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2011/08/31 東北楽天vs埼玉西武16回戦

2:48
ライオンズ
イーグルス ×
東北楽天ゴールデンイーグルスvs埼玉西武ライオンズ16回戦
18:00開始 盛岡(観衆:14,979人)
埼玉西武ライオンズ 7勝8敗1分

継投:●菊池雄星
敗戦投手:菊池雄星 3勝1敗 4.45
【ゲームレビュー】
今夜はついに実現した、菊池雄星投手の地元凱旋試合だった。チケットは菊池投手の登板が濃厚となった数日前にすでに完売し、今夜はプレーボールの時点で球場はすでにいっぱいになっていた。地元岩手の、菊池投手への期待の高さが伺える一戦だった。その期待に応え、菊池投手は3回までを何とか0点に抑えた。だが4回、ヒットと四球でピンチを作ると、またもや山崎選手にホームランを浴びてしまう。打たれたのは5球目、ほぼ真ん中に入ったチェンジアップだった。

今季ここまでの菊池投手のピッチング内容を振り返ってみると、やはりローテーションの一角を担うにはまだまだ課題が多い。その中でも経験によって培われる投球術という面を省いて考えても、変化球とセットポジションはもう一段階とは言わず、二段階三段階のレベルアップが必要だろう。

今夜のストレートの最速は146kmだったと思う。これは7回、松井稼頭央選手にヒットを打たれた9球目のストレートで計測したものだった。ランナーがいない時のストレートは常時140km以上を記録している。しかしランナーを背負いセットポジションになると球速は途端に落ち、135km前後になってしまう。魔球レベルの変化球があったり、よほど打ちにくい投球フォームで投げていない限り、135kmという球速はプロの1軍レベルでは通用しない。

ランナーがいない時には球速が出るため、そのボールの勢いでランナーの数そのものを抑えることはできた。しかしランナーを出すと連打を浴びる傾向にあるのが菊池投手だ。ファイターズのダルビッシュ投手のように、セットポジションでもワインドアップと変わらない球速を出せるピッチャーも存在する。しかしそれは本当に限られたピッチャーだけだ。菊池投手ほどワインドアップとセットとに球速差が出てしまう場合、やはりまずはセットで投げる訓練をもっと積まなければならないだろう。

どんなに素晴らしい投手でも、平均すればだいたい1イニングに1人前後のランナーを背負っている。そのランナーを無死から出すか、二死から出すかでも大きく異なるわけだが、菊池投手は今後は、ランナーを背負った時のピッチングが飛躍への大きな鍵となるだろう。

また変化球に関しても、今夜投げたのはスライダーとチェンジアップだけだったろうか。もしかしたら他にも投げていたかもしれないが、筆者が主に確認できたのはこの2球種だ。だがいずれも完成度は低い。スライダーはカットボールほどの変化幅で、球速が120km台後半。これでは空振りを取ることもバットの芯を外すことも難しいし、チェンジアップにしてもセットポジションからではストレートとの球速差がほとんどない。今はまだ研究し尽くされていないという状況もあり、ボールの勢いだけで抑えられてはいる。しかし今後同じチームと2回3回と対戦していくにつれ、今までのように抑えられる試合は減っていくだろう。

だがランナーがいない時のストレートには非常に力がある。これだけのボールを投げられる資質があるのだから、コーチのアドバイスに深く耳を傾け、謙虚に練習を続けていけば必ず近い将来ローテーションに定着できるピッチャーになれるだろう。慌てる必要はない。あと2年3年とじっくり時間をかけて、10勝できるピッチャーに成長して行ってくれればいいと筆者は思っている。そして来季もぜひこのみちのくシリーズで登板し、故郷に錦を飾って欲しいとも思う。

2011年08月31日 20:53

2011/08/30 東北楽天vs埼玉西武15回戦

3:01
ライオンズ
イーグルス ×
東北楽天ゴールデンイーグルスvs埼玉西武ライオンズ15回戦
18:00開始 秋田(観衆:10,130人)
埼玉西武ライオンズ 7勝7敗1分

継投:●石井一久星野智樹岡本篤志
敗戦投手:石井一久 5勝7敗 4.03
【ゲームレビュー】
今夜の敗戦は、まずは素晴らしいピッチングを披露してくれた楽天岩隈投手を誉めるべきだろう。これだけのピッチングをされてしまうと、よほど打線全員が好調でない限り、なかなか攻略することはできない。例え数少ないランナーをバントで送ったとしても、その後にヒットが出る可能性は低い。8回に1点を返し何とか完封負けだけは免れたが、ロースコアの好ゲームをものにするには至らなかった。

先発した石井一久投手は、初回にいきなり失点してしまうものの、打たれて取られた点はこの1点のみだった。3回の1失点は秋山翔吾選手の落球によるもので、これが普通にアウトになっていれば失点することはなかっただろう。日曜日には大ベテラン西口文也投手がチームを救う好投を見せてくれたが、今夜はやはり大ベテランである石井投手が素晴らしいピッチングを見せてくれた。しかしその石井投手よりも、岩隈投手が今夜は一枚上手だった。

エラーをした秋山選手にしろ、走塁ミスをした浅村栄斗選手にしてもまだまだこれからの若い選手だ。エラーもミスもするだろう。しかし彼らが本当に1軍の戦力となるためには渡辺監督の言葉通り、今夜のようなミスをしていてはいけない。残り試合はもう決して多くはない。ライオンズからすれば勝率を5割に戻すことすら危ぶまれる残り試合数だ。シーズンがそれだけ進んだ中において、もう若手だから許されるミスなど1つもない。彼らも今後は経験を積むためではなく、もっとチームの勝利に貢献するためのプレーに徹する必要がある。

