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小野寺投手、斎藤塾に入門

小野寺力投手が『斎藤塾』に入門したようだ。斎藤とはつい先日、レッドソックスからアトランタ・ブレーブスに電撃移籍した斎藤隆投手のことだ。この入門が1日限定なのか、何回か一緒に練習できるチャンスなのかまでは分からないが、しかし1日だけだったとしても小野寺投手にとっては大きな財産となるはずだ。

「一流になるには一流から学べ」とはよく言われていることだが、まさにその通りだと思う。小野寺投手が今後一流のクローサーになるためには、一流である斎藤隆投手の指導を受けることはかなりの近道になるはずだ。投球術、マウンドでの心得などなど、参考になることは数え切れないと思う。

現に合同自主トレをした小野寺投自身も「自分では気付けなかった部分に気付いてもらえた」と言っていたようだ。一流に近づくためには、やはり身近な一流から学ぶことは多い。一流の選手、一流のコーチ、一流と呼び合えるライバル。

これで小野寺投手は一流である豊田清投手、佐々木主浩氏、斎藤隆投手から指導を受けたことになる。まさにそうそうたる面子だ。小野寺投手が彼らの教えを無駄にすることはありえないとは思うが、しかし教えを無駄にしないためにはまず結果を残さなければならない。クローサー争いに加わっている場合ではない。確固たるクローサーとしての結果が求められている。

ただ心配なのは肩だ。今シーズンが終わった直後に小野寺投手は肩を傷めている。本人は軽症だと言っていたが、しかし個所が個所だけに心配は尽きない。特にフォークボールをウィニングショットとしている小野寺投手は、肩への負担も小さくはない。フォークボールやSFFなどの落ちるボールは、肩への負担が非常に大きいのだ。

小野寺投手が大成できない理由に、精神面の弱さが挙げられることが多い。もちろんこれだけがすべてではないが、これに関しては筆者も同じ意見だ。ピッチャーは一度マウンドに登ったのなら、ひたすら目の前の敵を打ち取ることだけを考えなければならない。自分自身と戦っている場合ではないのだ。

その日、どんなに調子が悪かったとしても、チームを勝利に導くためには目の前のバッターを抑えなければならない。1-0とリードした最終回に登場するクローサーならなおさらだ。ピッチャーにはとにかくタフなハートが求められる。ランナーを得点圏に進めたからといっておどおどするようでは困るわけだ。

その点斎藤隆投手は百戦錬磨だ。39歳となった今季もリリーバーとして56試合に登板し、防御率2.43という素晴らしい数字を残している。ドジャース時代の2007年には39セーブを挙げた実績もある。メジャー通算83セーブは十分に誇れる数字だ。

斎藤隆というメジャーを代表する大投手の指導を受けられたことは、小野寺投手にとっては本当に幸せだったと思う。2人の共通点はリリーバー、男前、歌が上手いという3点。来季小野寺投手が活躍し、ここにクローサーという共通点が加わってくれれば、ライオンズのブルペンはかなり活気付くはずだ。そしてそのためにも小野寺投手には来季、怪我することなく一年間をフルで戦い抜いて欲しい。そして栄誉ある胴上げ投手にもなってもらいたい!

2009年12月20日 23:15

#25 岩崎哲也

#25 岩崎哲也 - Tetsuya Iwasaki

投手(リリーフ)、右投右打
2006年大学・社会人ドラフト5順目
埼玉県立行田工業高~国士舘大~三菱重工横浜~埼玉西武ライオンズ
埼玉県深谷市出身、1982年10月13日生、190cm / 93kg
2010年推定年俸:2000万円
球種:スライダー、シンカー


筆者が初めて岩崎投手を見たのは、まだ彼が三菱重工にいた頃だった(ひょっとしたら補強選手だった東芝の試合だったかもしれないが)。投球内容自体はよく覚えてはいないのだが、あの投球フォームはよく覚えている。今とほとんど変わらない、あのダイナミックで独特なサイドトルネード投法。このフォームは、マンガからヒントを得て開発したというのが本人談だった。

岩崎投手のフォームはよく「あっち向いてホイ投法」と呼ばれることがあるが、この呼び方はあまりに丁稚だと思う。しかもプロ解説者までもがこの言葉を使っていることを考えると、選手上がりのコーチや解説者がいかに運動生理学の知識がないかがよく分かってしまう。もちろんしっかりと知識を勉強している選手が多いのも事実だが。

なぜ「あっち向いてホイ投法」と呼ばれているかと言うと、岩崎投手はトルネードを2塁方向に巻き込む際、顔も2塁方向に背けている。だが筆者の野球理論においてこの行動は理に適った動きだと考えている。頚椎反射という言葉を聞いたことはあるだろうか?例えば首を左に回すと、右肩の筋肉がストレッチ(伸張)され、ショートニング作用(収縮)を引き起こす。簡単に言えば首を左に回すことで、右肩の動きを引っ張るための助走を付けられるということだ。

岩崎投手はトルネードの巻き込み時に首も2塁方向に巻き込むため、首の右から左に回る距離が長くなる。つまり通常のフォームのピッチャーよりも、頚椎反射の恩恵を受けやすくなるというわけなのだ。

逆の動きで頚椎反射を利用している投手もいる。レッドソックスの岡島秀樹投手だ。岡島投手は左投げだが、レイトアクセラレーション(リリース寸前の腕の加速)の段階に入ると、顔を3塁側に背けてしまう。これは日本のプロ野球ではかなり酷評されていたが、しかし運動生理学においてこの行動は素晴らしいと評価することが出来る。岡島投手は日本時代それほどコントロールの良いピッチャーではなかったが、しかしコントロールの悪さとこの首の動きとは無関係である。岡島投手が今メジャーで活躍できているのは、彼の個性を殺さずに活かそうとしてくれた初めての人、鹿取義隆コーチのおかげだろう。

首の動きこそ逆ではあるが、頚椎反射の利用における恩恵は、岩崎投手と岡島投手は共通なのだ。だが岩崎投手の場合、非常にもったいない点が首以外で1つある。それは骨盤だ。ピッチャーはボールをリリースする際、できる限り遠心力を小さくしなければならない。これを慣性モーメントを小さくする、と言うのだが、岩崎投手の場合この慣性モーメントが非常に大きい。

