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2010/04/29 西武vsロッテ 9回戦

3:24
千葉ロッテ 10 17
埼玉西武

埼玉西武vs千葉ロッテ9回戦(西武ドーム:30,881人)
埼玉西武ライオンズ 4勝5敗0分

継投:●田中靖洋~岡本洋介~野上亮磨星野智樹
敗戦投手:田中靖洋 1敗 10.38

ホームラン:中村剛也(8号ソロ)、高山久(3号ソロ)

【ハイライト】


【ゲームレビュー】
先発予定だった西口文也投手が発熱したことで登板回避し、めぐってきたチャンス。田中靖洋投手も岡本洋介投手もそれを活かすことができなかった。2人で合計5イニング投げて9失点(自責点8)はチームにとってあまりにも大きな痛手となった。

2人とも、ボールそのものは決して悪くはなかった。ただ言えることは2人とも明らかに硬くなっており、完全に上半身だけで投げている状態になってしまっていた。そしてこれにより遅い変化球がしっかりと抜けなくなり、ホームベース手前でワンバウンドしてしまうケースが増えた。それでも細川亨捕手は本当によく止めていたと思う。筆者が3塁側内野席から見ている限りでも、「これはムリだろう!」と思えるようなワイルドピッチでもしっかりと体で止め、前へ転がしていた。もし細川捕手が相手でなければ、田中投手は更なる失点を重ねていたかもしれない。

実は筆者は、初回の田中投手の配球に疑問を覚えていた。だがあとで考えたらきっと田中投手はかなり硬くなっていたのだろう。それを知っていた細川捕手が緊張をほぐそうと、あえてストレートを多投させたのだと思う。球種の割合を詳しく数えていたわけではないのだが、「ほとんどストレートだった」と言えるほど、投げているボールはストレートが多かった。さらには2~3回に関しては、変化球をストライクゾーンに投げることができなくなってしまった。せっかく2ストライクまで行っても、そこから変化球を投げ切ることができず、結局苦し紛れで投げたストレートを狙われ痛打されていた。このようなシーンをハッキリ覚えている限りでも3回はあったと思う。

この試合は結果的には散々な登板となったわけだが、しかしできることなら田中投手にはもう一度先発のチャンスを与えて欲しいと思う。筆者が何度か見る限りでは、田中投手は非常に投手らしい投手だ。体型から投げ方まで、完全に投手のものだと言える。そして下半身にもしっかりとした安定感があるし、浮き足立つことさえなくなれば、かなり良い投球をするのではないかと見ている。特にストレートは球速以上に速く感じられ、もしカーブをきっちりとラインに投げ切ることさえできれば、先発6番手に食い込めるだけの能力はすでに持っていると思う。

さて、田中投手・岡本投手ともに言えることなのだが、この試合に関してはボールゾーンをまったく使いこなすことができなかった。コントロールの面で安定感がなかったということも大きな要因ではあったのだが、あまりにもストライクとボールがハッキリし過ぎてしまった。

岡本投手はアマチュア時代は、ある程度は全力で投げなくても抑えられていたのだと思う。プロに入ってくるだけの実力があるのだから当然と言えば当然なのだが、ひょっとしたらまだアマチュア時代のその感覚を捨て切れていないのかもしれない。アマチュアであれば、本当に恐いバッターと言えばせいぜいクリーンアップトリオくらいだ。だがプロでは違う。プロの打者は、全員がアマチュア時代はクリーンアップを打っていた。つまりアマチュア上がり1年目の選手からすれば、プロの打者は1番~9番まですべてアマの4番打者クラスなのだ。そのことをしっかりと肝に銘じておかなければ、この試合のように制球が定まらない時に苦労するだろう。

何はともあれ、とにかく勇気を持ってしっかりとストライクを投げることだ。空振りでも見逃しでもファールでも、方法はどうであれとにかくなるべく早く2ストライクを取ることだ。そうすればもうストライクゾーンにボールを投げる必要はなくなる。ストライクゾーンからボールゾーンに逃げていくスライダーや、ボールゾーンに落ちていくチェンジアップを投げておけば、少なくとも大怪我をすることはない。

ピッチングに関してプロとアマで最も異なる点は、プロはボールゾーンの使い方が重要となり、アマはストライクゾーンの使い方が重要ということだ。プロの投手であれば、ボールゾーンをどう有効に使えるかということが投球術とされる。ボールゾーンを上手く使うためには、まずはストライク先行でカウントを整えていくことだ。例えばダルビッシュ投手のツーシームやワンシームなどは、右バッターからするとしっかり決められるとファールを打つのがやっととなる。もしラインギリギリに良いツーシームを2つ決められてしまったら、それだけであっという間に2ストライクとなってしまう。この状況になってしまうと、バッターとしたらヒットを打てる確率は1割台まで下がってしまう。なぜなら、2ストライク・ナッシングの状況ではピッチャーはもうストライクゾーンにはほとんどボールを投げてくれないからだ。

チームダルビッシュの一員である田中投手には、同じくチームダルビッシュの野上投手とともに、ぜひとも師匠であるダルビッシュ投手の目前で好投を披露してもらいたいと思う。この試合では残念な結果となってしまったが、田中投手にしろ、岡本投手にしろ、次回の登板に期待をしたい。

2010年04月30日 23:06

2010/04/28 西武vsロッテ 8回戦

2:42
千葉ロッテ
埼玉西武 ×
埼玉西武vs千葉ロッテ8回戦(西武ドーム:15,482人)
埼玉西武ライオンズ 4勝4敗0分

継投:○石井一久~H藤田太陽~Sシコースキー
勝利投手:石井一久 3勝1敗 3.09
セーブ:シコースキー 2敗12S 1.17

ホームラン:大崎雄太朗(1号ソロ)プロ入り初ホームラン
盗塁:片岡易之(14)、中島裕之(4、5)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【勝利監督インタビュー】


【ゲームレビュー】
ライオンズが今季31試合目にして、ついに単独首位に躍り出た。渡辺監督はチームを率いる立場として「全然気にしてません」と言う順位についてだが、しかしファンにとってはチームが首位にいること以上に嬉しいことはない。気は早過ぎるが、、願わくばこのまま最後まで首位で居続け、日本シリーズまで制して欲しいと思う。

今夜先発をしたのは絶好調の石井一久投手だった。立ち上がり1~2回に関しては制球が定まらず、常にボール1~2個分甘いコースに行っていた。だがこれも立ち上がりでまだ球威がある頃だったから大怪我には繋がらず、失点も2回に失った1点のみで切り抜けた。すると3回くらいからは一気に制球が良くなり、甘いコース側に外れていたボールが、ボールゾーン側にずれるようになっていった。この修正もあり、3回以降は散発の3被安打のみで、フォアボールも失点も0に抑えた。パーフェクトと言っても良いほどの投球内容だったと思う。

今夜の石井投手のボールで最も良かったのは、ライン際のボールだ。昨日岸投手もラインへの制球は抜群だったのだが、しかし球審の栄村さんのジャッジは辛く、なかなかストライクを取ってはくれなかった。反面今夜の石井投手の場合は、ライン際のボールを球審の橋本さんがストライクを取ってくれたため、ピッチングにかなりの幅を持たすことが出来ていた。ちなみにラインとは、ストライクゾーンを縦に分割した時のラインのこと。ピッチャーが投球練習をする際は、コースへの制球を定める前に、ラインの制球を確かめることが多い。ラインは縦に分割した縦長のゾーンのことで、コースとは縦のラインにさらに横のラインを加えたポイントのこと。例えばストライクゾーンを9分割した時の的がコースと言うわけだ。

