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小岩ジェッツ

清水崇行選手はなぜ復活できずに引退したのか?

ライオンズにとって今季、筆者が思う最も残念なことの1つが清水崇行選手の引退だった。清水選手は1年前、金銭トレードで巨人からライオンズにやってきたのだが、活躍できないまま僅か1年でユニフォームを脱いでしまった。だが筆者が考えるに、清水選手の復活は十分可能だった。

清水選手の巨人時代の活躍をここで書く必要はないと思う。最多安打なども獲得しているほど輝かしい実績だ。では清水選手はどうしてそれだけの活躍が出来たのか?それは一級品のスウィングスピードと、ずば抜けたミート力が実現させていた。では逆に、どうして復活できないまま引退せざるを得なかったのか?それも一級品のスウィングスピードとずば抜けたミート力が原因だった。

清水選手のバッティングは、完全に受動的だ。ピッチャーが投げ込んでくるボールを、完全に待ちの姿勢で待って打っていた。つまり言い方を変えると、ピッチャーの動き全体からタイミングを取ることをしていなかったのだ。さらに分かりやすく言うと、バッティングマシンを打っているのと同じ感覚で、ピッチャーに対峙していた。ピッチャーはバッティングマシンのように一定ではないし、ましてや色々な球種を色々な場所に投げ込んでくる。

並のバッターであれば、受動的にボールを待っていればまず3割を打つことは不可能だ。だが清水選手はそれでも6回3割を達成している。スウィングスピードとミート力の賜物だ。だが2005年を最後に、規定打席をクリアしての3割は1度もなかった。年齢的には32~33歳の頃から急激に数字が落ち込んでいった。

まず考えられるのは、動体視力の低下だ。加齢により動体視力が低下すれば、当然ミート力は落ち込む。客観的に見て、ピッチャーの全体像にタイミングを合わさず、ミート力が落ちれば、スウィングスピードだけで率を残すことは不可能だ。

さて、筆者はミート力の高さとスウィングスピードの速さが清水選手の数字を落ち込ませたと先述した。その理由は、あのスウィングスピードでずば抜けたミート力を誇ったことで、全盛期にそれ以上のプラスアルファを必要としなかったためだ。つまり本人はもちろんのこと、数字を残していたことでコーチも必要以上にコーチングをしなかったということだ。だから清水選手には受動的にボールを待つことを修正するという発想がなかったのだろう。

受動的にボールを待つとどうなってしまうかと言うと、まず変化球に泳がされることが多くなり、スウィングして打ちに行くのではなく、ボールにバットを当てに行くバッティングになりやすい。これでは並の選手ならボテボテのゴロしか打てないだろう。だが清水選手の場合はスウィングスピードが速く、ミート力もずば抜けていたため、泳がされてもフォームを崩されても、ボールをミートすることが出来ていた。巨人ファンなら印象に残っていると思うが、完全にフォームを崩されているのにライトに鋭い打球を打てるのが全盛期の清水選手だった。

だが後期の清水選手は動体視力が少しずつ低下して行ったことで、完全にミート力を失ってしまった。もしこうなる前に、ピッチャーのモーションからタイミングを計る技術を手にしていたら、清水選手は間違いなく40歳まで現役を続け、巨人から放出されることもなかっただろう。

そして逆を言うと、清水選手を復活させられなかった日本のコーチのコーチング技術の低さが垣間見えてくる(もちろん日本だけの問題ではないが)。筆者は常々こう考えている。プロ・アマ問わず野球界も、Jリーグのように指導者ライセンスを施行するべきだと。一流の選手=一流のコーチという図式は成り立たない。選手としては一流でも指導者としては二流かもしれないし、選手としては三流でも指導者としては一流になれることがある。

コーチという立場の人は、決して自分の技能だけでコーチングを行ってはいけない。例えば現役時代スラッガーだったコーチが、自分の技能をそのまま佐藤友亮選手のような打者に教え込んでも効果は表れない。打者にはそれぞれ適性や特徴があり、それらをしっかり見極め、その適性・特徴に合ったコーチングをしなくてはいけない。

だが西武には熊澤コーチという素晴らしいコーチがいる。もし清水選手が熊澤コーチにパフォーマンスコーディネートを頼んでいたら、ひょっとしたら大復活していた可能性もある。だが清水選手は巨人時代から非常にプライドの高い選手だ。そのプライドが邪魔をし、素直にアドバイスを求めにいくことが出来なかったのかもしれない。ひょっとしたら成績云々よりも、そのことが清水選手に引退を決意させたのかもしれない。

素晴らしい能力を持った清水選手だっただけに、西武に来て復活出来ずに引退してしまったことが惜しくて仕方がない。今後は野球を外から見ることで、別の角度から野球を学び、将来は素晴らしい指導者になってまたライオンズに戻って来てくれたら、ファンとしては嬉しい限りである。

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2009年12月15日 00:24 




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