投球とは身体を回旋させて行う動作なのだが、岩崎投手の場合は回転になってしまっているのだ。一般的に右ピッチャーの場合、投球動作中にピボットポイントが軸足股関節(右)から前脚股関節(左)に移動される。しかしこの時、脊柱軸までも移動線上から移してはならない。

非常に難しい話ではあるが、セット時、ピッチャーの軸足とキャッチャーミットを直線で結んだ際、右投手の場合は右骨盤をこの直線上にキープし移動させるのがベストなのだ。こうすることで慣性モーメントを小さくさせることができ、身体のスピンスピードもアップする。つまり球速がアップするということだ。もし野球をされている、または指導をされている方にはぜひ覚えておいてもらいたいのだが、アウターマッスルをいくら鍛えても劇的な球速アップは起こりえない。

岩崎投手は140km前後が通常の球速だと思うのだが、もし骨盤の使い方を改良させることができれば(フォームは同じで良い)、デニー友利投手のような存在になれると思う。今オフ岩崎投手の背番号は35から25に変わった。これはチームから期待されている何よりの証拠。

2009年、岩崎投手はある程度の切っ掛けは掴んだと思う。迷いなくマウンドに登った時の岩崎投手は、本当に素晴らしいピッチングを魅せていた。となると、あとは良い状態をどれだけ長くキープできるかという点に尽きる。今後潮崎コーチの下でシンカーを学び、もっと遅いシンカーを投げられるようになれば、岩崎投手は完全にブルペンでは主戦級扱いされるようになるだろう。ひょっとしたら小野寺投手を追い抜いてしまう日も近くやって来るかもしれない。

だがそうなれば小野寺投手にも意地がある。きっと更なるレベルアップをして、埼玉出身のこの2人が西武ドーム3塁側ブルペンを底上げしてくれるはずだ。

 投球成績 Pitching Results





































2007 55 0 0 0 0 3 1 2 13 .750 220 54.1 43 5 17 1 5 33 1 1 19 17 2.82
2008 20 0 0 0 0 2 0 0 0 1.000 99 21.0 32 2 4 0 5 10 0 0 16 13 5.57
2009 27 0 0 0 0 2 4 0 9 .333 115 26.0 28 2 13 2 2 15 1 1 14 13 4.50
通算 102 0 0 0 0 7 5 2 22 .583 434 101.1 103 9 34 3 12 58 2 2 49 43 3.82

2009年12月18日 17:05

G.G.佐藤選手の契約更改は越年必死

ライオンズで唯一代理人交渉を行っているG.G.佐藤選手だが、3年連続越年更改は避けられないようだ。現在も交渉担当とG.G.佐藤選手の代理人とで下交渉が続けられているようだが、未だ合意には至っていない。攻防ラインは今季の倍増となる1億2000~3000万円前後となりそうだが、この金額が果たして妥当かどうかは筆者には分からない。

筆者はG.G.佐藤選手のことを強く応援している。ストイックで、非常に優れたアスリートの1人だ。だが、こと契約更改になると話は別だ。久しぶりにG.G.佐藤選手の記事を書いているのに、こういう話題なのが残念なのだが、G.G.佐藤選手の契約更改に対する姿勢にはどうしても好感を持てない。

G.G.佐藤選手は法大卒業後は単身アメリカに渡り、フィラデルフィア・フィリーズなどの1Aでプレーしていた。一応はプロとは言え、1Aでもらえる月収は本当に微々たる物。日本円に換算すれば月10万円もらえない選手もいるほどで、これは日本の独立リーグよりも厳しい給与条件だ。G.G.佐藤選手が金銭に強いこだわりを持っているのは、こういう環境を体験してきたからに他ならない。

これがメジャーリーガーともなれば、数億円の年俸以外にもミールマネーというものをもらうことができる。これは遠征先などで食事をする際、1日50~100ドルくらいの食費が支給されるのだ。だがマイナーリーガーはミールマネーすらもらえないのが実情。多くのマイナーリーガーは野球以外の副業を持っていることが多い。そしてG.G.佐藤選手もアルバイトをしながらマイナーリーグでプレーをしていた選手なのだ。

多くのメジャーリーガーはこのような厳しい環境の中を勝ち抜いて、数億円の年俸をもらえるまでになっている。つまりハングリー精神が日本人とは桁違いに強いのだ。もしG.G.佐藤選手がアメリカでプレーしているのなら、彼の金銭への執着は正しいと言える。だが彼が今プレーしているのは日本だ。

まず日本という国、そして(ベースボールではなく)野球というスポーツは礼を尽くす国であり競技だ。野球選手はグラウンドに入る前、必ずグラウンドに対し脱帽し、一礼してから入っていく。このような「国」で「野球」をやっている限り、G.G.佐藤選手の姿勢は決して高い評価はされないだろう。

筆者の個人的意見を言わせてもらえれば、代理人同席交渉ならまだ許容範囲だ。しかし代理人にすべてを任せてしまうのは、礼を重んじる日本のプロ野球においては少なくとも好感を持てる交渉とは言えない。

ライオンズというチームは昔から「3年やって1人前」という風習がある。3年間しっかり活躍することで初めて年俸が大幅に上がるシステムをとっている。となるとG.G.佐藤選手の場合、今季が実質その3年目だった。3年連続20本塁打は決して簡単な数字ではない。とは言え数字だけを見ていくと、1億3000万円という金額に見合うとは感じられない。

まず今季だが、打順は6番に降格し、怪我の影響で守備機会も大幅に減った。今季は25本塁打したが、5番で打つ25本と6番で打つ25本では大きな差がある。5番と6番とでは、数字以上にプレッシャーに差が出てくるし、相手チームからのマークも大きく変わってくる。だからもし5番打者として25本塁打打っていたのなら、筆者なら1億円以上の年俸に見合っていると感じただろう。

続いて85打点という数字。これだけを見ると確かに立派で、素晴らしい数字だ。だが筆者は今年のG.G.佐藤選手の85打点も、25本塁打同様それほど高い評価はしていない。打点に関しては月間MVPを獲った時期の活躍は素晴らしかったが、8月までの活躍は決して目覚しいとは言えなかった。

その最たる要因は得点圏打率の低さだ。打率.290に対し、得点圏打率は.262と低い。ただ状況によっては打っていることもある。例えば満塁での打率は.385で、3塁・2塁では.364とよく打っている。

