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2011/04/29 北海道日本ハムvs埼玉西武3回戦

2:26
ライオンズ
ファイターズ

北海道日本ハムファイターズvs埼玉西武ライオンズ3回戦
埼玉西武ライオンズ 2勝1敗0分
18:01開始 札幌ドーム(観衆:25,287人)

継投:●牧田和久グラマン - 銀仁朗上本達之
敗戦投手:牧田和久 2敗 2.78

盗塁:片岡易之(3)
失策:秋山翔吾(2)、銀仁朗(1)


【ゲームレビュー】 牧田和久投手はプロ3戦目となる今日も好投を見せてくれた。防御率だけを見れば、本当に今ライオンズの中で最も安定感のあるピッチャーが牧田投手だと言えるだろう。ではなぜ牧田投手はここまで安定したピッチングを続けているのだろうか?ここ3試合を見ている限り、一番調子が良さそうだったのは今夜かな、という印象を筆者は受けた。変化球の切れも、コントロールも良かった。

アンダースローという希少性から打たれにくいということももちろんあるだろう。千葉ロッテの渡辺俊介投手もやはり、それで抑えられていた部分は多々あったと思う。同じサブマリンである牧田投手も、そういう恩恵は少なからず受けている。だが当然だがそれだけではない。渡辺投手にしろ、牧田投手にしろ、それだけではないからこそこれほど安定したピッチングができているのだ。では牧田投手はどの点が優れているのか?

まず、投球術というものを少し考えて行きたいと思う。投球術とは、ボールを投げて打者を打ち取るための技術だ。速いボールを投げることやすごい変化球を投げるといった「技能」とは少し意味合いが違う。例えば160kmという剛速球を投げられる技能があったとしても、それだけでは打者を打ち取ることはできない。だがストレートのMAXが130kmであっても「投球術」があれば打者を打ち取ることができる。では投球術とは?

投球術という言葉を筆者が簡潔に説明するならば、それはストライクゾーンの使い方だ。つまり左右・上下・前後の6面あるストライクゾーンをどれだけ巧く使えるかということだ。

例えば2球続けて同じコースにボールを投げるとする。だが1球目は110kmで投げ、2球目を130kmで投げれば、打者の目に2球目は快速球として映るというわけだ。逆に先に130kmを投げて、2球目を110kmで投げれば、2球目は非常に遅く感じ、ボールを待ち切れずにバットを振り出してしまう。これは新幹線に乗った後、各駅停車に乗り換えた時の感覚によく似ている。または、一般道を走っていた後に高速道路に入ると、周りの車が異様に速く感じられることにも似ている。

つまり投球術とは、遅いボールをより遅く見せる。速いボールをより速く見せる。外のボールをより遠く見せる。内角のボールをより近く見せる。高めのボールをより高く見せる。低めのボールをより低く見せる。これが投球術だ。そしてこの投球術を引き出すのが捕手の最大の責任でもある。今夜の銀仁朗捕手のリードは、非常に巧かったと筆者は感じた。さすがに正捕手ともなるとリードに安定感が見えてくる。内外にしろ緩急にしろ、ほとんど打者に的を絞らせることをさせなかった。そしてその銀仁朗捕手のリードに、牧田投手はしっかりと応えていた。コントロールにしてもほぼ銀仁朗捕手の要求通りの場所に定まっていた。

ただ、終盤に差し掛かると牧田投手のボールは少しずつ高くなってしまった。ビッグイニングには至らなかったが、5回6回8回の後半は立て続けに長打を浴びてしまった。低めに投げなければならないボールが高めに行ってしまうと、やはり1軍レベルの打者はしっかり対応してくる。その怖さは牧田投手自身、マウンド上で感じているのではないだろうか。今夜も好投しながら勝ち投手になることはできなかったが、長いシーズンでは必ず逆のことも起きて来る。打ち込まれたとしても、打線の援護で勝ち投手になれることもある。ルーキーを援護できないのは打撃陣としても非常に悔しい思いをしているはずだ。だが今は堪えるしかない。何とか西武ドームに帰るまで堪えて欲しい。

さて、今季は渡辺久信監督の采配が非常に冴えている。先日の阿部真宏選手の代打起用や、そして今夜の佐藤友亮選手の守備起用。7回裏のピンチ、もしレフトをブラウン選手から佐藤選手に代えていなければ、ビッグイニングになっていた可能性もあった。しかし佐藤選手のファインプレーにより、7回を無失点で終えることができた。

今夜はもう1つ守備での好プレーを見ることができた。いや、好プレーと言うよりはトリックプレーと言った方が正確だろう。場面は6回裏、一死二塁・一塁で3番糸井選手を迎えたシーンだった。糸井選手の打球はセンター方向にグングン伸びていった。センターの栗山巧選手は打球を追うと、フェンスの前で足を止め、捕球姿勢に入った。誰もがセンターフライだと思った。このプレーを見た瞬間、筆者は栗山選手の外野手としての成長に感動を覚えた。結果に結びつかなかったのは少し残念ではあったが、しかし栗山選手が初めて見せた大胆なトリックプレーには、拍手を送りたい気分だった。

簡単に説明をすると、栗山選手は捕球する振りを見せることにより、ランナー2人にもセンターフライだと思わせようとしたのだ。これがもし成功していれば、一死であるためランナーはそれぞれ帰塁しなければならない。するとこれがヒットになったとしても、二塁から生還することは難しくなる。あわよくば二塁で一塁ランナーを封殺できる可能性も出てくる。栗山選手はそれを狙ったわけだが、今回は残念ながら成功はしなかった。だが今回栗山選手がこのようなトリックプレーを見せたことにより、他球団も栗山選手へのセンターフライを少し考えるようになるだろう。そうなれば、一瞬の判断が遅れてしまう可能性も出てくる。成功しなかったとは言え、今後に向けて意味のある1プレーだったと筆者は感じた。

野球ファンならこの栗山選手のプレーを見て、イチロー選手を思い出したはずだ。これはイチロー選手が時々見せるトリックプレーの1つだ。トリックプレーは取れないアウトを取れる可能性を生むだけではなく、アウトが取れなくても相手チームに考えさせるという意味では、以後に大きな意味を与えることがある。そういう意味では今夜の栗山選手の1プレーは、まさにパ・リーグを代表する外野手の好プレーだったと思う。試合に敗れてしまったことはとても残念だが、しかし今夜は牧田・銀仁朗バッテリー、佐藤友亮選手、栗山巧選手に本当に良い野球を見せてもらえた。筆者にとっては明日も試合が楽しみに思える夜になった。