さて、浅村選手と言えばいつでも比較されるのは2004年、1軍で1年間7番ショートを守り続けた若き日の中島裕之選手だ。松井稼頭央選手の抜けた後継としてショートに入ったこのプロ4年目、中島選手は.287、27本、90打点、18盗塁という素晴らしい数字を残し、ライオンズ12年振りの日本一に大きく貢献をした。ちなみに浅村選手の現時点での成績は.242、7本、31打点、3盗塁となっている。シーズン途中の数字とは言え、2004年の中島選手と比べてしまうとかなりの見劣りがある。

だが浅村選手は今季、守備の負担が非常に多い状況にある。2004年の中島選手は完全にショート専任となっていたが、浅村選手は専門であるショートを守ることはなくファースト、セカンド、レフトというまったく慣れないポジションばかりをチーム事情により守らされている。セカンドはショートと同じグラブでもプレーできるため、大きな違和感はないとは思う。しかしファーストとレフトは、ショート用のグラブとはかなり形状が異なる。その点だけを見ても負担は大きいと思うし、フォーメーションが身に染み込んでいないポジションを守るということもやはり大きな負担だ。このような起用法を考慮するならば、2004年の中島選手の打撃内容とそのまま比べてしまうのは少し無理があるかもしれない。

守備とは、打席でのリズムを作る上で非常に重要な要素を持っている。良いリズムで守れれば良いリズムで打席に入ることができ、良いリズムで走ることもできる。しかし守備でリズムを作ることができないと、打席でも良いリズムを作ることはできない。開幕当初はかなりの勢いで打っていた浅村選手だが、やはり守備の難しさを知り、相手チームにも研究されることによって、打率は急降下を辿っていった。

とは言え、今はそんなことを言っていられるチーム状況ではない。浅村選手には残りのペナントレースを甲子園だと思い、一戦必勝という気持ちでプレーをしてもらいたい。自らのエラーがチームを敗退させるという強い気持ちを持ってプレーをしてもらいたい。まだまだ新人王の資格があるとは言え、もう1軍での経験はかなり積んできた浅村選手だ。シーズンが終わり、渡辺監督が「やはり浅村を使い続けてよかった」と思えるようなプレーを、残り試合で貫いていって欲しい。

2011年08月30日 23:34

2011/08/28 埼玉西武vs北海道日本ハム17回戦

【ゲームレビュー】
まるで全盛期のような安定感だった。打たれる気配もまったくなく、本当に安心して試合を見守ることができた。西口文也投手の完封勝利は2005年8月27日、西武ドーム(当時インボイスSEIBUドーム)での楽天戦以来だという。そして連続完投なしという記録も102試合でストップした。8回を投げ切ると渡辺監督は西口投手に言った。「(連続完投なしという記録に)自分で終止符を打って来い」と。そしてその言葉に応え、西口投手は9回を投げ抜き3被安打、10奪三振、無失点、無四球(死球1)で完封勝利を記録した。

ストレートの最速は144kmだっただろうか。とても39歳の投手が投げるボールとは思えない。切れがあり、バッターが振るバットを次々と押し戻した。気持ちのこもったボールとは、まさにこの試合の西口投手のボールのことを言うのだろう。ファイターズの巧打者たちも完全に西口投手のボールに気圧され、ヒットが出たのも3回が最後。4回以降はパーフェクトに抑えられてしまった。

さて、2005年8月27日と言えば筆者もよく記憶に残っている試合だ。西口投手は楽天を相手に9回まで無安打無四球のパーフェクトに抑えた。しかし試合は0-0の均衡を破ることができず10回、楽天の沖原選手にヒットを許してしまい、完全試合の夢はついえてしまう。だが10回裏、ライオンズがサヨナラ勝ちを記録したことで、西口投手は完封勝利を手にすることはできた。これが西口投手の最後の完封・完投勝利となっていた。

103試合の振りの完封勝利。この試合はフォークボールが素晴しかった。奪った三振10個は、恐らくすべてフォークボールだったのではないだろうか。とにかく腕の振りがストレートとまったく差異がなく、バッターは全員ストレートだと思ってバットを振った。するとそこからストンと落ちていく。試合終盤に関しては、バッターもフォークボールをしっかりと予測していたはずだった。しかしそれでも打てない。分かっていても打てない、それがこの試合の西口投手のフォークボールだった。

フォークボールという球種は、我々が想像する以上に投げることが難しいボールだ。指に挟んで、ただ落ちるボールを投げるだけならば誰にでもできる。しかし指の間に深くボールを挟むと、どうしてもグラブの中でのもぞもぞとした動きが打者から見えてしまうのだ。するとフォークボールを予測され痛打されたり、あっさりと見逃されてしまう。だが西口投手のフォークボールは、打者からはなかなか予測することはできない。なぜなら西口投手がストレートの握りをフォークボールの握りに変えるのは、投球モーションを始動させてからだからだ。

西口投手はワインドアップさせた両手が、胸の辺りに来た時にフォークボールの握りに変えると言う。これでは打者がフォークボールだと予測することはできない。これは非常に高度な技術を要する。投球動作の途中に握りを変えるということは、握り損ねるというリスクも高い。慣れない投手ではすっぽ抜けたフォークボールしか投げることはできないだろう。だが西口投手のフォークボールは一度もすっぽ抜けることなく、この試合を無失点で終わらせてくれた。

フォークボールがこれだけ有効となったのも、やはりストレートに切れがあったからに他ならない。もしストレートに切れがなければ、高度な技術でフォークボールを投げたとしても打者からは簡単に見極められていただろう。この試合の1勝により、西口投手の今季の勝利数は6となった。西口投手の残り先発回数は最大でも6試合程度だろうか。この6試合で4勝すれば、2005年以来の二桁勝利ということになる。決して簡単な数字ではないが、この試合の西口投手を見てしまうと、それを期待するなという方が無理ではないだろうか。残り僅かとなった今季、ぜひ大ベテランの力でチームのラストスパートを演出してもらいたい!

