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2010/07/29 西武vsロッテ 18回戦

先発した大沼投手が早々に打ち込まれ、ファンとしては「今日もダメか」と思われた試合だったが、今夜はレオナインの執念を感じられる一戦となった。夏休みとなり、平日にも関わらず連日2万人以上の観客が西武ドームに足を運んでいる中、これ以上ファンを失望させる試合を続けるわけには行かない、そんな気概を感じられる一戦だったと思う。2008年以来の6連敗という大失速をし、ナインにも期するものがあったのだろう。

この試合を立て直したのは4回の攻撃だった。先頭の原拓也選手がストレートのフォアボールを選び、栗山選手が倒れた後、中島選手もフォアボールで出塁。その直後、フェルナンデス選手の3ランホームランが飛び出した。だがここまででは、まだ流れはマリーンズにあったと言える。試合を決定付けたのは内容的にも結果的にもこの後からだった。

石井義人選手がライト前ヒットで出塁すると、高山選手はデッドボール。続く坂田選手もフォアボールを選び、1アウト満塁というチャンスを作った。すると続く上本捕手がライトにタイムリーヒットを放ち得点0-5から、一気に4-5まで詰め寄った。続く片岡選手が倒れて2アウト後、打席に立ったのは代打平尾博嗣選手。カウント3-2から押し出しのフォアボールを選び、この時点で同点に追いついた。

3-2というカウントまで持って行ってのフォアボールは、チームとしては非常に大きかったと思う。ストレートのフォアボールなどは完全にピッチャーのエラーと言えるのだが、3-2まで持って行ったフォアボールは、バッターが奪い取ったフォアボールだと言える。この場面に於いてはヒット同等の大きな価値のあるフォアボールだった。さらには続く栗山選手も3-2まで粘っての二者連続の押し出しフォアボール。これで6-5と大逆転。少ないヒットで相手の隙を突く、素晴らしい攻撃だったと思う。

渡辺監督自身も、この試合の行方が残り試合に大きく影響すると感じたのだろう。最終回は12-6と大差でリードしながらも、守護神シコースキー投手を投入した。まさに勝利への執念が呼び込んだ素晴らしい1勝だったと思う。先発投手が試合を作れればもっと良かったのだが、見方を変えれば先発投手が崩れたからこその執念だったと言うこともできる。

そして前日は打ち込まれてしまった工藤公康投手も、今夜は左打者2人をパーフェクトで抑え、西武ドームの大歓声の期待に応えた。工藤投手自身、これでやっとチームの一員になれたという感覚があるのではないだろうか。

何かと雑音の多い現在のライオンズだが、しかしこんな時だからこそチーム一丸となって戦わなければならない。もうじき腰痛で登録抹消されていた星野智樹投手や、手術明けの石井一久投手が復帰してくる。そうすればピッチングスタッフが充実してくるだけに、まずは2人が戻ってくるまで何とか堪えてもらいたい。そこまで堪えることができれば、9月には早ければ岸投手や中村剛也選手が戻ってくる。役者が揃えばラストスパートも掛けられるだろう。現状を考えると、ライオンズの本当の勝負は残り20試合を切ってからになると思う。あとはそれまで、優勝を狙える位置を維持できるかだ。

しかし今夜のような執念がまだ残っていたとすれば、心配は無用だろう。獅子に戦う意欲が残っている限り、獅子は百獣の王なのだ。残り試合はあと僅か。容赦することなく鷹と鴎に牙を剥いて欲しい。

2010年ライオンズコーチングスタッフ論・前編

2010年07月29日 22:04

2010/07/28 西武vsロッテ 17回戦

今夜で6連敗となってしまい、すっかり大型連敗モードに突入してしまった。西岡選手の結婚に沸くロッテ、お家騒動でチームが一枚岩となっていない西武。その勢いは明らかに違っていた。筆者は今夜西武ドームにはいなかったのだが、所用があり西武ドームのすぐ目の前にはいた。西武側の歓声よりも、ロッテ側の歓声の方が強く耳に残ったのは、ファンとしては少々寂しいものを感じた。

西武とロッテとではチームの現状に違いがあるとは言え、なぜここまで勢いに差が出てしまうのだろうか。筆者はその理由を、以前にも少し触れたことではあるがキャプテンにあると考えている。責任を与えられ、それを自覚し責任を持つ明確なキャプテンがいるロッテと、選手会長という曖昧なグラウンドリーダーしかいない西武。この差は決して小さくはないと感じる。

「プロなんだからキャプテンなんて不要だ」と唱える人がいることも確かだ。しかし筆者はキャプテンは絶対に必要だと考えている。地位が人を育てるとはよく言われることだが、キャプテンという明確な地位を与えられることでその選手の責任感がさらに増し、選手としてもさらに伸びるということも多々ありうる。

西武ドームで試合を観戦していて敗色濃厚となると、今年の西武の場合は緻密さ、プロセスの強さを感じることができない。例えば選手会長は中島裕之選手であり、グラウンドでもリーダーとしての役割が求められているはずなのだが、ピッチャーが苦しんでいる時になかなかマウンドに行って声を掛けることをしない。もちろんまったく行かないというわけではないのだが、しかし「ここで行ってあげるべきだろう」というタイミングで行けていないことは事実だ。ピッチャーからすれば、信頼できるリーダーがマウンドに声を掛けに来てくれると、本当にホッとできるものなのだ。