2011年04月29日 20:33

中村剛也ホームランの奇跡2011 / 1~10号

第6号ソロホームラン/4月24日(日)
試合 Bs5-3L
球場 京セラドーム
対戦相手 オリックスバファローズ3回戦
対戦投手 岸田護投手
球種 外角高めストレート(142km)
打った場所 左中間最前列

第5号ソロホームラン/4月23日(土)
試合 Bs0-4L
球場 京セラドーム
対戦相手 オリックスバファローズ2回戦
対戦投手 小林雅英投手
球種 真ん中外よりのシュート(138km)
打った場所 左中間最前列

第4号ソロホームラン/4月17日(日)
試合 H10×-8L
球場 ヤフードーム
対戦相手 福岡ソフトバンクホークス3回戦
対戦投手 岩崎翔投手(崎の字は山かんむりに立・可)
球種 真ん中付近に入ったスライダー(129km)
打った場所 レフトスタンド中段

第3号3ランホームラン(今季初おかわり)/4月16日(土)
試合 H4-9L
球場 ヤフードーム
対戦相手 福岡ソフトバンクホークス2回戦
対戦投手 攝津正投手
球種 真ん中やや低めスライダー(133km)
打った場所 レフトスタンド中段
第2号3ランホームラン/4月16日(土)
試合 H4-9L
球場 ヤフードーム
対戦相手 福岡ソフトバンクホークス2回戦
対戦投手 攝津正投手
球種 内角高めカーブ(109km)
打った場所 レフトスタンド最前列

第1号ソロホームラン/4月15日(土)
試合 H3×-2L
球場 ヤフードーム
対戦相手 福岡ソフトバンクホークス1回戦
対戦投手 杉内俊哉投手
球種 真ん中やや低めストレート(141km)
打った場所 左中間スタンド

2011年04月28日 15:48

2011/04/26 埼玉西武vs東北楽天1回戦

2:57
イーグルス
ライオンズ

埼玉西武ライオンズvs東北楽天ゴールデンイーグス1回戦
埼玉西武ライオンズ 0勝1敗0分
18:00開始 皇子山(観衆:14,991人)

継投:●涌井秀章 - 銀仁朗上本達之
敗戦投手:涌井秀章 1勝2敗 2.25
涌井投手、2戦連続の2-0での敗戦。


【ゲームレビュー】
今日の涌井秀章投手は、絶好調ではないが状態は良かったと思う。ストレートにも変化球にも切れがあった。だがそれでも筆者が絶好調だと感じなかった理由は、切れのあるストレートに「凄み」を感じなかったためだ。絶好調の時の涌井投手のストレートには凄みがある。ストレートの力で、バットを押し返す凄みがあるのだ。だが今日の涌井投手のストレートにはその凄みがなかった。調子は良いと思うのだが、まだ絶好調とは言えないだろう。

ではなぜ凄みが出ていなかったのか。筆者が思うに、それは順序を逆にしてしまったからだと思う。ピッチャーは良い球投げて、それで結果的に抑えるという順序が理想だ。だが今日の涌井投手は昨日からのコメントの通り、苦手なルイーズ選手を気にするあまり、まず良い球を投げるというのではなく、打者を抑えたいということが先になってしまっていたように思う。そしてそれを意識してしまうことで、勝負どころでボールが思うような場所に行かなかった。2回に浴びた当たりそこないの3連打がまさにそれを象徴していた。

だが結果だけを見れば9回まで投げて2失点だ。相手の岩隈投手には適わなかったものの、先発投手としては十分な働きだったと思う。2回の不運な2失点(自責1)を除けば、それ以降は散発の2安打のみで無失点。エースとしては相手投手に投げ負ける悔しい敗戦となってしまったが、投球内容としては決して悪くはなかった。しいて言えば、完璧な投球を見せてくれた岩隈投手という相手が悪かっただけだ。

涌井投手は、平均するとだいたい3球に1球の割合でストレートを投げる(昨季は34%)。だが今夜はそのストレートの割合が少なかったように筆者は感じた。実際に数えたわけではないため正確なことは言えないのだが、まず序盤、ストレートが抜けることが多かった。球速こそ140km台中盤が出ていたが、かなりの確率で抜けていた。それも回を重ねるごとに修正はできていたのだが、序盤の抜け方を見て、銀仁朗捕手が変化球多めの配球をしたのかもしれない。

ただ気になったのは、8回からキャッチャーが銀仁朗捕手から上本達之捕手に代わった後だった。2イニングを無失点にしっかり抑えているとは言え、涌井投手が首を振る回数が増えた。ピッチャーがエースクラスになると、自らの投球術を持っている。涌井投手も当然それは持っている。ということは、キャッチャーはその投手の投球術を把握した上でリードしなくてはならない。だが涌井投手が上本捕手に何度も首を振ったということは、それだけ上本捕手が涌井投手の投球術を把握し切れていないということなのかもしれない。もちろん銀仁朗捕手が相手でも首を振る時は振るのだが、しかし一度に振る回数が上本捕手に対しての方が多い。これは今後、勝負どころで涌井-上本バッテリーになった時にやや不安を感じてしまう。こういう行き違いは、ピッチャーのリズムを崩してしまうことが多々あるのだ。

実は涌井投手は、地方球場をあまり得意とはしていない。地方球場はマウンドの傾斜がゆるい場合が多く、これはストレートで押せるタイプの投手にはあまり向かないマウンドとなる。そのような事情もあり、今夜はストレートが抜けてしまったのかもしれない。そして傾斜のゆるいマウンドを上手く利用し、変化球を多投した、とも考えられる。

特に5回、鉄平選手を空振りの三振に仕留めた104kmのカーブだが、これはまさに傾斜のゆるいマウンドを利用したカーブだった。スローカーブは通常、ストレートよりも肘をやや高くし、腕を柔らかく使って投げる球種なのだが、このボールを投げた時の涌井投手の肘は、ストレートよりも若干下がっていた。言い方を変えれば、スライダーの投げ方でスローカーブを投げていた。これは東京ドームのような傾斜のきついマウンドではできない投げ方だ。この辺りの柔軟さは、さすがは球界を代表するエース格だ。とは言え今夜の試合で涌井投手は1勝2敗となってしまった。エースとして負け越しというのは屈辱だと思う。しかし打線が奮わない今は、とにかくエースとして我慢の投球を続けるしかない。好投を続けていれば、必ず打線もそれに応えてくれるようになるはずだ。

さて、話は変わって今季初の9回裏の攻撃、場面は二死二塁・一塁。今季試合を観ていてここまでドキドキした場面は、筆者にとっては初めてだった。7番の高山久選手に送られた代打は阿部真宏選手だった。これは渡辺久信監督の采配の妙だった。筆者はここは昨季岩隈投手からホームランを放っているブラウン選手を送るのではと予想していた。だが楽天バッテリーの心理状態を考えると、ここは穴のあるブラウン選手よりも球数を投げさせられる阿部選手だったのだろう。そして阿部選手はその期待に見事に応え、3-2からフォアボールを選んだ。

