正確にこなすためにはボディバランスが必要だ。松井選手はメジャー時代はほとんどを二塁手として過ごしてきた。その経験が今活きているのだろう。まるで歳を感じさせない今夜の美技だった。ちなみに中島裕之選手が「三塁手向き」と評価される所以は、筆者はこのボディバランスにあると考えている。そして考え方を変えれば、中島選手はボディバランスを磨くことで、さらに上のレベルのショートストッパーになれると言うこともできるだろう。筆者はまさにそこを期待しているため、中島選手にはできれば来季もライオンズでプレーをしてもらいたいと願っている。

2011年09月29日 23:40

2011/09/28 東北楽天vs埼玉西武22回戦

3:12
ライオンズ
イーグルス × 10
東北楽天ゴールデンイーグルスvs埼玉西武ライオンズ22回戦
18:00開始 Kスタ宮城(観衆:11,523人)
埼玉西武ライオンズ 12勝9敗1分

継投:菊池雄星~H岡本篤志~●ミンチェ
敗戦投手:ミンチェ 6勝2敗1S 2.09
【ゲームレビュー】
ついにライオンズの連勝は10でストップしてしまった。しかし今夜の試合は、かなり高い確率で勝てたはずだと筆者は考えている。今夜のような負け方をしているようでは、クライマックスシリーズでホークスを倒すことはできないだろう。ポイントは2回表の攻撃だ。フェルナンデス選手浅村栄斗選手が連打でチャンスメイクし、無死二塁一塁という場面。ここで打席に立ったのは秋山翔吾選手だ。ベンチからのサインは送りバント。100%決めなければならない場面だった。と言うのは、秋山選手は昨日の試合でも送りバントを失敗していたからだ。

今夜のこの場面は、何が何でも走者を進めなければいけない状況だった。それこそ100%送りバントという見え見えの状況であってもだ。だが秋山選手はセーフティ気味にバントをした(初球の送りバントをセーフティ気味にするのは、チーム方針である可能性もある)。これがキャッチャー前に転がってしまい、三塁封殺。チャンスを拡大することができなかった。送りバントの鉄則の1つには、キャッチャーには打球処理をさせないというものがある。キャッチャーに処理されると、それだけ送りバントの失敗率が高まるのだ。

そして少し前の記事でも触れたことではあるが、三塁に走者を進めたい送りバントの場合三塁手、もしくは右投手に三塁線で打球処理をさせるのが最も確率が高い。だが秋山選手のバントは一塁側に転がった。これには秋山選手なりの考えもあったのかもしれない。左打者が一塁側にセーフティバントをすれば、打球と打者走者が重なり、キャッチャーが打球を追いにくくなる。さらには今夜のように一塁手が右投げの場合、一塁線のバントを捕球して一塁に投げようとすると、その線上に打者走者が走っている。すると悪送球をしてしまったり、送球が打者走者に当たり一塁に生かしてしまうことにも繋がる。確かに左打者の一塁線へのセーフティバントにはこのようなメリットがある。だがこれはあくまでも走者なしでのセーフティバントや、一塁走者を二塁に送りたい場面での話だ。序盤、タイスコア、無死二塁一塁で行うべくバントではないと筆者は考える。

秋山選手は頭脳派の選手だ。若手とは思えないほど野球をよく知っているし、走塁や守備に対する意識も高い。だからこそ2日連続でのバント失敗はして欲しくはなかったのだ。こうして連続でバントを失敗してしまうと、二度あることは三度あるではないが、三度目はどうしても体が固くなってしまうのが人間だ。そうすると成功するバントも成功しなくなってしまう。これが西武ドームであれば試合後に居残りで黙々とバント練習をすることもできる。しかし遠征中にはそれができないため、できれば明日、しっかりと一つ送りバントを成功させておいて欲しい。とにかくドツボにはまることだけは、勝負どころのこの時期は避けなければならない。

さて、最後にミンチェ投手の話を少しだけしておきたい。今夜は四球の走者を本塁打で還してしまい、2点を失ってしまった。だがガルシア選手に打たれたこの本塁打は、ミンチェ投手にとっては少し不運だったと言えるだろう。

ミンチェ投手は外角低めにはスライダー、内角低めにはシュートを投げ分けるツーレーンピッチャーだ。だが四球を与えた山崎選手の打席、外角低めギリギリをかすめるような素晴らしい投球がいずれもボールとジャッジされてしまった。ミンチェ投手もマウンド上でジャッジに対しガッカリした表情を見せていた。このジャッジがガルシア選手のホームランを呼んでしまったのだ。ただ、ストライクとジャッジされてもいい投球ではあったが、一貫してボールとジャッジされていたため、球審のジャッジメントには勿論非はない。

