2011/05/29 埼玉西武vs東京ヤクルト2回戦
| 3:12 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| スワローズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 8 | 2 | |
| ライオンズ | 1 | 1 | 2 | 1 | 4 | 0 | 1 | 0 | × | 10 | 15 | 0 |
埼玉西武ライオンズvs東京ヤクルトスワローズ2回戦
13:01開始 西武ドーム(観衆26,115人)
埼玉西武ライオンズ 2勝0敗0分
継投:○帆足和幸~長田秀一郎~平野将光~武隈祥太
勝利投手:帆足和幸 4勝1敗 2.22
【秋山翔吾選手ファインプレー】
【ゲームレビュー】
今日はやはり、小野寺力投手の話題から書き始めたい。東京ヤクルトに移籍し、その初登板が今日のライオンズ戦。小野寺投手自身、複雑な思いもあったと思う。長年投げ続けた西武ドームのマウンドに立っているのに、対するバッターがライオンズのユニフォームを着ている。そして帰るダッグアウトも三塁側ではなく、一塁側。
小野寺投手がマウンドに登ったのは7回裏だった。先頭の浅村栄斗選手に粘られながら四球を出してしまうと、続く佐藤友亮選手の打ち取ったはずのライトフライが、拙い守備によりヒットになってしまった。そして銀仁朗捕手には初球をセンター前に運ばれ1失点。後続はしっかり抑えて失点はこの1点だけに抑えた。ベストピッチとは行かなかったが、しかし西武ドームでの初登板という状況を考えれば、まずますの内容だったと思う。
しかし筆者が見ていて非常に気になったのは福川捕手のリードだ。小野寺投手に対するリードはすべて外角。逆球を除くと、内角を攻めた配球は1つもなかった。これではいくら小野寺投手が150kmのボールを投げられるとは言え、抑えることはできないだろう。それにしても小野寺投手のボールは本当に速い。スピードガン表示が12球場でも最も遅めである西武ドームでも150kmを計測している。終速が150km近いのであれば、初速は恐らく155kmを超えているのではないだろうか。小野寺投手には今後、東京ヤクルトに欠かせない存在になれるよう頑張って欲しいと思う。そして次回は、日本シリーズで再会したい!
さて、今日のライオンズ打線はまさに爆発だった。1本もホームランが飛び出すことなく10得点。得点が入らなかったのも6回と8回だけだった。こうして見ていくと、打線に関しては今日は書き切れなくなってしまう。ということで筆者は、今日は栗山巧選手に焦点を絞ってみたい。栗山選手は現在ライオンズのリーディングヒッターだ。今日の試合で.298に打率を落としてしまったが、試合が始まる前は3割を超えていた。栗山選手が2番という打順で3割を超えるというのは、本当に凄いことだと筆者は考えている。
2番という打順はただでさえ難しい。ただ漠然と打つわけにはいかないからだ。常に何かを考えながら、何かを判断しながら打席に立たなくてはならない。だがライオンズの場合、他チームの2番打者と比べると小技が少ない。例えば送りバントやエンドランという作戦が2番に対しては少ない。しかしライオンズの場合、他チームの2番にはあまりない難しさがあるのだ。それは片岡易之選手の存在だ。
1番の片岡選手が塁に出ると、栗山選手は盗塁をアシストしなければならない。場合によっては片岡選手が走るまで打つのを待たなければいけないこともある。つまり2ストライクになって、初めて打ちに行けるという状況もあるのだ。さて、話を昨年.314打った中島裕之選手に少し移してみたい。中島選手は2ストライクに追い込まれると、打率は.208まで落ち込んでしまう。トータル打率と比べると.106もの差が生じる。年間で.314打った打者でも、やはり2ストライクと追い込まれるとヒットが出る確立はグッと下がってしまうのだ。
ここで話を再び栗山選手に戻したい。栗山選手は昨季は.310というハイアベレージを残した。この数字に対して2ストライク後の打率は.264となる。しかも0-2で.333、2-2で.299、3-2で.320というハイアベレージだ。1-2というカウントのみで.154と下がってしまうわけだが、これはカウントに余裕が生まれることにより、バッテリーがストライクゾーンで勝負してくれないことが要因だろう。だがトータルで見ていくと、2ストライクと追い込まれても決して打率が下がっていないことが良く分かる。つまり片岡選手が走るのを待ち、その後でカウントが追い込まれた状況になってもヒットを打てるのが栗山選手の凄さというわけだ。ちなみに追い込まれる前の打率は.352だ。
この数字を単純に考えるとすれば、もし栗山選手が2番という打順ではなく、比較的自由に打つことができる4番や5番であったなら、打率はもっと高くなり、間違いなく首位打者争いができるようになるはずだ。やはり栗山選手を2番に置いておくのはもったいないと筆者はついつい思ってしまうのだ。2番に強打者を置いた元祖は西鉄ライオンズの三原脩監督で、2番に据えられたのは豊田泰光遊撃手だった。豊田選手は普通に考えれば栗山選手同様、クリーンナップを打てるだけの力があった。それでも2番だったのは、3番中西太選手、4番大下弘選手という球界を代表するスラッガーがいたためだ(元祖ON砲、王・長嶋コンビよりも先だった)。
現在のライオンズにも中島選手、中村剛也選手という球界を代表する3・4番コンビ(平成のON砲)がいるわけだが、しかし中村選手の打率が少し低過ぎる。一方大下選手は常に3割を打てる打者であり、西鉄に移籍する前年、セネタース時代は.384という驚異的な打率で首位打者を獲得している。そしてチャンスにも滅法強かった。
今日の試合で中村選手は打率を上げるバッティングを見せてくれたが、筆者は中村選手には今日のような打撃をもっと求めたい。例えば3点差で負けていてランナーが2人いれば、初球からホームランを狙っても良いと思う。しかし今日のように常時リードしている場面であれば、よほど点差が離れていない限りは得点圏でのホームランは必要ない。もちろん結果的にホームランになるのであればそれは最高の結果ではあるが、だがそれ以上に大事なのは、今日のようにしっかりとランナーを生還させることだ。4番の役目はホームランを打つことではなく、ランナーを生還させることなのだ。ホームランはランナーがいない時や、点差が離れた状況で狙えば良いと思う。そういう意味では、中村選手にソロホームランが多いという点には、筆者は少なからず好意を抱いている。
中村選手が今日のようなバッティングを続けてくれれば、今後も安心して4番を任せられるだろう。しかし今後打率が伸びて来ないようであれば、やはり勝つためにも4番の再考は必要だと思う。先日の記事でも書いたことだが、筆者はベストメンバーが揃っている状況での「4番栗山」を見てみたいのだ。そして将来性が豊かである秋山翔吾選手を難しい2番に据えて、叩き上げていったら良いと考えている。
今日の試合は10点取ることができたが、しかしこれを良しとはしないことだ。今季東京ヤクルトが2桁失点をしたのは初めてのようだが、常に10点が取れる野球をすることは不可能だ。大切なことは1点差で勝てる準備をしっかりと整えることだと筆者は考えている。
さて、1点差で勝てる野球と言えば、どうやらライオンズは右肘の手術を行なうシコースキー投手の代役とする新外国人投手の獲得を目指しているようだ。その中にはマーク・クルーン投手も含まれていると言う。どのような投手がやってくるのかはまだ明確には分からないが、とにかくどのような形であれ、優勝に貢献してくれる選手にやってきて欲しいと思う。数年前に獲得をしたベイリス投手のような、中途半端な投手の獲得は控えたいところだ。
ライオンズは今日勝ったことでついに貯金生活に突入した。最大8あった借金を完済しての貯金1。正直なところ、貯金ができるのはもう少し先かなとも思っていたが、予想以上に速かったのはファンとしては嬉しい限りだ。火曜日からは西武ドームに巨人を迎えての2連戦。いまいち波に乗れない巨人を踏み台にし、貯金を一気に3まで伸ばしたいところだ。ホークスが負けない限り、ライオンズも決して負けるわけにはいかない!