1イニングで、1人のピッチャーに対しピッチングコーチがマウンドに行けるのは1回と定められている。2回目はピッチャーを代えなければならない。となるとピッチャーを落ち着かせるという役割は、グラウンドリーダーに託される場合が多くなる。中島選手はそのことをもっと気遣わなければならないだろう。「自分が打てばチームは勝てる!」という考え方ではチームは決して強くはならない。良いバッティング、良いプレーとは、チームを勝利に導くことだ。つまり難しいことを言うと、中島選手が1試合で3本塁打したとしても、チームが勝てなければそれは空砲でしかない。

ライオンズは今、非常に苦しい時期を迎えている。だからこそチームリーダーである中島選手にはついつい人よりも大きな期待を寄せてしまう。このままズルズルと負けが込んで行けば、昨年同様の悲惨な結果を繰り返すことになるだろう。岸投手・石井一久投手を欠き、帆足投手の調子も上がらない今、頼れるのは涌井秀章投手のみとなっている。だが涌井投手1人の好投だけで優勝などできるはずはない。だからこそチームリーダーが率先して投手を盛り立て、支えていかなければならない。

ショート中島選手と、セカンド片岡選手はピッチャーの真後ろにいる。常にピッチャーの背中を見ながらプレーをしているのだから、その背中を見れば今ピッチャーがどんな常態か、すぐに分かるはずだ。ピッチャーの心境はたった1球でガラリと変わることもある。もっと言えば、初球がボールになっただけでピッチングを失ってしまうようなピッチャーもいるのだ。もちろんそれは極端な例ではあるが、とにかくピッチャーとは繊細な生き物だ。その繊細なハートを簡単に壊さないためにも、やはりグラウンドリーダーがしっかりと見守ってあげる必要がある。

昨年1月に行われたファンイベントだっただろうか?片岡選手はキャプテンの座を赤田選手から奪うと言うリップサービスを行った。これは冗談半分、本気も半分だったと筆者は感じている。「やる」という選手がいて、キャプテンの資質も持っている片岡選手がいるのだから、ライオンズは片岡選手にキャプテンマークを付けるべきだと思う。片岡選手であれば、失礼な言い方かもしれないが、中島選手のようにメジャー移籍の可能性は低い。つまり今後も長年においてライオンズで活躍してくれるということだ。そういう選手にこそキャプテンマークを与え、チームの核となって働いてもらうことがベストだと筆者は思うのである。そしてそれがあるかないかという点が、この2試合の西武とロッテとの明確な違いのような気がしてならない。

2010年ライオンズコーチングスタッフ論・前編

2010年07月29日 02:08

2010/07/27 西武vsロッテ 16回戦

今夜の敗戦でライオンズは遂に5連敗となった。渡辺監督がコメントしているように、とにかく打線が湿り、繋がりに欠けている。昨季から今季に掛けてのライオンズは、打線の波が非常に多いように感じる。打者の波は仕方がないだろう。調子が良い選手もいれば、悪い選手もいる。常に調子の良いバッターだけ揃えることは不可能だ。だが打線は違う。打線をしっかり繋げることができれば、少ないヒットでも加点することはできる。

筆者が見ている限りでは、タイミングに鍵があるように感じられる。打撃に於いて最も大切な要素はタイミングだ。タイミングこそ打撃のすべてと言っても良い。そのタイミングが各打者少しずつずれて行き、打線全体が下降気味になっている。

最近は速読打法や、動体視力を強化するトレーニングメニューが流行っている。確かに効果はある。速読打法の理論や、動体視力の強化は打撃にプラスとして働く要素は大きいと思う。しかし勘違いして欲しくないのは、これだけでは打撃は絶対に上達しないという点だ。打撃の基本、つまりタイミングを合わせられるという根幹があるからこそ、速読や動体視力が枝葉としてプラスに働くのだ。

例えばシアトル・マリナーズのイチロー選手を例に挙げよう。イチロー選手の動体視力は球界随一と言っても良い。だが視力自体は確か0.4程度だったと思う。こう聞くと、動体視力がイチロー選手の打撃を支えていると思いがちだがそうではない。なぜなら、球界にはイチロー選手と同等の動体視力を持っている選手はいくらでもいるためだ。動体視力の良さによってヒットを量産できるのならば、日本球界に200本安打を達成する打者がもっと多くても不思議はない。

そして速読打法に関してだが、確かに理屈の上では十分プラスに働くだろう。しかし筆者が感じるに、速読打法はバットにボールを当てるための視力を鍛えるトレーニングではないだろうか。つまり打撃に対し大きなプラスにはなるのだが、打撃そのものではないと筆者は捉えている。

例えばタイミングさえ完璧であれば、バットの芯を外してもホームランになることがある。だが逆に、ジャストミートしていてもタイミングが少しでも外れてしまえば、それは外野フライで終わってしまう。打撃とはそういうことなのだ。

イチロー選手に話を戻すと、彼がヒットを打ち続けられる理由のすべてはタイミングにある。タイミングの取り方が並の選手よりもレベルが遥か上にあるため、ヒットを打ち続けることができるのだ。逆に調子が落ちている時期は、タイミングが取れていないことが多い。イチロー選手の場合、振り上げた右足を着地させたその僅かな瞬間に、タイミングをアジャストする能力を持っている。例えばストレートだと判断すればそのまま打ちに行き、遅球(変化球)だと判断すれば踏み込んだ右足で0.数秒のタメを作ることができる。