今夜の石井投手はラインへの制球が抜群で、インスラ(INスライダー;ボールゾーンからストライクゾーンに食い込むスライダー、もしくはカーブ)が良く決まっていた。右バッターからすると、このインスラを駆使されてしまうと追い込まれた後どうしようもなくなってしまう。見逃すとストライクになるし、かと言って打って行っても凡打になりやすい。これがもし右ピッチャーが相手であればファールになりやすいのだが、左投手対右打者の場合、左ピッチャーの内に入ってくるボールをカットしてファールにしようとすると、意外とボールはフェアゾーンに転がってしまう。今夜のロッテ打線もこのインスラにやられ、4回以降の右打者はほとんど三振か内野ゴロで打ち取られている。この日インスラを苦にしなかったのは、左打者の大松選手くらいだっただろう。

さて、今夜は石井投手だけではなく高山久選手も光っていた。打撃でもしっかりと1本ヒットを打ったわけだが、それ以上に守備が良かった。高山選手はそれほど足の速い選手ではないため、守備範囲は決して広くはない。だが外野を守って11年目という経験もあるのだろう、打球判断が常に安定している。外野経験のまだ浅いG.G.佐藤選手などは、打球の落下点に対し直線で走っていけない弱点を未だ抱えている。難しい飛球になると、必ずどこかで曲がり角を作って打球を追ってしまうため、時間をかなりロスしている。だが高山選手の場合は一直線で落下点に走って行けている。そのため守備範囲が広くなくても、大飛球でも無難に守備をこなすことができている。投手目線から見れば、高山選手の打球の追い方は安心して見ていられる。

そして高山選手といえば昨年の後半から神主打法を採用している。元祖神主打法と言えばかつての三冠王落合博満中日監督なのだが、高山選手曰く決して真似をしたわけではないらしい。自分で最もリラックスして打てる打法を試行錯誤していたら、たまたま神主打法に行き当たり、実際に取り入れた後になって落合選手の過去の映像を初めて目にしたようだ。

神主打法はボールをギリギリまで見極められるという大きなメリットがある反面、強靭な身体がなければバットが投球に対して負けてしまうというデメリットがある。ちなみに現役時代の落合選手は神主打法を続けるに当たり、太腿の太さ60cmをキープするように心掛けていたそうだ。高山選手の場合入団時は「秋山二世」と言われていただけあり、強靭な身体とリストを持っている。だからこそ神主打法を物にできたわけだ。もし身体の線が細い選手が神主打法を取り入れても、まず結果を出すことは難しいだろう。昨年まで2軍監督を務めていた片平晋作さんは退団間際の頃、高山選手に「その打ち方を絶対に変えるなよ」とアドバイスそうだ。

11年目で遅咲きとも言える高山選手だが、今後も好調をキープして1年間1軍に居続けられる活躍を見せて欲しいと思う。渡辺監督も2軍監督時代、高山選手がひたむきに練習する姿をずっと見ていただけに、今年の活躍には感慨深いものがあるのではないだろうか。ぜひ今季は高山選手の活躍で、渡辺監督を再び男にしてあげてもらいたい!

【4月29日の予告先発投手:田中靖洋投手】 筆者も西武ドームで観戦予定

2010年04月28日 21:47

2010/04/27 西武vsロッテ 7回戦

2:58
千葉ロッテ
埼玉西武 ×

埼玉西武vs千葉ロッテ7回戦(西武ドーム:13,835人)
埼玉西武ライオンズ 3勝4敗0分

継投:○岸孝之~H藤田太陽~Sシコースキー
勝利投手:岸孝之 5勝1敗 2.66 5連勝
セーブ:シコースキー 2敗11S 1.26

ホームラン:中村剛也(7号2ラン)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【勝利監督インタビュー】


【ゲームレビュー】
今夜の岸孝之投手も、まさにパーフェクトなピッチングだった。3月22日にはあまり良くなかったカーブを狙われ、ロッテ相手にKOされていただけに、今夜はさながらリベンジと言った様相だった。全137球のうち、筆者が「あれ?」と感じたのは1球目のストレートのみで、他のボールは本当に力がみなぎっていたように感じた。まさにエース級のピッチングだった。だがそれ以上に凄かったのは、これだけ完璧なボールを投げている岸投手から7安打を放ち、1点を奪ったロッテ打線の好調さだ。これだけ調子の良い岸投手を打ってしまうのだから、明日・明後日に投げるピッチャーは細心の注意を払う必要があるだろう。

そしてこの試合からはついに中島裕之選手が3番ショートとしてスタメン復帰を果たした。レフトスタンド最前列には「おかえりナカジ」の応援幕が掲げられ、ファンの復帰歓迎コールは動画中継を通してもよく聞こえていた。やはりナカジ人気は本当に凄い。ライオンズの背番号3を背負うのだから当然と言えば当然なのだが、改めて中島選手の人気を実感した1試合でもあった。しかも復帰して早々に2安打を打ってしまうところが中島選手は凄い。本当にファンの期待を裏切らない男だ。

さて、ここまであまり触れてくることはなかったのだが、そろそろ藤田太陽投手にも触れておかなければならないだろう。今季のライオンズの快進撃を、藤田投手抜きで語ることはできないからだ。それほど藤田投手の活躍は目覚しい。これまで12試合に投げて失点は0。今夜の試合でも打者3人をパーフェクトに抑え、クローサーのシコースキー投手に繋いだ。

筆者の西武ファン仲間の話によれば、昨季の藤田投手は阪神の春季キャンプを先発としての調整をしながら過ごしていたらしい。そこから7月にトレードでライオンズにやってきたことでリリーバーとしての調整が上手くいかず、球速が出ていなかった。しかし今季は最初からリリーバーとして調整したことで、開幕直後から本当に力強いボールを投げている。恐らく打席での体感スピードはスピードガン表示より5km以上速く感じているはずだ。

藤田投手は身長が187cmと高く、去年までは背の高い投手特有の弱点を抱えていた。それは背の高さをしっかりと沈めて投球できないことで肘が下がり、球威・切れが出ないという点だ。脚の長さのせいでそう見えるだけなのかもしれないが、筆者が見た限りでは、藤田投手はコントロールを良くするためにわざとステップ幅を若干狭めているのだと思う。ステップ幅を狭くすると確かにコントロールは安定するのだが、その分球威が落ちたり肘が下がってしまったりする。昨年移籍後の藤田投手は、まさにこの弱点を抱えていた。

ピッチャーにとって最も重要な要素の1つに、並進エネルギーの確保がある。つまり投球方向に対するエネルギーをステップによって生み出すということなのだが、ステップが狭く上体の高い藤田投手はこのエネルギーを上手く確保できていなかった。だが今季は逆に、上体の高さを上手く利用して、位置エネルギーを並進エネルギーに加えることに成功している。位置エネルギーとは、高いところから落下していく時に生じるエネルギーのことで、ピッチャーの場合は前脚を振り上げてそこから降ろす時に位置エネルギーが発生する。一昔前に活躍した近鉄の阿波野投手や、日本ハム時代の西崎投手らのヒールアップ投法は、前脚の振り上げ+かかとを上げた高さを位置エネルギーにする高度な技術だった。

