前の記事 銀仁朗捕手に求めたい、投手を救う「見る」技術
次の記事 #35 牧田和久

岸孝之投手の股関節とシュートしないチェンジアップ



今季最も大きな期待が寄せられる選手の1人には岸孝之投手が挙げられるだろう。昨季は肩痛によりシーズンの半分近くを休む形となってしまったが、今季はそれを挽回するためにも更なる飛躍が期待される。なぜなら岸投手はもう、2ケタ勝利をすればいいレベルの投手ではないからだ。岸投手ほどのレベルであれば、最多勝利や最優秀防御率など、タイトルを狙えるだけの活躍が求められる。入団以来4年連続の2ケタ勝利を継続中だがそれに留まらず、15勝でも20勝でも貪欲に目指していってもらいたい。

岸投手の特徴だが、筆者は股関節の柔らかさにすべてが集約されていると見ている。股関節そのものも柔らかいのだとは思うが、とにかくその使い方が柔らかいのだ。岸投手のピッチングフォームを見ていただくと分かると思うのだが、ボールをリリースした直後、太腿と胸がくっつきそうなほど股関節が屈曲している。この動きが取れるからこそ岸投手は低目への制球が良く、チェンジアップがシュート回転しないのだ。

通常チェンジアップという球種はシュート回転しやすくなる。だが岸投手のチェンジアップはシュート回転せず、垂直にストンと落ちる。恐らくシュート回転しないチェンジアップを投げられるのは12球団を見渡しても他にいないのではないだろうか。そのシュート回転しないそのチェンジアップを可能にしているのが股関節の柔らかさなのだ。

振り上げた左脚を着地させた際、股関節が深く沈んでいくことで、ボールを直線的にリリースすることが可能になる。少々難しい話になってしまうのだが、キャッチャーミットとリリースポイントでのボールの位置を糸で直線的に結んだとする。岸投手の場合、その糸の直線的延長線上で腕を運んでいけるため、非常に良い回転のボールを投げることができるのだ。さらに言えば、腕の振りに余分な遠心力が掛からない。

昨季、筆者は岸投手がまさか肩を痛めるとは思わなかった。痛めた理由は完全に疲労だと思う。投げ方そのものは理想的で、肩・肘には負担の掛からないモーションを取っている。だが岸投手は身体の線が非常に細い。例えば筆者と比べてみたいと思う。筆者は175cm、70kg、体脂肪率9%という体型だが、岸投手は180cmで68kgしかない(体脂肪率は不明)。ちなみにイチロー選手の体脂肪は6%なわけだが、岸投手の体脂肪も6%前後だったとしても、それでも岸投手の線が細いということはこの数字だけで十分理解していただけると思う。

いくら肩・肘に負担のかからない理想的なフォームで投げているとは言え、絶対的な身体の強さがない場合は、どうしても勤続疲労が溜まりやすくなってしまう。一方でエース涌井秀章投手の場合は185cmで85kgある。身長は岸投手よりも5cm高いだけなのだが、体重は17kgも多い。下半身の安定感と背中の大きさを見ればそれにも頷けるのだが、やはりこれだけの身体の強さを手に入れたからこそ、ローテーションを外れることなく投げ続けることができているのだろう。

こうして考えて行くと、やはり岸投手がエースになるために必要なのはフィジカルの強さだと言える。涌井投手のような体型を求めるまでは要らないかもしれないが、しかし現状よりももっと強いフィジカルを手に入れる工夫は必要かもしれない。そしてその強さを手に入れられれば、当然最多勝争いに絡めるだけの活躍が見込めるだろう。岸投手と涌井投手で最多勝争いを繰り広げることができれば、チームには更なる勢いが生まれる。先発二本柱でその勢いを生み出せれば今季、昨季のような失速に嘆くこともないと筆者は確信している。

【お知らせ】
最近、日刊埼玉西武ライオンズの記事をブログやmixi日記などで再利用されている方がいるようです。日刊埼玉西武ライオンズの記事は、筆者が許可していない限り、酷似した文章、コピーした文章を他ブログ、他サイトに掲載することは禁止いたしております。もし何かお気付きの点などございましたら、ぜひメールでお知らせくださいませ。ご協力よろしくお願いいたします。

前の記事 銀仁朗捕手に求めたい、投手を救う「見る」技術
次の記事 #35 牧田和久


日刊埼玉西武ライオンズをフォローしよう!
baseball 記事を楽しんでもらえたら、ランキングに1球の投票をお願いいたします。
にほんブログ村 野球ブログ 埼玉西武ライオンズへ



【関連記事】

2011年02月19日 17:54