2011年08月28日 23:38

2011/08/27 埼玉西武vs北海道日本ハム16回戦

【ゲームレビュー】
入団以来4年連続で二桁勝利を記録している岸孝之投手だが、この試合で敗戦投手になったことで、5年連続での二桁勝利は絶望的になった。もちろん可能性としてはまだ残ってはいるが、しかし現実的に考えれば今季の二桁勝利はもはや難しいだろう。そもそも昨年の二桁勝利も、岸投手自身で勝ち取ったものばかりではなく、チームが勝たせてくれた10勝だった。そう考えると、さすがに2年連続での温情起用も考えにくい。残り6試合で好投し、6勝しない限りは5年連続二桁勝利の可能性はない。だが2009年には2年越しで12連勝を記録している岸投手だ。可能性は限りなく0に近いが、0ではないことも確か。岸投手には何とか二桁勝利に少しでも近づいて行って欲しい。

この試合は初回がすべてだった。初回に4点を失い、それが決勝点となってしまった。岸投手は決して立ち上がりが得意な投手ではない。序盤を良い流れで抑えられることで、中盤以降乗っていけるタイプの投手だ。言うなれば典型的な先発タイプの投手なのだろう。2008年にはリリーフの適性も見せていた岸投手ではあるが、しかし基本的にはタイプは先発だ。

立ち上がりが得意ではないということは、岸投手自身十分理解しているはずだ。それでも立ち上がりに4点を失ってしまった。これは打撃陣のリズムも奪ってしまうことになる。4点を奪われたすぐ裏の攻撃でチャンスを作るも、結局無得点で終えてしまう。もし1回裏、岸投手が三者凡退で抑えていたとすれば、その裏のチャンスではかなり高い確率で先制点を奪えていたはずだった。

野球というのは本当に面白いスポーツだ。ピッチャーが良いリズムでしっかりと抑えていると、打撃陣にそのリズムがバトンタッチされる。すると連打が出ずとも、それどころかヒットが出ずとも得点が入っていく。しかしピッチャーがリズムを作れないと、打撃陣のリズムは失われていき、3安打しても4安打しても点が入らないことがある。25年以上前の話だろうか。確かジャイアンツだったと思うのだが、6連打したにも関わらず1点も入らないということがあった。野球とはそういうことも起こりうるスポーツなのだ。

初回に4点を失っても、2回以降の岸投手は決して悪くはなかった。前回登板の後半からの好調さを維持しているようにも見えた。それだけに悔やまれる初回の4失点だった。しかも何よりも悔しいのが、ファイターズのルーキーに岸投手が投げ負けたという点だ。いくらゴールデンルーキーと呼ばれる斎藤投手が相手とはいえ、岸投手には4年連続二桁勝利を挙げている実績、つまり顔だけで投げ勝って欲しかった。しかしそれができないところが、今季の岸投手なのだろうか。打たれる時はいつも自信が感じられない。打者を攻めていこうという気迫が薄いように思えてしまうのだ。

もちろん岸投手自身気迫がないということは絶対にないだろう。前半戦は自らの不在によりチームを低迷させてしまった責任は強く感じているはずだ。となると、逆にその気迫が空回りしてしまったのかもしれない。ライオンズにとってはもはや負けていい試合など1試合も残ってはいない。それどころか、残り試合を27勝14敗で戦い抜かなければ勝率5割に戻ることすらできない。そして貯金を作ってシーズンを終えるためには7勝3敗ペースで勝っていく必要がある。しかしそのためには岸投手の勝利が何よりも不可欠だ。今季は岸投手と涌井秀章投手の2本柱が共に不振にあえいでいる。しかし2人にはこのままシーズンを終えることなく、本来の安定感を取り戻し、チームを上位に導いた上で今季を終えて欲しい。この2人の完全復調なくして、チームの最下位脱出も考えられないのだ!

2011年08月27日 23:12

2011/08/26 埼玉西武vs北海道日本ハム15回戦

3:38 10
ファイターズ 12
ライオンズ 1× 11
埼玉西武ライオンズvs北海道日本ハムファイターズ15回戦
18:02開始 西武ドーム(観衆:19,761人)
埼玉西武ライオンズ 5勝9敗1分

継投:帆足和幸星野智樹~H岡本篤志~Hグラマン~○牧田和久
勝利投手:牧田和久 3勝7敗11S 3.01

ホームラン:中村剛也(31号2ラン、32号ソロ)
盗塁:中島裕之(13)
【原拓也選手カットプレー】


【中村剛也選手31号2ラン】


【中村剛也選手32号ソロ】


【ゲームレビュー】
勝利への執念、ライオンズからはまだまだそれが感じられる。ファン同様、ナインも決して今シーズンを諦めてはいない。今夜のサヨナラ勝ちは、まさにそれを象徴した形ではなかっただろうか。サヨナラ勝ち云々だけではなく、今夜のような覇気ある戦いを続けていけば、ライオンズは決して今季を最下位で終えることはないはずだ。筆者はそう確信している。

