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小岩ジェッツ

#7 松井稼頭央

#7 松井稼頭央 - Kazuo Matsui

内野手(セカンド、ショート)、右投両打
1993年ドラフト3位
PL学園~西武ライオンズ~ニューヨーク・メッツ~コロラド・ロッキーズ~ヒューストン・アストロズ
大阪府東大阪市出身、1975年10月23日生、177cm / 83kg
タイトル:盗塁王(97~99)、最多安打(99、02)、ベストナイン(97~03)、ゴールデングラブ(97、98、02、03)、パ・リーグMVP(98)、トリプルスリー(02・スイッチヒッター史上初)、サイクルヒット(2000年6月7日)
2009年推定年俸:550万ドル


松井稼頭央選手は93年秋、投手として西武ライオンズの一員になった。だが西武の編成担当は稼頭央選手を最初から投手起用するつもりはなく、野手転向を前提に獲得をしていた。身体能力はプロ選手の中であってもずば抜けていて、実際にショートストッパーとしての練習をし出した94・95年の2年間の下積みのみで、3年目の96年には不動のショートとして1軍起用され、翌97年には攻守においてチームを牽引し、東尾監督を胴上げしている。

稼頭央選手は今でこそ日本を、メジャーを代表するスイッチヒッターとして名が通っているが、入団した1年目は純粋に右打者だった。塁上でちょこちょこと動いてピッチャーの気を散漫にさせられる俊足選手を探していた東尾監督は、2軍コーチから「投手から野手に転向した、足の速いやつが1人いる」という報告を受けて、イースタンの試合を視察していた。だがこの頃の稼頭央選手はファームでも打率.260前後と、1軍で使えるレベルには至っていなかった。

凡打を繰り返す稼頭央選手を見かねて、バックネット席から叫んだ男がいた。東尾修一軍監督だ。東尾監督はバックネット席から打席の稼頭央選手に対し、「どうせ打てないのなら左で打ってみろ!」とギャンブラーとして相応しい指令を出した。すると稼頭央選手は起用にも左打ちをこなして見せた。これが稼頭央選手がスイッチヒッターになった切っ掛けだった。足の速さを活かすために転向したという話も聞かれたが、しかし実際には東尾監督の遊び心が切っ掛けとなっていた。

当時のライオンズには黄金時代を支えた田辺徳雄というショートストッパーがいた(現西武フロントスタッフ)。稼頭央選手の1年目、田辺選手は12年目を迎えており、年齢は30歳に達していた。動きの多いショートというポジションでは、そろそろ明らかな衰えが見え始める年齢に差し掛かっていた。

東尾監督は稼頭央選手の能力を認めながらも、すぐに1軍のショートのポジションを与えることはしなかった。それは東尾監督特有の心遣いで、ベテラン田辺選手のプライドを傷つけないためだった。だが2年目になると稼頭央選手も1軍に上がり、田辺選手の状態が落ちた時に起用されるようになる。結果69試合に出場し、打率こそ.221と低かったものの、たった52回(内12回は盗塁のできない長打)の出塁で21盗塁を決めた。

すると3年目は完全にレギュラーを勝ち取り、全試合に出場し.281という打率を残した。だがこの年何よりも素晴らしかったのは盗塁数だ。なんと稼頭央選手は50個の盗塁を決めている。この活躍は東尾監督が当時掲げていた「Hit!Foot!Get!」というスローガンにまさに相応しかった。

稼頭央選手がメジャーを意識し出したのは3年目のオフだった。この年に行われた日米野球に急遽呼び出され、4試合に出場し、18打数10安打5盗塁という大活躍をし、並み居るメジャーリーガーたちを驚かせた。「リトル・マツイ」の名がアメリカに知れ渡った最初の一歩目だった。

日米野球で大きな自信を得た稼頭央選手は、97年はオープン戦から.373と打ちまくった。すると東尾監督は4年目のこの若い選手を開幕直前の大事な時期に、京都の祇園へと連れ出し、オープン戦で大活躍したご褒美として芸者遊びをプレゼントした。そして遊び尽くした帰り際、東尾監督は稼頭央選手に「今年3割・60盗塁をクリアしたら、もう一度連れて来てやる」と言い残した。この言葉が稼頭央選手のモチベーションを高めたのだろう。97年シーズンは打率.309、62盗塁と見事に数字をクリアした。しかもパ・リーグ制覇まで達成した。きっとこの年のオフは再度芸者遊びを堪能したに違いない。

