帆足和幸投手は、15勝できる力を持っている
今年、最も活躍するであろうピッチャーの1人として、帆足和幸投手を挙げることができる。30日まで西武第2球場で涌井投手、同じ歳の藤田投手と自主トレを続けていた帆足投手は、もうすでに肩は出来上がっていて、2月1日のキャンプ初日からブルペン入りする予定のようだ。やはり47番を受け継ぐ者として、本家47番である工藤投手の前で不様な姿は見せられないという気持ちが強いのだろう。元々チームで1番ハートの強いピッチャーではあるが、今年は例年以上に強い気持ちで挑めているらしい。
筆者の予想では、恐らく帆足投手は開幕2戦目を任されることになると思う。今や帆足投手は名実ともに左腕エースと呼ぶことができる。2009年は同じ勝ち星だったとは言え、イニング数などをトータルで見て行くと、石井一久投手よりも帆足投手の方がチームへの貢献度は大きかった。
帆足投手は肩を壊して以来、本当に強くなったと思う。メンタルにおいても、フィジカルにおいても。球速にしても、恐らく怪我をする前よりも後の方が速いと思う。これは怪我をしたことでトレーニングを合理的に行うようになり、その結果肩が強化されての球速アップだと思う。豊田清投手もまた、怪我をしてリハビリ中のトレーニングの成果により球速がアップしている。
帆足投手の最大の武器はコントロールと緩急だ。昨年は日本ハムのダルビッシュ投手でさえ9本のホームランを打たれているのに、ダルビッシュ投手よりも球威が劣る帆足投手も10本に抑えている。これはリーグ2位の被本塁打数の少なさだった。被本塁打が少ないということは根本的にコントロールが安定していて、緩急によりバッターのタイミングを上手く外せている、ということになる。
帆足投手の場合はストレートと変化球の切れがまったく違う。ストレートは非常に切れ味が鋭いのだが、一転変化球となると良い意味でまるで切れがない。特に右打者アウトローへのチェンジアップと、左打者外角へのパームは、よほど狙っていない限りはなかなか打てないと思う。
昨年は前半戦でなかなか勝ち星を稼げなかったが、今年このペースで開幕に合わせて行けば、岸投手同様に15勝を狙える存在になれるかもしれない。帆足投手のキャリアハイは2005年の13勝だ。しかしこの時はリリーフによる勝利もあったため、先発のみとして考えたら、2008年の11勝が最多となる。
だが帆足投手の能力を冷静に見て行くと、11勝という数字は非常に物足りない。2008年は最後まで防御率争いに加わっていた帆足投手だ。15勝、防御率2点台前半を目指して2010年はシーズンをフルで投げ続けて欲しいと思う。いくらブルペンを補強したからと言え、やはり先発ピッチャーが試合を組み立てられなければ意味がなくなってしまう。厚くなったブルペンを最大限に活かすためにも、やはり帆足投手には15勝、そして防御率2点台前半という数字を求めたい。これは帆足投手なら、十分にクリア可能な数字だと筆者は考えている。
2010年01月31日 01:21
ライオンズは再び黄金時代を迎えられるだろうか
ライオンズは近い将来、再び黄金時代を迎えることができるのか、筆者は真剣に考えて見た。結論から言うと、可能性はあると思う。しかし実現させるとなると、非常に難しいだろう。まず黄金時代のライオンズだが、あの時代は馴れ合いというものがまったくなかった。例えば選手の誰かが怪我をしたとする。黄金時代であれば、それを悲しみ同情してくれる選手などいない。ましてや怪我を理由に自ら休もうとする選手など皆無だったと言う。
工藤投手の著書によれば、ある試合で辻初彦選手が肉離れを起こしてしまった。辻選手と言えば黄金時代の名セカンドで、長い球史の中でも辻選手をナンバー1セカンドに選ぶ人は多い。肉離れを起こせば、普通は治るまで休むのが当たり前。特に現代野球において、肉離れをした選手を試合に出す監督はいないだろう。だが黄金時代を支えた名セカンドの場合は違った。
辻選手は試合後のマッサージルームでトレーナーに対し「明日は代打でもいい。けど明後日は普通に出られるように何とかしてくれ!」と懇願していた。それに対しトレーナーも「肉離れよりも痛いですがいいですか?」と応える。辻選手がうなづくと、トレーナーは辻選手の足をゴリゴリとマッサージし始めた。その痛みは想像を絶する。試合後のロッカールームにはしばらく辻選手の悲痛な叫び声が響き渡っていたらしい。そしてナイトゲームのある翌日も午前11時には西武球場に現れ、また同じマッサージ。そしてまた辻選手の叫び声。
これが黄金時代のライオンズナインの姿だった。風邪をひいたと言えば「風邪って何?」と言われ、熱があると言えば「俺だって熱くらいある」と返される。それが黄金時代のライオンズだった。誰かに甘えよう、何かに甘えようとする選手は皆無だったし、そういう選手はすぐファーム行きを命じられた。
もちろん20年前と現在のライオンズを直接的に比べることはできないが、しかし今思うと、本当にプロフェッショナルと呼べる選手はほとんどいなくなってしまった。まさに数えられる程度だと思う。