長身を活かした位置エネルギーを増幅させられたためか、今季の藤田投手のストレートには見た目以上の力感がある。そして上体だけで強いボールを投げようとするのではなく、鋭い脊柱スピンを用いることで球速を上げているため、ボールの切れも安定して出すことに成功している。リリーバーとしてこれができて安定しているのが藤田投手で、これができていないために安定感を得られないのが小野寺力投手というわけだ。

小野寺投手の場合はコントロールを安定させることを最優先にしてしまったことで、自らの長所であるボールの勢いを殺してしまった。小野寺投手は現在L字ステップと言って、振り上げた前脚を一度垂直に降ろし、地面すれすれのところで投球方向に持っていくという形のステップを踏んでいる。

せっかくなのでもう少し小野寺投手の解説をしておくと、小野寺投手は元々二段モーション気味の投手だった。だが二段モーションが禁止されてしまったことで自分のボールを見失い、長く低迷してしまっている。二段モーションを採用している投手の共通点は、前脚を振り上げたトップの位置での安定感だ。分かりやすく言えば、軸足1本でしっかり立っているという状態。これだけを聞くと良さそうに聞こえるのだが、ピッチングにおいてこの安定感はまったく必要のないことなのだ。なぜならバランスよく1本脚で立つという状態は、投球方向に影響するエネルギーを一切生まないどころか、投球方向に働くエネルギーを相殺してしまう場合がある。二段モーションを取るということは、この安定感を投球方向に対して開放してあげるということなのだ。

一段目の脚の振り上げで体勢を安定させ、二段目の小さな振り上げで、重心を投球方向に移動させる切っ掛けを自らに与えている。これが二段モーションのメカニズムだ。二段モーションのメカニズムをしっかりと理解している投手は、二段モーションからの脱却に成功している。例えば楽天の岩隈投手、横浜の三浦投手らがそれに当たる。だが小野寺投手の場合は二段モーションの禁止で失われた並進エネルギーを別のもので補おうとするのではなく、あくまでも二段モーションの安定感を求めてしまった。それが長らく続く不振の原因になっていると筆者は見ている。

逆に藤田投手のピッチングモーションをぜひ見てもらいたいのだが、藤田投手は前脚を振り上げたトップの位置で、まったく安定感を得ていない。前脚を、骨盤を閉じながら振り上げることでヒップファーストフォールを実現し、ヒップファースト(前脚側骨盤の裏側<お尻>が先行となる状態)の体勢になることで上体は投球方向とは逆側に傾斜してバランスを取ろうとする(動的バランスであり、安定感とは異なる)。この時身体は「くの字」に曲がって見えるのだが、この反応を生理学用語ではカウンタームーブメントと呼ぶ。藤田投手の躍動感溢れるピッチングフォームは、このカウンタームーブメントが引き起こしていると言っても過言ではない。

チョロQを思い浮かべてもらえれば分かりやすい。チョロQは、最初に後ろに引っ張ることで前へ進むエネルギーを生み出している。反対に後ろに引っ張ることなく、ただ前へ押し出すだけでは、チョロQは走ってはくれない。ピッチャーにもこれに似た原理が働いているのだ。後ろに引っ張る動作が入っている藤田投手と、後ろに引っ張る動作が入っていない小野寺投手。これが2人の最も大きな違いだと言える。

藤田投手はサイドハンドスローに転向することで、脊柱スピンを効果的に使えるようになった。もしオーバーハンドスローのままであったなら、ひょっとしたら小野寺投手と同じ命運をたどっていたかもしれない。阪神の星野仙一シニアディレクターは「藤田は環境を変えれば必ず活躍できるはずだから、早くトレードで出してあげたい」と言っていたそうだ。ライオンズに移籍し、まさにその言葉通りになった。今季の藤田投手の状態であれば、調子を落としたとしても不調が長引くことはないだろう。それどころかシコースキー投手がもし調子を落としたとしても、藤田投手をクローサーに据えられるという安心感さえある。今年の藤田太陽投手は、一年を通して信頼できそうだ。

【4月28日の予告先発投手:石井一久投手

2010年04月27日 23:40

2010/04/25 オリックスvs西武 6回戦

2:50
埼玉西武
オリックス

オリックスvs埼玉西武6回戦(スカイマーク:23,368人)
埼玉西武ライオンズ 4勝2敗0分

継投:○帆足和幸~H長田秀一郎~H藤田太陽~Sシコースキー
勝利投手:帆足和幸 3勝2敗 1.54
セーブ:シコースキー 2敗10S 1.35

ホームラン:中村剛也(6号2ラン)
盗塁:片岡易之(13)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【ゲームレビュー】
渡辺監督からすると、「勝てているから変える必要はない」ということなのかもしれない。しかし筆者はこう考えている。「勝てているからこそ変えられる」と。何の話をしているかと言うと、1番バッターのことだ。ここまで不調が続いている片岡易之選手だが、このまま上がって来ないようなら、渡辺監督も再度決断する必要に迫られるだろう。今はまだ勝てているから片岡選手の不振が目立ってはこないが、今後チーム状態が下がった時、それでもまだ片岡選手が上がって来れないようなら、その不振は戦犯扱いされかねない。そうならないためにも、今のうちに手当てをしておく必要がある。それに不調のまま片岡選手を1番に使い続けても、真面目な性格である片岡選手は自分を追い込んでしまうばかりになる。負のスパイラルにも陥りかねない。

渡辺監督の野球を考えると、やはり1番には走れるバッターを添えたいのだと思う。もちろんこれは野球というスポーツにとってはセオリーとなるし、走れる1番バッターの出塁は相手にとっては脅威ともなる。だが盗塁よりももっと大切なのは、出塁をすることだ。最近5試合の片岡選手の出塁は2つのフォアボールを合わせても僅かに5。出塁率で換算すると.250でしかないのだ。1番バッターが4打席に1回しか出塁できないとなると、チームの得点力も当然落ち込んでしまう。だが勝てている時はこれが目立たないため問題はないのだ。問題はあくまでもチームが勝てなくなった時にある。

現在チーム打率は.259でリーグ3位の数字ではあるのだが、3位とは言え.259という数字はあまりに低い。優勝を目指すのであれば、チーム防御率は3.50が必要だし、チーム打率は.270前後必要となるだろう。チーム防御率に関しては最近日に日に向上しているため良いと思うのだが、チーム打率の方がなかなか目に見えて上がってこない。こういう状況を見て考えてしまうのは、やはりデーブ大久保コーチの1軍復帰案だ。「デーブコーチでなければダメだ」とは言わないが、しかし森・黒田両コーチで打線が完全に波に乗ったことが去年からほとんどないように思う。そしてそれは、相手投手がエース級の時はより顕著に現われ、エース級の投手が登板をしてくると、打線はまるで決まりごとのように打てなくなる。これでは優勝することはできない。プレーオフへの進出などある意味どうでもいいことだ。重要なのはペナントレースを1位通過し、日本シリーズで勝つことにある。

ペナントレースの先を見越しても、やはり片岡選手の不調は痛い。少し前に渡辺監督は片岡選手を9番に降格させたが、筆者としてはしばらくの間はずっと9番を打たせてあげてもいいと思う。状態が良くなりだしたら1番に戻すのではなく、しっかりと状態が上がりきってから1番に戻してあげるべきだろう。そしてその間の1番バッターは栗山巧選手、2番にサード原拓也選手を据えれば良いのではないだろか。ピッチャーからすると、初回から2人連続で左バッターを相手にするのは嫌なものだ。しかも左ピッチャーだったとしても、両選手共に左ピッチャーを苦にしない。栗山選手は今季左投手に対しては35打数12安打で.343、原選手は5打数2安打で.400という数字を残している。個人的には原選手の1番というものも見てみたいのだが、しかし原選手は盗塁ができないランナーであるため、1番の役割を考えるとやはり栗山選手の方が適任だろう。