そしてイチロー選手の場合は、変化球を待ちながらストレートに対応して行くというスタイルを取っている。これは人間のメカニズムを考えると、非常に合理的だ。人間の身体は、遅い動きから速い動きにシフトするのは得意だが、速い動きから遅い動きにシフトするのは苦手としている。日本人の9割以上は、基本的にストレート待ちをしていると思うが、これは筆者の考える理論からすればベストではない。ベストは変化球を待ちながらストレートに対応する、イチロー選手のような待ち方だ。イチロー選手のような待ち方をすることにより、よりタイミングも合わせやすくなる。

調子が落ちた時のライオンズ打線を見ていると、来たボールをただ打ちに行っているように見える。恐らく「自分のタイミング」で打っている選手が多いのではないだろうか。これは間違いではないのだが、厳密に言えばベストではない。筆者が考えるベストは、ピッチャーのタイミングに自分のタイミングを合わせる打ち方だ。ピッチャーごとにタイミングの取り方を変えてもいけない。ピッチャーそれぞれのタイミングに、自分のベストのタイミングをアジャストして行くのだ。イチロー選手や、王貞治選手のように。

ライオンズには現在、それができているバッターはいないように見える。中島裕之選手にしても、タイミングを上手く合わせ切れていないことがオールスター前から増えている。ただ、栗山巧選手に関しては今後さらに調子を上げて行くと思う。今一番タイミングを上手く取れている選手を聞かれれば、筆者は迷わず栗山選手の名前を挙げるだろう。今季は一本足打法にこだわって調整をして来た栗山選手だが、後半戦に入りこの打法が身体に上手く馴染んできたのだろう。残り49試合で打線を牽引するのは、筆者は栗山巧選手だと確信している。

後半戦の鍵を握るのは!

2010年07月28日 03:41

2010/07/16 ロッテvs西武 13回戦

海風が肌寒い千葉マリンスタジアムの2階席で観戦したこの試合、筆者はエース涌井秀章投手のピッチャーとしての余裕を目の当たりにした。これだけ余裕のあるピッチングをされると、バッターとしては一溜まりもないだろう。付け入る隙がないとは、まさにこの試合の涌井投手のようなピッチングのことを言う。

この試合、千葉マリンの最大風速は7メートルだった。千葉マリンということを考えれば普通の風だが、しかし普通に考えたならば7メートルは強風だ。女性であれば立っていることさえもままならないかもしれない。そんな中千葉県出身の涌井投手は千葉ロッテ打線を相手に9回143球を投げ、被安打7、奪三振8で完封勝利を収めた。

並の投手であれば、千葉マリンで投げるだけでも大変な労力を要すると思う。だがこの試合の涌井投手は、それほどの体力は使わなかったのではないだろうか。のらりくらりという表現が合っているかは分からないが、見ているとバッターを煙に巻くようなピッチングをしていた。「普通に投げれば勝てる」という現在のコンディションからの自信か、マウンド上からはいつも以上の余裕と、遊び心が感じられた。

中でも筆者が注目をしたのはストレートだ。涌井投手は2種類のストレート(フォーシーム)を持っている。1つはボールの縫い目と指の掛かりを浅くし、指先で縫い目を引っかくようにして投げるストレート。もう1つは縫い目と指の掛かりを深くし(指の第一関節くらい)、指の腹で押し込むようにして投げるストレートだ。ボールの伸びから言えば前者の方が上だ。だが涌井投手はその日のコンディションによってこの2種類を使い分けている。そしてこの試合では、後者を多投していたように筆者には見えた。

「見えた」と言っても、ハイスピードカメラでチェックをしたわけではないので、実際にどうだったかは正確には分からない。しかし投げていたボールの軌道を見る限りでは、後者のストレートを多投していたと筆者は見ている。ではなぜ後者だったのか。その理由は千葉マリンの風だ。この風はセンター方向からスタジアムに入り込み、上空ではバッターに対して向かい風となる。だがバックネット裏で跳ね返るとグラウンドレベルまで吹き落ち、今度はピッチャーに対して向かい風となる。つまり千葉マリンは、上空とグラウンドレベルでは風向きが180℃違うのだ。

涌井投手は、このピッチャーに対する向かい風を最大限に活かしていた。簡単に説明をすると、後者のストレートは指とボールの縫い目の掛かりが鋭くない分、ボールに強烈はバックスピンは掛からない。ある意味チェンジアップに近いストレートと言うべきだろう。涌井投手はこのストレートを風を使ってさらに落としていた。投げ方は完全にストレートなのだが、実際にはチェンジアップのようなボールを投げていた。だがもちろんそれはチェンジアップではない。あくまでもストレートだ。ロッテ打線はそれに騙されるようにして、7安打をするも3併殺で最後まで得点を挙げることができなかった。

9回を投げ抜いた時、135球以下であればそれは理想的だ。それに対しこの試合の涌井投手は9回を143球で投げ抜いたのだが、球数ほどの疲れはなかったと思う。その理由はやはり、ストレートの投げ方でボールを動かすことができたからだ。並のピッチャーは千葉マリンの風に勝とうとするが、しかし涌井投手は風に逆らうことなく、上手く乗ったと言える。風に乗ることができた涌井投手は、その風のお陰で完封勝利を挙げることができた。

このようなピッチングができるということは、涌井投手の中には何か大きな余裕があるのだろう。でなければ、後者のストレートを投げる勇気はなかなか持てないはずだ。なぜなら冷静に考えると、後者のストレートはいわゆるお辞儀をしている状態で、普通の状況であればホームランボールともなり得る。しかし風を使ってお辞儀を深くさせたことで、ロッテ打線はボールの上っ面ばかりを叩く結果となった。やはりボールにしても挨拶にしても、お辞儀の角度は深い方が良いようだ。