ライオンズが再び黄金時代を迎えるためには、筆者は不動のキャプテンが必要だと感じている。常にグラウンドに立っている不動のキャプテンだ。そしてそれに最も相応しいのは、筆者は片岡選手だと思っている。2008年の日本シリーズ、デッドボールを受けてガッツポーズをした片岡選手の姿を覚えているファンは多いと思う。不利なゲーム展開で内野陣がマウンドに集まった時、強い言葉で仲間を鼓舞する片岡選手の姿を目にしたファンも多いと思う。これこそが黄金時代の、ライオンズクラシックに登場した先輩たちの意思を受け継いだ者の姿だと筆者は思う。
もしチームが片岡選手に対し、キャプテンという明確な責任感を与えることができれば、ライオンズは今後、本当に強くなれるだろう。リーグ連覇が当たり前の常勝軍団になっていけると思う。そのためにもプロとして不必要な馴れ合い精神を排除しなければならない。優しさや思いやりは必要だが、しかしそれはあくまでプロフェッショナルとしての優しさであり、思いやりでなくてはならない。
グラウンド外では仲が良くてもいい。しかしグラウンドではプロフェッショナルに徹し、離脱した選手に対し怪我をした英雄のように扱ってはいけない。プロのアスリートとして、怪我は1つのエラーだと考えられないようでは、黄金時代の再来は考えられないだろう。
黄金時代を知るファンにとっては、黄金時代の再来こそただ1つ望むことだ。ライオンズの観客動員数が減ったのは、スター選手の流出が原因ではない。黄金時代が去ったこと、つまり勝てなくなったことが唯一の原因だ。
黄金時代を象徴するライオンズの全身ブルーのあのユニフォームは、決して格好良いデザインとは言えなかったと思う。しかしあのユニフォームで勝ち続けたからこそ、あのユニフォームは格好良く見られるようになった。そして他球団はあのユニフォームを恐れるようになった。
ライオンズブルーと、西鉄ライオンズのブラックを融合させたレジェンドブルーの現在のユニフォーム。このユニフォームを本当の意味で格好良くさせるには、やはり勝つしか道はない。勝つことこそ伝統を守ることであり、勝つことこそ最高のファンサービスだと思う。
2010年01月30日 23:44
レオのプリンス岸孝之投手、年上の彼女と結婚
女性ファンの悲鳴が聞こえてくるようだ。レオのプリンス岸孝之投手が、1歳上の女性との結婚を発表した。2人が出会ったのは日本一になった2008年の7月、知人の紹介でだった。彼女が北海道出身・在住だったことを考えると、7月25~27日の札幌遠征時に知り合ったのだろう。2008年の岸投手のその頃は、不安定なピッチングを続けている時期だった。調子が良い日は完封や最少失点で勝つのだが、調子が悪いと早いイニングで大量失点しノックアウトされる繰り返し。勝つには勝つのだが、安定感や信頼のおける2年目のスタートではなかった。
しかし彼女と7月に知り合うと翌8月は、3勝0敗1.32という防御率で初の月間MVPを受賞するほどの大活躍。その後はシーズンを6連勝で終え、日本シリーズでもMVPを受賞する大活躍。そして2009年は開幕6連勝を決め、2年越しでの12連勝をマーク。まさにエース級の大活躍だった。
彼女と出会った直後から勝てるようになった岸投手は、彼女のことを勝利の女神と感じるようになった。そして知り合ってから2ヵ月経った9月、正式に交際をスタート。ちなみにその彼女は、宮崎あおい似の美人だそうだ。
岸投手が若獅子寮を出て1人暮らしを始めたのは2008年のオフだった。この同時期に彼女が上京をしたということもあり、退寮後すぐに一緒に暮らし始めたらしい。
正式にプロポーズをしたのは2009年のシーズン終了後。家では野球の話はほとんどしないため、岸投手も家ではかなりリラックスできているようだ。そして料理も上手なようで、彼女が作る料理のすべてが美味しいと岸投手は頬を弛めている。そして今後彼女は、岸投手を食事面でサポートするため、栄養士の資格取得も検討しているらしい。
筆者はこのブログで、何度か岸投手の食の細さを指摘して来た。仲の良い涌井投手の言葉が間違っていなければ、どうやら岸投手は一般人である筆者よりもずっと食が細いらしく、しかも偏食気味だったという。だが彼女のサポートがあれば、これから先の長い野球人生を安心して歩むことができるだろう。
昨年、2年越しの13連勝がかかった試合で敗れた日。彼女は岸投手に対し「負けてよかったね」と言ったそうだ。普段野球の話をほとんどしない彼女のこの一言で岸投手は肩の荷を降ろすことができ、2009年も13勝を挙げることができた。
1年目から11勝、12勝、13勝と数字を高めてきた岸投手。今後も末広がりに成績が向上して行くことを願い、彼女が選んだ婚姻届提出日は1月23日。
挙式・披露宴は今シーズン終了後の12月に行う予定のようだ。生涯の伴侶と出会うことのできた岸投手。果たして今シーズンはどれだけの大活躍を見せてくれるのだろう。松坂大輔投手も達成できなかった、入団から4年連続2ケタ勝利を挙げることはできるのだろうか。いや、岸投手が普通に実力を発揮しさえすれば十分に可能な数字だ。今シーズンは岸投手が挙げる目標、15勝という数字を達成し、初の投手タイトルを獲得してもらいたい。
岸投手、本当におめでとうございます。これから夫人と幸せな家庭を築き、二人三脚で200勝を目指して頑張ってください。
2010年01月29日 16:25
ボール以上に素晴らしかった雄星投手の能力