27日のロッテ戦からはいよいよ3番ショートに中島裕之選手が帰ってくる。この勝負強いバッターでより多くの得点を挙げるためにも、やはり1番バッターは出塁率の高い選手である必要がある。ただしここ数試合の栗山選手は打率を一気に下げてしまっている。ライオンズは今勝てているからこそ、1・2軍の打撃コーチを入れ替えるべきではないだろうか。コーチの職責は、コーチ業を一生懸命こなすことではない。プロのコーチとして、そこにはほとんど意味はないのだ。コーチに必要なのは選手同様、あくまでも結果。結果を出せないコーチは選手同様2軍に行くべきなのだ。日本球界は未だにステイタスに対する固執があるため、よほどチーム状態が悪くならなければコーチの入れ替えはない。だが結果を出せない2コーチをこのまま1軍に置いておいては、本当に重要な局面を迎えた時、千葉ロッテの金森コーチ、福岡ソフトバンクの立花コーチ、北海道日本ハムの大村コーチのような経験・実績のあるコーチには太刀打ちできなくなるだろう。特に金森・大村両コーチの実績は素晴らしいものがある。

ライオンズとしても新しいコーチを育てたいのかもしれないが、しかし1軍は育てる場所ではない。1軍は勝たなくてはならない場所だ。コーチを育てたいのであれば、それは2軍でやるべきだと筆者は考えている。そもそもプロでのコーチ経験に乏しい森コーチ、コーチ経験すらなかった黒田コーチをいきなり1軍で起用したフロントワークにも未だ疑問が残る。森コーチに関しては、デーブコーチにプライベートの問題が発覚し緊急昇格したという経緯はあったものの、黒田コーチを1軍に入れるのならば、実績を見たら間違いなく熊澤コーチの方が1軍にとっては有益だったはずだ。

いくらライオンズに現在素晴らしい選手たちが揃っていたとしても、その選手たちをしっかり動かせる打撃コーチがいなければ意味がない。ハッキリ言うと、1軍のコーチが技術指導をすることは意外と少ない。なぜなら、1軍にいる選手は技術があるから1軍に入れているためだ。そのため1軍コーチの最大の役割は技術指導ではなく、いかにして打線の状態を高い水準でキープし、得点力を上げるかということになる。

例えば主力バッターと言えど、長年レギュラーを張れば必ず集中力を失ってしまう時期がやってくる。そういう時はスタメンを外し、絶対的に集中せざるを得ない場面で代打起用し、気持ちを入れ替えさせてあげるということも大切な仕事だ。プロ野球はアマチュア野球のようなトーナメントではない。そのため急場しのぎの采配には、長期的に見ると意味はない。だからこそ片岡選手を外すのであれば、しっかりと外さなければならない。片岡選手はライオンズの1番打者として絶対に必要な選手ではあるが、しかし1番という打順はチームの勝敗に直結しかねないポジションであり、調子が悪くても使い続けて良い場所ではないのだ。

このような理由から、筆者は勝っている今だからこそ、思い切った采配を揮って欲しいと考えている。例えば最近絶好調である高山久選手を思い切って1番に起用したって良いだろう高山選手には盗塁はないが、その分長打がある。片岡選手の不調は技術の問題ではない。技術はあるのだが、頭の中に「迷い」もあるからこそ不調を抜け出せずにいる。ということはコーチの仕事は、その迷いを片岡選手の頭の中から振り払ってあげることだ。果たして森・黒田両コーチにそれができるだろうか?しばらくはその点にも注目をして筆者は両コーチを見守って行きたいと思っている。

【4月27日の予告先発投手:岸孝之投手

2010年04月27日 12:46

2010/04/24 オリックスvs西武 5回戦

3:29
埼玉西武
オリックス

オリックスvs埼玉西武5回戦(京セラドーム大阪:22,395人)
埼玉西武ライオンズ 3勝2敗0分

継投:○許銘傑~H長田秀一郎~星野智樹~H藤田太陽~Sシコースキー
勝利投手:許銘傑 2勝2敗 3.75
セーブ:シコースキー 2敗9S 1.46

盗塁:ブラウン(3)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【ゲームレビュー】
この試合先発したのは先発6番目の男・許銘傑投手。しかし6番手とは言えここまではどの試合もしっかりと先発としての責任を果たしている。昨年後半戦からの好調を維持し、さらにそこで芽生えた自信が安定感を生んでいる。

許投手の持ち味といえばやはり豊富な球種だ。その中でもストレート、シュート、スライダーのコンビネーションはバッターからするとかなり厄介になる。配球の基本は「対」を考えること。例えば最終的にアウトコースのスライダーで打ち取りたい場合は、その伏線としてインコースのシュートを投げておくことで、アウトコースのスライダーがより威力を増す。今季の許投手は右打者のインコースに恐れずにシュートを投げられているため、多少甘く入ったスライダーでも打者を打ち取ることができている。

そしてさらにはフォーク、カーブ、チェンジアップがその中に加わるため、打者からすると本当に的を絞りにくい投手だと言える。ただしスタミナに不安があるため、100球前後になってくると目に見えて球威が衰え、コースも甘くなってしまうことがある。そのため6イニング、もしくは7回途中まで3失点以下で抑えてくれれば、6番手としては十分な仕事をしたと言えるだろう。

この試合に話を戻すと、バッテリーを組んだのは上本捕手だった。ファーム時代からある程度気心が知れているためのコンビなのかと思いきや、試合が始まってみると許投手はかなり多くの場面で上本捕手のサインに首を振っていた。首を振って投げたボールのほとんどが変化球だったところを見ると、上本捕手は調子の良いボールをどんどん投げたがったが、許投手がそこをしっかりと自制したという形になるのだろう。

ライオンズの先発ローテーション6人中3人に完投能力がありリリーバーを休ませることができるため、4番手以降の先発投手は基本的には初回から飛ばしていくことができる。特に許投手のような6番手投手であれば、1イニングでも長く投げるのではなく、1点でも少なく失点を抑えることの方が重要になる。5回2失点、6回3失点ならば渡辺監督も十分合格点を出してあげられるはずだ。

さて、話は変わるが中村剛也選手のエラーがあまりにも多過ぎる。チーム総エラー数の1/4、21個中5個が中村選手のエラーとなっている。ホームランが出始めているのはファンにとっては大きな朗報となるが、しかし勝つためには1ヵ月で5エラーというのは多過ぎる。1シーズンに換算すると30個以上エラーする計算となってしまう。ホームランを打てる魅力は非常に大きいが、しかし野球は点取りゲームではなく、如何にして失点を防ぐかというゲームなのだ。そしてこれができない限り強いチームを作ることはできない。まさに黄金時代のライオンズのような鉄壁の守備陣を形成できない限り、ライオンズに新たな黄金時代がやってくることはないだろう。

中村選手はサードというポジションに強いこだわりがあるようだ。しかしこれだけエラーを重ねているという状況で、個人の希望だけを優先していてはならないと思う。中村選手は「たまたまです」と言うが、サードよりも守備の負担が少ないファーストを守った試合の方が打撃成績が良くなる。このような現実を見ていくと、勝つためにも中村選手本人のためにも、ファーストへの本格コンバートを考えた方が良いのかもしれない。

