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小岩ジェッツ

片岡易之選手+中村剛也選手=最強のランナー

野球というスポーツに限らず、どんなスポーツにおいても最も重要な動きは「走る」ということだ。競技中に走ることがないスポーツであっても、それは例外ではない。ましてや競技中に走るという動きが常時付いてくる野球であれば、それはなおさらだ。だからこそ走ることに対し高い意識を持っている選手は、活躍できる幅がどんどん広がって行く。

例えばライオンズで走ることに対し非常に高い意識を持っている選手の1人に、中村剛也選手の存在がある。パッと見の体型からすると意外と思われる方も少なくはないと思うが、しかし中村選手の走ることへの意識は非常に高い。

筆者から見た中村選手の走り方の印象は、動物的だということ。ほとんどの選手は、基本的には作られた走り方で走っている。例えば手足は走る方向に対し真っ直ぐ出して行くというのは、作られた走り方の一例だと言える。陸上競技の日本人スプリンターには比較的多い走り方なのではないだろうか。

そもそも速く走るためにはどうすれば良いのだろうか?その答えは非常に簡単なものなのだが、しかしアスリートでそれを意識して走っている人は意外にも多くはない。ライオンズにおいてそれをはっきり意識して行っているのは、筆者が知る限りでは工藤公康投手だけだと思う。工藤投手は運動生理学などをしっかり勉強された選手だけあって、身体のメカニズムに関しては本当に多くの専門知識を有している。

答えを言ってしまうと、速く走るためには両足が地面から浮いている時間を少なくすればいいのだ。つまり究極を言えば競歩だ。競歩のように、常にどちらかの足が接地している状態で走るのが、究極の走り方だと言える。ただ現実的にはそれは不可能に近いので、できる限りそこに近づけるという意識が重要になってくる。

速く走りたいと頑張っている選手が、少しでも強く足を後ろに蹴って進もうと頑張っている姿をたまに見かける。しかしこれは筋肉に頼る走り方であって、身体のメカニズムを効率的に使ってという走り方ではない。大切なことは、後ろに蹴った足をどれだけスピーディーに前へ戻せるかということなのだ。

そのため速く走るためには後ろ足を蹴りすぎてはいけない。股関節を自転車のペダルのようにクルクルと回す、この意識で足を動かすことが重要なのだ。こうすることで接地時間を多く稼ぐことができ、地面からの反力も多く得られる。進行方向に対し反力が増えれば、その分身体は前へ進みやすくなる。筆者が考えている限りでは、この走り方ができているのが中村選手なのだ。

逆にこの走り方に至っていないのが、片岡易之選手だ。片岡選手は一般的なスプリンターに近い動きでの走り方をしている。つまり端的に言うと、脚力に頼った走り方なのだ。もし片岡選手が今後、中村選手のような身体のメカニズムに則した走り方ができるようになれば、本当の意味での俊足となり、盗塁王のタイトルは今後も不動のものとなるだろう。

とは言え、身体のメカニズムに則し切れていないとしても、片岡選手の走塁技術は一級品だ。投手のモーションを盗む観察力や、走塁の動きに関する考え方も一流だと言える。特にベースの蹴り方だ。例えば2塁にいて、後続打者のヒットで一気にホームを狙う際、普通のランナーは3塁ベースの1塁側の角を蹴る。これが普通だし、基本としてプロ・アマ問わずこう教えられる。しかし片岡選手は違うのだ。

片岡選手の場合、3塁ベースの2塁側側面を蹴るのだ。なぜそうするのかと言うと、3塁ベースの角を蹴ってしまうと慣性モーメントを抑えにくくなり、走っている身体がファールエリアに流れてしまう。しかし角ではなく、側面を蹴ることでベースの壁を使って慣性モーメントを小さくし、瞬間的に方向転換をすることができる。つまり3塁ベースを蹴った瞬間から、3塁とホームベースの直線上に入れるというわけなのだ。

だがこのベースの蹴り方にはリスクも生じる。ベースの壁に足を衝突させるため、その衝撃は決して小さくはない。足首が硬かったり、捻挫しやすい体質の選手にとっては危険なベースランニングとなる。

動物的に走る中村選手と、理論的に走る片岡選手。この2人の走り方をミックスさせることができれば、きっと最強のランナーが誕生することになるだろう。

ライオンズはチームカラー自体が昔から走ることに対して意識の高いチームではあるが、それは今なお継承されている。渡辺監督も工藤投手に対し、「うちの選手は本当によく走るので、無理して付いて行かないでいいですからね」と話しているほどだ。だが工藤投手曰く広岡監督時代は、100mダッシュを100本走らされていたと言う。100mを100本ということは、10kmを全力疾走するということを意味する。このような昔のエピソードを耳にすると、なぜ黄金時代のライオンズがあれだけ最強だったかがよく分かる気がする。

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2010年02月02日 15:19 


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