小野寺投手が肩を故障、その原因
小野寺力投手が肩を故障したようだ。幸い軽症で、11月中には投球を再開できる目処があるらしいが、しかしこの故障は起こるべくして起こった。筆者は何度か小野寺投手が肩を故障する可能性についてこのブログでも書いて来た。故障の原因は二重振り子投法によるものだろう。野球に詳しくない方にも分かりやすいように、図で表してみた。
上の図が「二重振り子」の原理で、下の図が「二重振り子投法」の原理だ。二重振り子とは、1つの振り子に対し、2つの振り子始点が存在する加速装置のことだ。通常の振り子よりも、二重振り子の方が糸が痛みやすいことは想像に易いと思う。二重振り子投法とは、二重振り子加速装置を採用した投球モーションのことなのだ。
プロ野球界のピッチャーの8~9割は二重振り子投法を採用しているのではないだろうか?身体にとっても最も大きな負荷が掛かるのは、動きを止める動作だ。筋力的には重力に逆らう上り坂の方がきついが、身体への負担は動きを止める動作が含まれる下り坂の方が大きい。
二重振り子投法を採用してしまうと、少なくとも肘、ひどい場合は肘と肩の2ポイントに動きをストップさせる動作が含まれてしまう。もし肘がヌンチャクのように、360°どの角度でも曲げられるのであれば、二重振り子投法で怪我をすることもないだろう。しかし人間の肘は、内側にしか曲がらない。だから外側へ向けて腕を加速する際は、どうしても肘の部分で動作を停止せざるを得ない。この時の負荷が、野球肘・野球肩を誘発させている。そして小野寺投手は、まさにこの二重振り子投法タイプのピッチャーなのだ。
二重振り子投法に対し、肘・肩に負担の掛からないスパイラル投法というものがあるが、小野寺投手のブログを読んでいる限りでは、小野寺投手自身その存在を知らないか、もしくは採用を考えてはいないのだろう。今日のブログでも小野寺投手は「何年も投げ続けていると、肩や肘に負担がかかります」とコメントしていた。もし小野寺投手が、西口投手のようにスパイラル投法を採用していたら、このような言葉は出てこないはずだ。
子どもの頃、「ボールは上から真っ直ぐ振り下ろせ」とコーチに教わったことはないだろうか?なぜか野球先進国である日本とアメリカにおいては、昔からプロ・アマ問わずこの指導法が採用されている。これこそが二重振り子投法であり、ボールがシュート回転する原因であり、肩・肘を故障する原因なのだ。テレビ解説者に「ボールがシュート回転していますね」と言われているピッチャーは、ほぼ間違いなく二重振り子投法を採用している。
二重振り子投法からスパイラル投法にモデルチェンジするには、プロ野球選手が毎日練習に励んでも半年以上掛かると言われている。だからこそ子どもたちを指導する監督・コーチはもっと勉強して、二重振り子投法のデメリットと、スパイラル投法のメリットを理解しなければいけない。もちろんプロ野球のコーチも同様だが。
小野寺投手は今回は軽い肩痛で済んだようだが、次回も軽く済むかは分からない。下手したら石井貴投手のように、選手生命を左右させるほどの痛みを覚えるかもしれない。そうなってしまっては手遅れになる。守護神奪取どころか、ボールを投げられなくなる肩になる可能性さえある。
埼玉西武ライオンズでは以前、野球科学の専門家(もちろん野球経験者でもあった)と個人契約して大成した選手が数人いた。松井稼頭央選手、星野智樹投手、土肥義弘投手らは、同一のパフォーマンスコーディネーターの指導を仰いでいる。
筆者としては外国人選手に大金をかけるよりも、素晴らしいパフォーマンスコーディネーターと契約した方が、チームにとってはよほど有意義だし、プラスになると思っている。そろそろ野球界もプレーだけではなく、科学的に野球を学んだスペシャリストの指導を進んで受けるべく時代になっていると思う。必要なのは選手として有名だったコーチではなく、選手の身体と野球を理解し、適切なコーチングを行える人材だ。
そのような人材を各球団が抱える時代が来れば、勤続疲労で故障する選手は今の半分以下になるだろう。そしてそうなれば、日本のプロ野球の裾野はさらに広がっていくはずだ。

2009年10月23日 16:35

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