とにかくエラーが多いチームは必ず短期決戦や、1点差ゲームで脆さが出てしまう。その隙を相手に見せないためにも、渡辺監督はもっと「監督判断」を行っていいと思う。選手を自由にし、乗せて活躍させるだけが監督の仕事ではない。時には監督としての思い切った判断が求められることもあるのだ。中村選手のエラーが失点に結びついている場面も多い。ピッチャーのことを考えても、やはり中村選手のファーストコンバートは決してマイナスになることはないはずだ。そして守備の負担が減れば、おかわりの数もさらに増すことになるだろう。

2010年04月27日 01:40

2010/04/23 オリックスvs西武 4回戦

2:58
埼玉西武
オリックス ×

オリックスvs埼玉西武4回戦(京セラドーム大阪:12,926人)
埼玉西武ライオンズ 2勝2敗0分

継投:●涌井秀章~田中靖洋
敗戦投手:涌井秀章 3勝2敗 4.39

【ハイライト】


【ゲームレビュー】
涌井投手は明らかなに調子が悪そうだった。変化球が高めに浮いたり、ボールが引っかかったりと、初回からかなり不安な立ち上がりとなった。初回の1失点はサード中村選手のエラー絡みとは言え、実に涌井投手らしからぬ投球だった。実はこの試合、まさか渡辺監督潮崎コーチが涌井投手を8回まで投げさせるとは思わなかった。6回、長くても7回までかなと予想していたのだが、その予想に反しベンチの判断は8回も続投というものだった。

なぜ筆者が初回の段階で継投になると予想したのかと言うと、それは涌井投手の調子の悪さからだ。だからと言って、涌井投手がノックアウトされての降板になるという意味ではない。調子が良い日に投げる100球と、悪い日に投げる100とではその疲労度がまるで違うためだ。特にこの試合のように明らかに調子が悪い場合、涌井投手にはマウンド上での高い修正能力が備わっている。これこそがエースの証なのだが、マウンド上で修正しながら投げるというのは、他の野手の想像を絶するほどに体力を要する。50~60球であってとしても、その疲労感は100球投げたものに等しいだろう。だからこそエース涌井投手とは言え、筆者は早い段階での継投になると考えていた。

この試合はある意味、ベンチワークでの敗戦だったと言える。エースとは言え、プロ野球のベンチたるもの100%信用し切ってはならない。100%信用してしまうということは、その責任をすべてエース1人に押し付けてしまうということだ。これでは打たれた時に責められるのはエースだけとなってしまう。渡辺監督にしろ、潮崎コーチにしろ、この日の涌井投手を悪いなりにしっかりと試合を組み立てたと絶賛していた。しかしこの采配は若干甘いような気がする。調子が良い日のエースなら話は別だが、今季の涌井投手は開幕戦から明らかに状態が良くはない。それならばベンチはエースにすべてを託してしまうのではなく、せめて半分の責任を負って、無理やりでも降板させるべきだった。

もちろん野球にたら・ればというものは存在しないが、もし涌井投手を7回で降板させ、8回に好調の藤田太陽投手、9回はシコースキー投手を投入していれば、試合はまったく違った展開になっていただろう。後半戦の涌井投手のボールは打者を抑えつつも、明らかに威力が衰え、コースも甘くなっていた。いくら絶対的エースとは言え、1試合で2度もの修正を求めるのは酷というものだ。

涌井投手の調子が上がらない原因だが、それは身体の開きにある。好調時の涌井投手と比べると、左肩が開くタイミングが若干早い。そしてその左肩が投球方向にしっかりと入っていないのだ。分かりやすくいうと、下半身先導で動くべく投球フォームにおいて、今の涌井投手は上半身の動きが早めになってしまっている。上半身の動きがほんのわずかでも早くなるだけで、バッターがボールを見れる時間は長くなり、ボールの威力も衰えてしまう。今季の涌井投手のボールが左打席側によく引っかかってしまうのも、原因はここにある。

そしてこの不調の原因は、ひとえに天候のせいだろう。涌井投手の今季の登板試合は、本当に寒い試合が続いた。前々回登板の4月16日には、夜から翌朝にかけて西武ドームの屋根に雪が降り積もったほどだった。このような天候では、まず腕をしっかり振ることはできない。どんなに気をつけたとしても、温まった身体は温まった瞬間からどんどん冷えていってしまう。温めた最初の段階であれば、肩もそれなりに言うことを聞いてくれる。しかし1試合という時間内において温めたり冷えたりを繰り返してしまうと、肩周りの筋肉はどんどん眠っていってしまう。こうして筋肉が眠り出してしまうと、それを挽回しようと余分な肩回りの筋肉を使おうとしてしまい、それが上半身先導のピッチングフォームへと繋がってしまう。

涌井投手自身を見ていても、体調が悪そうだったりということは一切感じられない。そのため今はまだ調子が悪いとは言え、涌井投手に関してはそれほどの心配は要らないと思う。ピッチングフォームは、ほんの些細なことが原因でほんの少しだけ感覚がずれてしまうだけで、投げるボールに大きな変化を与えてしまう。涌井投手の場合は身体がもっと温かい気候に馴染み、もう一汗かけばすぐに復調に向かうはずだ。

涌井投手のファンとしてはやきもきさせられてしまうだろうが、1ヵ月少々調子が悪いくらいでまだまだ慌てる必要はないだろう。調子が悪いとは言え、勝てていないわけではない。1ヵ月でしっかり3勝をマークしている。調子が良くて2勝であれば問題だが、調子が悪い中での2勝には価値がある。なので今は慌てることなく、復調するまで温かく応援してあげて欲しいと思う。涌井投手は押しも押されもしない絶対的エースだ。しかしエースとは言え一人の人間であることに変わりはない。調子が良い時があれば悪い時もある。ただ不幸中の幸いといえば、これがシーズンの佳境ではなく序盤でよかったということだろう。

2010年04月26日 22:39

2010/04/22 ソフトバンクvs西武 6回戦

3:30
埼玉西武 11 14
ソフトバンク

福岡ソフトバンクvs埼玉西武6回戦(ヤフードーム:24,423人)
埼玉西武ライオンズ 4勝2敗0分

継投:西口文也~○野上亮磨~H藤田太陽シコースキー
勝利投手:野上亮磨 1勝 3.60

盗塁:ブラウン(2)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【ゲームレビュー】
スポーツ新聞各紙の記事を読むと、5回2/3での西口文也投手の降板を非情と評するものが多かった。あと1アウト取れば勝ち投手になれるという場面での交代、という点だけを見ると確かに非情だ。しかし筆者に言わせればこれは決して非情ではない。そしてそれは西口投手本人が一番よく分かっていることだろう。復活を期待して先発マウンドを託している渡辺監督以上に、その期待に応えられない西口投手本人が一番悔しいはずだ。

とにかく言えることは、近年の西口投手は変化球の曲がり始めるタイミングが非常に早いということだ。これはつまり、ボールに切れがないということを表す。ボールの切れ、身体の切れというのは、同じ距離の運動を、より短い時間で行えるかどうかということ。ボールで言えば、ホームベースのかなり手前からボール3つ分曲がるスライダーよりも、もっとバッターに近いところまで近づいてボール3つ分曲がるスライダーの方が切れがあると言える。そして身体であれば、スローイングアーム(ボールを投げる側の腕)がテイクバックをしてからボールをリリースまでの同じ動作距離において、動作時間が短ければ短いほど切れがあると言える。