ホームプレートの隅っこをかすめるような投球をボールとジャッジされてしまうと、ミンチェ投手のボールは少しずつ中に入り始めてしまった。シュートに関しても、もう少し中に食い込ませても良かったとは思うのだが、ボール1個分甘くなっていた。良い投球をボールとジャッジされると、投手心理としてはどうしても中寄りに投げてしまうものだ。その投手心理が、ガルシア選手に打たれた失投とも言える真ん中のスライダーを投じさせてしまった。打ったガルシア選手を誉めることもできるが、しかしこれは完全にミンチェ投手の失投だった。

連勝は止まってしまったが、しかし戦いはまだまだ続く。今日の敗戦を考えるのは今日限りとし、明日は選手会長帆足和幸投手の快投によって再び連勝をスタートさせてもらおう!

2011年09月28日 22:55

2011/09/27 東北楽天vs埼玉西武21回戦

【ゲームレビュー】
エース涌井秀章投手にも安定感が出てきた。この試合は得点圏に走者を背負う場面も多々あったが、見ている限りではそれほど心配するような状態ではないだろう。6回に連打と四球で満塁のピンチを迎え、押し出しの四球を出してしまったわけだが、これに関しても一切心配する必要はない。内村・高須両選手に打たれたヒットも、転がったところが良かったというだけのヒットだ。決してジャストミートされたわけではないし、ボールが甘かったわけでもない。

そして満塁にしてしまった山崎選手への四球も、逃げた四球でなければ乱れて出した四球でもない。長打を打たれる可能性を考えれば、四球になったとしてもとにかく厳しいコースを突いていくべく場面だ。この四球で満塁にしてしまったわけだが、誤算だったのは次の中村選手にも四球を与えてしまったことだろう。しかしこの四球に関しては、この場面で四球を選んだ中村選手を称えるべきだと思う。打者心理からすれば、5点ビハインドで満塁という状況を考えれば、打ちたい気持ちに逸るのが自然だ。そこを堪えての四球には価値がある。四球になる前の球だったと思うが、涌井投手はストライクからボールになるフォークボールを投げた。もしかしたら縦スラかチェンジアップだったかもしれないのだが、とにかく縦の変化球だった。このボールをしっかりと見逃した時点で、もしかしたらこの勝負は中村選手の勝ちだったのかも知れない。バッテリーからすれば、三振を取れるボールが三振を取れるコースに決まったボールだった。、

映像を見ているだけでも感じられたことだが、この試合の涌井投手からは、負けていた時期には感じられない落ち着きと余裕があった。つまり、力を入れるところと抜くところのメリハリがあり、ピンチになる前のストレートは142km程度しか出さないのだが、上述した6回の山崎選手との勝負では、146kmのストレートを投げていた。絶好調という感じはしなかったわけだが、それなりにボールは良く、とにかくリラックスして投げられていたと思う。

この試合で最も良かった点は、やはり先頭打者を一度も出さなかったことだろう。6回のピンチも二死からのものだったため、最少失点で切り抜けることができた。これがもし無死や一死だったならば、1失点だけでは済まなかったかもしれない。そういう意味でもこの試合の涌井投手は、勝つためのピッチングをしたと言って問題ないだろう。

球種として投げていたのはストレート、ツーシーム、カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークボールだっただろうか。筆者の見た限りで最も良かったのはツーシームだったと思う。特に左打者の外に逃げるツーシームは素晴しかった。あの低めにツーシームを決められれば、左打者は手も足も出せないだろう。そして攻め方として面白かったのは、カーブとスライダーのコンビネーションだ。カーブを投げた直後に、同じ軌道でスライダーを投げていた。打者からすれば同じ軌道で来るため同じボールだと認識してしまう。するとカーブのタイミングでスライダーを振ってしまうことになり、打球はゴロかポップフライにしかならなくなる。

昨季から脚や背中をつる症状が出始めている涌井投手だが、これから季節が涼しくなればその心配もなくなるだろう。そうすればつることを恐れることなくボールを投げられるようになる。今はまだ絶好調とまでは行かない涌井投手ではあるが、クライマックスシリーズに突入する頃には絶好調に近い状態になっているはずだ。

この試合の勝利でライオンズの連勝はいよいよ10まで伸びた。10連勝は9連勝同様、2002年以来の出来事だ。ちなみにライオンズの最大連勝は14らしい。バファローズが負けない今、ライオンズはとにかく勝ち続けるしかない。14とは言わず、15連勝16連勝と勝ち続け、3位とは言わず2位を目指す戦いを繰り広げてもらいたい。3位を目指すだけでは、3位になった時に目標を失いかねない。しかし2位を目指していれば、3位に伸し上がってもまだまだモチベーションを保つことができる。さすがに優勝の可能性はないに等しい状況だが、2年連続2位というポジションはまだまだ目指すことができる。ライオンズには決してそこを諦めることなく、2位を目指せる限り、2位を目指して勝ち続けてもらいたい!