2011年05月29日 17:00
2011/05/28 埼玉西武vs東京ヤクルト1回戦
| 2:42 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| スワローズ | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 8 | 0 | |
| ライオンズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | × | 3 | 8 | 1 |
埼玉西武ライオンズvs東京ヤクルトスワローズ1回戦
14:01開始 西武ドーム(観衆27,976人)
埼玉西武ライオンズ 1勝0敗0分
継投:○岸孝之~Hミンチェ~H星野智樹~S岡本篤志
勝利投手:岸孝之 2勝1敗 1.50
セーブ投手:岡本篤志 1敗6S 2.87
ホームラン:中島裕之(7号2ラン)、銀仁朗(2号ソロ)
失策:片岡易之(2)
【中島裕之選手、9回のファインプレー】
【中島裕之選手、同点弾】
【銀仁朗捕手、勝ち越し弾】
【ゲームレビュー】
いよいよライオンズのチーム状態が本格的に上がってきた。やはり今日先発をした岸孝之投手、そしてエース涌井秀章投手という両輪の復帰でチームそのものに安定感が増したのだろう。今日のような勝ち方は、チーム状態が良くなければなかなか出ては来ない。岸投手の好投も含め、本当にナイスゲームだったと思う。
その先発岸投手だが、初回は不運な形で2点(自責0)を失ってしまった。しかしそれで崩れることはなく、力強いストレートでヤクルト打線を7回までしっかりと押し切った。今日の岸投手はストレートに力感があった。最速は145kmだっただろうか。しかしそのガン以上に速く見えた。だが一転カーブにはいつもの安定感がなかった。今日ほどカーブがばらつくということは、今までの岸投手ではあまり考えられない。完全にすっぽ抜けて高めに行ったり、横回転がかかり過ぎて流れてしまうボールもあった。もしかしたら統一球の影響なのかもしれない。
統一球は筆者も実際に投げたことがあるのだが、やはり昨年までのボールと比べると重量感があり、縫い目が僅かだが高い。ボールそのものの質量が大きくなったために、低反発という問題以上の課題があるのではないかと、近頃筆者は感じている。それは今日のような湿気だ。今日は雨が降っているということもあり、湿度は常時80%を超えていた。この湿度がボールを更に重くしているように思えてならない。
中村剛也選手の3打席目・4打席目の打球も、打った瞬間はホームランになるかと思われた。ほんの僅か芯から外れていたかもしれないが、しかし中村選手であればホームランになっていても不思議はない当たりだった。だが打球は共にフェンス直前で失速。ONアベック弾とはならなかった。
アメリカの物理学者は面白い研究をいくつも行なっている。その中の1つに気圧や湿度が打球にどのような影響を与えるかというものがある。それによると、気圧や湿度の高低が大幅に変わると、飛距離はメートル単位で変わってくるらしい(詳細は長くなってしまうので割愛)。今日の中村選手の当たりは、ホームランまであと1~2mというところだったろうか。こうして考えていくと、もし今日天気が良かったならば、中村選手はおかわり弾を放っていたということになるだろう。
岸投手にしろ、中村選手にしろ、今日は湿度に翻弄されたと見ることもできるかもしれない。だがその中でも7回を2失点のみで抑えた岸投手は立派だった。ただ、先述した通り変化球を制御し切れていない。チェンジアップも、いつもの「岸チェ」ではなかった。そして得意のチェンジアップやカーブがいまいちであることを認めるかのように、今日の岸投手はスライダーの割合がいつも以上に多かった。ストレートの威力は戻ってきた。あとは変化球に安定感が出てくれば、首脳陣も岸投手を完全復活だと認め、完投を前提にして投げさせるようになるのではないだろか。
さて、次は中島裕之選手の話題だ。6回の同点弾も見事だった。まさに打った瞬間それと分かる当たりで、中島選手自身打った後は打球の行方も追わず、悠々とダイヤモンドを回り始めた。まさに完璧の当たりだった。しかしそれ以上に9回の併殺は見事だった。クローサーの岡本篤志投手が先頭打者を四球で歩かせてしまうわけだが、後続の二塁ベース付近へのゴロを中島選手は上手く処理し、そのまま二塁を踏んで封殺。そしてそこに突っ込んできた代走三輪選手のスライディングをジャンプ1番交わすと、着地したそのままの体勢で一塁に転送。腕だけで投げるギリギリの送球、それが間に合い併殺完成。岡本投手を救う本当に見事なプレーだった。
そして最後に話したいのは星野智樹投手だ。3-2でリードした8回、二死三塁という大ピンチで登板した星野投手は、ホワイトセル選手を3球三振で仕留めた。もうこのピッチングには余計な言葉は要らない。とにかく勝利への執念が感じられたという、ただそれだけだ。三振を奪った瞬間のガッツポーズ、あれは勝利への執念がなければ決して出ないガッツポーズだ。江草投手の加入に奮起したのかもしれないが、まさに文句なしの火消し役としての活躍だった。星野投手が対したのはたった1打者、そしてたった1つのアウトではあるが、星野投手の内容如何ではこの試合、どう転がっていたかは分からない。そう考えると星野投手もまた、今日のヒーローの1人だ。
今日勝ち、ライオンズはついに借金を完済した。だが渡辺久信監督の言葉通り、今日勝てても明日負けてしまっては意味がない。明日の先発は順当に考えれば帆足和幸投手が濃厚だ。前回は甲子園で9回を1失点に抑えながらも勝ちの付かなかった帆足投手。明日はどんな内容であろうと、とにかく帆足投手に勝ちをつけてあげて欲しい!