だが今の西口投手にはそのどちらもが欠けてしまっている。全盛期には魔球とも言われたスライダーが、今では簡単に見極められてしまっているし、全盛期には身体の切れによる勢いが余り、投球後一塁側に流れていた身体も今は勢いを失ってしまっている。かと言って、それらを補うコントロールにも欠けている。元々西口投手はコントロールではなく、ボールの切れで勝負をするタイプのピッチャーだった。しかしその切れを失った今、西口投手はほぼ丸腰の状態になってしまっている。

筆者は西口投手のことはデビュー当時からずっと応援し続け、西武ドームに応援に行くにも、基本的には西口投手のローテーションに合わせて行っていたほどだ。だからこそ近年の西口投手の投球の変化が手に取るように分かる。そしてマウンド上での西口投手の頭の中も痛いほどによく分かる。

やはり一番は、自分が思い描く軌道でボールが行ってくれないジレンマ、これが大きいのだろう。近年の西口投手を見ていても、自分のボールに納得しているような顔がまったく見られなくなってしまった。完全に自信を失ってしまっているのだろう。かと言って西口文也ほどの大投手だ。ピッチングコーチが軽々しくアドバイスを送るわけにも行かない。だからこそ必要なのは師匠の声だ。このブログでも何度か書いたことだが、こういう状態だからこそ師匠である東尾修元監督のアドバイスが必要なのだ。

工藤公康投手渡辺久信投手の晩年を目の当たりにしてきた監督だからこそ、東尾監督は監督時代、投手陣に30歳を超える時の過ごし方をしつこいほど指導していた。30歳という年齢をしっかりケアすることで、工藤投手のように選手寿命は伸びていく。逆にケアを怠ると、渡辺投手のようにパタリと勝てなくなってしまう。

だが西口投手も決して何もしていないわけではない。元々は筋トレをまったくしなかった投手なのだが、近年はその考えを覆し、しっかりと筋力トレーニングを行っている。だからこそ今なお140kmを軽く超えるボールが投げられるわけだ。

今年の西口投手は立ち上がりが素晴らしい試合が多い。ということは、ひょっとしたらこのまま先発投手を任せるよりは、1イニング限定のリリーバーに転向した方が結果が残せるのかもしれない。ファンとして最も悲しいのは、西口投手がこのまま引退してしまうことだ。このまま引退されてしまうくらいならば、先発へのこだわりを捨て、1年でも長くマウンドに立っていてもらいたいと切に願う。西口投手の快投が見られるのであれば、ファンとしては先発でもリリーフでも構わない。昨年のロッテ小宮山投手のような起用法だって良いと思う。とにかくどんな形であれ、チームに貢献できる場所で投げ続けてもらいたいと思う。ファンとしては、それが唯一の望みだ。

2010年04月26日 21:08

2010/04/21 ソフトバンクvs西武 5回戦

3:35
埼玉西武
ソフトバンク × 12

福岡ソフトバンクvs埼玉西武5回戦(北九州:16,746人)
埼玉西武ライオンズ 3勝2敗0分

継投:●石井一久~長田秀一郎~星野智樹~岡本洋介
敗戦投手:石井一久 2勝1敗 3.60

盗塁:栗山巧(4)

【ハイライト】


【ゲームレビュー】
不安な天気の中プレーボールされた北九州でのホークス戦、先発したのは石井一久投手だった。最終的には6回を初回の2失点のみで切り抜け、ベテランらしくしっかりと試合を組み立ててくれた。投球内容としては、パーフェクトと言ってもいい出来だった。初回にホームランを打たれ2失点はしたものの、これは決して失投ではない。インロウに決まる良いボールで、これは打った松田選手を褒めるべきだろう。

さて、このところ気になるのは1番片岡易之選手の不調だ。1番バッターの打率がここまで低くなってしまうと、チームの得点力も低下しかねない。片岡選手の能力から言えばもうとっくに3割を打っていても良いバッターなのだが、しかし2年目2006年の.292がキャリアハイ。そして今季この試合までの打率はと言えば、.269ととても1番バッターの数字とは思えない。

筆者が片岡選手を見ていて感じるのは、自分のタイミングでしかボールを待っていないという点だ。分かりやすく言うと、自分のタイミングでボールが来てくれた時はヒットを打てるのだが、自分のタイミングからボールが外れてしまうとヒットを打てなくなってしまう。これではいくら俊足の片岡選手といえど、打率が伸びてくることはないだろう。

片岡選手は去年からずっとバッティングフォームの改造に取り組んでいるのだが、それがまだ結果に結びついていない。去年はシーズン中に何度もフォームを変えているし、今季も4月の早い段階からアディダスのバットからミズノのバットに持ち替えている。片岡選手の中から迷いが未だ消えることがないのだろう。

野球というスポーツはピッチャーがボールを投げなければ何も始まらない。つまりはピッチャー主導のスポーツなのだ。そうでなければ10回対戦して、バッターが3本しかヒットを打てないなんてことはないだろう。ピッチャー主導のスポーツだからこそ、バッターは10回中3回ヒットを打てれば一流と評される。

10回中で3本のヒットを打てるバッターと、2本のヒットしか打てないバッターの大きな違いはタイミングの合わせ方にあると筆者は考えている。ピッチャーのタイミングでバッティングが出来るバッターは3割を打つことができる。しかし自分のタイミングでしか打てないバッターは、調子が良い時期でしか3割を打つことはできない。片岡選手の場合は後者に入る。

片岡選手は左足でタイミングを計っているのだが、そのタイミングがなかなかピッチャーのタイミングに合って行かない。逆を言えば、ピッチャーからすると片岡選手のタイミングを外すことは難しくはないはずだ。コースを間違わずに緩急を使えれば、片岡選手を相手にして大怪我をする危険性はほとんどないだろう。

そして片岡選手の場合はヒットゾーンがあまりにも狭いということも致命傷となっている。片岡選手のヒットゾーンはストライクゾーンを縦に3分割した時、その真ん中にしかないのだ。つまりストライクゾーンであっても、インコース・アウトコースはほとんど打てていない。特にインハイ・インロウは1割台前半だ。

片岡選手は今季からポイントを後ろにずらしている。ポイントを後ろにずらすとは、ボールをピッチャー寄りではなく、よりキャッチャーに近い方まで呼び寄せて打つということ。これはイチロー選手が得意とする打ち方なのだが、ポイントを後ろにずらすことでわざと打球を詰まらせ、バットにボールを乗せて運んでいくという打ち方となる。打つというよりは、まさに運ぶという表現がピッタリの打法だ。だが片岡選手の場合、この打法がまだ身体に馴染んでいないのだろう。

筆者が見ている限りこの打ち方に関して思うことは、片岡選手は打つボールを間違えているということだ。間違えていると言うと聞こえが悪く、少々おこがましいのだが、もし筆者が片岡選手と同じ打法で打つとすれば、ストレートを待つことはしないだろう。変化球に合わせながら、ストレートにも対応して行くという考え方にシフトすると思う。と言うのは、ストレートという球種は速ければ速いほど点でしか捕えられなくなる。つまり詰まらせて打とうとするとボールはバットの細い部分をこするだけになってしまい(バットの太さの幅しか使えない)、ポップフライになりやすくなる。

逆に変化球の場合ならボールを線で捕えられるようになるため、バットの「太さの幅」だけではなく、バットの「長さの幅」も使えるようになるわけだ。そうすることによって初めて片岡選手が今取り組んでいる打法が活きてくる。日本人選手のほぼ100%に近い選手たちは、基本はストレートを待って変化球にも対応するという考え方だと思う。だがイチロー選手はまったく逆だ。変化球に合わせながらストレートにも対応して行くというスタンス。だからこそボールをバットに乗せて「運べる」のだ。