まずここで書き進めたいのは7回一死で糸井選手を迎えた場面だ。2球続けて外角低めをストレートで攻めた帆足和幸投手だったが、それが災いしそのコースに糸井選手の目が完全に慣れてしまった。しかし3球目に選んだボールも外角低め。だが今度はタイミングを外そうとしたパームボール。それでも外角低めに目が慣れていた分、糸井選手は左対左だったにも関わらず、遠く感じるはずの外角低めのボールを右中間へと引っ張り切った。バッテリーは長打警戒の配球だったのだが、あえなく長打を浴びてしまう。

ボールをセンターの栗山巧選手が処理した時の流れでは、完全に三塁打コースだった。そしてそれは糸井選手も確信していた。栗山選手はそれほど強肩の外野手ではないし、カットに入った原拓也選手も、中島裕之選手のような強肩ではない。これがもし、ボールを処理したのがライトを守っていた強肩秋山翔吾選手であったなら、糸井選手も二塁で自重したか、少なくとも三塁にノースライディングで行こうとはしなかっただろう。

9月に入れば片岡易之選手が戻ってくる見込みのようだ。そうすればセカンドの穴を埋め、十分な活躍を見せていた原選手も再び控え選手に戻らされてしまうかもしれない。原選手自身、それを重々感じているのだろう。栗山選手の返球を外野エリアで受けると、そこから執念を感じさせてくれる三塁へのロングスロー。もし糸井選手がスライディングをしていれば、セーフになっていたかもしれない。しかしカットに入った原選手の位置などを確認した糸井選手はある意味では油断したとも言えるのだが、悠々と三塁で止まろうとしていた。だがそこにまさかの好返球。糸井選手はキョトンとした顔でタッチアウトとなった。これはまさに糸井選手の油断と、三塁ベースコーチの判断ミスだ。そして敵が見せたその隙をしっかり突いて行った原拓也選手。本当に見事な1プレーだった。そしてもちろん糸井選手のランを緩ませた中村剛也選手の、返球が来ない振りをしたフェイクも見逃せない。このフェイクなくして、このアウトはありえなかっただろう。まさにプロフェッショナルな技を連続で見せられた瞬間だった。

先日は坂田遼選手が覇気のない守備をしてしまい途中でベンチに下げられてしまったが、その時締めた手綱がまだ活きていたのだろう。原選手のカットプレーは、上本達之捕手のサヨナラヒットにそん色ないビッグプレーだった。これがもし一死三塁という状況であったなら、続く中田選手のサードゴロの間に糸井選手は生還していたかも知れず、そうすれば3-4とファイターズにリードを許してしまうことになっていた。ライオンズは7~8回を無得点で終わっていたため、3-4になっていたら、今夜は敗戦となっていた。

8回以降のリリーフ陣の踏ん張りも、10回に飛び出した上本捕手のサヨナラヒットも、原選手のこのビッグプレーがなければ生まれていなかったかもしれない。そしてこのようなビッグプレーを見せられると、ライオンズが最下位に沈んでいる現実がますます信じ難くなってしまう。投手陣の柱もようやく復調し始め、9月には故障者たちが戦列に戻ってくる。明日以降も含め、ライオンズには8月攻勢ならぬ9月攻勢を見せて欲しいところだ。全員一丸で今夜の原選手のように、決して諦めないプレーを続けていれば、ライオンズが3位に浮上することなど容易いはずだ。そしてそのためにも原選手には、片岡選手に簡単に二塁手の座を明け渡さないような勝利への執念溢れるプレーを魅せ続けて欲しい!

2011年08月26日 22:30

2011/08/25 埼玉西武vsオリックス18回戦

3:17 R H E
バファローズ
ライオンズ

埼玉西武ライオンズvsオリックスバファローズ18回戦
18:30開始 大宮(観衆:20,418人)
埼玉西武ライオンズ 10勝8敗0分

継投:●涌井秀章木村文紀
敗戦投手:涌井秀章 6勝10敗 3.02


【ゲームレビュー】
先週、岸孝之投手が試合中に小野投手コーチの言葉を受け、劇的に調子を上げたということがあった。そして今夜は6回、涌井秀章投手のボールが急に良くなり出した。果たして5回と6回の途中、涌井投手に何があったのだろうか。筆者にそれは分からない。明日の野球ニュースを注目してみたいと思う。

今夜の涌井投手は初回からボールが上ずっていた。球速そのものはマックス148kmを計測するなど、決して状態が悪いようではなかったのだが、どうにもボールが思うところに行ってくれない。スライダーにしてもカットボールにしても、星捕手が外角に体を伸ばしながら捕らなければいけないほどの逆球が多く、当然完全なボールであるためバッターも手を出してはくれない。今夜もまた苦しいピッチングになることが初回から予想された。現に1回から5回までは、2回以外のすべてで得点圏にランナーを背負った。しかも3回には守備の上手い涌井投手が珍しくエラーを記録して1点を失った。

毎回のようにピンチを背負いながらも、涌井投手は何とか最少失点で切り抜いていった。これだけピンチを背負っても1失点で抑え続けたというのは、本当に調子が悪い時と比べると、マウンドで集中していたということだろう。マウンドで集中力を失わなかったからこそ、ピンチで148kmという球速をマークすることもできた。もし途中で集中力を失っていれば当然力のあるボールを投げることはできず、序盤KOという最悪のマウンドになっていた可能性もあった。