2011年05月28日 18:18
小野寺力投手にとって吉と出て欲しいこの移籍
ある程度覚悟はしていた。しかしそれが現実になると、ファンとしては本当に寂しくなる。5月24日、小野寺力投手の東京ヤクルトへのトレードが発表された。小野寺投手には生涯ライオンズでプレーして欲しい、筆者は小野寺投手の入団以来、そう思い続けていた。それほど小野寺投手に対し筆者は大きな期待を寄せていた。だが2006年の29Sをキャリアハイとし、なかなかファンが納得できる結果を出せずにいた。調子を落とすとL字ステップに変えてみたり、スライダーやカーブを磨こうとしたり、小野寺投手はとにかく変化を求めるタイプだった。だがそのたびに筆者は考えていた。小野寺投手には、小野寺投手最大の魅力をもっと伸ばして欲しい、と。つまり150kmを超えるストレートと、落差の大きなフォークボールだ。
小野寺投手は何度か肩を痛めている。その理由を筆者は、スライダーの影響だと考えている。スライダーという球種は、どうしても投げる時に肘が下がりがちになる。専門的な解説をすると、体幹を軸にして横回転で投げられる185cm以下の投手でなければ、スライダーを本当の意味で武器にすることはできない。しかし小野寺投手の身長は188cm。この身長の高さでは縦回転で投げなければ、遠心力が肩に大きなストレスを与え、故障を引き起こしてしまう。もし小野寺投手がスライダーなどに頼ることなく、もっとストレートとフォークに磨きをかけようとしていれば、肩を痛めるリスクは軽減できていたはずだった。
牧田和久投手が投げる、地面すれすれの低さから打者の顔の高さまで浮き上がってくるストレートは非常に打ちにくい。それとまったく同じで、小野寺投手の長身から真上から投げ下ろされるストレートは本当に打ちにくいはずなのだ。しかし少し成績が低迷しスライダーをマスターしようとしたことで肘の位置は徐々に下がり、長身を活かした長所も徐々に失われてしまった。そして制球を気にするあまりに取り入れたL字ステップの影響で、一時は球速をも低下させてしまった。
なぜコーチはそれを黙って見ていたのだろうか。いや、と言うよりは見守っていたという言葉の方が適切なのだろう。きっとコーチは、小野寺投手が必死に這い上がろうとするそれらの工夫や努力を、見守るしかなかったのだと思う。
「小野寺の弱点はメンタル」。そう言われることは多い。しかし筆者はそのような安易な片付け方は絶対にしたくはない。メンタルが弱くても活躍できる投手は大勢いる。逆を言えばメンタルが弱いからこそ活躍できるタイプの選手だっている。投手として大成するには、ふてぶてしいくらいが丁度良いとも言われるが、筆者は小野寺投手のような心優しき男にこそライオンズというチームで大成してもらいたかった。
小野寺投手は、余分なものをすべて捨てれば絶対に活躍できると筆者は確信している。スライダーを捨て、カーブを捨て、無四球という考えを捨てれば、小野寺投手のストレートやフォークはもっともっと活きることになったはずだ。目を閉じれば、耳の神経がより研ぎ澄まされる。それと同じように余分な変化球を捨てれば、ストレートやフォークをもっと伸ばせたはずだった。
だが小野寺投手にとって良かったのは、2006年に結果を残した時の小野寺投手を知る荒木大輔コーチがヤクルトにいるということだ。好調時を知る荒木コーチの元であれば、復調できる可能性はさらに高まるはずだ。
今日からは西武ドームにヤクルトを迎えての2連戦となる。1軍登録された小野寺投手が、いきなり西武ドームに登場する可能性もある。試合は西武に勝ってもらわなければ困るが、しかし小野寺投手にはパーフェクトピッチでライオンズに恩返しをしてもらいたい。西武球団が「出すんじゃなかった」と後悔するようなピッチングを魅せてもらいたい。筆者にとってトレードそのものの成否などこの際どうでもいい。とにかく小野寺投手にとってこのトレードがプラスになってくれれば、それだけで良い。
新天地ヤクルトでも頑張れ!小野寺力!!