そして迎えるバッターは上本捕手。先日のミスを取り返すにはここしかない、と言った雰囲気の場面だった。渡辺監督も上本捕手の男気に賭けたのだろう。だからこそ一打で決められるブラウン選手ではなく、阿部選手を起用して上本捕手の打順に繋げさせたのだと思う。結果的にはファーストゴロに打ち取られてしまったが、初球の空振りには上本捕手の気合が感じられた。結果が伴わなかったのは残念ではあるが、しかし気持ちは感じることができた。ライオンズはまだしばらくは厳しい戦いが続きそうだが、打線が奮わないこの時期だからこそ、上本捕手にはその打棒でチームに貢献してもらいたいと思う。

今季初のホームゲーム(滋賀・皇子山球場)は落としてしまったが、しかしシーズンはまだまだ続く。今夜の敗戦はひとまず忘れ、明日勝つことに全力を尽くしてもらいたい。勝利への執念を、少しでも皇子山まで足を運んでいる西武ファンに見せてあげて欲しい!今夜も、いつもは西武ドームで見られる応援ボードが皇子山のスタンドに掲げられていた。埼玉から皇子山まで応援をしに行っているファンのためには、明日は何としても勝利を挙げて欲しいと筆者は願っている!

2011年04月26日 20:10

日刊西武の『RONSPO』掲載記事全文公開!

3月19日に発売された『RONSPO vol.9 ~4月増刊号~』。たくさんの方に読んでいただきとても嬉しく思っています。本屋さんを覗いても発売1ヵ月を過ぎた頃には、山積みされていた『RONSPO』はほとんど売り切れている状態でした。さて、その『RONSPO』も売切れ出したということで、筆者の掲載記事の全文を公開してしまおうと思います!

実は『RONSPO』そのものでは、予定当初の掲載スペースから縮小されてしまったという裏事情もあり、非常に短い文しか掲載されませんでした。とは言え、掲載していただいた『RONSPO』さんには感謝しています。ここで改めて御礼を伝えたいと思います。担当者してくださったスタッフさん、本当にありがとうございます!そして次回もよろしくお願いします!(笑)

その掲載記事、実は全文はもっと長かったんです。それを本日解禁いたします!いつものコラムやゲームレビューとは少し趣向の違った文面ですが、本日は試合もなかったということでぜひお楽しみください。

『RONSPO』日刊埼玉西武ライオンズ掲載記事ノーカット版

野球の神様は、試練を乗り越えられる男にしか試練は与えない。試練を与えられた栗山巧という選手は、そういう意味では野球の神様に気に入られた選手だと言える。2008年には不動の2番打者に定着し、リーグ最多安打を記録してチームの日本一に貢献した。だが2009年にはオープン戦を打率.400で終えながら、開幕すると21打席連続ノーヒットというスランプに苦しんだ。さらに翌2010年には中島裕之選手・中村剛也選手・片岡易之選手らが次々と故障で離脱していく苦しいチーム状況の中、ライオンズでは唯一栗山巧選手だけが全試合フルイニング出場を果たした。ライオンズの外野手としては史上初の快挙だった。故障者たちに代わり、自身初の3・4番をもしっかりと勤め上げ、.310というハイアベレージを残してシーズンを終えた。

今季はさらなる飛躍が望まれるシーズンとなるはずだった。2010年にベストナイン、ゴールデングラブ賞に輝くことで、リーグの代表とも呼べる選手にも成長した。だが野球選手の正月とも言える2月1日、春季キャンプ初日、栗山選手は左慢性副鼻腔炎(蓄膿)を患い手術を行った。術後は一週間の入院と、さらに一週間の安静を強いられることになる。1軍に合流できるのは、早くてもオープン戦が開幕した後となるだろう。野球の神様はまたしても栗山選手に大きな試練を与えた。

だが過去、栗山選手はことごとく試練を跳ね除けている。開幕21打席ノーヒットに苦しんだ2009年は、前半戦は打率1割台を行き来していたにも関わらず、最終的には.267まで打率を上げた。そして故障者が相次ぎ、流動的な打順で打たされた昨季もチーム状況にほとんど影響されることなく、見事.310という素晴らしい成績を残した。だから今季もきっとやってくれるはずだ。そしてそれを確信したからこそ、野球の神様は三度栗山選手に試練を与えたのだろう。しかし今回の試練は今までとは少し違う。今回はオフに入籍したばかりの夫人と共に迎える初めてのシーズンだ。二人三脚で立ち向かえばこの程度の試練、大きな痛手にはならないはずだ。

栗山選手は昨年のあるインタビューで、いつかはクリーンナップを打ちたいと明言していた。昨季、それは図らずも実現したわけだが、しかし実力で勝ち取ったクリーンナップではなく、あくまでも代役としてのクリーンナップだった。ライオンズには今季、中島・中村・フェルナンデス・ブラウンという4人のクリーンナップ候補がいる。栗山選手が彼らを押し退けてクリーンナップを打つということは並大抵のことではない。だがそれでも栗山選手がクリーンナップを奪取することができれば、ライオンズ打線はもはや手の付けられないほどの破壊力を得ることになるだろう。だからこそ筆者は栗山選手にクリーンナップを奪取してもらいたいのだ。

アーリーワークを含め、チームで一番多く練習するのが栗山選手だ。結婚する数年前には、野球が疎かになるかもしれないという理由でまだ結婚はしないと宣言したほどの練習の虫だ。家に帰ってやることと言って、迷わず素振りと答えるのが栗山選手なのだ。1軍デビューし立ての頃は、とても1軍とは思えない外野の守備でファンから罵声を浴びていた栗山選手が、その僅か5年後にはリーグを代表する外野手に成長した。この成長は、栗山選手の尋常ではない努力をなくしてはとても考えることはできない。

栗山選手がクリーンナップを目指しているのは、今季はホームランの数にこだわりを見せている点からも伺うことができる。昨季は僅か4本に終わったホームランを、今季は20本ほどに増やそうとしているようだ。確かに4ホームランでクリーンナップを目指すのでは、少し寂しさを感じる。クリーンナップを打つならばやはり打率は3割を越し、ホームランは20本以上、そして打点は昨年を上回る75打点以上を挙げてもらいたい。さらにはベストナイン、ゴールデングラブ賞を連続受賞し、パ・リーグを代表する不動の外野手として、ライオンズが誇るノーリミット打線のクリーンナップを打ってもらいたい。それだけのことを今季、筆者は栗山選手に期待している。

