ライオンズは再び黄金時代を迎えられるだろうか
ライオンズは近い将来、再び黄金時代を迎えることができるのか、筆者は真剣に考えて見た。結論から言うと、可能性はあると思う。しかし実現させるとなると、非常に難しいだろう。まず黄金時代のライオンズだが、あの時代は馴れ合いというものがまったくなかった。例えば選手の誰かが怪我をしたとする。黄金時代であれば、それを悲しみ同情してくれる選手などいない。ましてや怪我を理由に自ら休もうとする選手など皆無だったと言う。
工藤投手の著書によれば、ある試合で辻初彦選手が肉離れを起こしてしまった。辻選手と言えば黄金時代の名セカンドで、長い球史の中でも辻選手をナンバー1セカンドに選ぶ人は多い。肉離れを起こせば、普通は治るまで休むのが当たり前。特に現代野球において、肉離れをした選手を試合に出す監督はいないだろう。だが黄金時代を支えた名セカンドの場合は違った。
辻選手は試合後のマッサージルームでトレーナーに対し「明日は代打でもいい。けど明後日は普通に出られるように何とかしてくれ!」と懇願していた。それに対しトレーナーも「肉離れよりも痛いですがいいですか?」と応える。辻選手がうなづくと、トレーナーは辻選手の足をゴリゴリとマッサージし始めた。その痛みは想像を絶する。試合後のロッカールームにはしばらく辻選手の悲痛な叫び声が響き渡っていたらしい。そしてナイトゲームのある翌日も午前11時には西武球場に現れ、また同じマッサージ。そしてまた辻選手の叫び声。
これが黄金時代のライオンズナインの姿だった。風邪をひいたと言えば「風邪って何?」と言われ、熱があると言えば「俺だって熱くらいある」と返される。それが黄金時代のライオンズだった。誰かに甘えよう、何かに甘えようとする選手は皆無だったし、そういう選手はすぐファーム行きを命じられた。
もちろん20年前と現在のライオンズを直接的に比べることはできないが、しかし今思うと、本当にプロフェッショナルと呼べる選手はほとんどいなくなってしまった。まさに数えられる程度だと思う。
ライオンズが再び黄金時代を迎えるためには、筆者は不動のキャプテンが必要だと感じている。常にグラウンドに立っている不動のキャプテンだ。そしてそれに最も相応しいのは、筆者は片岡選手だと思っている。2008年の日本シリーズ、デッドボールを受けてガッツポーズをした片岡選手の姿を覚えているファンは多いと思う。不利なゲーム展開で内野陣がマウンドに集まった時、強い言葉で仲間を鼓舞する片岡選手の姿を目にしたファンも多いと思う。これこそが黄金時代の、ライオンズクラシックに登場した先輩たちの意思を受け継いだ者の姿だと筆者は思う。
もしチームが片岡選手に対し、キャプテンという明確な責任感を与えることができれば、ライオンズは今後、本当に強くなれるだろう。リーグ連覇が当たり前の常勝軍団になっていけると思う。そのためにもプロとして不必要な馴れ合い精神を排除しなければならない。優しさや思いやりは必要だが、しかしそれはあくまでプロフェッショナルとしての優しさであり、思いやりでなくてはならない。
グラウンド外では仲が良くてもいい。しかしグラウンドではプロフェッショナルに徹し、離脱した選手に対し怪我をした英雄のように扱ってはいけない。プロのアスリートとして、怪我は1つのエラーだと考えられないようでは、黄金時代の再来は考えられないだろう。
黄金時代を知るファンにとっては、黄金時代の再来こそただ1つ望むことだ。ライオンズの観客動員数が減ったのは、スター選手の流出が原因ではない。黄金時代が去ったこと、つまり勝てなくなったことが唯一の原因だ。
黄金時代を象徴するライオンズの全身ブルーのあのユニフォームは、決して格好良いデザインとは言えなかったと思う。しかしあのユニフォームで勝ち続けたからこそ、あのユニフォームは格好良く見られるようになった。そして他球団はあのユニフォームを恐れるようになった。
ライオンズブルーと、西鉄ライオンズのブラックを融合させたレジェンドブルーの現在のユニフォーム。このユニフォームを本当の意味で格好良くさせるには、やはり勝つしか道はない。勝つことこそ伝統を守ることであり、勝つことこそ最高のファンサービスだと思う。

2010年01月30日 23:44
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