2011年05月28日 00:57
2011/05/26 広島vs埼玉西武2回戦
| 2:59 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | H | E | |
| ライオンズ | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 6 | 0 | |
| カープ | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 7 | 1 |
18:35開始 マツダスタジアム(観衆:14,386人)
埼玉西武ライオンズ 2勝0敗0分
継投:○牧田和久~S岡本篤志
勝利投手:牧田和久 2勝3敗 2.96
セーブ投手:岡本篤志 1敗5S 3.07
【ゲームレビュー】
日中の雨で開催が心配されたマツダスタジアムでの広島戦、しかし試合は無事最後まで行われた。しかも延長戦のオマケ付だ。延長戦や1点差ゲームに弱いライオンズの姿はもうない。今夜は延長10回、2-3で広島カープを下す試合となった。
先発をしたのは牧田和久投手。9回を投げ抜いて7安打1四球2失点という好投。社会人上がりとは言え、相変わらずルーキーらしからぬ素晴らしいピッチングだった。だが牧田投手が投げるとなかなか打線の援護に恵まれない。これはアマチュア時代から変わらないことらしいが、その原因はあまりにも早いテンポにある。投球テンポが速すぎるため、野手がリズムを掴み切れないままにイニングが進んで行ってしまうのだ。
以前ライオンズに在籍していた松坂大輔投手もやはり、援護に恵まれない投手だった。松坂投手の場合は牧田投手とは逆で、テンポが悪すぎた。どちらかと言うと独り相撲をしがちなピッチャーであるため、野手のリズムを無視した投球テンポになってしまい、それが野手のリズムを崩してしまっていた。
牧田投手が打線の援護を得るためには、今後はテンポに関してもう少し考えた方が良いのかもしれない。例えばテンポそのものを変えなくても、一打者との対戦が終わったら必ず野手の方を振り返って短いコミュニケーションを取るだけでも、野手の感じ方は変わってくる。今夜は延長戦でやっと勝つことができたわけだが、いくら相手が好投手とは言え、できれば9回までに勝負を決められるのがベストだ。そうすれば余分なピッチャーの起用も控えることができる。
とは言え、今夜の岡本篤志投手は決して余分ではなく、むしろ素晴らしかった!見事な三者連続三振で試合を締めくくった。ホームランを打たれれば同点という厳しい場面でこれだけ堂々たるピッチングができるということは、今後も間違いなく最終回で起用され続けるだろう。シコースキー投手の故障により、思わぬ形で誕生した新守護神・岡本篤志投手。
10回裏の先頭打者は木村選手だった。初球は外に逃げるシュートで空振り。2球目はインコースのストレートで見逃し。初球のシュートの影響で、インコースがかなり近く感じられたのだろう。あっという間に2ストライクと追い込んだ。そして3球目は外角低めへのチェンジアップで空振り三振。左右に揺さぶった素晴らしい配球だった。続く梵選手もスライダー2球であっという間に追い込むと、4球目の真ん中低目へのチェンジアップで空振り三振。
最後のバッターは代打前田智徳選手だった。さすがの巧打者だけあって4球連続ファールで粘られたが、最後は外角低目へのストレートで見逃し三振。ゲームセット。13球で3三振。ボール球はわずかに2球だけだった。前田選手への2球目のチェンジアップは真ん中に入ってしまったが、それ以外は素晴らしいコントロールだった。先日自滅してしまったことが大きな経験、そして財産となったのだろう。今夜の岡本投手には落ち着きが感じられた。この分であれば、今後も安心して最終回を任せられるだろう。そしてシーズンが終わった頃には「岡本が打たれたのなら仕方がない」と言われるまでに成長していて欲しいと筆者は願っている。
最後になってしまったが、栗山巧選手は本当にチャンスに強い。10回表二死二塁という場面で厳しいボールをファールで交わしつつ5球目、ど真ん中のフォークボールをレフトへの二塁打。難しいボールをファールにする技術があると、こうして甘いボールを呼び込むことができる。今後秋山翔吾選手に安定感が出てくれば秋山選手を2番に据え、栗山選手を4番として起用しても良いのではないだろうか。現時点では中村剛也選手が4番を打っているが、しかし打率(.225)と得点圏打率(.211)が4番としてはあまりにも低すぎる。4番はチャンスで回ってくる可能性が最も高い打順だ。その打順にいる打者であれば、得点圏打率は最低でも3割以上は欲しい。
栗山選手にはホームランはそれほど期待はできないが、しかし得点圏打率は今日の試合終了時点で.454という高さだ。この得点圏打率と.301という安定した打率があれば、ホームランはなくても鈴木健選手のような打点を稼げる立派な4番打者になれると筆者は考えている。4番打者に関しては渡辺久信監督も考え出しているようだが、もし中村選手の打率が今後も上がってこないのであれば、チームの得点力を上げるためにも4番打者の入れ替えも考えなくてはならないだろう。中村選手が奮起するか、栗山選手が4番を奪取するのか。今後のこの同級生対決が見ものだ。
2011年05月26日 21:38
日刊埼玉西武ライオンズより重要なお知らせ
いつもご愛読いただき誠にありがとうございます。日刊埼玉西武ライオンズ筆者カズこと、太友加寿仁です。本日はブログよりお知らせがあります。僕はリトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーという野球関連の事業を運営しているのですが、現在東日本大震災にて被災された方への支援を行なっております。ですのでもしご縁がありましたら、日刊埼玉西武ライオンズ読者の皆様にも、ご協力いただければと思い、この記事を書かせていただいております。東日本大震災はご存知の通り、何もかもを奪い去ってしまいました。家族や家はもちろんのこと、野球少年や野球少女たちのグラブ、バット、ユニフォーム、スパイクなども津波によりすべて飲み込んで行きました。
リトルロックハートでは今後、売り上げの5%を浮島サザンカジュニアーズさんの取組みを介し毎月寄付して参ります。そしてリトルロックハートの事業を通り寄付していただいた野球用品を東北へと届けて行きたいと考えております。
全国の皆さんの温かい支援もあり、深刻な被災状況である一部の地域を除いては、グラブとバットはある程度足りてきているそうです。しかしユニフォームやシューズ、スパイクやヘルメットなどはまだまだまったく足りていません。そしてこれらは道具そのものを寄付していただくだけでは限界があります。ご自宅にグラブやバットは余っていても、ヘルメットやスパイクが余っているご家庭は少ないためです。
もちろん道具が余っているようならぜひ浮島サザンカジュニアーズさんを介し、寄付していただければと思います。そしてできるだけ早く東北の子どもたちが心置きなく野球を楽しむためには、やはり資金援助をいただけるとありがたいのが実情です。1人1000円でも、500円でも、100円でも構いません。ぜひ東北の野球少年・野球少女たちのために、浮島サザンカジュニアーズさんの活動をご支援ください。
なおご不明点などありましたら、浮島サザンカジュニアーズさん、もしくはリトルロックハートにお問合せください。
10年後のプロ野球は、今東北にいる野球少年・野球少女によって支えられているはずです。10年後のプロ野球を盛り上げるという意味でも、ぜひ今、東北の子どもたちに小さな支援をたくさんください!よろしくお願いします!
