石井一久投手が今季9勝止まりだった原因
石井一久投手が2億5000万円から6000万円ダウンした、1億9000万円でサインした。「お金に執着はない」という一久投手だけに、実にあっさりとした更改になったようだ。6000万円のダウンは少し大き過ぎるかなとも思われたが、しかし今季の成績を見ると、少なくともアップする要素は少なかった。22試合に投げて9勝9敗と貯金は作れず、防御率も4.29と安定しなかった。だが2008年と比べると、数字自体に大差はない。2008年は11勝10敗で4.32という防御率。違いと言えば貯金1と、2ケタ勝利のみ。
だが印象に関してはまったく違う。2008年は西武ドームで負け知らずの時期があり、西武ファンに対し大きなインパクトを与えてくれた。だが今季は西武ドームで4勝5敗と負け越している。筆者はこの原因を、一久投手がピッチングをモデルチェンジしただめだと考えている。もちろん日本復帰後以降はずっとモデルチェンジを続けて来たと思うのだが、今季はそれが顕著に表れたシーズンだった。
具体的にモデルチェンジとは、ストレートで攻めるピッチングではなく、スライダーやカーブ(スラーブ)で交わすピッチングになってきたということだ。このモデルチェンジは、若いピッチャーにとってはネガティブなことになるが、ストレートの勢いが衰えてくる30代のピッチャーにとっては、避けては通れない道だ。
2009年、一久投手が好投した球場を挙げてみると、甲子園、Kスタ宮城、盛岡、ヤフードームとなる。この4球場では6試合投げて、それぞれ1点台後半から2点台後半の素晴らしい防御率を記録している。逆に西武ドーム、京セラドーム、スカイマークでの防御率は軒並み悪い。
では前者と後者の違いとは?それは筆者が考えるにマウンドの傾斜だ。一久投手が好投している前者の球場は、マウンドの傾斜が緩い。逆に後者ではマウンドの傾斜がきつい(スカイマークは分からないが)。これが何を意味しているかと言うと、変化球主体のピッチングに切り替えた一久投手にとって、傾斜のきついマウンドがスタイルに合わなかったということだ。
傾斜がきついマウンドは、ストレート主体のピッチャーにとっては有利に働く。なぜなら、腕をしっかり振って投げられていれば、マウンドの傾斜によってボールが自然と低めに決まってくれるからだ。これが変化球ピッチャーの場合、沈んでいくボールが多い変化球を低めに決めるには、やや高目を狙って投げていかなければならない。そうしなければ、ボールはストライクゾーンをかすめずに低めのボールゾーンに行ってしまう。
逆にマウンドの傾斜が緩いと、速球派のボールは高めに浮きやすくなってしまう。しかし変化球投手の場合は、水平に近い角度でボールをリリースできるため、低目を狙って投げればストライクゾーンをかすめてからボールゾーンに沈んでいくことになる。
(マウンドの傾斜が緩いと水平に近い状態でボールがリリースでき、傾斜がきついと台に乗って投げ下ろすような感覚で投げられる)
筆者の記憶が正しければ、西武ドームも10年前までは今よりもマウンドの傾斜は緩かった。だが松坂大輔投手が入団したことで、彼の速球にマウンドをアジャストさせ、傾斜をきつくさせている。確か東尾監督のアイデアもあったのではと記憶している。
以上が、筆者が考える一久投手が今季良い結果を出せなかった要因だ。もちろん好不調の波など、他にも影響される要素はたくさんあるとは思うが、その中でもマウンドとの相性は大きかったと思う。
一時期、西口投手が東京ドームでまったく勝てないことがあった。これもマウンドが原因とされている。東京ドームのマウンド傾斜は群を抜いてきつく、その傾斜が西口投手のスライダーと相性が悪かったのだ。
このマウンドとの相性を解消するための方法は少ないが、ないこともない。スパイクのクリーツ(歯、もしくは剣のこと)をマウンドに合わせて変えていけば良い。プロ野球選手ならスパイクを何足も持っているのは当たり前だろうから、同じクリーツのスパイクをいくつも持つのではなく、クリーツの種類が違うスパイクを数種類持ち歩けば良いと思う。
例えばマウンドの傾斜が緩いところでは通常のクリーツを使い、きついところではクリーツの高さを1~2mm伸ばしてあげると感覚は全然変わってくる。野手では人工芝用と、天然芝用でスパイクを使い分けている選手は多い。例えば千葉マリンの西岡選手は、人工芝用のクリーツの長さを0.5mmにしている。
球場によって固定的に成績が左右された一久投手も、来季は野手のように、マウンドに合わせてスパイクを選んでいけば良いと思う。そしてできれば従来のクリーツの形状ではなく、前側のクリーツがサークル状になったスパイクが良いだろう。もっと言えば、ピッチャーの場合は左右でクリーツの形状が違っていても良いと思う。
昨日の菊池投手の記事でも書いたことだが、ピッチャーにとって最良なのは常に左右均等化されたバランスではない。スパイクに関して筆者の理想を言わせてもらうと、前足前側のクリーツはサークル状、軸足のクリーツはスクエアに近い形状がベストだと考えている。
アマチュア選手や、プロでも1軍半の選手では厳しいことだが、一久投手くらいの年俸をもらっていれば、そこまでのこだわりがあっても良いとおもう。しかも一久投手の場合はミズノのアドバイザリースタッフを務めているため、要望を出せば実現させてくれるはずだ。ただ、一久投手はスパイクはアディダスを愛用しているようだが。
いずれにしても、一久投手にはまだまだ一線で投手陣を引っ張ってもらわなければ困る。そのためにも、今季のように球場によって成績を左右されるのではなく、どの球場でも安定したピッチングをして行く必要がある。
西武ファンも、自称所沢っ子一久投手のヒーローインタビューを心待ちにしている。2010年、一久投手が再びお立ち台の常連になってくれれば、チームも間違いなく浮上していくはずだ。一久投手は、チームに勢いを与える何かを持っている。一久投手が勝つとチームは必ず上昇していく。だからこそ一久投手には来季、貯金5を作れるようなピッチングを期待したいと思う。

2009年12月11日 16:09

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