2011年09月28日 14:49

2011/09/26 千葉ロッテvs埼玉西武22回戦

【ゲームレビュー】
本当に強い。ライオンズはこの試合でついに連勝を9年振りの9まで伸ばし、15あった負け越しをいよいよ1にまで減らしてきた。そして3位バファローズとの差も3ゲーム差となり、まさにクライマックスシリーズの出場権を射程圏内に入れてきた。前半から中盤にかけては本当に苦しい戦いが続いた。どのような手を打っても、どのような采配を揮っても上手くいかない。すべてが負のスパイラルとしてのみ働いてしまった。だが今は違う。渡辺久信監督の采配もしっかりと試合を支配するようになり、その采配に対し、選手たちも自らが何をすれば良いのかをよく理解している。現在のライオンズの連勝は、まさにこの噛み合わせによるものだ。

どのような名監督がチームを率いたとしても、その監督の野球観・考え方を選手たちが理解できなければ何の意味もなく、それは宝の持ち腐れとなってしまう。しかし今のライオンズのように主力にだけではなく、脇役にまでしっかりと監督の考えが浸透し、それを試合で再現しようとする努力があれば、チームはこのようにしっかりと機能してくる。

だがこれまでも何度も書いてきた通り、必要な補強を的確に行なってさえいれば、チームはもっと早く機能し始めていただろう。とは言え、ここまで来てそのようなことを言ってももう仕方はない。今は渡辺監督の言葉通り、残り試合すべてに勝つということが何よりも大事だ。

この試合に先発をした石井一久投手は、立ち上がりは上々だった。だが4回5回と打順が一巡すると、マリーンズ打線に捕らえられるようになってしまう。投手出身監督であれば、5回も本来であれば石井投手に任せたい気持ちはあったはずだ。しかしこの試合では温情采配はしなかった。とは言え、決して温情がなかったわけではない。まだリードしている場面、勝ち投手の権利を目前にした石井投手を降板させる際、渡辺監督は今季初めて自らマウンドへと向かった。自ら石井投手に話をし、自ら石井投手に降板を告げた。

大ベテランである石井投手と言えど、やはり監督直々にマウンドに来られては、どのような状況と言えど納得しないわけにも行かない。そしてさらには監督が直々に大事な場面で投手に話をすることで、大ベテランのプライドも守ることができ、次回への奮起を促すこともできる。石井投手は次回の登板では、きっと素晴しいピッチングを披露してくれるはずだ。

さて、話は変わって2回表のライオンズの攻撃。先頭の秋山翔吾選手が出塁すると、続く銀仁朗捕手はバントの構えを見せた。銀仁朗捕手のバントの上手さ、リードしているとは言え僅差の序盤、そして打順を考えれば、100%バントをしても不思議ではない場面だった。しかしここで渡辺監督が出したサインはバスター&ランだった。

実はこの場面、マリーンズの三塁手である渡辺選手は、動きに迷いを見せていた。恐らく的場捕手からはバントとバスターをケアするようにとのサインが出ていたのだろう。そして当然盗塁もケアしなければならない。渡辺選手は前へも出て来れず、後ろにも下がれずという、少し曖昧な動きを見せていた。それを三塁側のライオンズベンチが見逃さなかった。バスターのサインが出されると、銀仁朗捕手はストレートを叩き、打球を三遊間へと転がした。そしてレフト前に転がっていく間に、秋山選手が俊足を飛ばし三塁を陥れる。まさに野球らしい野球的な戦術によるチャンスメイクだった。

2008年はとにかく選手の長所を伸ばし、豪快な野球で日本一を掴み取った渡辺久信監督。しかし今は伸ばした長所の勢いだけで勝つのではなく、この試合のような緻密な采配により勝利を得ることも増えている。選手たちもこの4年間で大いに伸びてきていると思うが、それは渡辺監督としても同じことなのだろう。渡辺監督の采配も、この4年間で大いに成熟してきているように筆者は感じている。特に相手チームが不意に見せる隙を見逃さないという采配が、今年は負けが込んでいる時期から見られていた。

渡辺久信監督は、豪快さだけがクローズアップされることが少なくない。しかし決して豪快さだけで勝って来たのではない。渡辺監督は98年に投手としてスワローズに在籍していた際、当時の野村克也監督のミーティング内容をノートに書き貯め続けた。その内容が今の渡辺監督を形成していると言う。そしてそのノートは今も西武ドームの監督室に置かれており、それを知った野村監督も大いに喜んでいると言う。豪快さと緻密さ。この兼ね合わせはまさに西鉄ライオンズの野球とは呼べまいか。西鉄ライオンズも豪快さだけが注目されたチームだが、しかし野球そのものは非常に緻密だった。渡辺監督が三原脩監督に並んだとはもちろん言うことはできないが、しかし近づいていることは確かだと筆者は確信してやまないのである。