もし去年に続き今年も不調が続くようであれば、さすがの渡辺監督も打順を組み替える必要に迫られるだろう。だがそれはライオンズというチームにとってはベストではない。ベストは当然、片岡選手が3割前後の打率、4割前後の出塁率をマークすることだ。そうすればチームの得点力はもっと向上するはずだし、片岡選手自身の盗塁数ももっと増えてくるはずだ。チームが波に乗るためにも先頭打者の勢いは欠かせない。だからこそ片岡選手には一日でも早く覚醒してもらい、チームの勝利に貢献してもらいたいと思う。

2010年04月26日 20:12

2010/04/20 ソフトバンクvs西武 4回戦

3:52
埼玉西武 15
ソフトバンク

福岡ソフトバンクvs埼玉西武4回戦(ヤフードーム:23,134人)
埼玉西武ライオンズ 3勝1敗0分

継投:○岸孝之~H星野智樹~長田秀一郎~岡本洋介
勝利投手:岸孝之 4勝1敗 2.94

盗塁:片岡易之(12)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【ゲームレビュー】
結論から言ってこの試合の岸孝之投手は、今季一番の投球内容だったと思う。7回に1失点していることから、完封した試合よりは結果的には劣るとも思えるが、しかし投球内容としてはこの試合が一番だった。岸投手にこれ以上のピッチングをしろと言っても難しいだろう。この試合の岸投手のボールは、それほど素晴らしいものだった。

試合をずっと見ていても、まったく打たれる気配がなかった。前半戦の岸投手のボールにはそれだけの力があり、マウンド上でも自信を持ってボールを投げているように見えた。球種的に言えば、ストレートとチェンジアップの出来が素晴らしく、この2つだけでも十分に組み立てができるほどだった。

ストレートが良かった要因は、並進運動のスムーズさと脊柱スピンの鋭さにあった。並進運動とは左脚を振り上げて投球方向側にステップすることで、重心を軸足(右脚)から前脚(左脚)に移動させる運動のこと。この動作がなければ、助走をつけてはいけないピッチャーは強いボールを投げることができない。そして脊柱回転とは、スピードボールを投げるのに最も重要な要素だ。スピードボールというのは、強い腕の振りで投げられるボールではない。球速を上げるためには腕の振りではなく、脊柱軸(背骨軸)のスピンを鋭くさせなければならない。この試合の岸投手は2つともベストの状態だった。

並進運動と脊柱のスピンを効果的に引き出すためには、脱力することが何よりも重要になる。どこを脱力するかと言うと、腕・肩だ。特にテイクバックからコッキングに移行する、投球肘と肩の高さが同じになる瞬間は、腕・肩は完全脱力している必要がある。これをサイレント・ピリオドと言う。筋肉というのは、完全に脱力した瞬間の直後に、最大のパワーを発揮することができる。

このサイレント・ピリオド後、脚~骨盤~胸郭~肩~腕の順番で骨盤主導でアームスウィングをすることにより、スピードボールを投げることができる。これがもし逆に、肩・腕主導(先行)でボールを投げようとすると、ボールの初速と終速には大きな差が生じ、いわゆるお辞儀をしたボールになってしまう。

この試合の岸投手のボールは、100球を超えてもまだまだ力があり、ボールがお辞儀をすることもなかった。ただこれだけのボールを投げられたことが岸投手自身になかったということもあり、このベストな状態に対するスタミナが足りなかった。そのため7回には追い込んでからバッターを仕留めきれず、10球以上粘られた末に松田選手にタイムリーヒットを打たれている。そしてこの時の岸投手はゾーンも狭くなっていた。追い込んだあとはストライクゾーンに投げる必要はなかったのだが、スタミナ切れを実感していたのだろう。その日一番良かったストレートとチェンジアップだけを、焦ってストライクゾーン内に投げ続けてしまった。そのせいで松田選手・長谷川選手にかんたんにファールを打たれてしまい、なかなか仕留めることができなかった。

7回は細川捕手のサインに何度が首を振っているのだが、首を振って投げたのはストレートとチェンジアップのみ。もし1球でも低めのボールゾーンに宝刀カーブを投げることができていれば、松田選手にタイムリーを打たれることはなかったかもしれない。7回の岸投手は、それほどストレートとチェンジアップにこだわっていた。

ピッチャーは、ピンチになるとなぜかスローボールを投げるのが恐くなってしまう。どんなピッチャーでもそれは同じだ。そしてなぜ恐くなるかと言うと、ストレートのタイミングでスローカーブを打つと、打球が簡単に100m近く伸びてしまうためだ。カーブという球種は、打者に待たせることで威力を発揮する。逆に打者に迎え打たれてしまうと、打球はまるでピンポン球のように飛んでいってしまう。

つまりチャンスになり、打つ気満々のバッターはじっくりボールを見ていこうという感覚にはならない。そのためタイミングがずれたカーブでも、カーブが曲がり切る前に打ちに来る。ピッチャーとしてはこれが一番嫌なのだ。逆にボールをじっくり待つ打者が相手の場合は、カーブが曲がり終わるまでじっくりと見てくれるため、遅球としての効果が最大限に現われる。これが、ピンチになるとピッチャーが遅球を使えなくなる真理だ。3月22日に岸投手は打ち込まれてしまったが、この時はカーブの曲がりっ鼻を狙われていた。

もし読者の中に野球をされている方がいれば、スローカーブは待たない方がいい。スローカーブは曲がり切り前に打ってしまうことで、ピッチャーに嫌な印象を残すことができる。結果的にアウトになったとしても、カーブの曲がりっ鼻を狙ってくるバッターに対しカーブを投げ切れるピッチャーは少ない。次の打席ではカーブの割合がグッと下がるはずだ。そうすればストレート系に的を絞って打っていけるため、バッティングも楽になる。

さて、この試合の岸投手は本当に素晴らしかったわけだが、もし27日の登板で完封、もしくは完投勝利を挙げることができれば、月間MVPの最有力選手になることは間違いない。なかなかないチャンスなだけに、ぜひ2008年8月以来となる月間MVPを狙ってもらいたいと思う!

【4月21日の予告先発投手:石井一久投手

2010年04月21日 07:46

2010/04/18 西武vs日本ハム 6回戦

2:28
日本ハム
埼玉西武 ×

埼玉西武vs北海道日本ハム6回戦(西武ドーム:24,432人)
埼玉西武ライオンズ 4勝2敗0分

継投:○帆足和幸~Sシコースキー
勝利投手:帆足和幸 2勝2敗 1.57
セーブ:シコースキー 2敗8S 1.74

ホームラン:中村剛也(5号ソロ)

【ハイライト】


【ヒーローインタビュー】


【勝利監督インタビュー】


【ゲームレビュー】
前回の登板では首を寝違えて不甲斐ない投球をしてしまった帆足和幸投手だが、この試合では再び素晴らしいピッチングを披露してくれた。8回を投げて5安打無失点と、これ以上ないと言えるほど素晴らしい投球だった。今季、これだけ素晴らしい投球を続けられている秘訣は、帆足投手曰くナチュラルスライダーにあるらしい。筆者はこのボールを今までずっとカッターだと思っていたのだが、どうやらそうではなくナチュラルスライダーだったようだ。