栗山選手が今季のうちに3~5番を奪取するのか、はたまたライオンズでは2番からをクリーンナップカルテットと呼ぶのかは定かではない。だが春季キャンプ早々に大きな試練を与えられた栗山選手がそれに打ち勝ち、本家クリーンナップを脅かす存在にならない限りは、ライオンズのV奪回は遠のくばかりだ。そして逆の見方をすれば、栗山選手が活躍してこそライオンズのV奪回が近づくと筆者は考えている。だからこそ今季、ライオンズの中で筆者が最も期待したいのは栗山巧選手なのだ。そして栗山選手ならば野球の神様に与えられた試練にきっと打ち勝ち、ライオンズに勝利の女神を振り向かせることができるはずなのだ。

2011年04月25日 23:21

2011/04/24 オリックスvs埼玉西武3回戦

3:08 R H E
ライオンズ
バファローズ ×
オリックスバファローズvs埼玉西武ライオンズ3回戦
埼玉西武ライオンズ 1勝2敗0分
13:00開始 京セラドーム(観衆:23,270人)

継投:●平野将光藤田太陽ミンチェ
敗戦投手:平野将光 1敗 4.82

ホームラン:中村剛也(6号ソロ)
【6回裏、北川選手のバント場面】


【中村剛也選手の6号ソロ】


【ゲームレビュー】
エラーやミスは仕方がない。例えば一生懸命打球を追って行ったが、ギリギリのところでボールがグラブからこぼれてしまったり、紙一重で悪送球になってしまったり。ボールを握っている限り、そこにはエラーは付き物だ。プロ野球のチームであっても、年間を通せばかなり多い数のエラーを記録している。だがボーンヘッドとなると話は別だ。渡辺久信監督もこのプレーには怒りを顕にしている。チーム状態が悪い今、絶対に出てはならないボーンヘッドだった。

場面は6回裏。ここまで無失点ピッチングを続けてきた平野将光投手が、内野安打と四球で無死二塁・一塁というピンチを招いてしまう。迎えるバッターは5番北川選手。オリックス岡田監督が選んだ作戦は送りバントだった。北川選手は見事に送りバントを決め、打球は平野投手が処理し、ファーストの浅村栄斗選手に送られた。場面は一死三塁・二塁になるはずだった。

浅村選手は一塁で刺殺を取るや否や、慌ててボールを転送しようとした。だがその先には誰もいなかった。ホームががら空きになっていたことで、二塁走者だった後藤選手が送りバントで三塁に進み、そこから一気に生還してしまったのだった。これはミスでもエラーでもない。上本達之捕手のボーンヘッドだ。

北川選手のバントが転がった際、平野投手と上本捕手は同時に打球を追った。この時実際に打球を処理をしたのは平野投手だった。上本捕手は平野投手に対し一塁への転送を指示すると、なぜかそのままマウンド方向へ流れてしまっている。これは捕手としての基本プレーができていない証拠だ。今季は銀仁朗捕手が正捕手を務めるライオンズだが、銀仁朗捕手はこのようなプレーにおいても機敏だ。今季も似たような場面が過去にあったわけだが、銀仁朗捕手は投手に一塁への転送を指示すると、自らは即座に三塁線を経由して走者のホームへの行方を閉ざしている。

この送りバントの場面、ライオンズ内野陣の脆さが完全に浮き彫りになってしまった。つまり銀仁朗捕手に代わって捕手に入っていた上本捕手と、一塁を守っていた浅村選手だ。浅村選手に関しては、慣れないポジションということもあり、一塁手の動きがまだできていない。今季も何度か似たような場面が見られたのだが、相手が完全に送りバントをしようとしている場面で、あまりチャージをかけられていないのだ。

北川選手のバントもきれいに決められてしまったわけだが、もし浅村選手が通常の一塁手のような猛チャージをかけられていれば、ここまで楽にバントを決められるということもなかったかもしれない。もちろんこれは結果論に過ぎないわけだが、打撃に思い切りの良さがあるだけに、浅村選手には守備でも失敗を恐れず思い切りの良いプレーを見せてもらいたいと筆者は思っている。そして上本捕手に関しても、次の出場ではこのミスをしっかりと取り戻してもらいたい!

暗い話で記事を終わるのも寂しいので、最後は打線の話もしておきたい。開幕以来なかなか調子の上がってこなかった片岡易之選手だが、凡打の内容が少しずつ良くなってきている。右方向への打球が増えてきたということは、基本的にはボールをしっかりと呼び込めるようになってきたと見て良いのではないだろうか。この試合でもライトフライ、ショートゴロ、ライトへの二塁打と、三振以外では右方向への打球の方が多い。まだ開幕して2週間。しかもヒットがまったく出ていなかったわけでもないので、今後も片岡選手に関してはそれほど心配する必要はないのではないだろうか。実績のある選手なのだから、必ず状態を上げてきてくれるはずだ。

2011年04月25日 13:47

2011/04/23 オリックスvs埼玉西武2回戦

3:05
ライオンズ 10
バファローズ

オリックスバファローズvs埼玉西武ライオンズ2回戦
埼玉西武ライオンズ 1勝1敗
14:00開始 京セラドーム(観衆:25,562人)

継投:○石井一久岡本篤志シコースキー
勝利投手:石井一久 1勝 3.24

ホームラン:中村剛也(5号ソロ)、フェルナンデス(2号ソロ)
盗塁:斉藤彰吾(1)


【ゲームレビュー】
テレビ中継を見ていると、実況や解説者たちはしきりに統一球のことをコメントする。確かに昨年までのボールと比べると反発力が低くなり、ボールは飛ばなくなった。だがこれは野球にとってマイナスではなく、プラスだと筆者は考える。いや、厳密にはプラスではなく、本来の野球の姿に戻ろうとしていると言った方が正しいかもしれない。昨年までのボール、さらには数年前に使用されていたボールは、とにかく反発力が高過ぎて本来の野球の姿を失いつつあった。

そもそも高反発球はなぜ導入されることになったのか?様々な説があるが、その内の1つには一部オーナーたちの思惑だと言われている。つまり「ホームランがたくさん出れば、客は増える」、そう考えたのだ。この考え方は80年代にメジャーリーグのオーナーの一部の間でも囁かれていたのだが、しかしメジャーリーグでは日本のような明らかな高反発球が導入されることはなかった。

そもそも高反発球や低反発球とはどんなボールなのか?低反発枕や低反発マットという寝具をご利用されている方は多いと思うが、原理はよく似ている。低反発球は、ボールがへこんだ時に元の形に戻ろうとする力が弱い。つまり弾力がないということだ。一方高反発球はへこんだ時の元に戻ろうとする力が強いため、ボールがよく弾む。これが打球の飛距離が伸びるか伸びないかの違いとなる。