浮島サザンカジュニアーズ
リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリー
2011年05月26日 16:17
2011/05/25 広島vs埼玉西武1回戦
| 2:44 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ライオンズ | 0 | 1 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 5 | 13 | 1 | |
| カープ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 8 | 1 |
広島東洋カープvs埼玉西武ライオンズ1回戦
18:01開始 マツダスタジアム(観衆20,083人)
埼玉西武ライオンズ 1勝0敗0分
継投:涌井秀章
勝利投手:涌井秀章 3勝2敗 1.51
ホームラン:中村剛也(10)
盗塁:斉藤彰吾(6)
【ゲームレビュー】
ピッチャーによっては打つことによってリズムが掴める選手や、逆に打席に立つと投球のリズムが狂ってしまう選手がいる。恐らく涌井秀章投手は前者なのだろう。今日の試合も3回表、先頭打者として打席に立つとカウント1-1からの3球目、今村投手のスライダーを見事レフト前へと運んでいった。涌井投手は今年もやはり打撃でも魅せてくれた。
このヒットに気を良くしたからというわけではないだろうが、今夜の涌井投手は実にリズムが良かった。常に自分のリズムでピッチングができていたように見えた。9回を投げ抜いて8安打無失点の完封勝利。エースに相応しい実に堂々とした結果となった。3回を除くすべての回でランナーを背負ったのだが、しかし要所になると涌井投手は本領を発揮する。9回にこの試合初めて連打を許し一死三塁二塁のピンチを背負うと、そこからは二者連続三振でゲームセット。圧巻の締めくくりだった。
それにしても今夜は理想的な試合展開だったのではないだろうか。先制点、中押し点、ダメ押し点と加点して行き、カープに付け入る隙を与えなかった。しかもホームランによる得点は1点のみで、あとの4点はすべてタイムリーだ。しかも5点目はスクイズによる1点。ライオンズは重量打線であるためになかなかこのような技ありの1点を見ることはできない。しかし今夜は4点のリードがあり、涌井投手も心配なさそうだったため、スクイズにチャレンジすることができた。
先頭の坂田遼選手がストレートのフォアボールを選び、代走の斉藤彰吾選手が初球から盗塁成功。そして続く秋山翔吾選手の送りバントで一死三塁。そして打席には銀仁朗捕手。カウントは2-1。バッテリーとしてはどうしてもストライクが欲しいカウントだ。それを見越してのスクイズのサインだったわけだが、ライオンズベンチの思惑は外れてしまった。中田投手の投球はワンバウンドになった。これはスクイズ失敗かとも思われたが、銀仁朗捕手がガッツを見せ、ワンバウンドの投球を見事バットに当てた。ファールになれば儲けものという場面ではあったが、打球はフェアゾーンに転がりスクイズ成功!銀仁朗捕手の勝利への執念が感じられた場面だった。
144試合という長帳場を戦うにあたり、やはりホームランやヒットだけに頼る得点方法だけでは必ずシーズンのどこかで息切れしてしまう。しかし今夜の8回の1点のように、ノーヒットで1点を奪うまさに野球らしい、戦術による得点方法がオプションに加わることで、打線が全体的に停滞しても完封される可能性が低くなる。そういう意味では、今夜の8回の1点は今後大きな意味を持つのではないだろうか。注目すべきは「ノーヒット」で1点を奪ったという事実だ。
「ライオンズはスクイズをするチーム」ということを相手チームに印象付けられると、いくつかのメリットが生まれる。まず一番のメリットは相手チームが悩んでくれることだ。ライオンズが何をしてくるか分からないということで、相手チームが勝手に悩んでくれ、悩むことで瞬時の判断に遅れが生じる。敵のこの遅れは、当然ライオンズにとってはプラスに働く。そしてもう一つは、スクイズをするチームに対して内野陣はなかなか後ろに守ることができない。すると内野手間のヒットゾーンが少しずつ広がっていく。
やはり野球は戦術のスポーツだ。ホームランやヒットを打つばかりでは、チームはどうしても息切れを起こす。戦術による勝利があってこそチームの野球力は底上げされ、そして監督の求心力も高まっていく。そういう意味でも今夜の1勝、そして今夜の勝ち方はライオンズにとっては意味のあるものだったと筆者は確信している。
2011年05月25日 21:20
2011/05/24 阪神vs埼玉西武2回戦
| 3:34 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ライオンズ | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 8 | 0 | |
| タイガース | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | × | 5 | 12 | 0 |
阪神タイガースvs埼玉西武ライオンズ2回戦
18:03開始 甲子園(観衆27,323人)
埼玉西武ライオンズ 1勝1敗0分
継投:西口文也~星野智樹~平野将光~ ミンチェ~グラマン
敗戦投手:西口文也 1勝2敗 5.40
盗塁:片岡易之(10)
【ゲームレビュー】
立ち上がりの西口文也投手は上々だった。シングルヒットを打たれるもののそれで慌てることもなく、併殺打や連続三振で無失点で切り抜けた。3回までのピッチングならば、6回を2~3点以内に抑えてくれるだろうと思えた。しかし実際には4回途中でのノックアウト。一体西口投手に何が起こってしまったのか?
