西武1位指名候補の菊池雄星投手は、プロで通用するか?
来週29日に行われるプロ野球ドラフト会議。筆者も観覧希望を申し込んだが、招待状が届かないということは残念ながら抽選で外れてしまったようだ。そのドラフト会議、埼玉西武ライオンズはメジャー志向であっても花巻東高校の菊池雄星投手を強行指名する方針のようだ。日本のプロ野球にとっても、菊池投手にとっても、日本でプレーすることはプラスになるだろう。菊池投手は間違いなく超校高級ピッチャーだ。それは間違いない。だが筆者は、菊池投手がすぐにプロ野球で通じるかと問われれば迷わずノーと答えるだろう。菊池投手が日本のプロ野球で通用するまでには、少なくとも2~3年は掛かるはずだ。
その根拠は、まずボールに安定感がない。高校生相手には通じていたボールも、プロでは一切通用しない。特に高めに行くストレートだ。ボールがジャイロ回転していて、マウンドからホームまでの18.44mを直線で投げられるのなら話は別だ。しかし菊池投手のストレートはほぼ100%バックスピンストレートで、初速と終速の差も小さくない。スロー映像で見てもらえれば分かると思うが、140km台のストレートはホームベースに達した頃には失速している。140~150kmのバックスピンストレートは、物理学的に空気抵抗が一気に増していく球速なのだ。
筆者がこれまで甲子園大会を見続けてきて、「この投手はプロで必ず通用する!」と確信したのは松坂大輔投手、涌井秀章投手、ダルビッシュ有投手、田中将大投手の4人だけだ。この中には菊池雄星投手はもちろん、現早大の斎藤祐樹投手も入っていない。
菊池投手はプロで活躍するピッチャーになれる可能性は誰よりも高い。資質であれば斎藤祐樹投手よりも遥かに上だろう。しかし今のままではムリだ。高校生相手で通用した高めのストレートは、プロ相手では通用しない。スライダーにしてもビックリするほどの切れは筆者が見る限りは感じられない(もちろんプロレベルで見たらの話だが)。
菊池投手と対戦した高校生たちを見ていると、完全に名前負けしているようにしか感じられない。マスコミが必要以上に煽ったため、高校生の中に「花巻東の菊池はすごい!」というイメージがインプットされてしまったのだ。だから140kmのストレートを平然と見送ってしまう。140kmなら、甲子園に出ているレベルの高校生なら打てるはずだ。
菊池投手がプロで活躍するためには、内野ゴロを狙える球種が必要だろう。つまり2シームやカッターといったムービング・ファスト・ボールだ。プロで1~2年かけてこれらの球種をマスターし、もう少し身体の使い方を学べば、間違いなく二桁勝てるピッチャーになるだろう。
だが今のままではプロでは通用しない。それはもちろん日本でもメジャーでも同じこと。素晴らしい資質を持ったピッチャーではあるが、マスコミは煽りすぎだ。これではプロに入っても集中して練習することが難しくなる。筆者としてはプロ入り1~2年は、静かな環境で集中した練習をさせてあげたい。今までプロ入りしたはいいが、マスコミから執拗に与えられるプレッシャーのせいで実力を伸ばせなかった選手がどれほどいただろうか?
そう考えると、菊池投手はパ・リーグに来た方がいいだろう。パ・リーグは悲しいかな、セ・リーグよりもマスコミからの注目度は低い。その分質の高い練習を集中して行うことができる。完成度の高い選手ならともかく、まだまだ発展途上にいる選手に必要以上のプレッシャーをかけてはいけない。松坂大輔投手が西武に入団した時は、デニー投手がマスコミなどから松坂投手を守っていた。そういう存在の先輩も必要だろう。
筆者の印象では、菊池投手はすぐにはメジャーへは行かないと思う。恐らく日本の11球団のどこかに入団するはずだ(巨人はホンダの長野選手1位指名で確定)。その根拠は、菊池投手の恩師である花巻東の佐々木監督がこのタイミングでのメジャー入りに対して消極的だからだ。菊池投手は恐らく佐々木監督の意見を大きく取り入れると思う。
最後になってしまったが、菊池投手は股関節が非常に柔らかい。これはピッチャーにとっては素晴らしいことだ。ただ残念なことに、その柔らかさをピッチングのモーションの中に上手く取り込めていない。もう少し股関節や骨盤を動的に使い、脊柱のスピンを活かすことができれば、今より力を抜いて投げても、今より球速はアップするだろう。プロ入り1~2年でこのモーションをマスターすることができれば、常時150km前後のボールを投げられるようになる。そうなれば、二桁勝利も間違いないだろう。
菊池投手はとにかく素晴らしい投手なだけに、希望としては西武に入ってもらいたい。しかし西武に来なかったとしても、しっかりとした指導ができるチームに入ってもらいたい。少なくとも「根性だ!」「集中しろ!」「気持ちが弱い!」などという言葉を使うコーチの元へは行って欲しくはない。集中できない時は誰にでもある。そんな時、集中できるような的確なアドバイスを送れるコーチがいるチームへ行ってもらいたい。

2009年10月21日 15:53

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