だが技術の高い打者にとって、ボールの質はまったく関係ない。今季はヒットやホームランが減ると騒がれているが、減るのはバットの芯で打てていないホームランやヒットだ。つまり今日5号ホームランを放った中村剛也選手の言う通り、芯を食えばボールの質などまったく関係ないのだ。

現に王貞治選手の時代と比べてみよう。王選手や長嶋茂雄選手、ライオンズで言えばポンちゃんこと故大下弘選手や怪童・中西太選手が活躍した頃のボールは、今とは比べられないくらい劣悪なものだった。低反発球というどころか、超低反発球だった。

物理学的観点から解説をすると、140kmのストレートを4番打者がジャストミートした時、1/1000秒ほどの間、ボールは半分近くまで潰れてしまう。だが1/1000秒という短い時間であるため、カメラやビデオでその様子が撮影されることはまずない。しかし王選手や長嶋選手がジャストミートした瞬間の昔の写真を探してみて欲しい。ボールとバットがぶつかり合った時、ボールが半分にまで潰れている様子が分かる。これはつまり、今ほど機能の高くなかったカメラでも撮影できるほど、バットで潰されたボールに反発力(弾力性)がなかったことを意味する。要するに、現代とは比べられないほど飛ばないボールが使われていたのだ。しかし王選手はそれでも1964年、140試合の出場で55本のホームランを放っている。

もちろんボールだけではなく、今と昔では球場の広さも異なる。昔の方が今よりも球場が狭かったため、そういう点も加味する必要はあるが、しかしそれを差し引いたとしても王選手のホームランの数はずば抜けている。

さて、話を今に戻そう。ジャストミートすれば、非力な打者でも統一球でホームランを打つことは可能だ。現にプロ10年でわずかに8本しかホームランを打っていない佐藤友亮選手にすでに第1号ホームランが飛び出している。

ただ筆者が1つ注目しているのは、低反発であることではなく、縫い目の高さだ。統一球は国際球に合わせて縫い目が僅かに高くなったとされている。それが影響し、スライダーなどの横の変化球が昨年までと比べると大きく曲がるようになっている。筆者は、この縫い目の高さが打球に影響すると見ている。

ホームランバッターが打球にバックスピンをかけてスタンドインさせるホームランには、さほどの影響は出ないと思う。しかし中距離ヒッターや非力な打者が、投球の軌道上にバットを入れてジャストミートさせ、救い上げるようにして飛ばされたライナー性の飛球には影響があると見ている。つまり、打球に鋭いバックスピンがかけられていないことで、高くなった縫い目の山が空気抵抗をまともに受けてしまうのだ。すると、三塁打が減るのではないかと筆者は考える。

例えば非力な打者の場合、外野手は少し前に出て守る。その右中間に鋭い打球が飛んでいくと三塁打になるのだが、ライナー性の飛球が空中で勢いをなくしてしまうことで、俊足の外野手が落下点に入る時間が生まれてしまう。すると昨年までは三塁打になっていたものが、二塁打で終わってしまうことが増えてしまうのではないかと筆者は考えているのだ。以上が、筆者が統一球に抱いている感想だ。今シーズンが終わって、どのように数字が変化してくるのかを、楽しみにしたいと思う。

さて、話をライオンズの打者に移すことにしよう。まず片岡易之選手だが、今日の2本目のヒットは復調への兆しになるのではないだろうか。1本目のレフトへの二塁打は違うと思う。もちろんヒットが出たことで気分的には楽にはなったと思うが、しかし内容が濃かったのは2本目のセンター前ヒットだと思う。素直にピッチャー返しされていた。1本目の二塁打は、ボールがバットの先にフックされての打球だった。つまりタイミングは合っていなかった。しかし2本目のセンター前ヒットは、しっかりとボールを迎え入れてのスウィングだった。これはバッティングとしては原点だと言える。このバッティングを明日以降も続けることができれば、片岡選手は比較的早い段階で復調してくるのではないだろうか。

そしてもう1人、高山久選手には心配が残る。恐らく本人も不調であるという自覚があるのだろう。高山選手は調子を落とすとバッティングフォームをすぐにいじる癖があるのだが、今日のフォームは明らかに今までとは違っていた。それまでは落合博満監督のフォームに似ていたのだが、今日は中村紀洋選手のようなバットの使い方をしていた。あまりフォームをいじりすぎて、余計調子を崩さないか筆者は心配している。取り越し苦労に終わってくれればとは思っているのだが。

とにもかくにも今日の勝利は1週間振りの勝利だ。この勝ちを1つのきっかけにし、明日以降も良いゲームを続けていってもらいたいと筆者は願っている。

2011年04月23日 17:16

2011/04/22 オリックスvs埼玉西武1回戦

2:38
ライオンズ
バファローズ ×

オリックスバファローズvs埼玉西武ライオンズ1回戦
埼玉西武ライオンズ 1勝0敗0分
18:00開始 京セラドーム(観衆:12,744人)

継投:●牧田和久 - 銀仁朗上本達之
敗戦投手:牧田和久 1敗 1.76

盗塁:秋山翔吾(2)


【ゲームレビュー】
ライオンズはバファローズ相手に、今週3度目となる完封負けを喫してしまった。ライオンズファンもこれだけ点の取れない試合が続いてしまうと、フラストレーションが溜まってしまうだろう。そして筆者の元にも先日公開を終了したコメント欄からのメッセージを含め、メールでもこの件に関し多数の質問が寄せられた。「完封負けの続く今のライオンズを、カズさんはどう思われますか?」という内容がその大半だ。そういうこともあり、今夜は牧田和久投手の好投についての感想は来週の初勝利まで取っておくこととし、得点力不足に泣くライオンズ打線について筆者なりの考えを書き進めて行きたいと思う。まず結論から言えば、筆者はこうなるであろうことは開幕の時点からある程度は予測していた。

先週の座談会にてデニー友利さんが仰っていた通り、ライオンズは非常に練習をよくするチームだ。投手陣の走り込みの量は12球団トップだと思うし、打撃陣のバットを振る回数も然りだ。その中でも栗山巧選手を筆頭に、主力組のバットを振る量は半端ではない。それはデーブ大久保元コーチが導入したアーリーワークから始まる。このアーリーワークには主力を含め、ほとんどの選手が参加をする。いわゆる朝練というものなのだが、学校の部活でも毎日朝練をする部活は選手がどんどん伸びていくのと同じことだ。ライオンズの選手もアーリーワークからバットを振り込むことで、今の強力打撃陣が形成されていった。