その答えは西口投手の言葉通り、「力み」だった。4回表、味方が2点を先制してくれたことで、西口投手はその2点を守りに行ってしまったのだ。守りに入ったピッチャーほど脆い存在はない。4回裏、西口投手には力みが生じ、ボールの切れは見る見る失われていった。先頭の新井貴選手にホームランを打たれると、続く金本選手を四球。そして城島・ブラゼル両選手には連打を浴びてしまった。
西口投手のボールに切れがなくなったことは、ブラゼル選手の打席を見れば一目瞭然だった。9球粘られた末の二塁打。8球目までは非常に丁寧なピッチングだった。2ストライクと追い込んでからは、アウトコースにシュートとスライダーを出し入れする長打警戒のピッチング。だが9球目、まるで集中力が途切れてしまったかのようにスライダーがど真ん中に入ってしまった。だがこれはファールになり命拾い。しかし10球目、アウトコースへのストレートを痛打されてしまった。
続く上本選手に四球を出したところでピッチャーは星野智樹投手にスイッチされた。結果的に西口投手はノックアウトという形になってしまったが、しかしこのノックアウトはある意味では防げたと筆者は考えている。確かにこの試合の西口投手のボールは、前回の試合と比べると少し球威は劣っていたと思う。だがブラゼル選手に対して見せたあの丁寧なピッチングさえできていたなら、4回の大量失点は防げていたはずだった。
西口投手は昔から、援護を受けるとピッチングが崩れてしまうという癖がある。特に大量援護をもらった試合に大量失点してしまうことが多かった。それはベンチも銀仁朗捕手も内野陣も分かっていたはずだ。それならば完全に西口投手に任せてしまうのではなく、チームメイトがしっかり西口投手の悪い癖をケアしてあげることができていれば、4回のような崩れ方はしなかったかもしれない。この点がやはり若い銀仁朗捕手、若い内野陣の弱点と言えるだろうか。
黄金時代のライオンズには大先輩に対しても「トンビ、しっかり投げろ!」と叱咤できる石毛宏典というチームリーダーがいた。そしてマウンドに行って「びびるな!」と投手の尻を叩ける伊東勤という名捕手の存在もあった。しかし今のライオンズの選手たちは良い意味でも悪い意味でも優し過ぎる。
ライオンズの応援歌には「強き者こそ優しくなれる」という歌詞があるが、今のライオンズは逆になってしまっている。優しくして勝とうとしているように筆者には見える。グラウンドを離れればそれでもいいのかもしれない。しかしグラウンド上では話は別だ。ある意味では先輩も後輩も関係ない。先輩投手がマウンド上でよろけていれば、「しっかりしてください!」と言えるリーダーがいなくてはならない。渡辺久信監督はその役目を片岡易之選手に担わせたいという思いを持っているようだ。しかし実際には明確に実現されてはいけない。
キャプテンへの思いを時々口にし、キャプテンになるのは自分だと考えている片岡易之選手。しかしそれが実現しないのは、筆者は中島裕之選手への遠慮ではないかと考えている。中島選手は今や押しも押されぬライオンズのナンバー1スタープレイヤーだ。そこで同じ歳である片岡選手にキャプテンを任せてしまうと、中島選手のプライドを傷つけてしまう可能性もある。渡辺監督はもしかすると、その点を危惧しているのかもしれない。だが最も大切なのは勝つことだ。勝ってこそ初めて優しさとなる。それがプロ野球だ。逆に優しさ前提で勝負を挑んでしまえば、それは負けた時の言い訳ともなりかねない。
強いチームには必ず求心力のあるキャプテンがいる。近年ライオンズが勝てそうで勝てないのは、やはり絶対的なキャプテンがいないためだと思う。グラウンド上でチームを1つにまとめあげるキャプテンの存在があれば、目を覆うような大型連敗もなくなるだろうし、先発ピッチャーが簡単にノックアウトされるという試合も減っていくはずだ。シーズン途中でのキャプテン襲名ということは考えにくい。だが今シーズンが終わった後、ライオンズにはキャプテンという存在を復活させて欲しいと筆者は願っている。
2011年05月25日 13:08
松坂大輔投手が右肘靭帯を痛めた理由
今夜は甲子園での阪神戦が雨天中止になったということで、先日いただいたリクエストに応えたいと思う。元ライオンズの投手で、現レッドソックス松坂大輔投手に関する記事だ。松坂投手は知っての通り、現在は右肘の靭帯損傷によりDL入りしている。今回のDL入りに関しては、ただ靭帯の損傷とだけ発表されており、さらなる詳細は我々ファンには分からない。そういう事情もあり今回は、筆者がパーソナルピッチングコーチという目線から、なぜ松坂投手は近年故障が多いのかを書き進めていこうと思う。松坂投手のフォームに関しては色々言われている。石毛宏典さんも「トップで左肩が上がり、右肩が下がっている」ことを指摘されている。これは石毛さんの仰る通り、身体にバネのある若い時なら通用するフォームだが、筋肉に柔軟性がなくなってくる30代の投手にとっては、決して良い投げ方であるとは言えない。だが松坂投手はこの投げ方にはこだわりを持っているのだろう。松坂投手ほど勉強熱心な投手であれば、この投げ方のメリット・デメリットは当然理解しているはずだ。デメリットを理解してなお採用するということは、松坂投手自身メリットに大きな魅力を見出しているのだと思う。
石毛さんのこの指摘が直接肘痛に関係しているかと問われれば、筆者は必ずしもそうではないと考えている。筆者が考える松坂投手の肘痛の原因は主に2つだ。1つはインステップ、もう1つは筋肉の大きさだ。
まずインステップについてだが、松坂投手は上げた左足をステップする際、つま先がホームプレートに対し真っ直ぐ向かず、やや右打席側に傾いている。このステップはボールに勢いを加えるためには有効だが、リリースしたあとのフォロースルーの可動域を狭めてしまうというデメリットがある。そしてプロ入り1年目の松坂投手と現在の松坂投手を比べると一目瞭然だが、筋肉の量がまるで違う。今は腕も強打者並みに太いし、大胸筋も投手とは思えないほど発達している。この太い腕に厚い胸板、これらもやはりフォロースルーの可動域を狭める大きな要因だ。そしてよくよく考えてみて欲しいのだが、プロ入り1年目の細い松坂投手と、現在の筋骨隆々の松坂投手とでは、最高球速にまったく変わりはない。つまりこれまでも何度か書いてきた通り、必要以上の筋肉は投手には必要なのだ。
さて、プロ入り1年目のフォロースルーと今のフォロースルーとでは、可動域の幅がまるで異なる。1年目は左腰にタッチできるほどしっかりとフォロースルーができているのだが、今は左の骨盤手前で止まってしまっている。しかもフォロースルーしている最中の手のひらが打者ではなく、自分の方を向いてしまっている。これが何を意味するのかは、ぜひ試してみてもらいたい。手のひらを自分の左腰に向けてフォロースルーの動作をすると、肘は曲がらないはずだ。逆に手のひらを打者方向に向けると、フォロースルーの方向に対し楽に肘が折れてくれる。
現在の松坂投手のようにフォロースルーで肘がロックされた状態になってしまうと、ボールを投げて余ったエネルギーが肘に停滞してしまい、その負荷は当然肘痛へと繋がる。先日涌井秀章投手が肘に違和感を覚えたのも、筆者はこれが原因だと見ている(西武HP、3月の涌井投手の壁紙の写真参照)。