さて、最近日刊埼玉西武ライオンズの更新が滞ってしまっているのですが、実は夏を迎えて古いパソコンが故障してしまいました。そのためこの記事も携帯電話から更新しています。しばらくは更新が少し遅くなってしまうこともありますが、修理が済んだら一気に更新していきたいと思いますので、しばらくの間はのんびりと更新を待っていただければ幸いでございます。

2010年07月27日 03:30

Baseball Times Onlineでコラムを連載中

こんにちは。日刊埼玉西武ライオンズ筆者のカズです。本日は恐縮ながら、個人的なお知らせがありご報告をさせていただきます。日刊埼玉西武ライオンズは週刊Baseball Timesさんにお声を掛けていただき、コラムを連載することになりました。現在はアウトサイドレポーターとして連載をスタートいたしておりますので、日刊埼玉西武ライオンズに合わせ、Baseball Timesの方もチェックしていただければと思います。

Baseball Times アウトサイドレポート

こちらではコメントも受け付けておりますので、コラムへのリクエスト、ご感想などもいただけると嬉しく思います。コラムが継続されるか否かはコラムの人気にかかっております。筆者も愚筆ながら皆さんに楽しんでいただけるコラムを頑張って書いていきたいと思っているので、応援のほど、どうかどうかよろしくお願いいたします。

2010年07月16日 13:09

2010/07/15 西武vs日本ハム 15回戦

2:50
北海道日本ハム
埼玉西武 × 13

埼玉西武vs北海道日本ハム15回戦(西武ドーム:15,824人)
埼玉西武ライオンズ 7勝8敗0分

継投:○平野将光(プロ初完封)
勝利投手:平野将光 1勝1敗 1.84

ホームラン:坂田遼(5号ソロ)、阿部真宏(1号ソロ)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【勝利監督インタビュー】


【ゲームレビュー】
ついに平野将光投手が3年目にしてドラフト1巡目指名の片鱗を見せ付けた。プロ2勝目となった今夜の勝ちは、チームを勢いづける散発3被安打の完封劇となり、苦しい先発ローテ陣を最後尾から押し上げる好投となった。8回には打球を足に当てるというアクシデントにも見舞われたが、終わってみれば1四球130球での完封。渡辺監督の期待に見事応えた。

東尾修監督は99年、1年目の松坂大輔投手と組ませるキャッチャーに中島聡(現日本ハム)捕手を指名した。その理由は、いくら松坂投手が怪物と言えど、さすがに高卒ルーキーが伊東勤捕手の高度なリードには付いて行けないだろうという親心だった。そして渡辺監督は今、その東尾監督と同じ采配をしているように見える。

捕手としての能力だけを見れば、上本捕手よりも細川捕手の方が数段上だ。しかし最近の2試合に関しては上本捕手が先発マスクを被っている。恐らくその理由は、細川捕手を休ませ一度リフレッシュさせるという意味もあると思うが、それ以上にピッチャーとキャッチャーのレベルを合わせたように思える。もちろんレベルを下げたという意味合いではなく、あくまでも技術的相性を優先したということだ。

昨日の野上投手にしろ、今夜の平野投手にしろ、まだまだ経験から言ったら浅い。修羅場を潜り抜けた投手とは言えない。そのため配球に関してもまだまだ理解し切れていない部分も多い。つまり、細川捕手のようなバッターありきの難しいリードに付いて行けていないのだ。細川捕手のサインにうなづいてボールを投げるものの、細川捕手の意図を理解するまでには至っていない。そしてそうこう考えている内に打たれてしまう傾向にある。

細川捕手に対し、上本捕手のリードは非常にシンプルだ。特に今夜のリードは基本に忠実という言葉がピッタリだったと思う。バッターの心理としては、ほとんど対戦のないピッチャーに対しては初球は見送りたがる。まず1球様子を見てから、投球に対しタイミングをアジャストして行く。それを知ってか、今夜の平野投手は初球に変化球でストライクを取るシーンが非常に多かった。恐らく対戦した延べ30人のバッターの内、20人弱は初球の変化球でストライクを取っていたのではないだろうか。とにかく今夜の平野投手は、良い意味で初球のほとんどのボールが甘かった。

良い意味で甘いと言うのは、切れのあるボールをしっかりストライクゾーン内に投げられているということで、決して単純にど真ん中に投げているという意味ではない。配球というものは、初球を甘いボールでストライク(もしくはファール)が取れた時ほど楽になる。分かりやすく言えば、例えば初球、真ん中内よりのスライダーでストライクを取ったとする。そして2球目はアウトロウへのストレートでファール。これでカウントは2ストライク。このようにカウントを整えられれば、3球目はアウトローのボールゾーンへ逃げるスライダーで空振り三振が取れる。バッターからすると、ボールがどんどん遠ざかって行くという配球で、最もシンプルで、最も打ちにくい配球となる。

今夜の平野投手はシンプルな配球で、とにかく集中してボールを投げることができていた。映像を見ている限り、バッターが立っていることをほとんど気にせず、ブルペンで投げているのと同じ感覚で投げていたように筆者には感じられた。これがベストというわけではないが、しかし実績のない平野投手にとってはベストだったのだろう。配球がシンプルだった分、余計な気苦労せずに9回を投げ抜くことが出来た。

これだけのピッチングをしたということは、当然オールスター明けもローテーションに加わってくるはずだ。その時に備えて、まずは打球の当たった足をしっかりと治し、コンディションを整え直して欲しいと思う。そして最後にもう1つ、今夜の平野投手の小さく落としていたフォークボールは、岸投手のチェンジアップの軌道によく似ていたように見えた。ほぼストレートと同じ軌道でリリースされ、バッターの手元まで行って急に勢いを失う。スプリット・フィンガード・ファストボール(SFF)という球種になると思うのだが、今夜の平野投手のSFFの威力は抜群だったと思う。