2年連続ホームランキングを獲得した中村剛也選手も2008年以降デーブ大久保元コーチ、そして当時の江藤智選手と共に毎日バットを振り続けたことで、ホームランキングのタイトルを獲得することができた。そして中島裕之選手も、同僚に負けないほどバットを振っているからこそ、ショートストップという非常に難しいポジションを守りながらも5年連続3割を継続している。ライオンズのレギュラー打撃陣は、12球団でもトップクラスだと評して間違いないだろう。1番の片岡易之選手に始まり、2番栗山選手、3番中島選手、4番中村選手、5番フェルナンデス選手、6番ブラウン選手、7番浅村栄斗選手と、とにかく打線に切れ目がない。これだけ打線に切れ目がないと、相手ピッチャーにかかるプレッシャーは相当なものだ。

だが現状はどうだろうか。開幕カードこそ元気いっぱいだったライオンズ打線は、たった一週間後には連続完封負けを喫するほどに低迷してしまった。フェルナンデス選手にしても、まったく彼らしいスウィングができていない。フェルナンデス選手ほどの技術を持った打者、しかもリーチの長い打者であれば、そう易々外のスライダーには泳がないはずだ。だが今夜のフェルナンデス選手は、外のスライダーにまったく付いていけていなかった。それどころかパワーがあって、ストレートには滅法強いはずのフェルナンデス選手、ブラウン選手(ブラウン選手は他の外国人選手に比べると、昨季はストレートに強くはなかった)が9回には、2人揃ってストレートに差し込まれての外野フライで終わっている。テレビ実況では統一球の影響だと何度もコメントされていたが、筆者は違うと思う。フェルナンデス選手は一時帰国していた間、アメリカで試合に出場していた。アメリカで使われているボールは、日本の統一球よりも重い。つまり9回の外野フライ2つは、統一球の影響はまったく関係ないと筆者は考えている。

中島選手や中村選手も同様だ。今夜の試合でも高めのストレートを簡単に空振りするシーンが目立った。そして栗山選手も1安打しているとは言え、前の打席では連続でセカンドゴロに倒れている。栗山選手は凡打がライト方面になると調子を落とし始めてしまうので、今後は注意が必要だろう。

さて、ここまでライオンズの練習量や現状について簡単に触れてきたが、では打撃陣低迷の理由は一体何なのだろうか。その答えは至って簡単だ。答えは単に練習不足ということだ。これに尽きる。と言っても、別にライオンズの選手たちが今季は練習をサボっているというわけではない。だがライオンズは今、思うように練習ができない状態にある。つまり選手たちはアーリーワークをしたくても、打ち込みをしたくても、それを思う存分できる環境がないのだ。

プロのピアニストは、一日ピアノを弾かないと感覚を完璧に取り戻すのに3~4日を要すると言う。そしてこれはプロのバッターにも同じことが言えるのではないだろうか。思うような練習ができないことで、ライオンズの打撃陣は日に日に感覚を失いつつあるのだ。もうここまで書けば読者の皆さんもすでに察しがついているとは思うが、ライオンズは開幕以来一度も西武ドームに帰っていない。それどころかホームゲームすら開幕4カードを終えて未だないのだ。西武ドームに帰れるのは5月3日。まだまだ10日も先の話、筆者が言いたいのはこのことについてなのだ。

ロードゲームでは、ビジターチームの打撃練習時間は試合直前の限られた時間内でしか行うことができない。この短い練習時間、限られた練習内容では当然練習不足となり、打撃の感覚も日に日に狂っていってしまう。このような状態でなければ、強力打線を誇るライオンズが4試合で3回も完封負けを喫するはずがない。

昨年も打線が機能せず苦労した時期はあったが、その時とは理由がまったく異なる。攻撃に策がなく点が取れていないのではなく、戦略・戦術を遂行する打撃感覚が鈍っているということなのだ。来週は今季初めてとなるホームゲームがあるが、しかし場所は滋賀の皇子山球場だ。練習時間は得られるかもしれないが、十分な練習設備があるとは言えない。これはもう広池浩司BPなどに頑張ってもらい、打撃陣を縁の下から力強く支えてもらうしかないだろう。

ライオンズナインにとっても、ライオンズファンにとっても、今は辛抱の時だ。しかしゴールデンウィークに西武ドームに帰ることができれば、必ず獅子は目覚めるはずだ。ファンはそれを信じ、今はこの苦境に耐えて応援するしかない。ライオンズナインが苦しい時こそ、ファンの力強い応援が必要なのだ!

2011年04月23日 00:53

2011/04/21 千葉ロッテvs埼玉西武3回戦

2:16 R H E
ライオンズ
マリーンズ ×

千葉ロッテマリーンズvs埼玉西武ライオンズ3回戦
13:00開始 QVCマリンフィールド(観衆8,830人)
埼玉西武ライオンズ 0勝3敗0分

継投:●西口文也長田秀一郎岡本篤志 - 銀仁朗上本達之
敗戦投手:西口文也 1敗 7.11

ホームラン:中島裕之(2号ソロ)


【ゲームレビュー】
この試合先発マウンドに登ったのは17年目の大ベテラン西口文也投手だった。200勝まではあと34勝、さらには17年連続勝利という記録を目前にしてのマウンドだった。昨年の先発マウンドでも初回はある程度安定して抑えてくれるのだが、2~3回といった序盤が1つの鬼門となっていた。そしてその鬼門は今日も開かれていたのだろうか。完璧な立ち上がりを見せるも、3回に3点を喫してしまった。

西口投手がこの試合の先発を任されたのには、1つはマリンフィールドとの相性の良さがあったと思う。昨年は1試合のみだが、マリンフィールドでは6回途中まで自責点1という好投を見せていた。だが今江・井口両選手には昨季.600以上の打率を残され、福浦選手には.400、サブロー選手には.333とよく打たれている。西口投手にとっては気をつけるべく打者が多い相手だ。

立ち上がり、1回と2回はストレートでどんどん攻めていった。球速そのものは130km台後半と、昨季後半ほどのスピードは出ていなかったものの、ボールには切れがあった。コントロールに関してはまだ少しバラつきがあるのかなといった印象ではあったが、切れの良さはマリーンズ打線にしっかり通用していた。このピッチングであれば今季初登板初勝利もありうるか、とも思われた矢先、3回に一挙3点を失ってしまった。

3失点の始まりは先頭7番の金選手に打たれたレフト前ヒットだった。映像ではあまりはっきりは分からなかったのだが、打たれたのは恐らくスライダーだったと思う。ボールそのものは低めに行って、決して悪いボールではなかったのだが、金選手の鋭いスウィングで強いトップスピンが打球にはかけられ、ボールはレフト前に転がっていった。ストレートには滅法強いが、スライダーやフォークはほとんど打てていない金選手のことを考えれば、攻め方としては正しかったと思う。ただ上手い具合にゴロにトップスピンをかけられてしまったということだろう。