2011年09月27日 14:43

2011/09/25 千葉ロッテvs埼玉西武21回戦

【ゲームレビュー】
こんなに安定感のある岸孝之投手のピッチングは、恐らく今季初ではないだろうか。6回一死までは1本のヒットも許さないパーフェクトピッチ。打たれる気配がまるでなかった。ストレートにも切れがあり、チェンジアップ、カーブ、スライダーも有効に使っていた。恐らく銀仁朗捕手も思うように勝てていない岸投手に対し、苦心のリードを続けていたはずだ。それがようやく結実し始めたのかもしれない。

今季の岸投手の特徴は、良いボールと悪いボールとが極端であったという点だ。例えばカーブが良ければチェンジアップが悪く、チェンジアップが良ければストレートが悪い、というように。しかしこの試合に関しては、どの球種でも安定してストライクを取れていた。特にここ数年割合が減っていたスライダーで効果的に打者のタイミングを外していた。

打者が岸投手と対峙する際、注意すべきはチェンジアップとカーブだ。この2球種に関しては、本当に一級品であるため、狙ってもそう簡単に打てるものではない。しかしここを狙わなければ良い時の岸投手を崩せないこともまた事実。岸投手が攻略される時は、そのほとんどでカーブが狙われて配球が窮屈になり、連打を浴びている。この試合でのマリーンズ打線も、岸投手のカーブはかなり意識していたと思う。しかしそこで岸-銀仁朗バッテリーが選んだのがスライダーだった。

ここでカーブとスライダーの違いを簡単に解説してみたいと思う。2球種とも、右投手の場合は左打席側に曲がっていく変化球だ。岸投手が投げるカーブは、厳密にはドロップという球種になる。捻りを加えて曲げるのではなく、指の間から抜くことによって回転を与える変化球で、指先を離れた瞬間からすでに変化が始まっているのが特徴だ。虹のような軌道で、一度上に曲がってから、弧を描きながら下に曲がっていく。そのため打者の目線が上下にぶれ、上手くミートすることができなくなる。

一方のスライダーという球種は、まさにスライド(滑らせる)させるボールだ。ある地点まではストレートとほとんど同じ軌道なのだが、打者の手前まで来ると急に横、もしくは下に曲がっていく。マグナス力と重力を上手く使った変化球だ。

打者のタイミングを完全に外したり、空振りを取りたい時はドロップが有効だ。逆に走者がいる苦しい場面で、内野ゴロゲッツーが欲しい時には外角低めのスライダーが有効となる。ちなみにドロップは低めにさえ決まればコースはアバウトでも危険性は高まらないが、スライダーの場合は外角低め、もしくは内角低めに決まらなければホームランボールとなってしまう。

恐らく銀仁朗捕手の頭の中にはしっかりとデータが入っていたのだろう。マリーンズ打線で、カーブを狙ってくるのはどの打者かというデータが。この試合の傾向として、長年マリーンズでレギュラーを張っている選手に対してはスライダーを多めにし、岸投手との対戦が少ない打者にはドロップを有効に使っていたように思う。岸投手の調子が良かったということは言うまでもなく、この完投勝利は銀仁朗捕手の配球も大きくプラスに働いたことは間違いないだろう。

さて、結果的には9回を1失点で投げ終えた岸投手ではあるが、8回に失った1点は100%防ぐことができた失点だった。井口選手に打たれた打球が右中間に飛んだわけだが、センターの秋山翔吾選手とライトの大崎雄太朗選手が同じような動きで打球を追いかけてしまった。この場面では、チームのルールとして恐らく秋山選手が優先になっているはずだ。ということは大崎選手はフェンス際まで打球を追いかけるのではなく、秋山選手の動きが視界に入ったらカバーに入らなければいけない場面だった。このようなミスが減らない点を渡辺久信監督はしっかりと見ているのだ。

もし大崎選手も打球を追いかけ、秋山選手と衝突しそうになるほど際どいプレーだったなら、まだ納得できなくもない。しかし秋山選手がフェンスに激突するや否やという時点で、大崎選手はすでに足を緩めていた。ここで足を緩めるくらいなら、即座にクッションボールのカバーに入らなければならなかった。しかしクッションボールは転々としてしまい、その間に井口選手は三塁まで進んでしまう。そして続く角中選手のセカンドゴロで生還し、岸投手の完封勝利はついえてしまった。

