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中島裕之選手のバッティングフォーム解説
中島裕之選手のバッティングフォームは、テレビ番組で“ぶった斬り打法”と命名されています。筆者もこの番組を観た記憶はあるのですが、実際にどのようにして命名されたのかは忘れてしまいました。ですが今日は、このぶった斬り打法について筆者なりの解説をしていこうと思います。
まず、中島選手をホームランバッターだと思っている方は少なくないと思います。現に2004年には27本塁打を放ち、プロ野球解説者の山崎裕之さんも「彼には30本打たせてあげたい」と言っていたほどです。ですが中島選手本人の気持ちとしては、ホームランよりも打率にこだわりがあるようです。
2004年になぜ27本打てたかと言うと、ノーマークだったからだと言えます。前年オフに松井稼頭央選手がメッツに移籍してしまい、その大きな穴を埋めるべく1軍に上げられた中島選手は、2004年は7番ショートに固定され、全試合フルイニング出場を果たしました。しかし2002~2003年までは、1軍で打席に立ったのはわずかに105打席のみ。つまり相手チームには、中島選手の情報がほとんどありませんでした。
そのために相手バッテリーも攻め方に困り、その迷いの中で失投が生まれ、それを中島選手がしっかりとハードヒッティングできていたという訳なのです。プロ入り3年目にして失投を逃さずに仕留められるバッティング技術は、さすがですね。
中島裕之選手のバッティングフォームの特徴と言えば、バットを上段に構え、左腕の上腕二頭筋部分を口元に持って行き、その腕とヘルメットの日差し避けのわずかな隙間から、相手ピッチャーを見るという構えです。このフォームには、ピッチャーに対して威圧感を与えられるという効果があります。反対にピッチャーは、帽子を深く被ることでバッターに威圧感を与えることができます。要するに、相手に自分の目を見にくくするということです。
続いてタイミングの取り方ですが、中島選手はボールが来るギリギリまで体を揺らしてタイミングを計ります。一昔前であれば、このタイミングの取り方は指導の中で修正させられていたものでした。特に日本のアマチュア球界では、ウェイティングポーズで体を動かすことは、スウィングにぶれが生じると言われ指導の対象になることがあります。当の筆者も子どもの頃は、そういう始動を受けました。しかし実際にはそんなことはありません。常にタイミングを計ることで、動から静、静から動への動きがスムーズにつながるようになります。
最初の動はタイミングを計る動き。静とは軸足に体重を乗せて、スウィングに入る直前の静止。そしてそこからスウィングを始動させ、再び動へ。中島選手のバッティングフォームは、この一連の流れが非常にスムーズになるわけです。メジャーリーガーにはこのようにタイミングを計る選手がとても多いですね。
多くのバッターはグリップを、ウェイティングポジションからテイクバックし、そしてそこからバットをスウィングさせていきます。しかし中島選手の上段の構えというのはそうではなくて、通常のバッターがテイクバックしたポイントに、始めからバットを構えているんです。これは見た目の豪快さとは相反し、非常に合理的なバッティングフォームです。一言で言えば、バットを常に最短距離で振り抜くことができるんです。
例えば中島選手と真逆なのが、先日引退された小関竜也選手です。小関選手はグリップをピッチャー側に置いて構えていました。これにはどういう効果があるかと言うと、ボールの動きに合わせてバットの動きをアジャストさせやすくなります。簡単に言うと、ピッチャーが投じたボールの勢いを殺してコンタクトすることが可能になります。打つと言うよりは、ボールを払うという感覚ですね。一方中島選手はそうではなく、ボールの勢いに対し、それ以上に強い勢いでコンタクトさせています。
中島選手と小関選手の違いは、凡打した際、中島選手の場合は打球が詰まることが多いのですが、小関選手は引っ掛ける凡打が多くなります。
中島選手はバットを寝かせて構えています。これはアベレージヒッターの1つの大きな特徴で、やはりこれもバットを最短距離で出すために高い効果があります。つまり、バットをスウィングする線上に合わせた角度でバットを構えているため、スウィング中に無駄な動作がなくなります。無駄な動作がなくなるということは、スウィングの軌道が安定し、意識をボールだけに集中させることが可能になります。
並みのバッターであれば、コンタクトの瞬間、ボールとバットの両方を見てしまいがちですが、しかし中島選手の場合はバットの軌道が安定しているために、ボールさえしっかり見ていれば、ブラインドスウィングでバットをボールに合わせられるんです。
そして中島選手のバッティングフォームのさらにいい点は、フォロースウィングにあります。バットを振り抜いて、そのバットが背中側に回った際、中島選手の姿勢はきれいな二等辺三角形を描きます。これは非常にバランス感覚に優れるため、タイミングを外されたり、フォームを崩されたりしても、比較的しっかりとしたスウィングを可能にしてくれます。この二等辺三角形は、人よりも2倍3倍バットを振り込まなければ中島選手のようなきれいな三角形は描けません。このような点から見ても、中島選手が普段、どれだけ多くの練習を積み重ねているかを察することができます。
筆者が中学生だった15年ほど前は、西武ライオンズの清原選手がバッティングの見本のように言われていました。しかし現在では、この中島選手を見本にしてもいいと思います。それくらい中島選手のバッティングフォームには無駄が少なく、合理的なスウィングをしていると思います。
ということで、今日は中島選手のバッティングフォームについて筆者なりの解説をしてみました。あくまでも筆者の持っている野球理論の中で解説をしていますので、賛否両論あるかもしれません。その辺りはどうぞご了承くださいませ。
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2009年05月27日 15:51 Tweet