西武ドーム前にあるさやま食堂で1月23日から登場した650円の雄星ラーメン。グラウンド外での話題にも事欠かない雄星投手だが、連日の彼のコメントや考え方、性格を知れば知るほど、ひょっとしたら1年目から活躍できるのかもしれない、と思えるようになって来た。変化球の精度が現段階でどれだけか分からないため、確信することはできない。しかしこの半年の雄星投手を見続けた感想は、本当に成長が速かったということだ。ファンから見ると、雄星投手の純朴すぎる性格が少し心配だった。投手とはある意味、お山の大将的な性格であることが望ましいからだ。多少ボールが行っていなかったとしても、自身満々な顔で投げられると、バッターはなかなかボールを捕らえ切れない。そのためピッチャーという人種には、多少の自信過剰気味な性格が必要なのだ。
そして負けず嫌いという性格も重要だ。先日のブルペン後、雄星投手は細川捕手に「今日は調子が悪かったんでしょう」とコメントされた。正捕手のこの言葉に雄星投手の負けず嫌いな性格が燃え上がったようだ。翌日のブルペンでは見事細川捕手をうならせるボールを投げた。
筆者が1年目からの活躍に可能性を感じ始めたのは、雄星投手が残した「思い通りのボールを投げられれば自信はあります。あとはその確率を上げること」というコメントが切っ掛けだった。高卒1年目のルーキーが言える言葉ではない。少なくとも確率について考えられる高校生投手なんて、探してもまず見つからないはずだ。雄星投手の自信が、いつ確信に変わるか筆者は常に注目していたいと思う。
そして同じ東北人でもあり正妻になるであろう細川捕手は、「ごつい体からあれだけ柔らかく投げられる。すごくいいボールだった」と評している。だが上体に力が入ると途端にボールの回転が悪くなるとも言っていた。
筆者は基本的には、ボールの回転よりも打たれないボールを投げることを優先に考えている。例えばボールがシュート回転していようとも、それで抑えられる組み立てさえできれば問題ない、ということだ。しかしそれを考えていく上でも、やはりボールの回転というのは大切な要素となってくる。
そもそもボールの回転が悪くなるとは、ストレートの場合バックスピンの角度が傾いてしまったり(シュート回転やスライダー回転)、回転数が減ってしまうことを表す。
バックスピンストレートの回転軸が左右にぶれてしまうと、マグナス力の恩恵を受けられなくなり、バッターの手元でボールが垂れてしまう。つまり打ち頃のストレートになってしまうというわけだ。ピッチャーがピッチングにおいて力を入れるポイントはただ1つ。リリース時のみだ。上体に力が入ってしまうということは、リリース以外のポイントにも手・腕に力が入ってしまっているということになる。
リリースポイント以外にも力が入ってしまうと、余分なエネルギーが増えた分リリースポイントにブレが生じるし、スタミナの消耗にも繋がる。リリースが遅れればシュート回転するし、早まればスライダー回転してしまう。例えば左ピッチャーが右バッターの内角にストレートを投げた時シュート回転してしまうと、ボールは真ん中に入ってしまい、簡単に痛打されてしまう。このような意味で、ボールの回転はピッチャーにとって大切な要素となってくるのだ。
そして雄星投手が素晴らしい点は、そういうことを考えながらブルペンでボールを投げられているということだ。これはやろうとしてもなかなかできることではない。マウンド上での修正能力の有無は、エースになれるかなれないかを意味する。修正能力が高ければ高いほどエースに近づけるし、修正能力がなければ素晴らしいボールを持っていたとしても、1軍で活躍することはできないだろう。雄星投手の場合この修正能力、そして考える能力が非常に高い。こういう点から見て行っても、雄星投手が1年目から1軍で勝てる可能性は、少しずつだが高まっていると言える。
恐らくキャンプ中やオープン戦の前半は、比較的打ち込まれるような気がする。だが3月も後半に差し掛かり、スライダーの完成度が高まった時、結果は別としていよいよ実力を発揮し出すところだと思う。雄星投手の冷静さがあれば、打ち込まれてへこむことはないだろう。打たれた理由を1つ1つ考え、しっかり修正してくるはずだ。この修正が上手く行き、雄星投手の言う「確率」が上がってくれば、開幕後の1軍帯同にも光が見えてくると筆者は考えている。
2010年01月28日 16:10
ブラウン選手、笑顔で成田空港に到着
本日ブラウン選手が成田空港に到着した。10時間にも及ぶロングフライトだったようだが疲れているような素振りは見せず、「スマイル、オールウェイズ!(いつでも笑顔さ)」と取材陣に笑顔で挨拶をしたようだ。今日の便で着いたということは、ひょっとしたら明日の出陣式に出席するのかもしれない。筆者は出陣式には行けないが、そのニュースはしっかりチェックしてみようと思う。
ブラウン選手だが、筆者の予想を反して意外にもチームバッティングを優先しようと考えているらしい。普通なら3割・30本と言いそうなところだが、ブラウン選手は3割100打点を目標に挙げていた。この意識で変化球の多い日本の野球に慣れて行ってくれれば、ひょっとしたら早い時期から打ち出すかもしれない。