いつ崩れてもおかしくない状況にあったそんな涌井投手ではあったが6回、まるで5回までとは別人のようなピッチングを見せ始めた。まずストレートに切れが感じられるようになった。5回までは何となく力みが感じられていたのだが、6回になるとその力みがなくなった。力を抜いてリラックスして投げることにより、ストレートに切れが出始めたのだろう。そしてただ切れが出てきただけではなく、低めの思った場所にボールが行くようになった。

テレビ解説ではストレートがシュート回転していると言われていたが、もちろん違う。投げていたのはストレートではなくツーシームだったのだが、そのツーシームも良くなった。特に左打者に対しては逃げるボールとしてかなり有効に使っていたように思う。そして5回まではタイトカーブのように曲がっていたスライダーも、6回以降はスライダーらしい軌道に修正されていった。

涌井投手も再三ピンチを背負ったが、ライオンズも何度もチャンスを作った。だがホームベースは遠く、なかなか点を返すことができない。もし前半戦に援護点を得られていれば、涌井投手ももう少し早い段階で立ち直れていたかもしれない。少なくともタイトな気持ちで投げる必要には迫られなかったはずだ。いくらエースであるとは言え、いくら日本を代表する投手であるとは言え、勝てていない時の投手はなかなか大胆に投げることができない。

1年目、良いボールを持っているにも関わらず涌井投手は1軍ではなかなか勝てなかった。その時は一発勝負の高校野球同様、1点も取られてはいけないという心境で投げていたと言う。それが力みなどにつながり、良いボールを活かし切ることができないまま1軍での1年目のシーズンを終えてしまった。しかし2年目以降、プロ野球は一発勝負ではないということもあり、3点までは取られても良いという気持ちで投げ始めると、力みなくボールを投げることができるようになり12勝を挙げ、3年目には17勝で最多勝に輝いた。

ここしばらくの状態の悪い涌井投手を見ていると、まるで1年目の時のような感覚で投げているように筆者には見えていた。ピッチングにどこか余裕がなく、打たれることを嫌がっているようにも見え、交わそうとすることで本来の涌井投手自身のボールを失っているようだった。だがそれが徐々に薄れ、ピッチングの中に余裕が見えはじめたのは3週間ほど前からだった。そのため筆者は涌井投手の復調を予想したのだが、しかし味方の援護を得られなかったことで、今夜もまた勝つことができなかった。8回には前半戦の消耗でスタミナが切れてしまったのだろう。致命的な2点目を失ってしまった。

6回以降のピッチングを見る限りでは、今夜涌井投手は何かを思い出したのではないだろうか。次回の登板が非常に楽しみに思える今夜の出来だったと思う。

2011年08月25日 21:55

2011/08/23 埼玉西武vsオリックス17回戦

【ゲームレビュー】
本来ならばエース涌井秀章投手が先発すべく新潟での一戦だった。しかし雨天中止があり、石井一久投手がスライドしてきての先発。この起用法を見る限りでも、現時点での涌井投手の信頼度の低さが伺える。

この試合で先発した石井投手は、5回を投げて7被安打3失点。QSクリアとはいかなかった。左打席側の高めにすっぽ抜けるボールが非常に多く、なかなか右打者の内角を攻め切れないという内容。そしてこの内容により、渡辺監督も石井投手を5回で諦めた。5回で97球というのは、1イニングでは約20球平均ということになり、通常の平均的数字よりも1イニングで5球多く投げていることになる。この試合の石井投手は、それだけ抜けるボールが多かったということだ。しかしそれでも大崩れしないというのはベテランの巧さと言えるだろう。悪いなりにも試合を壊すことなく、責任投球回数はしっかりと投げ抜いてくれた。

石井投手の粘投に応えたのは打線だった。二桁得点は6月12日の阪神戦以来だと言う。ビッグイニングを2度作り、計11得点の猛攻。その中でも栗山巧選手の活躍が目覚しい。昨年の新潟でも大活躍をした栗山選手だったが、今季もまた新潟で大暴れ。3安打2打点1本塁打という大活躍。しかも7回にはしっかりと送りバントも決めており、2度目のビッグイニングのきっかけを演出した。

栗山選手はここ最近、見逃し三振が少し増えてきている。しかしそのどれもが自信を持って見逃した三振だった。しかしここで三振とジャッジされてしまうというのは、栗山選手がまだまだ認められていない証だ。もし栗山選手が過去に2~3度首位打者を獲得しているバッターであれば、審判も「栗山が見逃したのだからボールだな」と判断してくれるケースもあったはずだ。イチロー選手がそうであったように。このような点を見ていくと、栗山選手はまだまだ発展途上だと言える。今でも十分素晴しいプレイヤーであるが、首位打者を獲得すればさらに恐れられるバッターとなるだろう。

首位打者争いで栗山選手(.320)の上にいるのは、1位のファイターズ糸井選手(.333)と2位のバファローズ坂口選手(.324)のみだ。坂口選手はここ数試合少しずつ打率を落としているため、栗山選手の活躍次第では1日で順位が入れ替わる可能性もある。すると本当の標的は糸井選手となる。だがその糸井選手はチームが優勝争いをしているため、打率を上げるために自由に打てる場面は今後ますます減っていくだろう。すると現在最下位にいるライオンズ栗山選手の方が、打率を上げるためには好条件が自然と増えてくる。