続く里崎捕手は送りバントで、一死二塁で迎えたのは今江選手。西口投手からは昨季.600(5打数3安打1本累打)と非常によく打っている。この相性も出てしまったのだろう。フォークボールがやや高めに浮いてしまった。それを上手く救われての二塁打。相性の悪さは西口投手と銀仁朗捕手もよく分かっていたのだろう。今江選手よりも、バッテリーの方が相性を強く意識してしまったように見えた。西口投手自身も、この辺りからボールが変わってきてしまった。2回までは切れのあったストレートも、この回は力んでしまうことで逆に力がなくなってしまった。ストレートに切れがなくなると、変化球も活きなくなってしまう。変化球を打たれたのには、そういう要因もあったのだろう。

続く先頭の岡田選手には四球。2番荻野選手はライナー性のレフト前ヒットで今江選手が二塁から一気に生還。そして迎えた3番井口選手には、易々と犠牲フライを打たれてしまった。井口選手の能力を考えれば、もう少し厳しく攻めていってもいいのかなとは思ったが、やはり力んでしまったことでボールを上手く制御できなかったのだろう。

1~2回と3回の投球には明らかな違いがあった。それは球種の選択だ。1~2回はストレートの切れを活かしてどんどん攻めていっていたのだが、2回になると急に相手打者とのデータを多用し出し、変化球を多投するようになった。例えば金選手にはフォークやスライダー、今江選手にはフォークと、明らかなにデータ重視の配球に変わっていった。ストレートでどんどん攻めて、最後の最後で打者の苦手な球を苦手なコースに投げるのであれば効果は十分に得られただろう。だが早いカウントから変化球を多投してしまうと、カウントがフルに近づいていくにつれ選択肢が狭まっていってしまう。ちなみに打たれたのは金選手は低めのスライダーで、データだけを見れば金選手がほとんどヒットにできていない球種とコースだ。そして今江選手には内角のフォークで、内角もフォークボールも今江選手は苦手としている。

3回は心配された西口投手だったが、4回以降は立ち直った。4~6回は連続三者凡退に抑える好投。だが7回には再び金選手のヒットからやられてしまった。先頭の大松選手を四球で歩かせてしまうと、金選手がまたもやレフト前ヒット。里崎選手もやはり送りバントで一死三塁・二塁になると、西口投手はここで降板となった。この7回、先頭打者に四球を与えてのピンチだっただけに、西口投手にとっては悔いの残る降板となったはずだ。西口投手自身この四球の直後は天を仰ぎ、本当に悔しそうな表情を見せていた。

西口投手のあとを継いだ長田秀一郎投手が岡田選手に走者一掃の三塁打を浴びてしまう。ライオンズ守備陣の前進守備を突く三塁打だった。これにより西口投手は7回1/3を投げて、4安打5失点という成績となってしまった。数字だけを見れば決して良くはなかったが、内容的には次に繋がるマウンドではなかっただろうか。来週はライオンズは5試合しかないため、ひとまず登録抹消になる可能性は高いが、岸孝之投手の状態や、他の先発陣次第ではまた近い時期に先発マウンドを踏むことになるだろう。

今日のようなボールを投げられていれば、今シーズンは先発としてある程度の成績は残せるのではないだろうか。昨季序盤のボールを思い返せば、今日の西口投手のピッチングは期待を持たせてくれるだけの内容だったと思う。次の先発マウンドでは打撃陣にもっと力強い援護をしてもらい、もっと気持ちよく投げてもらい、17年連続勝利を記録してもらおう!

2011年04月21日 15:30

2011/04/20 千葉ロッテvs埼玉西武2回戦

2:27
ライオンズ
マリーンズ ×

千葉ロッテvs埼玉西武2回戦 埼玉西武ライオンズ 0勝2敗0分
13:00開始 QVCマリンフィールド(観衆:9,105人)

継投:●帆足和幸藤田太陽長田秀一郎 - 銀仁朗
敗戦投手:帆足和幸 1勝1敗 4.38

盗塁:秋山翔吾(1)プロ初盗塁


千葉ロッテとの2回戦、珍しく無風状態に近いQVCマリンフィールドで先発マウンドに登ったのは、サウスポーエース帆足和幸投手だった。しかし立ち上がりの初回はボールを上手くまとめることができず、少しずつコースが甘くなってしまったことでヒットを重ねられてしまった。初回からいきなりの2失点は、好投手である千葉ロッテ唐川投手を前にして、最後まで重くのしかかってしまうことになる。

初回こそ2失点を喫してしまった帆足投手だったが、2回以降は少しずつ立ち直っていった。真っスラやパーム、シュート系のボールが左右に上手く散らばるようになり、5回2/3を投げて3失点に抑えた。この結果だけを見ると、やはり初回の2失点が悔やまれるところだろう。もし0-0のまま緊迫した試合が進んでいたら、唐川投手も楽には投げられなかったはずだ。帆足投手には次回の登板で真価を見せてもらうことにしよう。

ライオンズには今栗山巧選手中島裕之選手浅村栄斗選手という好調な打者が3人いる。栗山選手と中島選手が打撃成績の上位にいるのは決して不思議ではない。しかしそのトップを走っているのは3年目の浅村選手だ。誰もが活躍するだろうとは思っていた浅村選手だが、まさか開幕早々これだけ打つとは、本当に活きの良い若獅子が出てきてくれた。しかも不慣れなファーストを守りながらの打撃は、神経を遣うこともあるだろう。しかし浅村選手からはそのような雰囲気はまったく感じられない。

この3選手の打撃にはある共通点がある。その共通点は、中距離ヒッターには必須とも言える共通点だと、筆者は野球技術という観点から考えている。結論から言えば、この3選手はバットを下から出しているのだ。これがヒットを量産している1つの要因だと考えられる。子どものころに野球チームに所属したことがあれば「バットは下から出すな。上から叩け」と指導された方は少なくないと思う。しかし筆者はこの指導法には常に異論を唱えている。確かに少年野球は守備力が低いため、とにかくゴロを転がせば何かが起きるという発想で、上から叩かせてゴロを打たそうとしているのだと思う。だがこれは選手の将来のことを思えば、決して正しい指導だとは筆者は思わない。