それでも筆者がなぜ今年のG.G.佐藤選手の数字をここまで低く評価しているのか?その理由はたった1つだ。筆者は、G.G.佐藤選手のことをホームランバッターだと思っている。これが唯一の理由だ。

G.G.佐藤選手は今季25本塁打を放っている。だがこの内チャンスで打ったホームランの数は、0なのだ。チャンスでは1本もホームランを打っていないのだ。25本中18本はランナーなし、7本が1塁だけにランナーがいる場面。もし25本中5本がチャンスで打ったホームランだったなら、筆者は大いに評価していたと思う。だがG.G.佐藤選手にかける期待が大きい分、筆者は今季の数字にはまったく不満でならないわけだ。

また昨季傷めた足首や、今季起こしたジャンパー膝をG.G.佐藤選手は再び公傷だと主張してくるだろう。だがそれは断じて違う。この2つの故障は完全にG.G.佐藤選手の責任だ。G.G.佐藤選手自身、これだけ体を大きくした時点でこれらの故障発生は予測できたはずだ。G.G.佐藤選手の体重は100kgほどだが、そうなると膝に掛かる重さは70kgくらいになるはず。足首ともなると90kgほどの負荷が常に掛かっている状態だ。これでは故障しない方が不思議というもの。

G.G.佐藤選手は数年前「守れない選手は野球選手じゃない」という趣旨の言葉を残している。つまり打つだけではなく、打って走って守って投げることトータルにこだわりを持っている。だからこそ筆者はG.G.佐藤選手を応援するようになったのだ。しかし今季のG.G.佐藤選手は故障により走れず守れずで終わってしまった。
(※G.G.佐藤選手は体が硬く、それも故障の大きな要員となっている。同じ体重でも中村選手には柔軟性があるため、比較的怪我には強い)

もし筆者が西武球団の交渉担当だったら、G.G.佐藤選手には9500万円という数字を提示すると思う。そして来季は中村選手の3年連続ホームラン王を脅かす存在となり、「1億7000万円を目指せ!」と強く発破をかけてあげたい。

2009年12月17日 16:36

怒りの保留者、今度はエース涌井投手

2日連続で怒りの保留者が出た。昨日は片岡選手、今日はエース涌井投手だ。西武球団の職員は、果たして野球というものを理解しているのだろうか?ひょっとしたら一般的な企業に感覚を近づけて球団経営をしているのかもしれない。

球団を「経営」しているのだから、赤字削減は永遠のテーマだ。だが減らすだけが球団経営ではない。増やすにしても減らすにしても、まず大事にしなくてはいけないのは人だ。これに関しては一般企業にも同じことが言えるが、人がいなければ経営どころか会社(球団)そのものが成り立たない。

常に人情だけで経営することは不可能だが、しかしいつ仕事を失うか分からないプロ野球選手という職業だ。先日引退した赤星選手のような例もある。たった1つの怪我が選手生命を奪われる切っ掛けとなる。そういう意味で選手たちは、常にその恐怖心と戦っているとも言える。エース涌井投手と言えども、ボールが投げられなくなれば1年後に解雇される恐れもあるのだ。

だからこそ球団職員は、選手の心のケアもしていかなくてはならない。それなのに片岡選手や涌井投手、さらには細川捕手に対し、あまりにも温情のない交渉を続けている。涌井投手に対して前田本部長は「1試合1試合の積み重ねで最大限の評価をした」とコメントした。ここには涌井投手の言う通り、沢村賞を獲った評価は含まれていなかった。まさに涌井投手の言う通り、前田本部長は沢村賞の凄さをまったく理解していない。

報道によれば涌井投手は前田本部長の説明を聞き「ひどくないですか・・・」と絶句し、「無理です」「帰ります」と三言発しただけで席を立ったようだ。確かにひどい。涌井投手はここ1~2年しか活躍していない投手ではない。入団2年目以降はコンスタントに勝ち続けている不動のエースだ。そのエースに対し、他球団の沢村賞投手と比べてあまりにも評価が低すぎる。

筆者は2億5000万円前後が攻防ラインになるのではと予想していたが、その予想からははるかに下回っていた。ただ筆者は金額そのものに執拗にはこだわってはいない。涌井投手に対し2億円の提示は確かに低かったが、それ以上に西武の査定には人情味が感じられない。選手の年俸を下げたとしても、その選手のモチベーションを上げられる交渉担当がいる。だが前田本部長にその能力はないようだ。

プロ野球選手の契約更改において最も大切なのは金額そのものではない。球団がその選手に対し、どれだけ必要であるかを伝えられるかどうかだ。そして選手が、どれだけ必要とされているかということを感じられるかどうかだ。これさえしっかり意思疎通できていれば、金額を二の次にしたとしても怒りを露にする選手は出てこないだろう。

そしてもう1人、細川捕手に対してもあまりにひどい交渉をしている。今季の細川捕手は、昨年の日本シリーズで傷めた右肩のせいでシーズンの半分以上を棒に振ってしまった。またその右肩痛の影響で、肘にも故障を重ねた。だが公傷扱いにはならなかった。しかしこれはどう考えても公傷だ。この右肩の故障は細川捕手のケアだけで防げるものではなかった。この怪我を公傷扱いにしてくれないのなら、選手は誰1人思い切ったプレーをしなくなるだろう。

今季の交渉の仕方を見ている限り、西武球団からは短期的な視野しか持てていない印象を受ける。涌井投手、細川捕手、片岡選手それぞれ、ライオンズには長期的に必要な選手たちだ。間違いなく今後5年、10年とチームを支えてくれるであろう選手たちだ。それだけの選手に対し、いくらチームが4位に終わったとは言え、あまりにも交渉の質が低過ぎる。

何度も言うが大事なのは金額ではない。いかにして選手のモチベーションを上げられるかだ。それがプロ野球にとっての契約更改なのだ。

これで交渉の席に着いていないのはG.G.佐藤選手グラマン投手、許銘傑投手の3人のみとなった。外国人選手2人に対してはすでに下交渉である程度の合意を得ているはずだ。となると注目は例年通りG.G.佐藤選手となる。

今季のG.G.佐藤選手は足首痛とジャンパー膝に悩まされた。筆者個人の意見としてはこれは公傷ではないと思っているが、しかしG.G.佐藤選手の代理人は公傷を主張してくるだろう。年内にまとまる可能性は低そうだが、しかし調停という最悪の事態にはなってもらいたくない。最悪でも1月中に全選手の契約更改を済ませ、誰1人自費でキャンプ参加する必要のない状態にしてもらいたい。そのためにも前田本部長には、選手の努力を傷付けない交渉に努めてもらいたいと思う。