ライオンズは昨季、パ・リーグで最も多くの三塁打を浴びたチームだ。これがチーム防御率に直結していることは言うまでもない。二塁打で止められる当たりをこのように三塁打にしてしまうことで、せっかく次打者を内野ゴロにしとめても点を失ってしまうことになる。これではどんなに投手が頑張っても、チーム防御率が向上することはない。そしてこれはライオンズにとっては最も大きな弱点の1つだと言えるだろう。このような不必要な失点を減らしていかない限り、チームが本当に強くなることはないはずだ。

逆を言えば、投手が1イニングに3安打されても点を失わないチームは強い。ちなみにファイターズのダルビッシュ投手の今季ここまでのWHIPは0.82という数字で、これは9回を投げれば走者を7.4人出している計算となる。日本ナンバー1のダルビッシュ投手であっても1試合にこれだけの走者を背負っているのだから、他のピッチャーであれば失点する可能性はさらに高くなる。しかしここに失点を防いでくれる守備陣があることで、9イニングで7人出す走者を生還させずに済む可能性が高くなるのだ。

ライオンズは今季残り19試合となった。この19試合は、今までの試合よりもさらに厳しい戦いとなるはずだ。そしてそうなった時、この試合のように不必要な三塁打を謙譲していては、勝てる試合も勝てなくなってしまう。井口選手に二塁打を打たれたことは仕方がない。ここまでは打った井口選手を称えるべきだろ。しかしこの二塁打を三塁打にしてしまったという事実は、ライオンズは重く受け止めるべきだと筆者は考えている。

2011年09月26日 16:13

2011/09/23 埼玉西武vs千葉ロッテ19回戦

2:58
マリーンズ
ライオンズ × 13
埼玉西武ライオンズvs千葉ロッテマリーンズ19回戦
13:00開始 西武ドーム(観衆:29,672人)
埼玉西武ライオンズ 8勝11敗0分

継投:帆足和幸岡本篤志~○ミンチェ~S牧田和久
勝利投手:ミンチェ 6勝1敗1S 1.43
セーブ:牧田和久 4勝7敗17S 2.85

ホームラン:フェルナンデス(14号ソロ)
【フェルナンデス選手14号ソロ】


【ゲームレビュー】
9月に入り、ライオンズが本当に強い!今日は先発の帆足和幸投手がエラー絡みで序盤に4失点(自責1)してしまう苦しい展開。今日もまたマリーンズ唐川投手にやられてしまうのか、という考えも頭を過ぎってしまった。しかし今日のライオンズは違った。4回には二死からフェルナンデス選手がセンターバックスクリーンにホームランを叩き込むと、内野安打で出塁した坂田遼選手秋山翔吾選手が三塁打で生還させた。0-4という点差を、一気に2-4まで縮めて行った。

序盤に4点を失った帆足投手だが、この試合は前回・前々回の登板を踏まえ、リラックスして投げることに重点を置いていたようだ。しかし今日に限って言えば、そのリラックスが凶と出てしまった。ピッチングにおいてリラックスして投げることは大切なことだ。しかしリラックスし過ぎてしまうと、今日の帆足投手のようにボールが上ずってしまう。しっかりと打者のタイミングを外しているにもかかわらず、こうしてヒットが続いてしまったということは、やはりボールが高かったということになる。

そしてもう一点として、今日の帆足投手は右打者の内角低めに投げ切れていなかった。点を取られない時はここにしっかり投げることができ、さらに外角低目を突けているから打者が打っても内野ゴロにしかならない。しかし今日のように右打者への内角低目が甘くなってしまうと、外角のボールだけに頼らざるを得なくなり、打者に外側への目付けをされてしまう。帆足投手がこのような状態である日は、銀仁朗捕手が右打者に隠れるような場所で構え、内角を徹底させることも必要なのかもしれない。しかし、苦しい中でも帆足投手はよく粘り強く投げてくれたと思う。この粘りがなければ、終盤の逆転劇も生まれ得なかったはずだ。

そして帆足投手以上の活躍を見せてくれたのが、ここ最近好調なリリーフ陣だ。今日も帆足投手の後を継いでマウンドに登った岡本篤志投手ミンチェ投手牧田和久投手が3人揃ってマリーンズ打線をノーヒットに抑えた。岡本投手が交代した回の先頭に四球を与えてしまったものの、あとはまさに完璧な投手リレーだった。

9月の戦いを見て行くと、とにかく渡辺久信監督の采配が冴えている。投手継投もしっかりとはまるし、代打を出せばヒットを打ってくれる。今日も浅村栄斗選手が見事な代打ヒットを見せてくれた。そして今日のように「根拠はなかったけど銀仁朗が打つような気がした」という直感でチャンスメイクをし、銀仁朗捕手に繋ぐと、その銀仁朗捕手が渡辺監督の直感に応え、見事な三塁打で勝ち越しを決めた。銀仁朗捕手自身は代打を送られると思っていたようだが、前進守備を敷いていたマリーンズ外野陣の頭上を越す、素晴らしいバッティングだった。

今日の勝利により、借金はいよいよ3まで減ってきた。少し前までは借金15を行き来していたライオンズなのに、今ではそれが3まで減り、3位バファローズも目前に捉えている。明日からはQVCでのマリーンズ3連戦となるわけだが、QVCとの相性の悪さはもはや関係ないだろう。この勢いのまま、マリーンズ相手に一気に借金を0にする戦いを筆者は大いに期待したい。そしてその先陣を明日、大ベテラン西口文也投手が担う!