これが松井稼頭央という選手の、プロとしての原点だった。稼頭央選手も、東尾監督のことを師と仰ぐ1人で、2009年8月15日に2000本安打を達成した際は、スタンドからスタンディングオベーションを送る東尾監督の姿を、いち早く見つけていた。

松坂大輔投手にも同様のことが言えるが、プロ入団時に東尾修の指導を受けられたからこそ、今の松坂大輔、そして今の松井稼頭央という選手が存在するのだと思う。

昨季はほんの僅かな差でゴールドグラブ賞を逃した稼頭央選手だったが、今季はぜひ怪我なくフルシーズンを戦い抜き、念願のゴールドグラブ賞を獲得して欲しいと思う。メッツ時代にショートからセカンドにコンバートさせられ、その悔しさから目に涙を溜めた稼頭央選手の姿を、筆者は今なお鮮明に覚えている。日本では短期間でショートとしてゴールデングラブ賞を獲得したが、もしメジャーでもセカンド転向後短期間でゴールドグラブ賞を獲得することができれば、もう誰も稼頭央選手の守備を批判する者はいなくなるだろう。

筆者は、チャンスに滅法強いクラッチヒッターとしての稼頭央選手も大好きだが、それ以上に最大のピンチを一瞬で救ってくれる稼頭央選手のフィールディングも大好きだ。だからこそ今季は持病である腰痛をなんとか最小限に食い止め、フルシーズンを戦い抜き、何としてもゴールドグラブ賞を獲得してもらいたいと思う。稼頭央選手にはもうすでに、セカンドとしてゴールドグラブ賞を狙えるだけの能力があると筆者は信じてやまない。

 打撃成績 Batting Results






























 西武ライオンズ
1995 69 219 204 25 45 9 1 2 62 15 21 1 7 1 7 0 0 26 4 .221 .245 .304
1996 130 518 473 51 134 22 5 1 169 29 50 9 26 2 14 0 3 93 2 .283 .307 .357
1997 135 645 576 91 178 23 13 7 248 63 62 15 18 2 44 5 5 89 4 .309 .362 .431
1998 135 641 575 92 179 38 5 9 254 58 43 14 6 4 55 9 1 89 10 .311 .370 .442
1999 135 609 539 87 178 29 4 15 260 67 32 7 8 6 56 7 0 75 7 .330 .389 .482
2000 135 611 550 99 177 40 11 23 308 90 26 3 6 7 46 5 2 60 8 .322 .372 .560
2001 140 613 552 94 170 28 2 24 274 76 26 0 4 5 46 2 6 83 13 .308 .365 .496
2002 140 651 582 119 193 46 6 36 359 87 33 11 9 3 53 6 4 112 3 .332 .389 .617
2003 140 655 587 101 179 36 4 33 322 84 13 10 3 6 55 6 4 124 4 .305 .365 .549
 ニューヨーク・メッツ
2004 114 509 460 65 125 32 2 7 182 44 14 3 5 2 40 4 2 97 3 .272 .331 .396
2005 87 295 267 31 68 9 4 3 94 24 6 1 5 4 14 1 5 43 2 .255 .300 .352
2006 38 139 130 10 26 6 0 1 35 7 2 0 3 0 6 1 0 19 1 .200 .235 .269
コロラド・ロッキーズ
32 126 113 22 39 6 3 2 57 19 8 1 1 2 10 0 0 27 0 .345 .392 .504
06計 70 265 243 32 65 12 3 3 92 26 10 1 4 2 16 1 0 46 1 .267 .310 .379
2007 104 453 410 84 118 24 6 4 166 37 32 4 8 1 34 1 0 69 1 .288 .342 .405
 ヒューストン・アストロズ
2008 96 422 375 58 110 26 3 6 160 33 20 5 7 3 37 0 0 53 3 .293 .354 .427
2009 132 533 476 56 119 20 2 9 170 46 19 3 16 4 34 2 3 85 4 .250 .302 .357
日本 1159 5162 4638 759 1433 271 51 150 2256 569 306 70 87 36 376 40 25 751 55 .309 .361 .486
米国 603 2477 2231 326 605 123 20 32 864 210 101 14 45 16 175 9 10 393 14 .271 .325 .387


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2010年03月08日 07:09 




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