2009年12月16日 01:58

片岡選手への評価は「頑張っていない」だった

どうして西武の球団スタッフというのは選手に対してこうもデリカシーがないのだろうか。2006年には赤田選手との契約更改中に交渉担当が携帯電話を鳴らし、仕切り直された2度目の交渉の席でも同じ失態を演じた。

そして今年は片岡選手に対して「頑張っていない」という言葉を使ったらしい。前田康介球団本部長は守備・走塁面は評価しつつも打撃面、特に1番打者として「頑張っていない」と評したようだ。確かに片岡選手の打撃成績は去年と比べると低迷した。だがバッティングコーチのコーチング能力が下がった今季は、開幕前から打撃陣が苦しむことは想像に易かった。

中島選手に対しても書いたことなのだが、球団はWBC前にはWBCでの活躍も査定に含めると話していた。だが実際には中島選手にしろ、片岡選手にしろ、含まれているような金額には感じられない。

年俸が下がるのは仕方がないと思う。数字が下がれば年俸も下がるのは当然だ。だが下げるにしても下げ方というものがある。例えばこれが一般企業ならどうだろうか。給料を減らす相手に対し上司は「頑張っていなかったから」と言うだろうか?もちろん言う上司もいるだろうが、そういう上司が率いる現場のモチベーションは間違いなく低い。

前田本部長はどうして片岡選手に対し「頑張っていない」という言葉を使うことが出来たのだろうか?前田本部長は選手の気持ちは十分理解しているはずの人だ。なぜならロッテと太平洋クラブ(現西武)でプレーをしていたサウスポー投手だったのだから。自身が選手だったにも関わらず、どうして選手の気持ちを理解してあげられないのだろうか。

年俸がそれほど上がらないだろうということは、片岡選手本人が一番よく分かっていたはず。だからこそ片岡選手はその場でサインするつもりで、印鑑を持って交渉の席に着いていた。だがそこで言われた言葉が「頑張っていない」だった。

前田本部長は「年俸も高くなり、求めるものも大きくなった」と500万円アップという微増の説明をしているが、しかし片岡選手は金額に対し不満だったのではない。前田本部長の「頑張っていない」という言葉に対し怒りを露にしたのだ。これは当然の怒りだ。打撃成績は確かに下がってはいるが、しかし片岡選手は頑張っていなかったのだろうか?いや、100%そんなことはない。片岡選手は頑張っていた。と言うより、とてもよく頑張っていた。

もし今後もこのようなデリカシーのない交渉が続いたら、西武の選手の多くが代理人を立てるようになるだろう。そうすれば困るのは球団側だ。西武の交渉担当が弁護士よりも交渉能力に長けているとはとても思えない。

年俸を下げるにも下げ方というものがある。例えば「来年は1番打者としての巻き返しに期待している」とでも言えば、片岡選手は減俸だったとしてもサインしていただろう。「WBCの活躍は見事だったが、シーズン全体を通すとこうなった」とでも言えば、片岡選手もいくらかは納得できただろう。

選手は、球団の社員ではない。選手はあくまでも個人事業主扱いで、1年ごとに契約を更新する形だ。そのため選手はFA権を取得できると、自分を最も高く評価してくれる球団へと移籍して行く。万が一今回のように選手のモチベーションを下げるような交渉が今後も続けば、1~2年後のFA選手の引き留めは困難を極めるだろう。いくら成績が落ちたからと言って、主力選手に対し「頑張っていない」という言葉は、間違っても使ってはいけなかった。

せっかく球団改革が着々と進行して行っているのに、こんなところで仲違いをしていては元も子もない。球団・選手・ファンが三位一体とならなければ改革は進行しないのだ。それなのに最も信頼し合う必要のある球団と選手の間に溝が生まれてしまった。

片岡選手の次回の交渉は12月24日とのこと。クリスマスプレゼントとまでは行かなくても、せめて笑顔でサインできるだけの交渉になって欲しい。そうしなければ金額の問題以前に、片岡選手のモチベーションが上がらなくなってしまう恐れもある。一流選手だって人間には違いない。一生懸命頑張ったのにそれを「頑張っていない」と評価されたら、やる気を失ってしまうのが普通だ。だからこそ次回は、前田本部長は片岡選手を納得させるだけの交渉を行う必要がある。

金額以上に労いの言葉だと思う。心からのその言葉があれば、片岡選手もきっと金額には執拗にこだわることはしないはずだ。片岡選手が良い新年を迎えられるためにも、クリスマスイヴは良い交渉になることを祈りたいと思う。

2009年12月15日 06:35

清水崇行選手はなぜ復活できずに引退したのか?

ライオンズにとって今季、筆者が思う最も残念なことの1つが清水崇行選手の引退だった。清水選手は1年前、金銭トレードで巨人からライオンズにやってきたのだが、活躍できないまま僅か1年でユニフォームを脱いでしまった。だが筆者が考えるに、清水選手の復活は十分可能だった。

清水選手の巨人時代の活躍をここで書く必要はないと思う。最多安打なども獲得しているほど輝かしい実績だ。では清水選手はどうしてそれだけの活躍が出来たのか?それは一級品のスウィングスピードと、ずば抜けたミート力が実現させていた。では逆に、どうして復活できないまま引退せざるを得なかったのか?それも一級品のスウィングスピードとずば抜けたミート力が原因だった。

清水選手のバッティングは、完全に受動的だ。ピッチャーが投げ込んでくるボールを、完全に待ちの姿勢で待って打っていた。つまり言い方を変えると、ピッチャーの動き全体からタイミングを取ることをしていなかったのだ。さらに分かりやすく言うと、バッティングマシンを打っているのと同じ感覚で、ピッチャーに対峙していた。ピッチャーはバッティングマシンのように一定ではないし、ましてや色々な球種を色々な場所に投げ込んでくる。

並のバッターであれば、受動的にボールを待っていればまず3割を打つことは不可能だ。だが清水選手はそれでも6回3割を達成している。スウィングスピードとミート力の賜物だ。だが2005年を最後に、規定打席をクリアしての3割は1度もなかった。年齢的には32~33歳の頃から急激に数字が落ち込んでいった。