2011年09月23日 16:24

2011/09/18 埼玉西武vs東北楽天20回戦

3:10 R H E
イーグルス
ライオンズ 1×

埼玉西武ライオンズvs東北楽天ゴールデンイーグルス20回戦
13:00開始 西武ドーム(観衆:26,981人)
埼玉西武ライオンズ 11勝8敗1分

継投:西口文也
勝利投手:西口文也 9勝6敗 2.49


【秋山翔吾選手の好走塁】


【ゲームレビュー】
すぐ上の敵、楽天相手に3タテを決めるべく今日のマウンドに登ったのは、大ベテラン西口文也投手だった。前回・前々回はあまり良くなく、特に前回のピッチングは悪かった。しかし今日は違った。序盤こそボールが上ずっていたものの、それも回を追うごとにしっかりと修正していった。1~4回までは毎回1安打ずつ打たれていたが、5~8回はノーヒットのパーフェクトピッチ。見事なまでに立ち直ってくれた。

ピッチングフォームを見ているだけでも、一週間前とはまるで違う。躍動感があり、投げた後も勢い余って体が一塁側に流れていた。これは西口投手の調子が良い1つのバロメーターだと言える。バッテリーを組んだ上本達之捕手の今日のテーマは、西口投手に抜くところは抜いてもらうリードをすることだったと言うが、試合終盤はまさにその通りのピッチングだったのではないだろうか。特に7回に三振を奪った聖沢選手に対しては、打ち気を見せてこないと見るや、初球・2球目と真ん中付近に緩い変化球を投げ、あっという間に2ストライクと追い込んだ。そして3球目はフォークボールで空振り三振。

この聖沢選手の3球三振も、バッテリーが楽をしてあっという間に追い込んだという状況で、聖沢選手に焦りが生じたのだろう。3球目のフォークボールも見逃していればボールだったと思う。しかししっかりと腕を振って投げた西口投手、そして簡単に追い込まれた聖沢選手の気持ちが相対し、3球三振という結果になった。

試合の序盤を見ているだけなら、まさかこんな僅差の試合になるとは思わなかった。それはピッチャーの出来の問題ではない。球審のストライクゾーンがあまりにも狭かったからだ。低め・左右のジャッジがかなり厳しかった。特に低めに関しては、西口投手・長谷部投手ともにかなり苦しんでいるように見えた。2投手とも追い込んでからの低目への球をボールとジャッジされ、少し顔を歪める場面も見受けられた。もし低めも取ってくれる球審であれば、2投手ともあと2~3個は多く三振を奪っていたのではないだろか。

このように非常に狭いストライクゾーンの球審だったため、四球が増えたり、四球を嫌がることでボールが真ん中に集まってしまうことでヒットが増えるのかなと考えられた。しかしそれでも西口投手、長谷部投手ともに素晴しいピッチングを披露してくれた。筆者個人としてはしびれるような投手の投げ合いが好きなため、今日の試合は見ていて本当に楽しめるものだった。ただ欲を言えば7回裏、先頭打者としてヒットで出塁した秋山翔吾選手に盗塁をさせる積極性も見たかったかなというところもあった。

さて、筆者は今日までまったく知らなかったのだが、栗山巧選手がレフトに回っているのは左脚に不安があるからのようだ。それでセンターよりも守る範囲の狭いレフトに回っていたらしいのだが、センター秋山・レフト栗山という布陣が現状上手く行って入るため、河田コーチももうしばらくはこのまま行く方針であると言う。あとはライトさえしっかり固められれば、ファイターズやマリーンズにも劣らない鉄壁の外野陣を形成することができる。今後はその点にも期待を寄せていきたい。

それにしても左脚に不安を抱えながらもフルイニング出場を続け、今日も見事なサヨナラヒット!この活躍にはまさに言葉がない!先発の西口投手が最高の仕事を果たし、現時点での首位打者栗山選手がサヨナラ打。まさに言うことのない素晴しい試合だった。今日の勝利により5位という順位は変わらないものの、4位楽天とのゲーム差がなくなった。いよいよクライマックスシリーズ進出という目標が現実味を帯びてきた!しかしそのためにもまずはあと6個残っている負け越しを0にすることが先決だ。何とか今月中にこの負け越しをなくし、10月は貯金を作るための月としてもらいたい!