ナチュラルシュートという言葉を聞いたことがある方は多いと思うが、ナチュラルスライダーという言葉は普通あまり耳馴染みはないと思う。ピッチャーのスローイングアーム(ボールを投げる腕)は、テイクバックのトップの位置を過ぎると多かれ少なかれインスパイラル(内旋)が引き起こされる。身体構造の理に適った投げ方をするとスパイラルインしながら、リリースするその瞬間だけ、指先がきれいにキャッチャー方向に正対する。だがリリースのタイミングが0.0数秒遅れると、正対した時の指先よりもインの状態になってしまい、その指先の角度(人差し指先行)のせいでボールはシュート回転してしまう。

逆にリリースのタイミングが0.0数秒早まってしまうと、今度は中指先行のリリースになってしまい、ボールはスライダー回転してしまう。ナチュラルシュートとナチュラルスライダー、一般的にどちらが良いかと言うと、ナチュラルシュートだと言えるだろう。よくシュート回転したボールは良くないと言われるが、筆者はそんなことはないと考えている。コントロールを間違えばシュートもスライダーもストレートも、どれもかんたんに打たれてしまう。ということは、シュート回転していることを把握した上で投げるのであれば、ナチュラルシュートは決して悪いボールではないのだ。

そしてナチュラルスライダーよりもナチュラルシュートの方が良いと言う理由は、ボールの引っかかりにある。ストレートの握りで投げるナチュラルスライダーは、ボールが高めに抜けてしまう危険性が高いため、長打を浴びることが多くなる。一方ナチュラルシュートはどちらかと言うと引っかかり気味にリリースされるため、ボールは対角線の低めに外れることが多くなる。右投手の場合なら左打席側の低め、左投手なら右打席側の低めだ。このような理由から、どちらかと言えばナチュラルシュートの方がボールとしての危険度は低いと言うことができる。

だが帆足投手が投げているのはナチュラルスライダーだ。常識で考えると危険度の高いボールとなる。だが帆足投手の場合はあえてこのボールを武器として考えているようだ。昨年までのこのボールは、右打者のインコースに対しては上手く決まっていた。だがアウトコースに投げようとすると、その精度は低く、高めに浮いてしまっていた。だが今季は右打者のアウトコースへの精度を高めることにも成功している。つまり明らかにボールゾーンに投げたストレートであっても、ナチュラルスライドしているためにバッターは簡単に見逃すことができなくなっているのだ。するとバッターは追い込まれると手を出さざるをえなくなり、結果それで引っ掛けて内野ゴロに打ち取られている。この試合も24アウトの内、14個を内野ゴロで取っている。

ピッチャーの基本はストレートだとよく言うものの、帆足投手の場合は純粋なストレートは投げていない。ナチュラルスライドしたストレートをカッターに見立てると、純粋なストレートの比率はほとんどゼロに近づく。これはある意味、ライオンズの中で最もメジャーに近いピッチングスタイルと言うことができるだろう。このスタイルであれば、帆足投手は今渡米してもメジャーで通用すると筆者は確信している。もちろん帆足投手にメジャー志向はないとは思うが。

さて、話は変わって今日は守備の話もしておきたいと思う。ライオンズは今チームリーダーである中島裕之選手を怪我で欠いている。チーム状況が良いということもあり、渡辺監督は大事を取って登録を抹消したが、打線を考えると難しい決断だったと思う。だがそのおかげで、中島選手以外のショートをじっくりと見られるようになった。これまではなかなか見られなかったことだけに、注目していると本当に面白い。

中島選手は近年、本当に守備が上手くなったと思う。だがそれでもプロレベルで考えると、ショートストッパーとしては決して巧い部類には入れない。球界の名ショートと言えば現役ではヤクルトの宮本選手、中日の井端選手、楽天の小坂選手らがいる。少し前をたどれば西武の奈良原選手、阪神の久慈選手らがいて、彼らはまさに巧いショートの代表的存在だった。そしてそんな彼らと比べてしまうと、中島選手の守備はまだまだ硬いし、安定感にも欠いてしまう。

だが今中島選手の代わりにショートに入っている原拓也選手や浅村栄斗選手は本当に巧い。もちろん名ショートたちと比べるとまだ若さがあるが、しかし彼らと比べても遜色がないほどの巧さを持ち合わせている。具体的に中島選手とどこが違うかと言うと、ボールへの入り方だ。中島選手がボールを迎えに行っているのに対し、原・浅村両選手はボールを迎え入れられている。例えれば、凄い勢いで飛んできた生卵を割らずに捕球できる技術を持っているのだ。

さらにはもう一点、ダブルプレー時だ。中島選手はダブルプレーで一塁に送球する際、身体が外野側に流れてしまう癖がある。これはショートストッパーとしては致命的な悪癖となる。「中島裕之選手が名ショートと呼ばれるためには」でも書いたことなのだが、このことはランナーも理解しているため、中島選手に対してはどんどん激しいチャージをかけてくる。なぜなら、中島選手に外野側に流れる癖があるため、ベースに対し真っ直ぐスライディングして行っても中島選手の方が勝手に避けてくれるためだ。これによりランナーが安心して激しいチャージをかけてくれば、中島選手はさらに避けなければならない状況に陥る。するとランナーはもっとチャージをかけてくる。中島選手は今、この悪いスパイラルに入り込んでしまっている。

だが原・浅村両選手にはこの弱点がない。2人ともダブルプレー時、二塁・一塁を結んだ線上でしっかり送球ができている。そのためランナーは送球に当たらないように気をつけなければならず、激しいチャージをかけることはできなくなる。するとショートは安心して送球できるようになり、ダブルプレーの精度はさらに高まる。

この差が、アマチュア時代からずっとショートを守っている原・浅村選手と、プロに入ってから初めてショートを守った中島選手の違いなのだ。ショートというポジションは、キャッチャーと同じくらい急造するのが不可能なポジションだ。

もしライオンズが黄金時代よろしく鉄壁の守備陣を形成したいのならば、やはり中島選手をサードにコンバートさせるのが理想と言えるだろう。かつて石毛宏典選手がショートからサードにコンバートしたように。そしてグラブのハンドリングの柔らかい中村剛也選手がファーストに回り、ショートには原・浅村両選手、セカンドは片岡易之選手。守備面から野球を考えれば、この布陣が最も勝利に近づくものだと筆者は考える。

中島選手をサードにコンバートさせれば、そのメリットは守備だけには留まらない。守備に対する負担が減ることで、打撃にもプラスの影響が出るはずだ。ショートからサードにコンバートした名手、ヤクルトの宮本選手はこう言っている。「こんなに楽なんだから、サードを守る選手は打てなければ」と。

野球というスポーツは、点取りゲームではない。いかにして点を与えないかということが最も重要なスポーツだ。打てなくても試合に勝つことはできるが、守れなければ試合に勝つことはできない。それが野球なのだ。

先頭バッターがフォアボールや相手のエラーで出塁し、すぐさま盗塁をして、次のバッターがバントで送れば、内野ゴロで1点取ることができる。ノーヒットでも点を取ることが可能なのだ。だが反対にアウトにできるはずの内野ゴロをセーフにしてしまうと、勝てる試合も勝てなくなってしまう。野球とはそういうスポーツなのだ。

もし渡辺監督が本気で1点差で勝てる野球を目指すのであれば、将来的に見ても中島選手のコンバートは本人にとっても、チームにとっても間違いなくプラスに働くだろう。こうして考えて行くと、ひょっとしたら近い将来、渡辺監督が英断を下す日がやって来るかもしれない。

2010年04月20日 01:02

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