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牧田和久投手が西武投手陣に与える好影響



ルーキーの牧田和久投手が快投を続けている。現在は対外試合で19イニング連続無失点を続けていて、渡辺久信監督からも開幕ローテーションとして大きく期待されている。即戦力ルーキーとして入団し、ファンからの期待値も非常に高かった牧田投手ではあるが、しかしここまで素晴らしいピッチングを見せてくれるとは思っていなかった。

ライオンズでは松沼博久投手以来のアンダースロー投手で、現在ではアンダースローそのものが希少な存在となっている。80年代前後では松沼投手以外にも阪急の山田投手、南海の近田投手(スイッチピッチャー)など、本当に個性豊かなアンダースロー投手が多く存在していた。だが現在では常時一線で活躍するアンダースロー投手は、千葉ロッテの渡辺俊介投手だけではないだろうか。

野球というスポーツは「慣れ」が非常に重要になってくる。左ピッチャーが有利と言われる所以もそこにある。左ピッチャーの数が少ないためにバッターは左ピッチャーを打つ練習ができず、左ピッチャーは右よりも球界では有利な存在となっている。希少なアンダースロー投手である牧田投手の活躍も、そのような希少性がひとつの理由になっていることは間違いない。

しかし牧田投手が活躍できている理由はもちろん希少性だけではない。もっと技術的な理由があり、バッターは牧田投手を打ち崩せずにいるのだ。その技術的な理由とは、リリースポイントだ。牧田投手がボールをリリースするポイントは、通常のピッチャーよりもかなり打者寄りにある。身体が許す限り、もっとも打者に近いポイントでリリースしていると言っても過言ではないだろう。ライオンズで言えばエース涌井秀章投手がリリースポイントが前にあることで有名だ。しかし筆者が見る限り牧田投手のリリースポイントは、その涌井投手よりも打者寄りにある。

バッターからすると、ピッチャーのリリースポイントとホームベースとの距離が短ければ短いほど、タイミングを取るための距離感を奪われることになってしまう。そのために、130kmにも満たないストレートであってもなかなかタイミングを合わせて打つことができない。しかもバッターから見てさらに厄介なのが、牧田投手はボールは非常に遅いのだが、ピッチングフォームにはスピード感があるという点だ。アンダースローとは言え、勢い良く投げてくるように見せかけて、実際やってくるのは遅球だ。これではなかなかタイミングを合わせることはできない。フォームもゆったりとしている渡辺俊介投手とは大きく異なるのがこの点だ。

アンダースロー投手にはもうひとつ大きな利点がある。それは縦の揺さぶりをオーバースロー以上に使えるという点だ。人間の目は左右の動きには強いのだが、縦の動きにはもろさを持っている。そのためにスライダーやカーブといった横の変化に強いバッターは多いのに対し、下に変化していくフォークボールを得意とするバッターはほとんどいない。だが地球上には重力がある。「物は必ず下に落ちてくる」という先入観が働いているため、落ちていくボールに対しては何とか対応することはできる。だが牧田投手のボールはその真逆なのだ。重力に逆らうようにして真下から上に登って来るようにして飛んでくる。

人間の目は縦の動きに弱い。さらに下から上への動きに対しては、上から下への動き以上に弱い。それは、渡辺俊介投手が長年に渡り活躍を続けている点でもよく分かることだ。並みのアンダースロー投手以上に練習をしたアンダースロー投手は、エース級投手以上の活躍を魅せてくれる。牧田投手もこのまま行けば、渡辺俊介投手のような日本を代表するピッチャーになっていくだろう。

また、ライオンズには同じ歳の岸孝之投手という存在がある。現在はわき腹を痛めていて、復帰は早くても4月5日になるとの情報だが、同じチームに同じ歳の強力なライバルがいるということは、牧田投手には大きな刺激になるはずだ。そして岸投手にしてもやはり、牧田投手の加入で更なる飛躍が期待できるだろう。

つい先日はランナーを背負った際のクイックモーションの修正を行った。するとあっという間に物にしてしまい、渡辺監督にも「(牧田のクイックは)ウチで一番速い」とまで言わしめた。現に昨日行われた楽天戦では、銀仁朗捕手とのコンビで2つの盗塁阻止を記録している。ランナーを出したとしても簡単には二塁へ進ませないこの技術は、無駄な失点を防ぐ上で重要な役割を果たす。昨季も1点に泣いた試合が多かったライオンズにとって、牧田投手は今季、ルーキーにして非常に重要な役割を担っていくかもしれない。牧田投手の存在により、ライオンズ投手陣のレベルがさらに底上げされていく可能性が高いだろう。

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2011年03月31日 23:36