日本の野球に関してはすでに調査済みのようだ。2002年にロイヤルズでチームメイトだったマック鈴木投手から、色々なことを聞いてきたらしい。そして彼から日本の野球について教えてもらっているうち、3年くらい前から「日本でプレーしてみたい」という気持ちが芽生え出したようだ。
外国人選手の多くは、基本的には日本の野球を見下した状態で入ってくる。アレックス・カブレラ選手やスコット・マクレーン選手もそうだった。これに対し当時の東尾監督は、フリーバッティングでカブレラ、マクレーン両選手に対し、松坂大輔投手に本気で投げさせた。「あいつらの鼻っ柱を折って来い」と松坂投手に耳打ちし、フリーのマウンドに登らせたと言う。東尾監督のこのような対応があったからこそ、カブレラ選手、マクレーン選手は1年目から実力を発揮することができた。
WBC2連覇の影響もあるだろうが、マック鈴木投手に日本野球のレベルの高さを教えられてきたブラウン選手は、他の助っ人よりも活躍できる可能性は高いと思う。恐らく日本の野球に対応できるように、しっかりと準備をしてきているはずだ。
2月1日、キャンプインはいよいよ5日後に迫った。ブラウン選手がどのようなプレーを見せてくれるのか、ファンとしては大きな期待を寄せたいと思う。
2010年01月27日 21:36
優勝は昨年機能しなかった外国人の活躍が必須
2009年、ライオンズが勝ち切れなかったのはクローサー不在だけが理由ではなかった。多くの場で言われていることだとは思うが、やはり外国人選手が機能しなかったことが、大きな敗因の1つだったと思う。現代野球において外国人選手の活躍は不可欠だ。いくらライオンズの日本人選手が優れているとはいえ、外国人選手の活躍なしに優勝することは非常に難しい。まずシーズン早々にグラマン投手が離脱してしまったのは一番痛かった。本来ならここで小野寺投手らが奮起しなくてはならなかったのだが、森山元コーチには「小野寺力不足」と言われ、親友である赤田選手からは「工藤さんに鍛えなおしてもらえばいいのに」と言われてしまった。結局2009年は、最後までグラマン投手の穴を埋めることができなかった。
そして2008年は恐怖の9番とも呼ばれたボカチカ選手が、昨年は機能しなかったのも大きかった。1年の大半をファームで過ごし、1軍でも打てていたのは春先の短い間のみで、他球団に研究されてしまったあとはまったく打てないまま終わってしまった。
だが2010年は同じような結果にはならないだろう。グラマン投手も春季キャンプはA班入りを果たし、早期復活が期待できそうな状況だ。そしてさらに心強いのはシコースキー投手の加入だ。彼はグラマン投手同様、先発としては良い結果を残せなかったが、しかりリリーバーとしては文句の付けようのない実績を残している。グラマン投手とシコースキー投手がしっかり機能してくれれば、昨年は不安だらけだったブルペンも、今年は12球団でもトップクラスになれる可能性がある。
打の方では、今シーズンは2季振りに外国人バッターが新加入した。ブラウン選手なのだが、パッと見た感じではブラゼル選手にタイプが非常に似た選手だと思う。左打ちであることから、渡辺監督は恐らく5番で起用していくだろう。
選手としての重要度から言えば、本音はG.G.佐藤選手を5番で起用したいと誰もが思うところではある。しかし投手出身の渡辺監督は、投手が投げにくいと感じるオーダーをよく心得ている。
セオリーとして打者は、投手とは逆手の方が打ちやすいとされている。これは変化球が外へ逃げていくよりも、内に近づいてくることの方が多いためだ。もちろん他にも細かな理由はいくつかあるのだが、基本的には変化球対策ということになる。
パ・リーグの場合は予告先発制を採用しているため、オーダーは前日からしっかり固めることができる。打者出身監督の場合は、相手が左投手だった場合、ズラリと右打者を並べたがる。また相手が右投手であれば、1人でも多くの左打者をオーダーに起用する。しかしこれは投手の視点から言えば、決して打者有利とはならないのだ。
例えば左投手の視点から、右打者がズラリと並んだオーダーを見ると、投球時の的が絞りやすくなる。つまりバッターがいつでも右打席に立っているということから、ピッチャーはその視界に目が慣れてくるのだ。そうするとコントロールも定まってくるし、一々バッターの姿を気にせずに投げられるようになる。このような投手心理をよく理解しているのが、投手出身監督の特徴だ。
このような理由からも、ブラウン選手がよほど打てないか、G.G.佐藤選手がよほど打つかしない限りは、5番ブラウン・6番G.G.佐藤というオーダーになるだろう。
渡辺監督の中では、ブラウン選手には打率3割弱・ホームラン30本弱の数字を期待していると思う。これでもし3割30本打ってくれたらラッキーという感覚だろう。ブラウン選手にはあくまでも左打席で、ピッチャーの視点を変えさせるバッティングを期待しているはずだ。そして右のG.G.佐藤選手に少しでも狙いやすい状況を作ってあげる、これが渡辺監督の考えだと思う。