フォロースルーでのこの肘の状態に加え、インステップと大きな筋肉による可動域の狭まり。これらがセットになってしまったことで、松坂投手の肘には過度なストレスが与えられてしまったというわけだ。今年のスプリングキャンプでは身体の調子は全体的には良いと話していただけに、今回のDLは残念で仕方がない。恐らくキャンプではなかった力みが、「今年こそは!」という思いから公式戦で出てしまったのだろう。
そして筆者はもう一点、松坂投手のピッチングモーションで気になる点がある。それは肘の高さだ。松坂投手はアマチュア時代からのスライダー投手であるため、年々肘が下がる傾向にある。それに加え、近年の松坂投手はボールをリリースする際、体幹がほとんど傾いていないのだ。筆者から見れば、今の松坂投手の投げ方はサイドスローにしか見えない(実際にはスリークォーター)。西武時代と比べると、それほど体幹の傾きがなくなり、肘の位置が不安定になってしまっている。これは2008年に右肩回旋筋腱板を痛めた原因にもなっているのではないだろうか。
体幹が一塁側に傾かなくなった原因は、恐らく股関節だろう。体幹の傾きは股関節の可動性と腹筋・背筋によって実現される。腹筋・背筋の強さには問題ないと思われるため、恐らく松坂投手自身が不安を抱いている股関節の影響なのだろう。だがその股関節も、インステップすることによりさらにロックしてしまう状態になっている。
もし筆者が松坂投手にアドバイスできる立場であるならば、まずインステップを諦めさせるだろう。インステップをストレートステップに変更すれば、股関節の可動性は高まり、フォロースルーの動きにも余裕が生まれる。そうすれば肘にかかるストレスも軽減させることができる。
今の松坂投手に必要なのは若い頃のような剛球ではなく、一年間フルに投げ続けられるだけのベストコンディションだ。松坂投手はレッドソックスに移籍して以来、5シーズン中4シーズンでDL入りをしている。まずはこの現状を打開しなくては、40歳まで現役で投げ続けることはできないだろう。
ちなみにインステップに関する補足だが、日本のような比較的柔らかい土質のマウンドならばそれほど問題にはならない。しかしメジャーのような粘土質のマウンドの場合、インステップは球威と引き換えにコントロールを乱すばかりではなく、足首と膝、股関節を痛める原因にもなりうる。松坂投手には、工藤公康投手の実働年数を越えて欲しいと筆者は願っている。しかしそのためにはインステップをストレートステップに変え、身体に負担の少ない投げ方にマイナーチェンジする必要があるのかもしれない。
今後松坂投手はセカンドオピニオンを受ける可能性があるらしいが、痛みを引き起こしている症状以上に、痛みを引き起こしたピッチングモーションの見直しを図ってもらいたい。右肘は今回だけではなく、西武時代にも何回か痛めている。肘痛は投げ方が悪い証拠とも言えるため、やはり松坂投手は今後なんらかの対応策を練らなければ、間違いなく現役生活を縮めてしまうことになるだろう。だが筆者はそうはなって欲しくない。松坂投手には日本人の代表として、まだまだアメリカで投げ続けて欲しい。だからこそ今回のDLをきっかけにし、身体に負担の少ないピッチングモーションにマイナーチェンジして、早期復活を果たしてもらいたいと切に願っている。
2011年05月23日 21:05
2011/05/22 阪神vs埼玉西武1回戦
| 3:34 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | R | H | E | |
| ライオンズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 7 | 0 | |
| タイガース | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | 1 |
阪神タイガースvs埼玉西武ライオンズ1回戦
14:05開始 甲子園(観衆46,874人)
埼玉西武ライオンズ 1勝0敗0分
継投:帆足和幸~グラマン~岡本篤志
勝利投手:グラマン 1勝1S 4.50
セーブ投手:岡本篤志 1敗4S 3.29
ホームラン:フェルナンデス(6号ソロ)
【ゲームレビュー】
超満員の甲子園での阪神戦、先発したサウスポーエース帆足和幸投手は本当に良く投げてくれた。いつものことながら、丁寧に丁寧に低目を付くピッチングは打者にジャストミートを許さない。6回こそ2本のヒットで1点を失ったものの、この時も決して連打は許さなかった。ただ、6回表にフェルナンデス選手の3試合連発弾で先制した直後の失点だっただけに、それだけが悔やまれた。しかし9回を106球で投げ抜き、1失点に抑えるピッチングは見事だった。勝ち星を付けてあげられなかったのが本当に残念でならない。
好投した帆足投手にも、9回裏はさすがに冷や冷やさせられた。先頭の代打関本選手にヒットを打たれると、1番俊介選手が犠打。ここで小野コーチがマウンドに行って伝えた作戦は敬遠だった。帆足投手から2安打を放っている好調平野選手を歩かせ一死二塁一塁。そして今日は凡打の内容があまり芳しくないマートン選手との勝負。しかしこの場面はまさに肝を冷やされる思いだった。初球、帆足投手が投じたストレートは吸い込まれるようにしてほぼど真ん中に入った。筆者はその瞬間、サヨナラ負けを覚悟した。だが今のライオンズにはツキが戻って来ている。マートン選手のライトへの当たりはシングルヒットで留まり、二塁走者も本塁を突くことができなかった。
もしこの場面、経験の浅い若い投手だったら浮き足立っていたかもしれない。しかし帆足投手は一打サヨナラのこの場面に於いても落ち着いていた。むしろ浮き足立っていたのは応援していた筆者の方だった。一死満塁、絶体絶命のピンチ。帆足投手は後続の新井兄弟を揃って凡打に仕留めた。見事と言うより他ならないピッチングだった。
その帆足投手の好投に応えるべく、10回にマウンドに登ったグラマン投手もパーフェクトリリーフ。チェンジアップで三振を奪うなど、危なげない落ち着いた内容だった。まだまだ日によってばらつきのあるグラマン投手だが、今日のリリーフは素晴しかった。
そして迎えた11回表。先頭の栗山巧選手が倒れた後、中島裕之選手がヒットで出塁。そして中村剛也選手の打席で小林投手はフォークボールをワイルドピッチし、中島選手は労せず二塁へ進むと、中村選手のショートゴロの間に三進し、迎える打者は好調のフェルナンデス選手。しかしここで阪神ベンチが選んだ作戦は敬遠だった。だが好調フェルナンデス選手が歩かされても、ライオンズにはまだこの男がいる。元阪神の選手でもあり新婚でもある平尾博嗣選手だ。場面は二死三塁一塁。
元千葉ロッテである小林投手も、平尾選手の勝負強さはよく分かっていたようだ。最終的には3-2というカウントに持っていくも、最初の3球はストレートがすべてボールとなった。3-1から4球連続ファールで粘ったあとの9球目、徐々にタイミングも合って行った平尾選手の打球はライナーでレフト前に飛んでいった。中島選手は悠々ホームインし、フェルナンデス選手の代走斉藤彰吾選手も一気に三塁を陥れた。平尾選手の今季初ヒットは、結婚後初ヒットともなり、チームを救う大きな決勝タイムリーヒットとなった!