例えば上位チームは、下位チーム相手にエース級を無理してでもぶつけてくることはなくなる。そうなると対戦する投手のレベルも少し落ち、よりヒットを打ちやすい状況となる。だがもちろんライオンズも最下位で終わるようなチームではない。3位との差はわずかに3.5ゲーム差。チーム状態次第では2週間あれば十分入れ替わる可能性のある位置につけている。最下位が確定した状態であれば、選手は個人記録に走ることもできる。しかしまだまだ上を目指さなければならないライオンズでは、栗山選手も個人記録に走ることは当然できない。だが打率を上げるためには糸井選手よりも好条件にあることは確かだろう。

2番を打っていた時期であれば、状況次第では何が何でも引っ張ってライト方面に打たなければならない時や、走者の盗塁を待つために甘いボールをあえて見逃さなければならない時もある。だが1番であればそのような制約は2番よりは少ない。

現時点、栗山選手と糸井選手の打席数と四球は同数で、ヒットの数は栗山選手の方が8本多い。にも関わらず糸井選手の方が打率が高いのは、死球の数の差にある。糸井選手の16個に対し、栗山選手は5個。同じ左打ちではあるが、この11個の差が打率に影響してしまっている。だが見方を変えれば、死球が多い糸井選手の方がそれだけ厳しく攻められていることになり、よりヒットを打ちにくい状況にあると言うこともできる。

ライオンズの場合、栗山選手は現在1番打者だ。つまり1番の栗山選手がヒットで出塁することができれば、それだけ得点能力もアップする。ライオンズが勝利を積み重ねるためにも、栗山選手の出塁の数は非常に重要だ。そしてそれが結果的に首位打者獲得ということに繋がれば、栗山選手はまさに名実共に一流選手となり、際どいボールで四球となるケースも増え、打率はさらに上がることになるだろう。ライオンズが何とか3位に食い込むためにも、栗山選手にはこれからも1番打者として最後までチームを牽引し、そして勢いづけてもらいたい!

2011年08月25日 16:52

2011/08/21 千葉ロッテvs埼玉西武15回戦

3:01
ライオンズ
マリーンズ 2×

千葉ロッテマリーンズvs埼玉西武ライオンズ15回戦
17:00開始 QVCマリン(観衆:18,815人)
埼玉西武ライオンズ 5勝10敗0分

継投:西口文也~●牧田和久
敗戦投手:牧田和久 2勝7敗11S 3.04


【ゲームレビュー】
今季のライオンズクラシックでフィーチャーされている三原脩監督は、エラーを連発する新人ショートストッパーである豊田泰光選手を外してくれと訴える投手陣に対しこう言った。「確かに今日は豊田のエラーで負けた。でも豊田の打撃で勝った試合の数を考えてみなさい」と。名将にこう言われれば、豊田選手のサヨナラエラーに憮然とする投手陣も納得せざるを得なかった。

ここまでの話ではないものの、ルーキー牧田和久投手はこの4試合で3回のリリーフ失敗を経験した。ここまで立て続けにリリーフで失敗したとなると、もう「牧田で負けたのなら仕方ない」という言い訳は通用しなくなってしまう。ルーキーとは言え、チーム事情とは言え、大事なポジションを任されているのだから、やはりある程度の結果は出し続けなければならない。ましてや4試合で3回のリリーフ失敗という結果は、今のチーム状況からすればまさに由々しき事態だ。

渡辺久信監督は「牧田は怖さを分かってきた」とコメントしている。つまり打たれてはいけない場面で打たれるという怖さを知ることで、ボールを上手く制御できなくなってしまう。必要以上にボールゾーンに投げてしまったり、意識し過ぎることで逆に真ん中に行ってしまったり。この試合での牧田投手はまさにその状態だった。

9回裏、1点リードした状態で迎えた先頭打者は4番カスティーヨ選手だった。結果的にサードゴロに抑えたものの、ボールはど真ん中へのストレート。ホームランにならなかったのが何よりという言うべきだろう。続く打者は今江選手。7球中6球が真ん中から高めのボールだった。しかも四球となった7球目以外はすべて外角。確かに一発警戒の場面で不用意な内角攻めは禁物だ。しかしほぼ外角一辺倒という配球は、より自らの首を絞めてしまうことになる。つまり投手心理として、あまりに外角を続けてしまうと、「次は内角を狙われる」という心理状態になってしまい、外角にしか投げられなくなってしまうのだ。そんな時こそ捕手の“リード”が必要なわけだが、この時牧田投手のボールを受けていたのは上本達之捕手。怪我で抹消中の銀仁朗捕手、星孝典捕手に次ぐ三番手捕手の出場試合数を考えれば、少し荷は重すぎたようにも思う。

一死一塁。ここで迎えたのはベテラン福浦選手。牧田投手はフルカウンとまで粘られると、内角へのストレートをライト前に弾き返されてしまった。またもや左打者にヒットを許してしまう。一死三塁一塁、続く里崎捕手はショートゴロに抑えるも、同点を阻止するためのバックホームのジャッジはセーフ。3-3の同点となり、ここで8回まで好投した西口文也投手の勝ちが消えてしまう。だがここでがっかりしている暇はない。一死二塁一塁、なおサヨナラの大ピンチ。