まず考えられるのは、動体視力の低下だ。加齢により動体視力が低下すれば、当然ミート力は落ち込む。客観的に見て、ピッチャーの全体像にタイミングを合わさず、ミート力が落ちれば、スウィングスピードだけで率を残すことは不可能だ。

さて、筆者はミート力の高さとスウィングスピードの速さが清水選手の数字を落ち込ませたと先述した。その理由は、あのスウィングスピードでずば抜けたミート力を誇ったことで、全盛期にそれ以上のプラスアルファを必要としなかったためだ。つまり本人はもちろんのこと、数字を残していたことでコーチも必要以上にコーチングをしなかったということだ。だから清水選手には受動的にボールを待つことを修正するという発想がなかったのだろう。

受動的にボールを待つとどうなってしまうかと言うと、まず変化球に泳がされることが多くなり、スウィングして打ちに行くのではなく、ボールにバットを当てに行くバッティングになりやすい。これでは並の選手ならボテボテのゴロしか打てないだろう。だが清水選手の場合はスウィングスピードが速く、ミート力もずば抜けていたため、泳がされてもフォームを崩されても、ボールをミートすることが出来ていた。巨人ファンなら印象に残っていると思うが、完全にフォームを崩されているのにライトに鋭い打球を打てるのが全盛期の清水選手だった。

だが後期の清水選手は動体視力が少しずつ低下して行ったことで、完全にミート力を失ってしまった。もしこうなる前に、ピッチャーのモーションからタイミングを計る技術を手にしていたら、清水選手は間違いなく40歳まで現役を続け、巨人から放出されることもなかっただろう。

そして逆を言うと、清水選手を復活させられなかった日本のコーチのコーチング技術の低さが垣間見えてくる(もちろん日本だけの問題ではないが)。筆者は常々こう考えている。プロ・アマ問わず野球界も、Jリーグのように指導者ライセンスを施行するべきだと。一流の選手=一流のコーチという図式は成り立たない。選手としては一流でも指導者としては二流かもしれないし、選手としては三流でも指導者としては一流になれることがある。

コーチという立場の人は、決して自分の技能だけでコーチングを行ってはいけない。例えば現役時代スラッガーだったコーチが、自分の技能をそのまま佐藤友亮選手のような打者に教え込んでも効果は表れない。打者にはそれぞれ適性や特徴があり、それらをしっかり見極め、その適性・特徴に合ったコーチングをしなくてはいけない。

だが西武には熊澤コーチという素晴らしいコーチがいる。もし清水選手が熊澤コーチにパフォーマンスコーディネートを頼んでいたら、ひょっとしたら大復活していた可能性もある。だが清水選手は巨人時代から非常にプライドの高い選手だ。そのプライドが邪魔をし、素直にアドバイスを求めにいくことが出来なかったのかもしれない。ひょっとしたら成績云々よりも、そのことが清水選手に引退を決意させたのかもしれない。

素晴らしい能力を持った清水選手だっただけに、西武に来て復活出来ずに引退してしまったことが惜しくて仕方がない。今後は野球を外から見ることで、別の角度から野球を学び、将来は素晴らしい指導者になってまたライオンズに戻って来てくれたら、ファンとしては嬉しい限りである。

2009年12月15日 00:24

#45 藤田太陽



#45 藤田太陽 - Taiyo Fujita

投手(リリーフ)、右投右打
2000年ドラフト1位(逆指名)
秋田県立新屋高~川崎製鉄千葉~阪神タイガース~埼玉西武ライオンズ
秋田県秋田市出身、1979年11月1日生、185cm / 85kg
2010年推定年俸:1500万円
球種:スライダー、縦スライダー、チェンジアップ

水田圭介選手、阪神藤田と交換トレード成立

藤田太陽投手は2009年7月、水田圭介選手とのトレードにより阪神から埼玉西武に移籍して来た。正直なところ筆者は、阪神時代の藤田投手をまったく知らない。もちろん名前や、入団時にどれだけ期待されていたかはよく知っていたが、ピッチング自体は一度も見たことはなかった。

ただイメージとしては、オーバースローから剛速球を投げる投手だと思っていた。だがライオンズに移籍してきた藤田投手のストレートは140km前後で、150kmには遠く及ばない。色々と調べてみると、入団時は150km近いストレートを投げていたようだが、何度か右肘を傷めたことで球速は落ちて行ったらしい。

藤田投手のピッチングモーションを見ていくと、確かに肘に負担の掛かる投げ方をしている。入団時の春季キャンプで、阪神のピッチングコーチが藤田投手のフォーム改造をしたらしいが、どのように変えたのだろうか?普通に考えれば球速云々よりも、故障を重ねないためにも肘の使い方をコーチングするはずだが、実際の藤田投手のモーションは、決して良い肘の使い方はしていない。

具体的には、テイクバックからコッキングに移り、そこからアーリーアクセラレーションに入っていく際、肘の動きが非常に硬い。大げさに言うと、カクッという音が聞こえて来そうな動き方だ。この肘の使い方では、再び傷めてしまう日はそう遠くはないと思う。

藤田投手はコントロールが酷評されることが多いが、そのコントロールもこの肘に起因している。つまり肘の使い方が非常に硬いため、アーリーアクセラレーションの最中にターゲティングを行えていないのだ。ターゲティングとは、リリースする直前に腕がしなっている際、肘の骨頭を投げたい場所に向けるモーションのこと。このターゲティングがあるかないかで、どんなピッチャーでもコントロールの良し悪しが大きく左右される。

コントロールとは、肘で付けるものなのだ。もし高校生以上の選手を指導されている読者がいらっしゃれば、ぜひこのことを覚えておいて欲しいと思います。

昔の藤田投手を知らないため、肘が硬いから故障したのか、故障したから肘が硬いのかが筆者には分からない。だが1つ言えることは、今のモーションのままでは必ずまた傷めるということだ。そうならないためにもトレーニングコーチと相談しながら、肘のリコンディショニングを行ってもらいたい。

さて、西武移籍後の藤田投手だが、本当に素晴らしい戦力になってくれたと思う。水田選手の移籍は、個人的には非常に悲しい出来事だったが、その分藤田投手が活躍してくれたためファンとしての気持ちは幾分救われた。