現に2009年、G.G.佐藤選手が絶好調になっても、渡辺監督は多くの試合で5番には左の石井義人選手を起用していた。しかしブラウン選手が加入した今年は恐らく、石井選手は主に7・9番になるのではないだろうか。こうなってくると相手投手からすると本当に恐い打線になる。他のチームではクリーンアップを打っていてもおかしくない石井選手が下位打線にいるのだ。スピードもあり、連打もあり、パワーもある。ライオンズ打線はいよいよ完成形に向かっていると言っても過言ではないだろう。
ブラウン選手が期待通り3割弱・30本弱打ってくれれば、打線としてはほぼ完璧と言っていい状態になる。そうなれば、チームも2008年以上の成績を残すことになるだろう。投手陣の不安要素はかなり軽減された。あとは打線がしっかり線として繋がってくれれば、黄金時代の再来はそう遠くにはならないはずだ。そしてその鍵を握っているのが、外国人選手だと言える。
2010年01月27日 15:34
夢を与え続けている人、工藤公康投手
日本のプロ野球は今、大きく変わろうとしている。国際試合への対応も急ピッチで進められ、今シーズンからプロ野球もボール・ストライクの順でカウントをコールすることになった。今までは2ストライク・1ボールとコールされていたが、これが今年からは1ボール・2ストライクとコールされるようになる。恐らくプロ野球中継でもこれは変更され、今までは上からストライク(黄)・ボール(緑)・アウト(赤)の順番で表示されていたのが、今年からは緑・黄・赤の順番に変わっていくのだろう。そしてボールに関しても、加藤コミッショナーはなるべく早く12球団でボールを統一したい意向のようだ。これに関しては筆者は加藤コミッショナーに賛成なのだが、しかし現実的にはボールを一社のものに統一してしまうことで独占禁止法に抵触してしまう可能性があるらしい。だがこのように国技である野球の発展を阻む法なのであれば、改正や特例も認めるべきだと思う。
そもそも日本で硬式ボールが作られるようになったのは大正時代のことだった。アメリカから持ち帰られたボールを真似て作り始めたのだが、その当時のアメリカの硬式ボールは縫い目が130個だったり、116個だったりと統一されていなかった。しかもアメリカ人向けに作られたボールは、当時の日本人の手の大きさにはあまりに大きすぎた。そのため日本のボール製造業者が改良に改良を加え、現在の硬式ボールの素を作り上げた。それが大正5年のことだった。
予断ではあるが物理的に野球を見て行った時、雄星投手が投げる150kmのボールを、G.G.佐藤選手が155kmのバットスウィングでジャストミートすると、ボールとバットが触れ合っている時間は約1000分の1秒で、その僅かな時間の間にボールは約半分の大きさまでつぶされる。そしてその時の衝撃は実に1.5トンを超える。
早ければ来シーズンから導入される可能性のあるグローバル・ワールド・シリーズ構想。今筆者が最も期待しているのがGWSの開催だ。つまりメジャーナンバー1チームと日本のナンバー1チームが、真のチャンピオンの座をかけて戦う優勝決定シリーズだ。両国のコミッショナー同士は現実的に話し合いを進めているようだが、しかし両国ともに前向きではない人もいる。
アメリカではやはりWBC同様、オーナーたちは選手の怪我を懸念しているのだろう。そして日本でも阪神の新井選手会長が懸念を示している。ファンからすれば、オーナーの意見は分からないでもない。特にアメリカのベースボールはビジネス色が濃いことから、選手を1つの投資対象と見なしている。だが選手にだけは前向きになってもらいたい。多くの選手がメジャー移籍を熱望し、野球最高峰でのプレーを希望しているのだ。しかしGWSが実現されれば、メジャー移籍をしなくてもそれが可能になる。遊び半分で開催されていた日米野球とも訳が違う。
もちろん新井選手は、開催するにあたって様々な問題点があることを承知の上であえて否定的なコメントをしたのだと思う。恐らくそれは古田選手会長であっても、純粋に喜びのコメントだけを出すことはなかっただろう。しかしファンとしては選手に喜んでもらいたいわけだ。WBCのようなナショナルチームでの対戦もエキサイティングするのだが、しかし球団対球団、プロチーム対プロチームのガチンコ対決も、ファンとしては見てみたいのだ。
涌井投手の投球術が、メジャーリーガーにどこまで通用するのか。岸投手のカーブをメジャーリーガーたちはバットに当てられるのか。G.G.佐藤選手のパワーはメジャークラスなのか。中村選手はメジャーのエースを粉砕できるのか。ファンの夢は尽きることはない。
日本という国が経済的に発展していった背景には、常に野球があった。巨人軍には長嶋・王というスーパースターが存在し、他のチームは巨人に勝つことに命をかけて戦っていた。ファンはそのようなプロフェッショナルのガチンコ対決に胸を打たれ「よし、俺も頑張ろう!」という気持ちにさせられていた。
しかし今はどうだろうか。100球を超えたら降板を直訴する先発ピッチャーさえ存在してしまうほどだ。これでは夢も何もあったものではない。「相手の先発がマウンドにいる限りは、俺もマウンドを誰かに譲る気はない」、そう考えているピッチャーは果たして球界に何人いるのだろうか。涌井秀章投手のような考えの持ち主は、稀少とも言える。