1ー2と勝ち越した11回裏、マウンドに登ったのは岡本篤志投手だ。だが先日の乱調を引きずっているかのように、先頭の代打桧山選手に初球甘く入ったストレートをセンター前に運ばれてしまった。しかし続く代打林選手を併殺に打ち取り、一気に二死。迎える打者は好調平野選手。だが警戒したのだろうか、まさかのストレートのフォアボール。すべてギリギリのボールだったとは言え、嫌な形でまたランナーを出してしまった。そして迎えたのは3番マートン選手。初球のスライダーがかなり甘いところに入ってしまったのだが、それを打ち損じてくれてセンタフライ、ゲームセット!
延長戦、そして1点差ゲームに弱いと言われ続けているライオンズが1点差の延長戦を制した。この勝利は本当に大きな1勝になるような気がする。交流戦とは言え、下位チームに取りこぼしをしないというのは優勝するための鉄則だ。今日勝ったことで、明日の先発が予想される涌井秀章投手で連勝できる可能性が高まった。あとは今夜のナイトゲームで上位3チームがセに敗れるようなことがあれば、追撃態勢は一気に整うことになる。まだまだ始まったばかりだが、ライオンズにはこのままの勢いで今季こそ交流戦Vを達成してもらいたい!
2011年05月22日 17:50
2011/05/21 埼玉西武vs中日2回戦
| 3:31 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
| ドラゴンズ | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 4 | 7 | 1 | |
| ライオンズ | 0 | 0 | 5 | 5 | 0 | 2 | 0 | 1 | × | 13 | 15 | 1 |
13:01開始 西武ドーム(観衆:28,205人)
埼玉西武ライオンズ 1勝1敗0分
継投:○岸孝之~平野将光~星野智樹~ミンチェ
勝利投手:岸孝之 1勝1敗 2.45
ホームラン:中島裕之(5号満塁、6号2ラン)、フェルナンデス(5号2ラン)、中村剛也(8号2ラン、9号ソロ)
盗塁:斉藤彰吾(4、5)
【中村剛也・屋根直撃弾】
【中島裕之・満塁弾】
【ゲームレビュー】
今日の先発マウンドに立ったのは復帰2戦目となる岸孝之投手だった。結果的には5回を95球、5安打1失点(自責1)でしっかりと試合を作ったわけだが、筆者の目には今日の岸投手は良さそうには見えなかった。コントロールには細心の注意を払っているように感じたのだが、ストレートに岸投手らしい切れがいまいち感じられなかった。4回に右ふくらはぎをつってしまったが、これは左足をレッグレイズさせた時、右股関節に上手く体重を乗せられていなかったためだと筆者は見ている。右股関節に体重が乗り切らないために、身体のバランスではなく、ふくらはぎなどの筋力で身体を支えなければならなくなる。そしてストレートに岸投手らしさが感じられなかったのも、渡辺監督がまるで昨日の継投失敗を反省するかのように早めのスイッチをしたのも、この点が要因となっていたのではないだろうか。
さて、岸投手の話はさておき、今日は打線が凄まじかった。中島裕之選手と中村剛也選手にアベックおかわり弾が飛び出し、フェルナンデス選手にも2試合連発弾が飛び出した。15安打13点、非常に効率の良いつながりのある攻撃となった。中日の先発山井投手の不調もあったのかもしれないが、3回に山井投手が出した3人の四球走者は、全員が生還している。相手にもらったチャンスをしっかりと活かすというのは、勝利への1つの鉄則だ。さらにはホームランだけの得点ではなく、栗山巧選手と斉藤彰吾選手にタイムリーヒットが飛び出したのも良かった(斉藤選手はプロ初ヒット)。やはりヒットを繋いで得点するというシチュエーションがないと、打線はなかなか翌日へと繋がっていかない。そういう意味で、この2本のタイムリーヒットは価値あるものだったと筆者は感じている。
ライオンズには5本のホームランが飛び出したわけだが、打ったボールはすべて中日の捕手が構えるミットよりも高いところへ行っていた。低反発球になったとは言え、やはりボールが甘くなれば簡単にスタンドインしてしまう。これはライオンズの投手陣は反面教師にすべき点だった。しかしリリーフで登場した平野将光投手はあっさりと和田一浩選手にホームランを許し、最終回に登場したミンチェ投手もブランコ選手にホームランを喫している。平野投手は実績的に仕方ないと見ることもまだできるが、しかし点差があったとは言え、9回に登場したピッチャーが簡単にホームランを打たれていてはいけない。ミンチェ投手は恐らく今後は、今まで以上に厳しい場面で登場する機会が増えるはずだ。その時に備え、9回を抑え慣れておく必要がある。ただミンチェ投手も平野投手も、ソロホームラン1本の被弾のみで終わったことは良かったと思う。もしずるずると連打を浴びてしまったら、また昨日のような展開にもなりかねないところだった。そういう意味では星野智樹投手を含め、3投手ともナイスピッチングだったと思う。
今日の勝利により、ライオンズは交流戦2位に再浮上し、交流戦でのチーム打率.321は2位ホークスの.275を大きく引き離す打率だ。防御率も3.00と決して悪くはない。最近10試合の戦いを見ても7勝3敗ペースを保っている。この流れで戦い続ければ、交流戦が終わる頃には間違いなくリーグ上位に食い込んでいるはずだ。明日からは交流戦11位の阪神との対戦。波に乗っていないチームを踏み台にし、明日からまた連勝街道をひた進んでいってもらいたい!
2011年05月22日 00:23