藤田投手はスライダーを2種類持っている。横に滑るスライダーと、縦に滑り落ちるスライダー。この2種類は映像で見ていても、曲がり始めるまではなかなか見極められない。打つ方としては非常に厄介な存在だ。しかも基本はストレートにタイミングを合わせているバッターに対し、ストレートではほとんど勝負をしていない。ほとんどキャッチャーのサイン通りに投げる藤田投手だが、なぜこの投手が西武に来るまで活躍できなかったのか、筆者には不思議で仕方ない。

140km前後のストレート、130km弱のチェンジアップ、120km強のスライダー2つ。そしてピッチング自体では確認していないのだが、シュート系のボールも投げられるのだろう。投球練習時、たまにシュート系を投げる合図をキャッチャーに送っている姿を見かける。これだけの変化球があるのを知り阪神時代の成績を見ていると、本当に不思議に思ってしまう。

藤田投手は逆球が比較的多いピッチャーなのだが、この逆球が上手くバッターを惑わせている。恐らく細川捕手銀仁朗捕手もそのあたりを計算してリードをしているのだろう。平行カウントで逆球が上手く決まるシーンをよく見かけた。

2010年もライオンズはリリーバーで苦労する可能性がまだ残っているが、怪我させしなければ藤田投手は大きな戦力となるだろう。そして東北出身者ということもあり、岸投手と共に菊池雄星投手の良い兄貴役になってくれるはずだ。

藤田投手にはセットアッパーに甘んじることなく、グラマン投手小野寺投手を脅かす存在になっていって欲しい。そうすればライオンズのブルペンは自ずと強化されていくはずだ。そのためにも藤田投手には2010年、怪我なく1年間をフルで投げ抜いて欲しいと思う。

 投球成績 Pitching Results





































阪神タイガース
2001 3 1 0 0 0 0 1 0 -- .000 39 7.1 11 2 7 0 1 2 0 0 12 12 14.73
2002 12 8 1 0 0 2 5 0 -- .286 238 57.1 55 9 21 0 3 46 4 0 25 23 6.61
2003 5 5 0 0 0 1 2 0 -- .333 99 23.1 21 3 11 0 0 14 0 0 8 8 3.09
2005 4 2 0 0 0 1 1 0 0 .500 54 12.0 16 4 3 0 0 4 0 0 9 8 6.00
2006 11 0 0 0 0 1 0 0 0 1.000 79 18.2 23 2 2 0 1 19 2 0 7 7 3.38
2007 3 0 0 0 0 0 0 0 0 --- 27 6.0 9 0 0 0 0 7 0 0 3 2 3.00
2008 6 0 0 0 0 0 0 0 0 --- 48 11.0 11 2 2 0 1 7 0 0 7 5 4.09
2009 2 0 0 0 0 0 0 0 0 --- 9 1.1 4 0 1 0 0 1 0 0 1 1 6.75
埼玉西武ライオンズ
25 0 0 0 0 2 0 3 4 1.000 113 27.0 24 2 9 2 1 10 0 0 6 6 2.00
通算 71 16 1 0 0 7 9 3 4 .438 706 164.0 174 24 56 2 7 110 6 0 78 72 3.95

2009年12月13日 00:57

石井一久投手が今季9勝止まりだった原因

石井一久投手が2億5000万円から6000万円ダウンした、1億9000万円でサインした。「お金に執着はない」という一久投手だけに、実にあっさりとした更改になったようだ。

6000万円のダウンは少し大き過ぎるかなとも思われたが、しかし今季の成績を見ると、少なくともアップする要素は少なかった。22試合に投げて9勝9敗と貯金は作れず、防御率も4.29と安定しなかった。だが2008年と比べると、数字自体に大差はない。2008年は11勝10敗で4.32という防御率。違いと言えば貯金1と、2ケタ勝利のみ。

だが印象に関してはまったく違う。2008年は西武ドームで負け知らずの時期があり、西武ファンに対し大きなインパクトを与えてくれた。だが今季は西武ドームで4勝5敗と負け越している。筆者はこの原因を、一久投手がピッチングをモデルチェンジしただめだと考えている。もちろん日本復帰後以降はずっとモデルチェンジを続けて来たと思うのだが、今季はそれが顕著に表れたシーズンだった。

具体的にモデルチェンジとは、ストレートで攻めるピッチングではなく、スライダーやカーブ(スラーブ)で交わすピッチングになってきたということだ。このモデルチェンジは、若いピッチャーにとってはネガティブなことになるが、ストレートの勢いが衰えてくる30代のピッチャーにとっては、避けては通れない道だ。

2009年、一久投手が好投した球場を挙げてみると、甲子園、Kスタ宮城、盛岡、ヤフードームとなる。この4球場では6試合投げて、それぞれ1点台後半から2点台後半の素晴らしい防御率を記録している。逆に西武ドーム、京セラドーム、スカイマークでの防御率は軒並み悪い。

では前者と後者の違いとは?それは筆者が考えるにマウンドの傾斜だ。一久投手が好投している前者の球場は、マウンドの傾斜が緩い。逆に後者ではマウンドの傾斜がきつい(スカイマークは分からないが)。これが何を意味しているかと言うと、変化球主体のピッチングに切り替えた一久投手にとって、傾斜のきついマウンドがスタイルに合わなかったということだ。

傾斜がきついマウンドは、ストレート主体のピッチャーにとっては有利に働く。なぜなら、腕をしっかり振って投げられていれば、マウンドの傾斜によってボールが自然と低めに決まってくれるからだ。これが変化球ピッチャーの場合、沈んでいくボールが多い変化球を低めに決めるには、やや高目を狙って投げていかなければならない。そうしなければ、ボールはストライクゾーンをかすめずに低めのボールゾーンに行ってしまう。

逆にマウンドの傾斜が緩いと、速球派のボールは高めに浮きやすくなってしまう。しかし変化球投手の場合は、水平に近い角度でボールをリリースできるため、低目を狙って投げればストライクゾーンをかすめてからボールゾーンに沈んでいくことになる。
(マウンドの傾斜が緩いと水平に近い状態でボールがリリースでき、傾斜がきついと台に乗って投げ下ろすような感覚で投げられる)

筆者の記憶が正しければ、西武ドームも10年前までは今よりもマウンドの傾斜は緩かった。だが松坂大輔投手が入団したことで、彼の速球にマウンドをアジャストさせ、傾斜をきつくさせている。確か東尾監督のアイデアもあったのではと記憶している。