今日本だけではなく、世界中から夢というものが減ってしまっている。これが不況を呼び起こした最大の要因ではないだろうか。夢がないから頼れるものはお金、という発想に繋がってしまう。もちろんお金は大切だ。だが貧乏であっても夢さえあれば心は満たされるし、幸せになることはできる。幸せになれないお金持ちよりも、幸せな貧乏人の方がきっと輝いているはずだ。
そして我々一般人にそんな夢を与えてくれるはずの存在が、プロ野球選手たちなのだ。工藤投手の子どもの頃は、本当に生活が貧しかったらしい。5人兄弟の4男として育った工藤投手は、着る物は当然お下がりばかりだし、習字の道具も兄弟で1セットしか買ってもらえなかった。そのためもし兄と習字の授業が被ってしまうと、工藤投手は先生に「忘れました」と言って叱られるしか選択肢はなかった。
高校3年で西武の入団が決まるまでは、コーンスープの存在すら知らなかった工藤投手。コーンスープの存在を初めて知ったのは、入団交渉の挨拶が行われたホテルでの食事の席だった。工藤投手と両親、そして西武の担当者での会食。コーンスープのあまりの美味しさに、工藤家3人は全員でお代わりしてしまったそうだ。
貧しい家に育った工藤投手でも、夢を失わずに頑張り抜いたことで日本の野球史に名を残す大投手となった。そして今は我々ファンのみならず、中年の星として今なお現役で投げ続けている。そして今年の5月5日には47歳を迎える。これこそ夢を失わずにいるということの強みだと筆者は思う。工藤投手は今もメジャー挑戦への夢を失ってはいない。
工藤投手にはGWSが実現するまで現役で投げ続けていて欲しい。そしてライオンズの一員として日本一に輝き、メジャーナンバー1チームを相手に投げて欲しい。そして我々ファンに、更なる夢を与えて欲しい。
生きるということにおいて最も恐ろしいのは、夢を失うことだと筆者は考えている。もちろん筆者にも夢がある。まだ幼い頃に、工藤投手と渡辺久信投手に与えられた夢。叶うかどうかは分からない。しかしその夢があるからこそ、毎日を頑張ることができる。
プロ野球選手は損得勘定で言葉を発するのではなく、野球選手としての本能だけで喋っていてもらいたい。その方がファンはより多くの夢を持つことが出来るのだ。夢を与えることこそプロ野球選手の最大の仕事だと思う。そしてその夢を与え続けている工藤投手は、200勝を達成したという偉業よりもさらに素晴らしいと思う。
2010年01月26日 16:11
雄星投手は開幕ローテーション入りを果たせるか
プロ野球ファンならずともその活躍に注目しているライオンズのルーキー雄星投手。果たしては彼は開幕ローテーション入りを果たすことはできるのだろうか?雄星投手を視察した人物は口々にその良さを褒めているが、しかし開幕ローテーションとなると話は別だと思う。日曜日の昨日は、西武第二球場の室内練習場に東尾修さんが視察に訪れたらしい。東尾さんは卓越した投手理論の持ち主で、投球を見ればその投手の良い点、悪い点を正確に見極めることができる。その東尾さんの評価は、雄星投手は江夏豊投手になれる可能性を秘めている、というものだった。これは東尾さんにとっては最高の賛辞だと思う。
筆者は江夏投手の現役時代をほとんど知らない。そのため映像や書物以外からの知識はない。だが東尾さんのコメントによれば、基本は真っ直ぐだけのピッチャーだったようだ。緩急をつけるためにカーブを投げることもあったようだが、基本的にはストレートを内外に出し入れしながらのピッチングだったらしい。
だが江夏投手のようなピッチングは、ストレートの質がよほど高くなければ非常に難しい。例えばストレートがシュート回転やスライダー回転してしまうと、内外の出し入れもその分コースが甘くなってしまう。しかし東尾さんのコメントによれば雄星投手のストレートは、入団1年目の同じ時期の松坂大輔投手より上を行っているようだ。変化球を加えての全体の評価であれば松坂投手の方が上かもしれないが、ストレートの質に関しては雄星投手の方が上を行っているらしい。
雄星投手は、変化球はいくつも投げることができる。しかしその中で試合で投げられる球種となると、今はまだスライダーだけのようだ。いくらストレートの質が高いとはいえ、先発ピッチャーがスライダーだけで勝てるほどプロの世界は甘くはない。それは東尾さんが1番よく分かっていると思う。そのため先発ローテーションの話題になると、東尾さんのコメントは少し濁り気味だった。少なくとも現時点においては、雄星投手は先発ローテーションクラスのレベルではないのだろう。
江夏投手が活躍していた時代と、現在ではプロ野球の環境はまるで違う。今はバッティングマシンを使えばいつでも150km以上のボールを打つことができる。もちろんバッティングマシンで打てたからと言って、それが打席での結果に直結することはないが、しかし動体視力を150kmに対応させるための練習としては十分だ。150km以上のボールに目が慣れている選手であれば、ストレートとスライダーだけと分かっていれば簡単に打ってしまうだろう。
恐らく春季キャンプに入れば、雄星投手は岸投手からカーブを教わるだろう。もし雄星投手が「岸カーブ」をマスターすることができれば、先発ローテーション入りも現実味を帯びてくると思う。だが今現在でと考えると、先発ローテーション入りは非常に難しいだろう。