2011年09月18日 16:24

2011/09/17 埼玉西武vs東北楽天19回戦

3:11 R H E
イーグルス
ライオンズ × 13
埼玉西武ライオンズvs東北楽天ゴールデンイーグルス19回戦
14:00開始 西武ドーム(観衆:25,624人)
埼玉西武ライオンズ 10勝8敗1分

継投:○岸孝之~S牧田和久
勝利投手:岸孝之 6勝7敗 4.25
セーブ:牧田和久 4勝7敗14S 2.93
【栗山巧選手ファインプレー】


【中島裕之選手ファインプレー】


【ゲームレビュー】
この試合先発マウンドに登ったのは岸孝之投手だった。このところは良かったり悪かったりがハッキリしていて、それが試合中に繰り返し起こり、なかなか安定して勝てていなかった。例えば試合の前半は悪く、後半は素晴らしかったりといったパターンだ。もともと立ち上がりがそれほど良くはない投手であるため、序盤にバタバタするケースは少なくはない。しかしその序盤をしっかりと乗り切れば、この試合のような好投を披露できるのが岸投手だ。

最終的には8回までを投げきり7被安打、7奪三振、2失点という内容だった。1点はソロホームラン、1点は犠牲フライだったことを考えれば、上出来と評価できる内容だ。本格的なピンチを迎えたのも3回のみで、あとは走者を出しつつも無難に切り抜けてくれた。久し振りに岸投手らしい内容での勝ち星だったと思う。だが高めに抜けるボールが少し多かったようにも思えた。牧田選手に打たれたホームランも内寄り高めのボールだった。あれがボール1~2個分低くいっていれば、ホームランにはなっていなかっただろう。そう考えると、岸投手のレベルからすればできれば1失点で切り抜けて欲しかったという欲が出てくる。

楽天の先発は15勝を挙げている田中投手だ。今季の数字だけを見れば、試合前予想では完全に田中投手に分があった。だが下位チームに追われることのプレッシャーなのだろうか。この試合の田中投手は初回からかなり力みが見られた。ここしばらくはリラックスして投げられるようになっていた田中投手ではあるが、この試合はまさに2~3年前の田中投手のようだった。そしてライオンズ打線はそこを突き攻め立てた。

初回、現時点の首位打者栗山巧選手がレフト前ヒットで出塁すると、原拓也選手が1球で送りバントを成功させた。すると続く中島裕之選手が2球目を右中間に運ぶタイムリーツーベース。栗山選手はフルカウントからヒットを打ったわけだが、これにより田中投手は勝負を急いでしまったのかもしれない。冷静に考えれば、原選手は100%送りバントの場面だ。それならば最も送りバントをしにくい低めのスライダーを選択してもよかったとは思う。しかしそうしなかったのは、初回の難しさなのだろうか。原選手の初球送りバントで打線のリズムはさらに良くなり、ライオンズは初回から先制点を挙げることができた。

この試合は何と言っても原選手の活躍が光った。5回打席に立ち、二塁打2本に犠打が3つ。しかも犠打3つの内2つが初球で、3つ目もカウント1-1からの3球目にしっかりと決めている。犠打は早いカウントで決められるほど打線のリズムが良くなり、逆にファールなどを打ってしまうとそこでリズムが一気に悪くなってしまう。

今後の終盤戦、そしてクライマックスシリーズでは1点が勝負を分けることになる。そしてその1点を確実に物にして行くためには、原選手が見せてくれた早いカウントでの犠打成功が1つの鍵を握る。例えば初回、もし原選手がバントを決めるのに4球も5球もかけてしまっていたら、その間に田中投手が冷静さを取り戻してしまっていた可能性もあった。だが原選手が初球にしっかりと決めたことで、田中投手は栗山選手にフルカウントまで粘られた末に打たれたヒットを引きずったまま、打席に中島選手を迎えることになった。

原選手は守備も非常に上手く、小技も利く。チームが安定して勝っていくためには、打線には必ずこのような選手が必要だ。確か2008年のクライマックスシリーズだったと思う。原選手は守備固めとしてサードに入ったのだが、そこで痛恨のエラーをしてしまった。三塁側スタンドで観戦していた筆者はその時の原選手の姿を見て、一押し選手として応援するようになった。その時のエラーをした姿を見て、「この選手は必ず良い選手になる」と確信したのだ。それから3年、実際にレギュラーを勝ち取りこうして活躍してくれる原選手を見られるのが、筆者は嬉しくて仕方がない。

