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小岩ジェッツ

中島裕之選手がトリプルスリーを達成するために

トリプルスリーを目標に掲げる中島裕之選手だが、果たして今年はこの目標を達成することができるだろうか。国内の日本人選手の中では、最もトリプルスリーに近い選手だとは思うが、しかし3割・30本・30盗塁という数字は、想像以上に高い壁だ。

打率に関しては中島選手は現在4年連続3割を記録しているため、高いレベルとは言え彼にとっては最もクリアしやすい数字だと思う。だがホームランと盗塁に関しては、まだ一度も30という数字をクリアしたことがない。ホームランの最高が2004年の27本で、盗塁の最高が2008年の25個だった。この数字だけを見ると、あと3本・あと5個という風にも見れるが、しかしそう簡単なことではない。

まず2004年のホームランに関しては、中島選手はまだ7番を打っていた。7番バッターとして、前半はほぼノーマーク状態でバッティングをすることができたために記録できた27本だった。数字だけで言えば7番で打つ27本よりも、3番で打つ20本の方がずっと価値は高い。ちなみに3番に座って以降の最高は2009年の22本だった。30発には遠く及ばないが、しかし3番として最大限のマークを受けた中で打った22本には大きな価値がある。

そして盗塁だが、最高は2008年の25個なのだが、これも今年の打線の事情とは少々話が違ってくる。2008年に多くの試合で4番を務めたのは左打ちのブラゼル選手だった。しかし2010年に4番を打つのは去年同様右打ちの中村選手。中島選手の次を打つ打者の、この左右の違いは盗塁を増やすためには大きな差となる。

まず左打者からすると、二盗(1塁から2塁への盗塁)は背中で行われるため自分の視界にはほとんど入らない。そのためランナーが走ってもそれを気にすることなく、自分のバッティングをすることができる。しかし右打者となると話は変わって、二盗するランナーはまともに視界に入ってしまう。中村選手がどうかは分からないが、右打ちの主砲で二盗されるのを嫌う選手は少なくない。

この左右の違いに単純に直結しているとは思わないが、2008年の中島選手の出塁数は228(この内二盗ができない長打は53)、一方2009年は258(長打は56)だった。長打に加え、ランナーが溜まっている場面でも二盗は難しいため、正確な数字を紹介することはできないのだが、出塁自体は2009年の方が30回増えているのに、盗塁数は5個減っている(盗塁失敗数は2008年の5から、2009年は12に増えた)。

中島選手の次を打つ中村選手は、2ストライクと追い込まれる前は驚異的な打率を誇るのだが、追い込まれてしまうとその打率が極端に下がってしまう。カウント1-0では.560の打率が、2-0と追い込まれる.148にまで下がってしまう。中島選手の盗塁数は、この中村選手の打率を渡辺監督がどう考えるかによって変わってくるだろう。

中村選手の打撃を優先的に考えたなら、中島選手にはスタートを切らせることはない。そうなると盗塁数が劇的に増えることもないだろう。だがカウントで追い込まれた中村選手の凡打をカバーするという考え方であれば、三振ゲッツーを覚悟しながらもカウントによっては中島選手を走らせることになると思う。そうなれば盗塁数は増えていくだろう。

2009年の盗塁成功率が.625ということは、単純計算すれば48回盗塁をすれば30回成功できることになる(片岡選手の2009年盗塁成功率は.809)。もし中島選手が盗塁成功率を.750まで上げることができれば、40回の盗塁企画数で30回成功できる。ちなみに2008年の成功率は.833という驚異的な高さだった。だがこれも4番が左打ちのブラゼル選手だったことが大きいだろう。右投げの捕手はバッターが左打ちだった場合、1・2塁への送球はしやすいとは言えないのだ。

一方ホームランに関してだが、出塁に対して比例させることが可能な盗塁数と比べると、ホームラン8本の上積みはさらに難しいと思う。これはまず、中島選手のバッティングフォームが大きく関係してくる。中島選手は通常時は、バットはやや寝せて構えている。これは遠心力を抑え、ミート力をアップさせるために有効な構えなのだ。つまりバットを寝せた状態でホームランを増やすためには完璧なタイミングでミートさせるか、スウィングスピードをアップさせるか方法はしかない。

だがもしバットを寝せた状態で、スウィングスピードをアップさせることでホームランを狙ってしまえばミート力は低下し、打率は間違いなく降下するだろう。そうすれば出塁率も下がり、盗塁数も減ってしまうため、本末転倒という結果にもなりかねない。

20009年に中村選手が怪我で戦列を離れた際、4番を務めたのは中島選手だった。この時の中島選手を覚えているファンも多いかと思うが、4番を務めていた間の中島選手は、寝せていたバットを立てて構えていた。つまりこれは、最初から長打を狙ってのバッティングにシフトしていたということになる。

バットを立てると、寝せていた時と比べるとバットコントロールが若干難しくなる。だがその分遠心力がつきやすいため、当たった時の打球の飛距離は大きくなる。もし中島選手が今年、バットを少し立てて構えるようになれば、ホームラン8本の上乗せは十分可能だろう。だがその上で打率3割をキープするためには、バットを寝せた状態時で.340打てるだけのミート力が必要になるだろう。それだけのミート力を保てなければ、バットを立てた状態で長打を狙い、さらに3割をキープすることは至難の業となる。

日本でトリプルスリーを達成した選手は今までにまだ8人しかいない。2000本安打を達成した人数が38人ということを踏まえると、トリプルスリーがどれだけ難しく、そしてなぜ偉業と言えるかがよく分かる。ライオンズでは今まで89年に秋山幸二選手(.301・31本・31盗塁)と、2002年に松井稼頭央選手(.332・36本・33盗塁)の2人が達成している。

ちなみに秋山選手の次を打った4番は右の清原和博選手で、稼頭央選手の次を打った4番はやはり右のカブレラ選手だった。清原選手にしてもカブレラ選手にしても、パワーがあるだけではなく、バッティングそのものが非常に巧い選手だった。その安心感が3番バッターの盗塁数を増やしたとも言える。

2010年、中島選手がトリプルスリーを達成するためには、中村選手の協力と理解が必要になってくるだろう。特に早いカウントでの盗塁は、中村選手の全体打率を下げてしまう可能性もある。だがもし中島選手が30盗塁し、中村選手が.300近い打率を残すことができれば、今年、この2人は球界ナンバー1の3・4番コンビとなるだろう。そして中島選手のトリプルスリーへの視界も開けてくるはずだ。

中島選手は今、トリプルスリーに最も近い選手だと思う。今年この偉業の達成を祈りながら、筆者は中島選手を応援したいと思う。

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2010年01月20日 16:08 


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