ライオンズには涌井投手、岸投手、帆足投手、石井一久投手、西口投手、野上投手と、先発投手陣は非常にレベルが高い。雄星投手がこの中に食い込んでいくためには、それこそ誰もがあっと思うピッチングが必要になってくるだろう。
ちなみに99年、東尾監督が松坂投手を見て「行ける」と思ったのは、春季キャンプ終盤だったと言う。そしてプロ初先発を果たしたのが、開幕2カード目での日本ハム戦だった。雄星投手が松坂投手に並ぶためには、やはりあと1つ使える変化球がないと難しいだろう。だが春季キャンプで「岸カーブ」をマスターすることができれば、それは開幕ローテーション入りの切符と考えて間違いないと思う。
2009年の夏から秋にかけて見た雄星投手は、まだまだ荒削りでプロで通用するレベルではなかったと思う。だが秋から冬にかけての練習の成果なのか、どうやら去年の夏とは比べられないほどの成長を見せているようだ。これだけ速いペースで成長して行ければ、松坂投手以来となる高卒ルーキーの開幕ローテーション入りも、夢ではないかもしれない。
2010年01月25日 11:55
ダルビッシュ投手の指南を受けた西武の2投手
一流の選手は一流が生み出す。ライオンズには一流と呼べる選手が大勢いる。工藤投手を筆頭に、西口投手、石井一久投手、涌井投手。そしてコーチングスタッフにも渡辺監督、潮崎コーチ、橋本コーチとその道の一流が揃っている。だがこの1月、ライオンズを離れて別のチームの一流から学んだ投手がいる。野上投手と田中投手だ。この2人は宮崎で、日本ハムのエース、ダルビッシュ投手の指南を受けながら自主トレをしていた。投手としてはまるでタイプが違うとは思うが、しかし投手という人種である限り、一流であるダルビッシュ投手から学べることは、ファンが想像している以上に多いと思う。
ダルビッシュ投手は投げ方はもちろんのこと、トレーニング方法や食事面まで若手投手たちにアドバイスしてくれたようだ(ダルビッシュ投手自身もまだまだ若手だが)。そしてダルビッシュ投手はこう言う。「教えて、相手の動きを見て、考える。それが上積みとなる」と。一流になれる選手とそうじゃない選手の違いは、自分自身で考える量だと筆者は考えている。
もし今、日本国内のピッチャーの中で現役ナンバー1を選ぶとしたら、筆者は迷わずダルビッシュ投手を選ぶだろう。西武ファンとしては涌井投手を選びたいところではあるが、しかし今現在で考えると、投手としての完成度はダルビッシュ投手の方が多くの面で勝っていると思う。もちろん2010年はこれがどう変わってくるかは分からないが。
ダルビッシュ投手が素晴らしいのは、手の内を惜しげもなく公開する事だ。自分が投げている変化球に関しても『ダルビッシュ有の変化球バイブル
『変化球バイブル』は筆者も何度も読み返したほどで、本当に勉強になる。投手をやっている選手であれば、プロ・アマ関係なく学べる部分は多いはずだ。現に筆者も、ダルビッシュ投手の球種に対する考え方を知ることで、自分の考えを今まで以上に深められた。このようなプロの考え方をダイレクトに知ることができると、それは3日分の練習よりも収穫が多くなることがある。この本は、ファンならずとも読んでおいて損はない一冊だ。
それほどの投手に指南を受けてきた野上・田中両投手。この2人が今シーズンどれだけ数字を伸ばしてくるか、筆者はとても楽しみにしている。特に昨年は非常に質の良いストレートを見せてくれた野上投手が、今年はローテーションの座をしっかり掴むことができるかどうか、その辺りが非常に気になるところだ。
一流投手であるダルビッシュ投手の指南を受けたこの2人は、間違いなく一流に一歩近づいたと言っていいだろう。あとはもらった教えをこれから2人がどう活かしていけるかだ。これをしっかりキャンプで活かすことができれば、2人の開幕1軍も自ずと見えてくるだろう。
2010年01月24日 22:34
片岡易之選手に求めたい2010年の役割
荒れに荒れた片岡易之選手の契約更改だったが、結局のところは1000万円アップの1億1000万円(推定)という数字に落ち着いた。球団からの評価は予想以上に低いものだったが、しかし片岡選手に対してはもう少し上げても良いのでは、と思う部分も多かった。2010年は文句の付けようのない活躍をして、文句の付けようのない年俸を勝ち取ってもらいたいと思う。筆者がなぜ片岡選手の年俸を低いと感じるのか、それはパーセンテージの良さだ。球団は基本的に打率を中心に年俸査定を行っているのだろう。そうでなければ、片岡選手の評価があそこまで低くなるとは考えにくい。
まず筆者が注目したいのは生還率だ。つまり出塁した回数に対し、何回ホームまで還って来たかという数字。片岡選手のリーグ3位の92得点だと、46%という数字になる。これは10回出塁したら、4~5回はホームインしているという素晴らしい数字だ。ちなみに松井稼頭央選手が1番を務めていた98年の数字は38%で、2008年のイチロー選手が31%だった。もちろん出塁回数が異なるので、純粋に比べて良い数字とは言えないが、片岡選手がどれだけ高い確率でホームまで還って来るかという1つの目安になるとは思う。
そして2つ目は当然盗塁数だ。2009年は51盗塁を決めている。確かに2009年のライオンズは優勝を目指せない時期が長かったため、チームが上位にいる時よりは走りやすいという条件はあった。しかしそれにしても51盗塁というのは誇れる数字だ。