2010年07月15日 21:32

2010/07/13 西武vs日本ハム 13回戦

3:10
日本ハム 12
埼玉西武

埼玉西武vs北海道日本ハム13回戦(西武ドーム:14,811人)
埼玉西武ライオンズ 5勝8敗0分

継投:許銘傑~武隈祥太~土肥義弘
敗戦投手:許銘傑 5勝5敗 3.76

ホームラン:片岡易之(8号ソロ)

【ハイライト】


【ゲームレビュー】
結果的には大敗、対日本ハム戦4連敗となったこの試合だが結果以上に、その内容が悪かった。エラーによって試合を壊してしまったことに渡辺監督は苦言を呈していたがまさにその通りで、色々な意味でピッチャーの足を野手が引っ張る試合となってしまった。

試合前のブルペンに向かう許投手の後姿には、悲壮感が漂っていた。ホセ・フェルナンデス選手の加入により、外国人枠4に対し外国人選手が5人。誰か1人がどうしても2軍に行かざるを得ない。許投手にしても、絶対に2軍には戻りたくはないはずだ。筆者は勘違いをしていた。外国人選手は10年の在籍で日本人選手扱いになるのかと思っていたが、実際にはFA権(9年の1軍選手登録)の取得により日本人選手扱いになるようだ。つまり日本球界11年目となる許投手の場合、今シーズン始まる前までの1軍登録日数が6年94日(1年150日)となり、FA権を取得するにはあと2年弱(約300日)の出場選手登録が必要となる。

ライオンズの外国人選手は許投手、シコースキー投手グラマン投手ブラウン選手、フェルナンデス選手の5人だ。現在グラマン投手のみが2軍となっているが、グラマン投手もこの9連戦中には1軍復帰する見込みとなっている。無難に考えれば、許投手がもう一度先発をしてから登録抹消になり、20日辺りにグラマン投手が登録されるという流れが最も自然だ。シコースキー投手、ブラウン選手を外すということは考えられないため、外される可能性があるとすれば調子を上げられなかったフェルナンデス選手、グラマン投手、もしくは許投手が当落線上ということになるだろう。

ちなみに8月上旬には岸孝之投手の復帰が濃厚で、石井一久投手もすでにキャッチボールを開始しており130km以上のボールを投げ始めているようだ。この2人が復帰してくれば、許投手はなおさら厳しい状況に追いやられることになる。許投手自身、それは重々承知しているのだろう。だからこそブルペンに向かう背中には悲壮感が溢れていた。

ブルペンに入ると軽く走って身体を温め、それから投球練習を開始した。調子は良さそうで、ストレートにも変化球にも切れがあった。だが何よりも筆者が感じたのは、丁寧さだ。ブルペンで投げている段階から許投手は1球1球丁寧に投球していた。絶対的なスピードボールを持たない許投手にとっては、コントロールが生命線となる。スタンドからも高い集中力を感じたし、この一戦に掛ける許投手の思いもヒシヒシと感じられた。

しかしその許投手の足を、野手が引っ張ってしまった。許投手が1球ごとに魂を込めて投げていたというのに、石井義人選手が丁寧さのかけらも感じられないプレーで試合を壊してしまった。それは5回だった。先頭の金子選手にスライダーを上手くセンター前に運ばれた直後、打順は1番に戻って田中選手。2球目が少し甘くなってしまったのだが、しかし気迫で押し切りファーストゴロに仕留めた。余裕でダブルプレーが取れるような状況だった。だが石井義人選手がそのゴロをファンブルしてしまい、さらには送球を2塁に向かうランナーに当ててしまうという、2つのエラーを犯してしまった。

打球は確かにボテボテではなかった。しかし一度はミットに収めているのだから、しっかり捕ってあげなければならない。ましてやセカンドへの悪送球などは考えられない。せっかく丁寧なピッチングで試合を組み立てていた許投手の努力を、この雑なプレーが泡沫としてしまった。もしこのエラーがなければ、5回は無失点で終わっていた。しかしエラーのせいでクリーンアップまで回してしまい、3点を失うことになった(許投手の自責点は0)。

「味方がエラーをした時こそ、ピッチャーは踏ん張らなければならない!」とはよく言われる。しかしそれはエースに対しての言葉だ。許投手のように、一軍当落線上にいる投手に対して使う言葉ではない。だからこそ粘り強く投げる許投手を、野手陣がしっかりと盛り立ててあげる必要がある。それこそが空気を読むということになるのではないだろうか。エラーをするのは仕方がない。だが問題はエラーをした後だ。この苦しい場面、ライオンズの内野陣は誰1人として許投手の元に声を掛けには行かなかった。ひょっとしたら筆者が気付いていなかっただけなのかもしれないが、少なくとも5回のマウンドには、何か重苦しいものばかりが感じられた。このような場面を見てしまうと、ライオンズのリーダー不在という現状を痛感してしまう。

リーダー不要論を唱える指導者もいるが、筆者はリーダーは絶対に必要だと考えている。そしてそれは、空気でなんとなくリーダー的存在になるのではなく、名実共にリーダーである必要がある。千葉ロッテで言えば西岡選手のように、明確にキャプテンを指名する必要があると筆者は考える。地位は人を育てるとはよく言うが、ライオンズの顔である選手がもう一段階上へ行けるためにも、地位を与えるべきだと思う。そうすればチームはもっと明確に、その選手を中心にしてまとまっていくはずだ。

