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小岩ジェッツ

西口・石井一両投手を覚醒させた工藤公康投手

16年ぶりに復帰した工藤公康投手だが、あらゆるところで“工藤効果”が現われている。まず一番変わったのはベテラン先発陣だろう。西口文也投手石井一久投手だ。例年であれば西口投手はB班からスタートし、徐々にペースを上げていくという調整方法を取っていたのだが、今年は最初からA班に加わりハイペースで調整を行っている。

西口・石井両投手は、球界の常識で考えれば大ベテランの部類に入る。活躍云々という以前に、まずこの2人の年齢までプロ野球選手でいられるということが脅威だ。近年は選手寿命が延びているとは言え、それでも平均すると多くの選手は25~26歳で現役を退いている。

年齢のことだけを考えたなら、西口・石井両投手はもっとスロー調整でも良いところだ。しかし今年はそうは行かない。なぜなら大ベテランである2人よりもさらに10歳も年上の工藤投手が加わったからだ。工藤投手は今年の5月5日には47歳となる。これだけの選手がA班のトレーニングにしっかりついて行っているのだ。となると工藤投手よりも10歳も年下の西口・石井両投手が頑張らないわけには行かない。

西口投手は、自主トレは例年通り沖縄で行っていた。だがその内容は例年よりもずっとハイペース調整だったようで、キャンプインすると4日連続でブルペン入りを果たした。まだ全力投球とは行かないまでも、爪を割りながら初日から4日連続でブルペン入りするということは、今までのベテランとなった西口投手にはほとんど経験がなかったはずだ。

西口投手は決して大きなことは言わない。具体的な目標をコメントすることもほとんどない。しかし今年は確かな口調で「先発にこだわりたい」と宣言した。昨年は不調に陥りリリーフに降格させられた西口投手だったが、その起用法を受け入れたとは言え、やはり悔しさは尋常ではなかったのだろう。しかも2ケタ勝利からも、17勝を挙げた2005年以来遠ざかっている。先発投手として、今年にかける思いはひとしおなのだと思う。

そして石井一久投手からも、今年は若干ハイペースなのかな、という印象を受けている。ブルペンでも強い投球をし始めているようだし、やはり実績十分の投手としては、高卒ルーキー左腕雄星投手にローテーションの枠を奪われたくはないはずだ。

それにしても石井投手は相変わらず半そでである。もし東尾監督であったなら、間違いなく注意されるところだろう。東尾監督は利き腕の怪我を防ぐためにも、投手が半そでを着ることは夏でも許さなかった。

西口投手、石井投手ともに非常にレベルの高い投手だ。石井投手は不真面目に見られることも多々あるが、しかし野球に関しては想像以上に真面目に取り組んでいる。グラウンド上で野手がつまらないミスをすると、マウンド上でわざと不機嫌な顔をし、野手陣の気を引き締めるということも時々行っている。

西口投手に関しては「この人のために何とかしよう!」といつも野手陣に思われている。それだけ人望があるのだ。そして野手陣にそう思われていることは、西口投手自身も十分承知のはず。だからこそここ数年の不甲斐ないピッチングは本当に悔しかったはずだ。歳を重ねるたびに思い描く動きができなくなるもどかしさ。内転筋への不安。色々な要素があるとは思うが、しかし昨年の4勝という数字を考えると、西口投手自身そんな不安を口にすることはしないだろう。

西口投手にしろ石井投手にしろ、今年ダメなら引退という文字も浮かんでくる時期だと思う。ファンとしては来年も再来年も2人のピッチングを見ていたいが、しかしそのためにはまずは今年、周りを納得させられるだけのピッチングをしなくてはならない。

こうして考えていくと、やはり工藤投手の加入は大きかった。この2人の大ベテランの気持ちを、工藤投手はただいるだけで引き締めてくれている。練習に対するモチベーションをキープすることは非常に難しい。それは高い技術を持っているベテランほど難しくなる。若い頃は「もっと上手くなりたい」という気持ちがモチベーションを自然と高めてくれるが、しかしベテランになると手にした技術をキープすることに終始してしまう。そうなってしまうと、やはりモチベーションはどうしても上がらなくなる。

だが工藤公康投手が加入したことで、2人のモチベーションは嫌でも上がることとなった。「上には上がいる」という言葉は、誰もが分かっていることだ。しかしこれを自分に置き換えて考えることはなかなか難しい。しかし工藤投手が加入したことで、2人はそれを目の前で体験することができた。自分たちよりもはるか上のレベルでプレーをしてきた更なる大ベテランが、目の前で自分たち以上に頑張っているのだ。これでモチベーションが上がらないという方がおかしい。

横浜を戦力外になった工藤投手の獲得は、ファンにとってもチームにとっても素晴らしい補強になったと思う。工藤投手は試合での戦力ということ以前に、選手の意識に対する戦力にもなってくれた。今年西口投手と石井投手が、昨年の成績に対してどのようなリベンジを果たしてくれるのか、ファンとしては非常に楽しみとなった。

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2010年02月07日 03:02 


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