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#15 大石達也



#15 大石達也 - Tatsuya Ohishi

投手、右投右打
2010年ドラフト1位
福岡大大濠高~早稲田大~埼玉西武ライオンズ
福岡県出身、1988年10月10日生、182cm / 76kg
球種:ストレートMAX155km、スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォーク

大石達也投手の球威低下を招く投球動作の狂い
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ドラフト会議前に書いた記事で、筆者は当初マスコミで予想されていた榎田投手ではなく、早大の大石投手か斎藤投手を獲りに行くべきだと主張した。昨年はドラフト前から雄星投手の指名を明言し、珍しく秘密主義のベールを脱いだ西武球団だったが、今年は完全に秘密主義を復活させた。筆者ももちろん、マスコミが西武が指名すると予測した選手を、西武球団は1人も獲りに行くことはなかった。そんな状況下、ドラフト会議が始まった直後に西武球団は早大の大石達也投手を指名した。6球団の競合だった。渡辺監督がクジを引き、見事2年連続当たりクジを引いた。

大石投手は今年のアマチュア・ナンバー1投手との呼び声が高い。それは事実なのだろうか?結論から言えば、事実だ。大石投手のピッチングは筆者も何度か見て来たが、本当に素晴らしい投手だ。とにかくストレートの球質が良い。渡辺監督もコメントしていたが、ストレートと分かっているのに打てないストレートを投げられるのが、大石投手なのだ。まるで現役時代の渡辺久信投手のようではないか。渡辺久信投手も現役時代は、ストライクゾーンにストレートを投げておけばほとんど打たれない、とにかく豪快な投手だった。だが大石投手は、その渡辺久信投手のストレートをも上回る。

早大の應武監督は大石投手を、早い時期からショートへコンバートさせることを考えていた。だが大石投手自身の強い意志により、投手専任の道を進んだという経緯がある。それは去年(2009年)の夏の出来事だった。日米大学野球で、大石投手がフォークを習得すれば投手専任を認めると應武監督は指示をした。大石投手自身はそれまでも練習ではフォークを投げていたものの、試合では一度も使ったことがない。だがほとんどぶっつけ本番という状態で日米野球でフォークを投げたら、意外としっかりと落ちて使える目処が立った。これにより大石投手はショートではなく、投手専任の道を進めることになった。自分の将来を自分の意思で切り開ける能力、これはプロに入ってからも十分活きるだろう。

さて、フォークボールの次はやはりストレートの話をしなければならない。大石投手のストレートは、北海道日本ハムのダルビッシュ投手や、阪神の藤川投手と同系統だ。通常のストレートはボールを握る際、人差し指と中指の間に指一本分のスペースを空ける。これによりコントロールの精度を高める。だが大石投手やダルビッシュ投手、藤川投手の場合は違う。ストレートの切れを最大限発揮させるため、人差し指と中指をくっつけているのだ。大石投手の場合は筆者が確認できた限りでは、すべてがすべてというわけではなさそうだが、しかし勝負に行った時のストレートは切れ重視のシフトで投げている。

人差し指と中指をくっつけて握るストレートのデメリットはコントロールの不安定さにある。反面メリットは、ボールの回転数を増やすことができるのだ。回転数、つまりスピンを強くすればするほど、ボールにはマグナス力が影響し、18.44m先に行ってもお辞儀しにくい正真正銘の真っ直ぐなボールを投げることができる。つまりバッターからすると、ホップしているように錯覚するボールになるというわけだ。

ライオンズには小野寺力投手大沼幸二投手、さらにはシコースキー投手と言った150km以上のボールを投げる投手が何人も揃っている。だがいずれも大石投手のストレートとは球質が違う。上半身の力で投げるパワーピッチャーであるシコースキー投手は例外だとしても、小野寺投手・大沼投手と同じ150kmでも、大石投手のストレートには伸び・切れが彼ら以上にある。まったく同じ150kmのボールでも、大石投手のストレートは非常に打たれにくいという要素を持っている。しかも大石投手が素晴らしいのは、人差し指と中指をくっつけてボールを握っても、コントロールが乱れないという点だ。2010年夏に行われた世界選手権以降では変化球が抜けるシーンは何度か見受けられたが、しかしストレートの安定度はプロと比べても一級品だと評価して間違いないだろう。

大石投手は神宮球場での大学生最速記録である155kmをマークしているわけだが、これは西武ドームでは恐らく150km出るか出ないかという計測になるだろう。神宮球場は球速が出やすいが、逆に西武ドームは球速が出にくい。まさに両極端の球場だと言っていいだろう。確かに投球を見る限り、メジャーリーガーのような160km近い剛球というイメージは大石投手にはない。どちらかと言えば快速球というタイプだろう。そして大石投手自身、今はもう球速そのものにはこだわっていないと言う。今は球速よりも、ボールの切れを大切にしている。プロでも未だに球速にこだわる投手が多い中、この心掛けはまさに大人の成熟した投手の考え方だ。

さて、ファンが気になるのは起用法だろう。守護神をなかなか固定し切れないライオンズにおいて、ファンの声は大石投手には守護神になってもらいたいという意見が優勢のようだ。だが筆者は渡辺監督の考え同様、大石投手には先発を任せるべきだと思う。その理由は単純明快だ。クローサーというポジションでは、一週間にせいぜい3~4イニングしか投げることがない。だが先発の場合は一週間に多ければ9イニング以上投げることになる。これだけ素晴らしい投手を週に3イニングか、9イニングかと問われれば、起用する側からすれば当然後者を取るべきだろう。

ライオンズの先発陣が磐石ならば大石投手を当面はリリーフやクローサーとして起用するのも1つの手だろう。しかし現在のローテ確定投手では、20代投手はエース涌井秀章投手岸孝之投手の2人しかいない。そろそろ世代交代ということも現実的に考えていかなければならない時期だ。渡辺監督は雄星投手・大石投手を自らの手で獲得したのだから、将来のことを考えてこの2投手はしっかりと育てていかなければならない。ちなみに変化球という目で見るならば、万全であれば雄星投手の方がリリーフ向きだと筆者は考えている。

何はともあれ、ライオンズは2年連続して素晴らしい投手をドラフトで獲得することができたのだ。そして大石投手は特に高い能力、技術をすでに習得しており、さらに伸び白も広い。小野和義・石井丈裕両投手コーチには、大石投手を球界ナンバー1投手に育て上げて欲しいと切に願うばかりだ。そしてファンとしてはその期待が非常に大きいというのが正直な意見でもある。

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2010年10月31日 02:04