以上が、筆者が考える一久投手が今季良い結果を出せなかった要因だ。もちろん好不調の波など、他にも影響される要素はたくさんあるとは思うが、その中でもマウンドとの相性は大きかったと思う。

一時期、西口投手が東京ドームでまったく勝てないことがあった。これもマウンドが原因とされている。東京ドームのマウンド傾斜は群を抜いてきつく、その傾斜が西口投手のスライダーと相性が悪かったのだ。

このマウンドとの相性を解消するための方法は少ないが、ないこともない。スパイクのクリーツ(歯、もしくは剣のこと)をマウンドに合わせて変えていけば良い。プロ野球選手ならスパイクを何足も持っているのは当たり前だろうから、同じクリーツのスパイクをいくつも持つのではなく、クリーツの種類が違うスパイクを数種類持ち歩けば良いと思う。

例えばマウンドの傾斜が緩いところでは通常のクリーツを使い、きついところではクリーツの高さを1~2mm伸ばしてあげると感覚は全然変わってくる。野手では人工芝用と、天然芝用でスパイクを使い分けている選手は多い。例えば千葉マリンの西岡選手は、人工芝用のクリーツの長さを0.5mmにしている。

球場によって固定的に成績が左右された一久投手も、来季は野手のように、マウンドに合わせてスパイクを選んでいけば良いと思う。そしてできれば従来のクリーツの形状ではなく、前側のクリーツがサークル状になったスパイクが良いだろう。もっと言えば、ピッチャーの場合は左右でクリーツの形状が違っていても良いと思う。

昨日の菊池投手の記事でも書いたことだが、ピッチャーにとって最良なのは常に左右均等化されたバランスではない。スパイクに関して筆者の理想を言わせてもらうと、前足前側のクリーツはサークル状、軸足のクリーツはスクエアに近い形状がベストだと考えている。

アマチュア選手や、プロでも1軍半の選手では厳しいことだが、一久投手くらいの年俸をもらっていれば、そこまでのこだわりがあっても良いとおもう。しかも一久投手の場合はミズノのアドバイザリースタッフを務めているため、要望を出せば実現させてくれるはずだ。ただ、一久投手はスパイクはアディダスを愛用しているようだが。

いずれにしても、一久投手にはまだまだ一線で投手陣を引っ張ってもらわなければ困る。そのためにも、今季のように球場によって成績を左右されるのではなく、どの球場でも安定したピッチングをして行く必要がある。

西武ファンも、自称所沢っ子一久投手のヒーローインタビューを心待ちにしている。2010年、一久投手が再びお立ち台の常連になってくれれば、チームも間違いなく浮上していくはずだ。一久投手は、チームに勢いを与える何かを持っている。一久投手が勝つとチームは必ず上昇していく。だからこそ一久投手には来季、貯金5を作れるようなピッチングを期待したいと思う。

2009年12月11日 16:09

菊池雄星投手の入団会見、メディカルチェック

昨日、ザ・プリンスパークタワー東京で新人たちの入団記者会見が行われた。報道陣は232人(松坂投手の単独記者会見時は268人)、テレビカメラは10台も集まるという注目度の中、新人6選手と渡辺監督が壇上に立った。ライオンズの新人入団会見がここまで大規模になったのは、松坂大輔投手の入団会見以来だ。

今年は菊池雄星投手が入団した。超高校級ナンバー1左腕。だがこれだけ期待されている中でも、雄星投手は決して天狗にはならない。以前は新人王を獲りたいとも口にしていたようだが、実際にプロ入りが決まると、自分の力を冷静に分析するようになった。

雄星投手のプロ1年目の目標は、まず1軍で1試合投げることのようだ。野球を経験されたことのないファンにとっては謙虚すぎる目標だと感じるかもしれない。しかしこの目標は、現時点での雄星投手の身丈に合った目標だと思う。いくら超高校級とは言え、松坂投手と比べるとその完成度はまだまだ低い。

だが1年目に1年間かけてみっちり身体作りをして行けば、2年目以降はコンスタントに1軍で投げられる存在になる可能性は高い。そのためにも渡辺監督の方針通り、本人も周りも焦らないことだ。いくら注目されているからとは言え、来年の3月まではまだ高校生なのだ。ライオンズならその点問題ないだろうが、必要以上の背伸びをさせて欲しくはない。

そして今日の午前中、新人選手たちは川越市内でメディカルチェックを受けたようだ。その結果雄星投手は右太ももが61cm、左太ももが59cmあり、体脂肪率は14%から12%減り、視力が2.0から0.9に落ちていることが分かった。それにしても太もも61cmというのは立派だ。これは現役時代全盛期の落合博満選手と同等だ。

視力に関しては本人の読書量(多い時は本代に2~3万円かける)からすると不思議ではない。視力自体はいくらでも補う方法があり、大切なのは動体視力だ。動体視力さえ高いレベルを保てていれば問題はない。ちなみにシアトルマリナーズのイチロー選手の視力は0.4だ。だが動体視力はプロ選手の中でも極めて高い。

太ももに関してだが、雄星投手は左右の太さが違うことを気にしているようだ。岩手に戻ったらすぐにトレーニングを始めて、この差異を均等にするつもりらしい。だが筆者の野球理論においては、この差異を修正する必要はないと思っている。野球選手は常にバランスを必要としているわけではない。特にピッチャーは。

ピッチャーにとって最も負担の掛かる部位は、利き腕の肩と前脚だ。つまり雄星投手にとっては左肩と右脚ということになる。左肩に関してはボールを投げているわけだから右よりも強いのは想像に易いだろう。だが脚の場合はピッチャー経験がないと少し感覚が掴みにくいと思う。

ピッチャーが前脚を上げてステップし接地する瞬間、前脚には体重の何倍もの負荷が掛かることになる(重力+位置エネルギー+並進エネルギーという物理学的に)。そして前脚の股関節は投球するたびにピボットポイントとして酷使されるため、前脚には投球肩同様の負担が掛かっている。そのために前脚、雄星投手の場合右脚が左よりも太いというのは、ピッチャーとしてはごくごく自然なことなのだ。

だが接地時に膝の角度が深過ぎたり浅過ぎたりすると、そのまま膝の故障に直結してしまう。また西口文也投手や西崎幸広投手のようにクロスステップで投げるピッチャーの場合、前脚内転筋を傷めやすくなる。さらに言えば松坂大輔投手のように上半身の筋肉が多過ぎてしまうと慣性モーメントが大きくなり、回旋させずらくなった前脚股関節を故障しやすくなる。