優勝の鍵となるキャプテンシーとリーダーシップ

2010年07月15日 01:31

2010/07/11 西武vs楽天 13回戦

3:42
東北楽天 15
埼玉西武 × 14

埼玉西武vs東北楽天13回戦(西武ドーム:26,840人)
埼玉西武ライオンズ 8勝5敗0分

継投:帆足和幸~○岡本篤~長田秀一郎~藤田太陽シコースキー
勝利投手:岡本篤 2勝 4.32

ホームラン:坂田遼(3号2ラン、4号ソロ)
盗塁:片岡易之(38)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【勝利監督インタビュー】


【ゲームレビュー】
やはりこの試合は坂田遼選手に触れないわけにはいかないだろう。5回打席に立ち、2本塁打2四死球3打点と、チームの勝利に大きく貢献した。先日プロ初ホームランを打った際には、筆者は坂田選手をイチロー選手になぞらえて賞賛した。だがこの試合のバッティング内容を見て、さらにイチロー選手への近さを確信した。

坂田選手は、イチロー選手のような俊足ではないため、首位打者を争えるほどの打率を残すことは難しいだろう。だが反面、イチロー選手が持ち合わせていない天性の長打力がある。アベレージヒッターとロングヒッターの違いこそあれど、坂田選手はイチロー選手によく似たバッターだと思う。バッティング全体を見た時、筆者が気付くことができた部分に限っても、3つの共通点があった。1つ目はグリップエンドを右手の小指で包むこと、2つ目は右足のタメ、3つ目はボールの軌道に対してのバットの入れ方だ。

1つ目のグリップエンドを右手の小指で包むというのは、イチロー選手がやっているということもあり、真似をしているアマチュア選手は多いと思う。しかしこの打ち方には非常に高度な技術が要求されるため、アマチュア選手にはあまりオススメはできない。なぜここまでバットを長く持つかと言うと、その理由はバットを柔らかく使うためだ。

硬球を打った時、金属バットで打った方が飛距離が伸びるというのが通説だ。これに異論を唱えるつもりはまったくないのだが、実はこれは正しくもあり、間違いでもある。確かに普通に打った場合は、木のバットよりも金属バットの方が飛距離は伸びる。だが木のバットの特性を理解して打った場合は、金属バットよりも木のバットの方が飛距離は伸びるのだ。そしてそれを最大限可能にするのが、グリップエンドを小指で包む握りというわけだ。

木のバットと金属バットの最大の違いはしなりだ。木のバットはしなるが、金属バットはしならない。このしなりを最大にするためには、できるだけバットの端っこを握る必要がある。うちわを想像してみて欲しい。うちわは、真ん中の方を握ると遠心力が弱まり、小刻みに素早く扇ぐことができる。だがその分一扇ぎで生み出せる風は小さくなる。逆にうちわの柄の端の方を持てば、扇いだ時にうちわがよくしなり、一扇ぎで生み出せる風が大きくなる。バットのしなりについて簡単に説明をすると、このようになる。

坂田選手はバットのしなりを上手く使っているため、当たった時の飛距離がずば抜けている。ホームランにしてもただのホームランではなく、そのほとんどが大ホームランとなっている。ちなみにアマチュア選手にグリップエンドを握ることをオススメしない理由は、スウィングした時にバットの安定感を失うためだ。毎日数百回も素振りをしている選手なら対応できるかもしれないが、まだ体ができていない子どもの選手では、スウィングした時にバットを支えきれなくなってしまう。バットを支えられなければスウィング中にバットのヘッドが落ちてしまい、バットがボールに押し返されてしまう。

さて、坂田選手にはさらなるイチロー選手との共通点がある。先述している通り、右足とバットの入れ方だ。バットの入れ方に関しては、テイクバックを大きく取り、広い振り幅でボールとバットの軌道を上手くアジャストしている。良いバッターほどバットを下から出しているのだが、坂田選手もその1人だと言えるだろう。バットを下から出すことは、アマチュア野球では厳禁ともされる打ち方だ。しかし筆者の野球理論から言わせてもらえるのなら、オーバーハンドスローの投手が投げるストレートは、必ず上から下に向かって軌道を描いてくる。ということは、バットは下から上に向かって振らなければ、バットとボールの軌道は重ならないわけだ。ボールの軌道に対してアッパースウィングになるほどバットを下から出すのは良くはない。しかしボールの軌道に対しバットの軌道をレベル(水平)にするためには、バットは下から出す必要がある。良いバッターを見ているとよく分かると思うのだが、イチロー選手などのアベレージヒッターであっても、良いバッターであるほどバットは下から振り出している。そして坂田選手もその1人だ。

だが坂田選手の良い点はこれだけではない。筆者が見る限り、最も良いと感じるのが右足だ。坂田選手の右足には、イチロー選手同様のタメがある。時間にして0.1秒、長くても0.3秒ほどのタメだ。だがこのタメがあることにより、多少の急速差にも苦なく対応できている。坂田選手は見ている限り、基本的にはストレート狙いのバッターだ。だがリニアムーブメント時(体重移動)のこの右足のタメがあるために、タイミングを外してくる遅球にも対応することが可能となっている。

