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小岩ジェッツ

西口文也投手が今年調子を落とした要因

西口文也投手がFA権を行使せずに2010年度もライオンズでプレーすることが正式に決まったようだ。しかも「生涯ライオンズ」宣言まで聞くことができた。年俸などの詳細はまだ未確認だが、今季の2億円からは大幅にダウンしたらしい。そして来季は、先発というポジションにこだわることを西口投手は明言した。だがファンにとってもそれは同じで、西口投手にはいつまでも先発マウンドに立ち、200勝を達成してもらいたい。

今シーズン西口投手の調子が上がらなかった最大の要因は、身体の使い方にあった。恐らく怪我を恐れてのことだったと思うのだが、調子が良い時と比べると体重移動に勢いがなく、それ故に身体がスピンし切れていなかった。西口投手が言っていたわけではないのだが、筆者が見る限りでは内転筋を気にしているように感じた。年齢から来る筋力の衰えが気になるのだろう。

渡辺監督は言う。「野球経験者でも西口とキャッチボールするのは恐い」と。調子が良い時の西口投手のボールは、恐らく二流捕手では捕り切れないだろう。それくらいボールがビュンと来る。これはあの細身の身体だからこそ生まれるボディーターン(スピン)が要因になっている。岸投手にも同じことが言えるのだが、細身の投手は慣性モーメントに優れるため、身体がきれいにスピンしてくれる。

例えば竹とんぼを思い浮かべて欲しい。竹とんぼを飛ばすための棒軸は、あれだけ細いからこそ慣性モーメントが良くなり、竹とんぼを飛ばすだけの回転を得られる。だがもしこの棒軸が太かったらどうだろうか?ほとんど回転することがなくなるため、竹とんぼは飛んでいかないだろう。そしてこれは、そのままピッチングに言い換えることができるのだ。

レッドソックスの松坂大輔投手は、西武に入団した時よりも遥かに体格が良くなった。ボールを投げる腕の筋肉は盛り上がり、胸板も入団時とは比べられないほど厚くなった。これによりパワーのあるボールは投げられるようになったが、スピードボールは投げられなくなってしまった(ここで言うスピードボールは、初速だけ速いボールのことではなく、初速と終速の差がほとんどないストレートのこと)。

つまり松坂投手は、竹とんぼでいうところの棒軸が太くなってしまったため、身体にスピンを起こしにくくなってしまったわけだ。プロ初登板時、東京ドームで日本ハムの片岡選手を三振に取った156kmのストレートと同じボールを投げることは、今の松坂投手にはできないだろう。

さて、話を西口投手に戻すが、なぜ西口投手のスピンは弱くなってしまったのか?その原因は前足(右投げの場合は左足)にある。西口投手はステップする前足を、若干三塁方向にクロスさせて踏み出していた。このクロスがあるからこそ、スピンを鋭くできるのだ。だがこのクロスステップは、内転筋を痛めやすいという欠点がある。現に西口投手だけではなく、クロスステップするプロ投手の多くが内転筋を痛めてきた。今年の西口投手は年齢的にそれを気にするあまり、クロスステップが甘くなっていたのだ。

だがシーズン終盤になるとこのクロスが少しずつ戻ってきて、ボールに勢いが生まれるようになった。バッターからすると、クロスしていない時に投げていた146kmのストレートよりも、シーズン終盤で投げていた139kmの西口投手のストレートの方が速く感じられたはずだ。なぜならそっちの方が、初速と終速の差が少ないからだ。

今オフの西口投手は、とにかく走り込みメニューを増やすはずだ。当然それは内転筋を痛めないためでもあり、鋭さが戻ったボディーターンに下半身がしっかり付いて来れるようにするためでもある。だが気をつけなくてはならないのは、ただ走るだけではダメということだ。

ただ闇雲に走ってしまっても仕方がない。なぜなら何も考えずに走った時の動きは、ほとんどが直線運動になってしまう。足の関節も筋肉も、基本的には前後の直線運動しか起こさない。だがここで考えてみよう、ピッチング時の足の動きを。決して直線運動ではないはずだ。もちろん足だけの問題ではないが、ねじったりひねったりしているはずだ。つまり内転筋を痛めないようにするためには、ねじり・ひねりの動作に対応できる筋肉が必要とされる。

ライオンズのトレーニングコーチが、この点についてしっかり西口投手にコーチングすることができれば、来季の西口投手に故障の心配はなく、大きな期待を持つことが出来るだろう。そして普通に実力を発揮することさえできれば、二桁とは言わず、12~13勝は挙げられるはずだ。

とにかく今シーズンは、西口投手で貯金を作れなかったことがチームとして痛かった。来季西口投手が復活してくれれば、今年のような結果にはならないだろう。最低でも優勝争いには絡めるはずだ。そしてそのためにも、西口投手にはまだまだ投げ続けてもらわなければならない。来季は再び年俸2億円ピッチャーに返り咲く活躍を期待したいと思う。

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2009年10月28日 19:29 




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