また、盗塁と同じように考えたいのが塁打数だ。2009年は232塁打を数えている。シングルヒットで出塁し、そこから盗塁すれば2塁打とほぼ同等だ。となると232という数字に51を足すと、283塁打という数字になる。もちろん盗塁をするには次の打者の1球分を借りる必要があるが、しかし片岡選手の盗塁数を足した塁打数は低い評価にはならないはずだ。
だが逆にもったいなかったのがホームランの多さだ。片岡選手は2009年は13本塁打で、これは2008年の4本を大きく上回っている。なぜもったいないかと言うと、1番バッターがホームランを打ってしまうと打線が繋がらなくなってしまうのだ。例えば片岡選手が先頭バッターで登場しホームランを打つと、実質次のバッターが先頭バッターということになってしまう。これは味方の利点が減るという意味ではなく、敵へのダメージが減ってしまうということで、筆者はもったいないと考えている。
相手チームからすれば先頭の片岡選手にホームランを打たれて1点取られるよりは、片岡選手に1塁で動かれる方がよほどエネルギーを消耗する。特に右ピッチャーにとって、背中で動かれる片岡選手の存在は脅威なはずだ。このことをよく理解しているピッチャー出身の監督は、1~3番に俊足バッターを並べることが多い。渡辺監督ももちろんそうだし、最も顕著だったのは東尾監督だった。東尾監督はオーダー9人中、4~5人を走れるバッターとして並べていた。
これはあくまでも筆者が見た上での感想でしかないのだが、恐らく相手チームは片岡選手よりも栗山選手に対しより厳しい攻めをしているのではないだろうか。もちろん片岡選手に対しても厳しい攻めをしているのだが、それ以上に栗山選手に対しては、中島・中村コンビの前にランナーを溜めないために、より厳しく攻めているように見える。
特に右ピッチャーは2ストライクまで追い込むと、ほとんどストライクを投げてきてはくれない。外にチェンジアップを落としたり、内にはカット系のボールを食い込ませたり。栗山選手に対してピッチャーは、より神経を使っていたと思う。
だがもし片岡選手の長打が減り、片岡選手自身が1塁に残るケースが増えていたとすれば、バッテリーは当然ランナーを警戒し、ストレート系のボールが多くなってくる。そうなってくると栗山選手のバッティングチャンスも広がってくるわけだ。これがそのまま実践されていたのが、栗山選手が.317打った2008年だったと思う。
片岡選手が今季評価を高めるためには、そしてチームが勝つためには、長打を減らすバッティングをすれば良いと筆者は考えている。ホームランは中島・中村・ブラウン・G.G.佐藤・後藤の5選手に任せておけば良い。片岡選手と栗山選手の1・2番コンビは、とにかくクリーンアップの前に3・1塁という状況を作っておくことが最も重要だと思う。
若いアウトカウントで3・1塁という状況になると、ランナーを牽制するためにもファーストとサードはどうしてもベースに付かなければならない。そうすれば三遊間・一二塁間は広くなり、ヒットゾーンが広がるわけだ。これが満塁になってしまうとランナーは盗塁ができなくなるため、ランナーを牽制する必要性も下がり、通常の守備位置、もしくは前進守備によりヒットゾーンが狭められてしまう。
筆者はピッチャー出身なのだが、最も嫌な状況は満塁ではなく3・1塁に俊足ランナーを背負うことだった。下手にボテボテの内野ゴロを打たせれば3塁ランナーはホームインしてしまうし、かと言ってダブルプレーを狙い過ぎてしまうとボールはヒットゾーンを通り抜けていってしまう。ピッチャーとしては非常に神経を使う状況が3・1塁なのだ。
このような理由から言っても、片岡選手はきっぱりと長打を捨てて、栗山選手と3・1塁という状況を作ることに基本としては専念すべきだろう。先にも言った通り、片岡選手がホームランを打ってしまうと3・1塁という状況を作れないということからも、打線が線にならない。打線が点の集まりにしかならないのだ。
打線というものには、1番から9番まですべて役割分担がある。4番打者を9人並べてもそれは野球にはならないのだ。これがWBCで日本が二連覇することができた最大の理由だ。スモールベースボールという言葉は、決して短打だけを狙う、という意味ではない。主軸が長打を打ちやすくするために、他のバッターが短打を有効活用するというのがスモールベースボールの本当の意味だ。
ライオンズには幸運にもホームランを打てるバッターがしっかりと揃っている。そうなってくるとやはり大切なのが、1・2番や下位打線でどれだけ塁を埋められるかということに繋がってくるわけだ。2010年、片岡選手のヒット数が10本増えて、二塁打とホームランが10本ずつ減れば、ライオンズの得点力は2008年に匹敵するほど強力になるはずだ。このような理由からも筆者は2010年、片岡選手には1本でも多いシングルヒットとフォアボール、そして1つでも多い盗塁数を期待したいと思う。
2010年01月23日 19:01

Copyright(C) 2009-2010 日刊埼玉西武ライオンズ All Rights Reserved.