バッティングで最も重要なのは、タイミングだ。タイミングが合わなければジャストミートしてもボールは飛んでいかない。逆にタイミングさえ合っていれば、バットの芯を外したとしてもボールはヒットゾーンに飛ぶし、ホームランになることさえもある。坂田選手は、バッティングにおいて最も重要なタイミングがしっかり取れているのだ。現時点ではまだ勢いで打っている面もあるとは思うが、しかし今後1軍レベルのボールに馴れてくれば、コンスタントに率を残すことができるだろう。そして近い将来、クリーンアップを任せられるだけの選手に成長するはずだ。難のあった守備に関しても、熊澤コーチとの特訓で克服し、不安はなくなった。まだまだ1軍の試合に出ることで精一杯の坂田選手だとは思うが、調子を落としても自信を失うことなく、これまで培ってきた実力を信じ、残りの試合も頑張って欲しいと思う。そして中村選手の不在を感じさせない活躍をし、チームの日本一に貢献してもらいたいと思う。

2010年07月13日 02:29

2010/07/10 西武vs楽天 12回戦

3:25
東北楽天 11
埼玉西武

埼玉西武vs東北楽天12回戦(西武ドーム:29,104人)
埼玉西武ライオンズ 7勝5敗0分

継投:●涌井秀章小野寺力~岡本洋介
敗戦投手:涌井秀章 10勝5敗 3.00

盗塁:片岡易之(37)

【ハイライト】


【ゲームレビュー】
この日の涌井投手はブルペンから良くなかった。試合開始直前のブルペン、最初はストレートを中心に投げていたのだが、そのストレートがまったく走っていない。調子が良い日の涌井投手のストレートは、軽く投げた130km台であっても伸びを感じるのだが、この日の涌井投手のストレートは、球速ほどの伸びが感じられなかった。このことに関しては当然涌井投手もよく分かっていた。ストレートが走らないと判断するや否や、ブルペンでの後半はほとんどカーブを投げ続けていた。カーブに関しては、ストレートほど悪くは見えなかったが、しかし好調時と比べると少々切れに欠けていた。だがバッターの目先を変えるには十分と言える変化をしていた。

明らかに調子が悪というのに、7回まではなんとか1失点で防ぐところはエースの意地なのだろう。立ち上がりは投球後に珍しくグラブを落とすなど、若干集中力に欠いた姿も見せていたのだが、それだけストレートの切れのなさに気持ちが行ってしまっていたのかもしれない。この日の最速は筆者が確認した限りでは、7回辺りに投げた146kmだった。西武ドームで146kmということは、他の球場のスピードガンでは150kmを計測していても不思議ではない。だがこの最速にしても、スピード表示ほどのスピード感はなかった。

筆者は一塁側で観戦をしていたのだが、てっきり7回でマウンドを降りると思っていた。下位打線を三者凡退で抑えた7回。状態が悪いにも関わらず1失点で投げ抜いたということは、普段以上にスタミナの消耗は激しかったはず。それならばエースとは言え、やはり打たれる前に代えてあげるべきだったと思う。そして前半戦を締めくくる9連戦で、中5日登板をさせてあげた方が、結果論でしかないわけだが、良かったのかもしれない。

9回、涌井投手の後を継いで登板したのは小野寺投手だったのだが、結果だけを見ると2/3回を投げて4被安打3失点と、試合を壊してしまった。しかし決してかばうわけではないのだが、勝負には勝っていたと思う。いわゆる勝負に勝って、結果で負けたというやつだ。先頭のリンデン選手に打たれたセンター前ヒットも打球は完全に詰まったのだが、それが災いしてセンター前に落ちてしまった。その後はバントとフライで2アウトとするのだが、続く聖沢選手に打たれたレフト前ヒットも、打球は完全に死んでいたのだが、不運にもそれがサード後方にポトリと落ちてしまった。

エース涌井投手から4点を奪い、イケイケ状態となった楽天打線だ。代わった上本捕手はもっと注意を払うべきだった。打たれたボールのほとんどは高めのストレートだった。楽天打線がストレート狙いで来ていることは、スタンドから見ていても一目瞭然だ。恐らくデータなのだろう。小野寺投手が投げるボールの約60%がストレートというデータを用い、シンプルに狙い球を絞っていたのだと思う。それでもストレートを投げ続けさせた上本捕手は、この試合の敗戦捕手と言っても過言ではないだろう。

筆者が特に納得が行かなかったのは、高須選手への初球だ。上本捕手が投げさせたボールはまたもやストレート。小野寺投手のボールがいくら走っていたとしても、ストレート狙いのバッターにストレートを投げては、当然対応されてしまう。しかも不運なヒットで落ち込んでいる小野寺投手に、イケイケ状態の楽天打線。どう考えても初球ストレートを連発させる場面ではない。小野寺投手には数種類のフォークボールがあるため、チェンジアップ気味にフォークを使ってカウントを整えてから、ストレート勝負というのなら分かる。しかし初球から良い球だけを投げさせるというのは、これは近年、アマチュアでも行わないリードだ。

小野寺投手にはこの試合を引きずることなく、9連戦ではフル回転をしてチームの前半戦首位ターンに貢献してもらいたいと思う。そして時には補欠捕手のサインに首を振るだけの自我・自信を持って、マウンドに登ってもらいたい。完全復活まではそう時間は掛からないはずだ。それまでは結果に負けることなく、自分のボールを信じてマウンドに立ち続けて欲しい。1つ1つの小さな結果が積み重なり大きな自信となり、完全復活までの道しるべとなってくれるはずだ。