2011年09月18日 12:19

2011/09/16 埼玉西武vs東北楽天18回戦

3:23 R H E
イーグルス
ライオンズ 1× 12
埼玉西武ライオンズvs東北楽天ゴールデンイーグルス18回戦
18:00開始 西武ドーム(観衆:14,414人)
埼玉西武ライオンズ 9勝8敗1分

継投:帆足和幸ミンチェ~○牧田和久
勝利投手:牧田和久 4勝7敗13S 2.95

ホームラン:中島裕之(15号2ラン)
【秋山翔吾選手プロ初のサヨナラ打】


【中島裕之選手先制15号2ラン】


【ゲームレビュー】
先発した帆足和幸投手は今夜もまた素晴らしいピッチングを披露してくれた。8回を投げ抜き3被安打無失点。9勝目を挙げるに相応しい見事なピッチングだった。だが8回裏が終わった時点で5-0とリードしていたこの試合、9回表が終わると5-5の同点にまでなっていた。帆足投手の9勝目も消え、今夜はまさしく「まさか」の展開となった。

本来であれば、帆足投手が9回まで投げるべく試合だった。8回まで3本のヒットしか許していなかったし、8回を終わっての球数も97球。ピッチャーを代える理由があるとすれば、帆足投手が次回中4日で先発する可能性くらいで、渡辺久信監督はここであえて9回に怪我から復帰してきたばかりのミンチェ投手をマウンドに送った。これは継投という意味合いの投手交代ではなく、あくまでもミンチェ投手の状態を見るための交代だった。しかしそのミンチェ投手が点を失ってしまった。

ミンチェ投手が今夜投げていたボールそのものは決して悪くはなかった。スライダーにもシュートにも切れがあった。しかしコントロールに関しては、ほとんどのストライクボールがボール1個分甘く入っていた。もちろん素晴らしいボールもあったのだが、制球された良いボールと悪いボールの比率で言えば、悪いボールの方が多かったということだ。

ここで言う良い悪いというのは、ストライクゾーンとボールゾーンがハッキリし過ぎていたということだ。今夜のミンチェ投手は2安打3四死球という内容だったわけだが、ボールゾーンの使い方は非常に良かったと思う。しかしストライクゾーンに行ったボールが、あまりにもストライク過ぎたのだ。ミンチェ投手の武器は何と言っても内外にボールを出し入れできる技術だ。これができるからこそミンチェ投手は今季安定した成績を残していた。そしてこれができるからこそ、バッターもボールゾーンの球に手を出してくれる。

だが今夜のようにストライクとボールがはっきりし過ぎてしまうと、バッターは際どいボールゾーンの球に手を出してくれなくなる。もし今夜、ストライクゾーンのボールがもう少しボールゾーンに近ければ、バッターももっとボールゾーンに行っていたボールに手を出してくれていたはずだ。

ミンチェ投手は今夜はリリーフに失敗してしまったが、ボールを見る限りでは心配は要らないだろう。あとはもう少しマウンドに慣れることができれば、怪我をする前のようなパフォーマンスを見せてくれるはずだ。そもそもファームでも1試合しか投げずに1軍に上がってきたのだ。それを考えれば今夜のリリーフ失敗はあまり責めることはできない。だがノックアウトされ、ダッグアウトに戻ったミンチェ投手がベンチに帽子を叩き付けたシーンは印象的だった。この闘志があれば、次の登板では必ず期待に応えてくれるはずだ。

さて、9回表を終えて5-5の同点になってしまったこの試合、サヨナラを決めてくれたのはルーキー秋山翔吾選手だった。楽天のエラー、四球、敬遠でもらった一死満塁の大チャンス。打席に向かう前、渡辺監督は秋山選手に耳打ちをした。「相手投手の方が苦しい」と。その言葉を受けた秋山選手はカウント2-1からの4球目、外に逃げて行くツーシームを振り抜いた。高く跳ね上がった打球は楽天小山投手の頭上を越え、前進守備の二遊間を抜き、センター前へと転がって行った。

今夜の秋山選手はサヨナラヒットだけではなく、3安打3打点の大活躍だ。前半戦は1軍のピッチャーのスピードに苦しんだ秋山選手だが、後半戦はようやくプロのレベルに体が馴染んできたのだろう。たまに1日3三振などを記録するものの、ヒットが出る試合が多くなってきた。今では守備・走塁だけではなく、打撃でも立派な戦力となっている。二夜連続の引き分けという最悪のシナリオもあった中、秋山選手は本当によく打ってくれた。これで4位楽天との差もいよいよ2まで縮まってきた。明日は田中投手という難敵が立ちはだかってくるわけだが、しかしライオンズの先発も岸孝之投手だ。土日も連勝し、一気に4位楽天に並んで行きたい!

2011年09月16日 23:51

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