野球というものをシンプルに考えれば、ピッチャーはマウンドという少し高い場所からボールを投げてくる。少年野球でマウンドがなかったとしても、やはりボールは上から投げられることになる。つまりピッチャーが投げてくるボールは常に、前方上方から下方に斜線を引きながら飛んでくるのだ。これを上からバットで叩こうとすれば、Xという文字の交差点でしかバットはボールを打つことができなくなる。これでは空振りも増えてしまうだろう。そしてゴロを打たせたい監督の意図とも反し、フライアウトも増えていくだろう。ピッチャーが投げるボールを、必要以上に上から叩いてしまうと、必要以上のバックスピンがボールにかかってしまう。適度のバックスピンであればホームラン性の当たりにも繋がるのだが、過度のバックスピンはフライアウトにしかならない。ここ数試合、片岡易之選手にフライアウトが多いのはこれが理由だと筆者は考える。

ヒットを多く打つための方法は多数存在する。トップをきっちりと決めることであったり、インサイドアウトでバットを振ることであったり、動から動でバットを振ることであったり。その内の1つが、下からバットを出すということになる。

バットを下から出せば、下に向かって斜線を引きながら飛んでくる投球に対し、バットを水平に入れていくことが可能になる。つまりよほどタイミングがずれなければ、空振りの可能性はかなり低くなる。レベルスウィング(水平スウィング)という言葉があるが、一部の指導者はこれを未だに、地面に対して水平にバットを振ることだと考えている。しかし筆者の考えはそうではない。バットは、ボールに対して水平に入れる必要があるのだ。そしてそれを可能にしているのがバットを下から出すスウィングなのである。

名前は失念してしまったが、プロ野球で長い実績を誇るベテラン審判の方が仰っていた。「良いバッターほどバットを下から出していた」と。例えば落合博満選手であったり、イチロー選手であったり、松井秀喜選手であったり。

ホームランを打つためには、ボールにバックスピンをかけるためにバットは上から出すのが良い。だがヒットを多く打つためにはコンタクトの精度を高めるためにもバットは下から出した方が良くなる。この2つの違いが、三冠王というものを難しくし、三冠王の価値を高めている。現役選手ではホークスの松中選手だけが三冠王達成選手なのだが、これは本当に偉大な記録だと筆者は思う。狙うことができる記録ではないが、ライオンズの選手の誰かが三冠王に近づいてくれればと期待を膨らませたい。栗山選手、中島選手、浅村選手の誰かがいつか三冠王に近づいてくれれば、ファンもより一層大きな夢を見られるというものだ。

2011年04月20日 15:42

2011/04/19 千葉ロッテvs埼玉西武1回戦

2:39 R H E
ライオンズ
マリーンズ × 10
千葉ロッテマリーンズvs埼玉西武ライオンズ1回戦
13:00開始 QVCマリンフィールド(観衆8,287人)

継投:●涌井秀章グラマン - 銀仁朗上本達之
敗戦投手:涌井秀章 1勝1敗 3.00
【ゲームレビュー】
千葉ロッテとの今季1回戦。先発マウンドに登ったのはエース涌井秀章投手だった。立ち上がりは上々だった。コントロールもよく、ヒットを打たれても動じることがない。ストレートにも力があり、変化球には切れがあった。普通に投げていくことができれば、そう簡単に失点は許さないだろうという立ち上がりだった。開幕戦、ダルビッシュ投手との投げ合いに勝ったことで落ち着きを得たのかもしれない。マウンドでの雰囲気も堂々たるものだった。

だが涌井投手が良かったのに対し、千葉ロッテの先発成瀬投手も素晴らしい立ち上がりを見せた。ストレートは130km台と決して速くはないのだが切れがあり、チェンジアップもかなり有効に決められていた。そしてコントロールは涌井投手以上に良かった。この横浜高校の先輩・後輩対決は熾烈な投手戦となり、実に見応えある一戦となった。

好調ライオンズ打線とはいえ、成瀬投手にこれだけ安定したピッチングを見せられてしまうと、まるで手も足も出ない。ヒットはわずかに4本のみで、最後まで得点を挙げることはできなかった。4回と5回にランナーを二塁まで進めるも、あと1本が出ない。そしてその1本を打たれないのが今日の成瀬投手だった。

この試合、マリンフィールドにしては風が弱い中でのプレーボールだった。試合開始直後は風速が4mほどしかなく、選手たちのユニフォームがなびくこともほとんどなかった。だがこれが5回を過ぎた辺りだろうか、風はどんどん強くなっていき、6回には11mという強い風になった。試合開始時と比べると3倍近い風速だ。涌井投手はこの風でピッチングのリズムを崩してしまい、逆に成瀬投手はこの風を味方に付けた。その象徴が6回の攻防。

6回表の成瀬投手は、風を上手く使いチェンジアップをフォークボールのような落差で自在に操っていた。立ち上がりと比べると、ボール1個分以上は大きく落ちていただろう。マリンフィールドの風は、上空はセンターからホームに向かって吹いているが、マウンドとホームの間のグラウンドレベルではホームからセンターに向かって吹く。つまり上空とグラウンドレベルでは風向きがまったく逆になるのだ。成瀬投手はその風を上手く利用し、逆風でチェンジアップに凄まじいブレーキをかけていた。

一方6回裏の涌井投手は、カーブで風を上手く利用しようとしていた。先頭の荻野選手にはこの試合ほとんど投げていなかったカーブを初球から投げ、1球挟んで3球目にもカーブを投げるのだが、しかし成瀬投手ほど上手く風を使うことができなかった。高目からカーブを曲げ、風により縦に落とそうとしたのだが思うように行かなかった。そしてその高めのカーブを荻野選手に上手く打たれ二塁打を浴びてしまい、続く井口選手のライト前ヒットでその荻野選手を生還させてしまった。この先制点がこの試合の決勝点となってしまう。

涌井投手にとっては少し不運なマウンドだったと言えるかもしれない。通常のマリンフィールドでは、だいたい平均して7~8mの風が常時吹いている。しかし今日は4mという風の弱い状態から、一気に11mにまで強まった。途中ホームベース付近で砂埃が舞い、銀仁朗捕手が立ち上がって慌ててタイムを取るシーンなども見受けられた。電光掲示板では11mという表示だったが、瞬間最大風速はもっと強かったのではないだろうか。時折突風とも思えるような風が吹いていた。いくらマリンフィールドで何度も投げている涌井投手とは言え、ここまで風に翻弄されてしまうとさすがに苦しい。

風が味方してくれた成瀬投手と、風に翻弄された涌井投手。この一戦は千葉ロッテに対し強く地の利が影響した。そしてまた、その風を上手く利用した成瀬投手は見事だったとしか言いようがない。敵ながらナイスピッチングだった。だがライオンズの明日の先発投手は帆足和幸投手だ。パームボールを風に乗せ、好投を披露してくれるはずだ!

2011年04月19日 16:18

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