だから筆者としては、雄星投手には無理に左右の太もものサイズを揃えて欲しくはないと思っている。利き腕と前脚、逆腕と軸足という身体をクロスするアンバランスこそが、ピッチャーにとって最適なバランスなのだ。これを無理に揃えようとしてしまうと、逆にバランスを崩すことになりかねない(だからと言って、このアンバランスを作るトレーニングは厳禁。普通にトレーニングをしていれば、ピッチャーなら自然とこのアンバランスが生まれる)。

さて、今回の記事はできればドラフト6選手のことを少しずつ書きたいと思っていたのだが、結局は雄星投手の話ばかりになってしまった。残り5選手については、また後日少しずつ書いていこうと思っています。

2009年12月10日 15:59

埼玉西武、投手陣の補強ポイント

ライオンズは方針であるのか、例年他チームに比べると補強が遅めだ。今オフもここまでドラフト以外では工藤公康投手しか獲得していない。今季4位で終わったという現実を考えると、補強が工藤投手だけで終わるということは考えにくい。

ここまで韓国人選手の獲得検討や、カナダ人選手の入団テストなどがされて来たが、ここまではまだ誰も合意には至っていない。

今回はまず、投手陣の補強ポイントを見て行きたいと思う。今シーズンは最後まで中継ぎ不足を補うことが出来なかったが、もし来季も同じピッチングスタッフで挑んだとしたら、一体どのような結果になるのか?

【先発投手】
涌井投手・・・エース。自身最多の18勝を期待。
岸投手・・・夏場を乗り切れれば15勝。
帆足投手・・・2ケタ勝利が最低ノルマ
石井投手・・・10勝前後
西口投手・・・10勝前後
木村投手・・・5~7勝
野上投手・・・5~7勝

勝利数はあくまでも予想と理想を兼ね合わせてシミュレーションしてみた。上記の数字に近い活躍をしてくれれば、先発陣だけで70勝以上を数えられる。優勝ラインを83勝に設定すると、残りは約10勝。この10勝を工藤・大沼・星野・小野寺・グラマン投手で計算できれば、机上においては十分優勝を狙える。

【中継ぎ投手】
工藤投手・・・ロングリリーフも可能なセットアッパー
星野投手・・・1ポイント中心に、できれば1イニング
グラマン投手・・・ゴールデンウィークまでに復帰してくれればベスト
大沼投手・・・ロングリリーフを中心に、試合の建て直し役を
小野寺投手・・・グラマン投手の穴をしっかり埋める
藤田投手・・・1~2イニングを安心して任せられるセットアッパー
岩崎投手・・・自信さえ持てれば安定感は増すはず
武隈投手・・・スタミナさえ付けば、先発としても投げられる
土肥投手・・・1ポイントを中心に、1イニングまで

こうして見ていくと、中継ぎ陣にはどうしてもサウスポーの手薄感がある。左肩関節胞の再建手術をしたグラマン投手を開幕時から計算することは出来ないため、最低でも1~2人のサウスポーを補強したいところだ。星野投手に関しては今季以上のパフォーマンスをしてくれるはずだから、あとは土肥投手、もしくは2年目となる中崎投手が出て来てくれれば計算自体はある程度成り立つ。

だがどうしても見つけられないのがブルペンの大黒柱だ。つまりグラマン投手の穴。筆者としては小野寺投手に大きな期待を寄せたいところではあるが、しかし今季終了直後に肩を傷めている。筆者はシーズン中、何度か小野寺投手の投球フォームについて書いて来たが、まさにその時の心配が現実になってしまったわけだ。だが本人曰く軽症らしいので、その点は必要以上の心配はいらないのかもしれない。

ところで筆者はあることを思いついた。平野投手のクローサーテストをしてみてはどうか、と。先発としてはやや物足りない感の否めないピッチングを続けていたが、1イニング限定のクローサーとしてなら全球で全力投球が可能になる。そうすれば平野投手自身こだわりを持つストレートにも、もっとスピードを乗せられるはずだ。

そしてスライダー・フォークに加え、新球にもチャレンジしているらしいので、その新球が遅球(ちきゅう)であれば、ピッチングの幅は一気に広がる。平野投手は今まで2次元でしかストライクゾーンを使えていなかったのだが、もし遅球を覚え、3次元でピッチングできるようになれば、1イニングだけなら安心して任せられると思う。

さて、ここまで書いてきてやはり実感するのは、サウスポー不足とクローサーの不在だ。渡辺監督は工藤投手にクローサー役も期待しているようだが、いくら工藤投手が一流とは言え、経験のないクローサーというポジションを安心して任せるにはまだ早いだろう。

グラマン投手が復帰するまでの間、つなぎとして誰かに任せるのは良いと思う。しかし渡辺監督にはできれば、2年後3年後のことまで考えてチームを再構築してもらいたい。なぜならグラマン投手も来季は33歳になる。となると、あと2~3年すれば確実に力は衰える。そうなった時すぐにスイッチできるように、代役ではなく、絶対的存在として若手投手の誰かをクローサーとして育てて欲しい。

ライオンズの来季のピッチングコーチは潮崎・橋本両コーチだ。リリーフに関しては2人とも百戦錬磨。クローサーの心得も理解している2人のはず。だからこそ代役や日替わりなどというネガティブな言葉を使うのではなく、もっと前向きに、守護神候補を育成していって欲しい。

だが成長するまでにはやはりクローサー役は他で見つけるしかない。そう考えると、木村投手を後ろで使うのも面白いと思う。今季もそういう場面がいくつかあったが、短いイニングでの木村投手のストレートの威力は抜群だ。

とにかく岡本慎也・三井浩二両投手を戦力外にしたことで、総年俸としては補強に対しゆとりは出たはずだ。さらにはボカチカ・ワズディン両選手で浮いた資金もある。安くて良い選手を連れてくるのは最前条件となるが、しかしそれ以上に確実に仕事をしてくれる外国人選手を連れてきてもらいたい。以前も書いたことだが、巨人のマイケル中村投手のトレード獲得なども悪くはないと思う。

経費を削減することも大切だが、それ以上に収益を上げることを最優先にしてもらいたい。そしてそのためにも、優勝できるチーム構築が必須となる。渉外担当には、ぜひ良い選手を連れて来てもらいたいと切に思う。

2009年12月09日 16:27

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