迎えるバッターは角中選手。しかし3球目を肘に当ててしまう死球。これで一死満塁。絶体絶命の大ピンチを迎え、続く根元選手にサヨナラタイムリーを浴びてしまった。3連勝目前ではあったが、牧田投手の乱調によりライオンズはサヨナラ負けを喫してしまった。まさに勝ち試合を落としてしまったため、あまりにも悔やまれる一敗だ。しかしルーキーである牧田投手を責めるわけにはいかない。アマチュア時代も含めリリーフ経験のない牧田投手が打たれたのだ。これはチーム事情が生み出したサヨナラ負けだ。

ライオンズは昨年の守護神シコースキー投手を右肘痛で戦力外にした。球団運営の常識で考えれば、主力として計算されていた選手を失った場合、その穴を埋めるべく即補強に動くべきだった。シコースキー投手は戦力外であるのだから、シコースキー投手に支払う予定だった資金を使えば、代役投手を獲得することは十分可能だったはずだ。しかし西武球団はそれを行なわなかった。開いたままの大きな穴。戦力の整わないこの状態でチームを勝たせることは、百戦錬磨の名将だとしても容易ではないだろう。

西武球団は本当に勝つ気はあったのだろうか。明らかな左腕リリーバー不足であるにも関わらず、左腕を補強したのはシーズンに突入してしばらく経ってから。しかもその江草投手はなかなか1軍に上がってこられずにいる。そしてシコースキー投手を欠いた後も、その大きな穴を埋めることをしなかった。何もホークスのように大々的な補強を行なえと言っているのではない。あくまでも勝つために必要な最低限のチーム作りをして欲しいと言っているだけなのだ。果たして今の西武球団は、それすらもままならない運営状態なのだろうか。

例えば筆者は昨年も一度書いてはいるが、ジャイアンツでくすぶっているMICHEAL投手を金銭トレードで獲得するなどの補強はできないものなのだろうか。全盛期は過ぎているとは言え、MICHEAL投手のような経験豊かな投手が加入してくれるだけでも、ライオンズのブルペン事情は大きく変わっていたはずだった。確かに年俸は1億を超えており、決して格安の補強とは言えない。しかしシーズン途中での獲得であれば、実際の負担はもう少し小さくなるとは思う。

打撃陣・エース格の不調は計算外だったとしても、投手陣に関してはシーズン前から明らかな穴が存在していた。その穴を埋めないまま迎えたシーズン。ルーキーである牧田投手を守護神として起用せざるを得ない状況。他球団が的確な補強を行なう中、この状況で結果を出すことは最初から難しかったという見方もできなくはない。しかし我々ファンとしては開幕早々にそのようなことは考えたくもないわけだ。穴はあるけど、ライオンズならきっとやってくれる!そう信じて迎えたシーズンだった。やはりフロントの考え方が変わらない限り、ライオンズが本当に強くなることはないのかもしれない。

2011年08月22日 17:46

2011/08/20 千葉ロッテvs埼玉西武14回戦

2:46
ライオンズ
マリーンズ

千葉ロッテマリーンズvs埼玉西武ライオンズ14回戦
18:00開始 QVCマリン(観衆:25,207人)
埼玉西武ライオンズ 5勝9敗0分

継投:○岸孝之~S牧田和久
勝利投手:岸孝之 4勝5敗 3.92
セーブ:牧田和久 2勝6敗11S 2.87

盗塁:中島裕之(11)


【ゲームレビュー】
やっとと言うべきだろうか。先発の岸孝之投手がようやく「らしい」ピッチングを見せてくれた。3回までの岸投手は決して良くはなかった。勝てていないことと、2年振りのQVCマリンでのマウンドということもあってか、非常に丁寧に投げていた。だがその丁寧さが消極性を生み、フォームがばらついていた。下半身も好調時の岸投手と比べると沈んでおらず、上体が高いままボールを投げていた。そのために抜けてはいないものの、ストレートがなかなか低めに行かなかった。

それが4回、良い意味で開き直りができたのだろう。ストレートが、3回までのものとまったく別物に変わった。3回まではロッテ打線もしっかり捉えられていた岸投手のストレートが、4回になるとバットに当てるのがやっとという状態。それほど岸投手のストレートに力が蘇ってきた。本当にしっかりとボールの縫い目が指先にかかり、ストレートにもきれいなバックスピンがかかりはじめた。これこそが岸投手のストレートだ。

ストレートが走りはじめると、変化球も切れてくる。3回まではカーブは高く、チェンジアップも落ちず、頼れるのは外のスライダーのみだった。しかし4回以降、後半戦に入っていくとカーブは低めに決まるようになり、チェンジアップも上手く抜けるようになった。今夜の岸投手のような試合中の変化を見せられると、ストレートがどれほど重要な球種であるかを改めて認識することができる。これで岸投手は完全復活と言って問題ないだろう。4回以降は迷いのない、本当に素晴しいピッチングだった。

今夜はアンダーハンドスローの渡辺俊介投手ということで、渡辺監督は状態の上がってきたマルハーン選手ではなく、8番DHで大崎雄太朗選手を起用した。この采配が当たり、4打数3安打1打点という大活躍。昨年は守備の凡ミスでファーム行きを命じられた大崎選手だが、非常にガッツのある選手だ。チームが最下位に沈む今こそ、大崎選手のようなガッツ溢れる選手が必要なのかもしれない。

さて、アンダースロー対策と言って今夜特筆したいのは、中島裕之選手だ。1・3打席目のライト前ヒットは芸術的だった。反対方向へのバッティングそのものも素晴しいのだが、、バットの使い方が尋常ではなかった。通常バットは、腕の延長線上に真っ直ぐ伸ばしてボールにコンタクトしていくのが基本だ。しかしこれでは下から浮き上がってくるボールの下っ面を叩いてしまい、ポップフライになるケースが多くなる。これはまさに渡辺投手の術中にはまる形だ。