2010年07月13日 01:45

2010/07/08 オリックスvs西武 12回戦

3:05
埼玉西武
オリックス × 12

オリックスvs埼玉西武12回戦(京セラドーム:13,481人)
埼玉西武ライオンズ 8勝4敗0分

継投:●平野将光~土肥義弘~岡本洋介
敗戦投手:平野将光 1敗 4.76

【ハイライト】


【ゲームレビュー】
この試合の敗戦はあまりにも情けなかった。こんなに屈辱的、かつ情けない試合を目にすることは滅多にないだろう。と言っても決して3安打で完封されたことでも、投手陣が6失点したことでもない。筆者が怒りを覚えたのは7回裏、オリックスのカブレラ選手の打席だ。1アウト2塁という状況で迎えた場面なのだが、ライオンズベンチが選択した作戦は敬遠だった。だが敬遠したことも決して問題ではない。敬遠は立派な作戦の内だ。筆者が許せなかったのはカブレラ選手がバットを逆さまに持って打席に入ったことと、土肥投手がそれを見たにも関わらず敬遠したことだ。

カブレラ選手は、ライオンズ時代にも敬遠にふて腐れてバットを逆さまに持って打席に立ったことがあった。その時は相手のタフィ・ローズ選手がその行為に怒り、グラウンド上で怒声を上げた。筆者はローズ選手のその態度に敵ながら好感を覚えたのだが、今回は普通に試合は進行されて行った。なぜこのカブレラ選手の侮辱的行為に誰も怒りを顕にせず、かつ主審は警告をしなかったのだろうか。バットを逆さまに持つということは、明らかに打つつもりがないという意思表示だ。ということは、その時点で即刻アウトにすべきではないだろうか?また土肥投手に関しても、カブレラ選手にまったく打つ気がないのだから、ど真ん中にストライクを投げてしまえばいい。しかし土肥投手はそうはせず、普通に敬遠で歩かせてしまった。本当に情けないシーンだったと思う。

この場は日本野球界の最高峰である、NPBプロ野球の試合だ。カブレラ選手が行った、スポーツマンシップを無視した行為を果たして許しても良いのだろうか。そしてその行為に対し怒りを顕にしないライオンズもおかしければ、注意をしないオリックス、警告を出さない主審もすべておかしい。カブレラ選手は敬遠に対し抗議をするという意味でバットを逆さまに持ったのだろうが、しかし相手選手を侮辱するこのような行為は、決して許してはならないと筆者は考える。ライオンズ時代に同じことをした時も、筆者は同じような怒りを感じたことをよく覚えている。

そして土肥投手は気持ちの強いピッチャーだと思っていたが、どうやらそうではなかったようだ。筆者は打たれることに対しては文句は言わないし、敬遠することに対しても作戦の1つだと理解している。しかしまったく打つ気のないバッターに対し、それでも敬遠をするというのはプロとして本当に情けないと思う。故意死球を奨励するわけではないが、しかし故意に死球を当てたくなるような感情を抱くのが、野球を生業とするプロのピッチャーとしての本来の姿ではないだろうか。死球を当てずとも、死球ギリギリの内角に投げるくらいの気概があっても良いと筆者は考える。また、カブレラ選手に対しては侮辱行為で退場処分、数試合の出場停止処分があっても良いと考えている。もし20~30年前に活躍した名物審判たちであれば、決してカブレラ選手のこの行為を黙って見過ごしてはいなかっただろう。

さて、怒りをぶちまけるのみで記事を終わらせてしまうのも、ある意味読み手への侮辱行為となりかねないので、最後は細川亨捕手を絶賛して記事を締めくくりたいと思う。場面は2回裏2アウト、坂口選手がセカンドへの内野安打で出塁した直後だ。打席には荒金選手で、打球はレフト坂田選手の横を破る長打コースへと飛んだ。すると坂口選手は一塁から一気にホーム生還を狙った。フェンスに到達したボールはまず坂田選手が処理し、それを中島選手に中継。ここから中島選手も見事なバックホームを見せたのだが、この場面本当に素晴らしかったのは細川捕手だった。

細川捕手は、中島選手の送球がマウンドのラインを越えるギリギリまで、ホームベース付近で棒立ちをしていた。これは完全なフェイクだった。その細川捕手の姿を見て、坂口選手はストレートスライディング(ベースに対し真っ直ぐ突っ込むスライディング)をチョイス。タイミング的には微妙だった。まさにクロスプレーと呼べるようなタイミングで、アウトにもセーフにもなるタイミングだ。だがアウトにしたのが細川捕手のフェイクだった。もしこの時細川捕手が中継された時点から臨戦体勢を取っていたなら、坂口選手はストレートには突っ込まずに横から滑り込んみ、ホームベースを手で払うようなスライディングをチョイスしたはずだった。この時のタイミング、2人の位置関係を見ると、もし坂口選手がサイドスライディングをチョイスしていたら、クロスプレーは追いタッチになっていた可能性が高い。そして追いタッチになっていれば、かなり高い確率でセーフとジャッジされていたはずだ。

このようなフェイクプレーは、マリナーズのイチロー選手や現役時代の新庄剛志選手ら外野手がたまに用いるのだが、捕手のフェイクを見せてもらったのは筆者は初めてだった。これまで細川捕手は何度かジョージア魂賞にノミネートされているが、この1プレーもノミネートに値するビッグプレーだったと筆者は思う。ただ、勝ちに繋がらなかったためにノミネートの可能性は低いかもしれない。そもそもこのプレーに気付かれた方も多くはないだろう。しかしなかなか見られないプレーであるため、ぜひハイライトなどで細川捕手のこのプレーを再チェックして頂ければと思う。このようなビッグプレーをさりげなく見せてくれるあたり、やはり細川捕手は球界を代表するホームベースの守護神と呼べるだろう。

2010年07月09日 16:24

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