腕の延長線上のままバットを振ってしまうと、ボールの下っ面を叩いてしまう。そこで中島選手は、腕の延長線上からバットをやや上に傾けてスウィングしていた。これによりポップフライにならず、上手くボールを捉えることができていた。このようなバッティングはなかなかできるものではない。中島選手の高い技術、高い対応力なくしてできるものではなかったはずだ。

そしてキャプテンとしても9回裏、2試合連続でリリーフを失敗している牧田和久投手が投球練習を始めるとすぐに駆け寄り、一言二言声をかけていた。これにより牧田投手も冷静さを取り戻せたと思う。今夜は非常に良いピッチングを見せてくれた。左右だけではなく、上下の揺さ振りも上手く使いバッターを翻弄した。そして収穫としては、課題となっていた左打者・福浦選手をしっかりと抑えたことだろう。2度失敗しても3度はやられない、やはり牧田投手は並のルーキーではない。この調子で目標の20Sを記録できれば、新人王も見えてくるかもしれない。ライオンズでは99年松坂大輔投手以来の新人王をぜひ見てみたい!

2011年08月20日 21:00

2011/08/18 埼玉西武vs東北楽天14回戦

2:50
イーグルス
ライオンズ ×
埼玉西武ライオンズvs東北楽天ゴールデンイーグルス14回戦
18:00開始 西武ドーム(観衆:20,293人)
埼玉西武ライオンズ 7勝6敗1分

継投:○菊池雄星
勝利投手:菊池雄星 3勝 4.43

盗塁:中村剛也(3)、中島裕之(10)、星孝典(1・プロ初盗塁)
【ゲームレビュー】
今夜先発したのはプロ4試合目の登板となった菊池雄星投手だった。これまで2勝を上げている菊池投手だが、これまでは野手陣に勝たせてもらっていた2勝だった。しかし今夜は違う。野手の援護を受けながら、自らの好投で引き寄せた1勝だった。

昨日の試合では、守備で消極的な姿を見せた坂田遼選手が懲罰交代をさせられた。渡辺監督も常々「もっと攻めて欲しい」という言葉を発しているだけに、最下位というチーム状況も相まっての懲罰だった。だが今夜の菊池投手は、渡辺監督もダッグアウトから見ていて清々しく思ったのではないだろうか。右打者の内角を厳しく突いていく攻めのピッチング。高卒2年目としては見事な内容だったと思う。

8月16日の涌井秀章投手と楽天岩隈投手とのエース対決、小野コーチは菊池投手にダッグアウトで見学するように指示をしたと言う。両エースともいまひとつの出来ではあったが、それでもエース対決。菊池投手自身、得るものは多かったようだ。特に内角球の使い方を学んだと言う。そしてその言葉通り、今夜の菊池投手は右打者の内角にストレート、カッター、スライダーで上手く攻めていた。2回には1つ死球を与えはしたが、それでも臆することなく内角を攻め続けた。まだ怖さを知らない若さがなしえたピッチングとも言えるが、しかしその内容は見事だった。

牧田和久投手ほどではないものの、今夜の菊池投手もテンポが良かった。そしてピッチングの基本であるクイック・スロー・クイックから投げられる140km台後半のストレート。多くの打者が差し込まれていた。やはりピッチャーは攻める気持ちが何よりも重要だ。経験を積めば積むほど気持ちが落ち着いてしまい、攻める気持ちは徐々に減っていってしまう。もちろんその分技術は高まっているため、エース級の投球をすることは可能だ。しかし菊池投手のように経験の浅い投手の場合は、やはり渡辺監督の言う通り、どんどん攻めていくことが何よりも必要だ。

攻めていけば味方もそれに答えてくれるし、運も味方してくれる。今夜の8回表もそうだった。二死を取ったあと、中村剛也選手のエラー(アンツーカーでバウンドが変わった)で走者を出してしまい、その走者を盗塁で二塁に進めてしまった。続く打者は内村選手。内村選手が打った打球は、一塁手も二塁手も追いつけないようなギリギリのライト前ヒットとなった。この時楽天の三塁コーチャーは手を回していたのだが、二塁走者は三塁を蹴ると一瞬止まろうとしてしまった。そこからの本塁への進塁。ライトの秋山翔吾選手も見事なバックホームを見せ、二塁走者だった内村選手はホームでタッチアウト。まさに味方と運に救われた場面となった。

菊池投手の今後の課題は、やはりスタミナだろう。7回くらいになると、ストレートの球速のほとんどが130km台になってしまった。前回もやはりスタミナ切れにより降板を余儀なくされたが、今夜もやはりスタミナ切れにより、球数は100球そこそこであったにも関わらず、9回に楽天の反撃に遭ってしまう。この点は、昨年1年間投げられなかったことも影響しているのだろう。このまま投げ続ければ、今季中にはもっとスタミナが向上しているとは思う。

112球完投勝利。山崎武選手の400号ホームランにより完封勝利こそは逃してしまったが、前々回よりも前回、前回よりも今回の方が長いイニングを投げられたことこそ、最大の好材料ではなかっただろうか。菊池投手はまだまだ心技体のすべてのおいて未完成の投手だ。これからも少しずつ、着実に成長を続けながらローテーションを守っていって欲しいと思う。

2011年08月18日 21:05

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